手元のコントローラを操縦することで、上空を自由に飛行するドローン。
操縦には高い技術や専門的知識が必要とも言われており、何か特別な資格や免許を取得しなければならないというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
現在、ドローンの操縦に必要な資格・免許はありませんが、民間団体が管理する認定資格の取得を目指すことが可能です。
- ドローンを飛行させるのに免許や資格は必要か?
- 民間の資格の種類
- 資格はどこで取得できるのか?
- 取得費用はどれくらいかかるのか?
をわかりやすく解説しています。
そこで今回は、ドローンの資格の種類や取得方法に加え、2022年に新設が予定されている「ドローンの国家資格」についても詳しく解説いたします。
ドローンを飛行させるために免許や資格は必要?
原則、ドローンを飛行させるために取得が必要となる免許や資格はありません。
そのため、無免許・無資格の方でもルールさえ守れば誰でもドローンを飛ばすことができます。
しかし、屋外で飛ばすには航空法や小型無人機等飛行禁止法など様々な法規制を理解したうえで、遵守する義務があります。
したがって、免許や資格を取得しなくてもドローンの飛行に関わる技術・知識は事前に身に付けておかなければなりません。
国家資格として定められたドローンの資格はありませんが、民間の認定団体が管理するスクールを受講することで取得できる民間資格は存在します。
また、ドローンに使用されている周波数帯や農薬散布といった特殊な飛行方法の場合は免許や資格の取得が必須となります。
具体的にどのような場合、どんな資格や免許を取得しなければならないのかは以下の記事にて解説していますので、併せてご覧ください。
2022年よりドローンの国家資格制度が開始
2022年に施行予定となっている「改正航空法」では、ドローンの「操縦ライセンス(免許)」制度の新設が予定されています。
これにより、一部の飛行方法でドローンを飛ばす場合は新設された国家資格を取得しなければなりません。
ドローンの国家資格の概要
ドローンの免許制度は、国家試験(学科・実地試験)を受験して操縦技能証明を行う制度となっています。
免許制度の導入に伴い、以下2種類の免許が新設されました。
●一等無人航空機操縦士(一等資格)
- 有人地帯での補助者なし目視外の飛行(レベル4)が可能になる
- 「安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行」の申請が不要になる
※空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、物件投下等
●二等無人航空機操縦士(二等資格)
- 「安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行」の申請が不要になる
※人口集中地区、夜間、無人地帯での目視外、人や物件との距離30m未満
ただし、レベル4の飛行には国家資格の取得に加えて国から機体の登録申請を行わなければなりません。
なお、ドローンの免許制度が導入された後でも法令に従って飛行許可申請を行えば、無資格の方でもこれまで通りドローンを飛ばすことができます。
免許制(国家資格化)の詳細については以下の記事で解説しています。
民間の認定資格・免許はどうなるの?
既に取得した民間資格について、免許制度が導入されたら無駄になってしまうということはありません。
「国の登録を受けた民間講習団体が実施した講習を修了」した方であれば、国家試験の一部が免除される予定となっています。
そのため、上記に該当する方は通常よりも比較的容易にドローンの国家試験を取得し、レベル4の飛行を行うことができるのです。
免許制(国家資格化)の導入で操縦士の仕事はさらなる拡大が予想される
現在のドローンに関する法律ではドローンをビジネス活用できる分野が限られているため、操縦士の仕事の数は決して多くはありません。
しかし、改正航空法によりレベル4の飛行が可能となれば配達や警備、災害救助などドローン活用の幅が広がるとともに操縦士を求める業界が増えていくことでしょう。
将来的にドローン操縦士を目指す方は、今後の法整備に関する情報を随時追っていくことをおすすめします。
ドローンの国家資格の取り方
ドローンの国家資格を取得する方法としては、「登録講習機関で受講してから試験を受ける方法」と「独学で対策をしてから試験を受ける方法」の2通りがあります。
また、国家資格の試験には受験資格があることにも注意が必要です。
ここでは、ドローンの国家資格を取得する方法の詳細について解説いたします。
登録講習機関(スクール)で受講してから試験を受ける
ドローンの国家資格取得に必要な試験内容については、国土交通省から認定を受けた登録講習機関(ドローンスクール)で学ぶことができます。
登録講習機関は全国各地にありますが、基本的な講習内容については統一されています。
登録講習機関を受講することでプロの講師から正確な知識と操縦技術を学べるだけでなく、試験の一部が免除されるというメリットがあります。
受講には費用がかかりますが、独学で知識や技術を身に付ける自信がない方やスムーズに資格を取得したい方であれば登録講習機関の受講がおすすめです。
独学で試験を受ける
ドローンの国家試験を受けるにあたって、必ずしも登録講習機関を受講する必要はありません。
市販の教材で学科試験の対策を行ったり、練習用のドローンで操縦技術を磨いたりして試験の対策を行うことも可能です。
独学の場合は登録講習機関のように受講料が発生せず、必要な費用は教材や練習用ドローンの購入費、受験料だけで済むためコストが抑えられるというメリットがあります。
とはいえ、これまでドローンの操縦や知識に触れたことがなかった方にとってはハードルが高い手段です。
また、効率的に知識や技術を身に付けることができる登録講習機関よりも、資格取得までに時間がかかるケースがほとんどです。
そのため、仕事で資格取得が必要な方にとっても独学でのデメリットが大きい手段とも言えます。
ドローンの国家資格には受験資格がある
ドローンの国家試験には、受験資格として以下2つの条件が設けられています。
- 16歳以上であること
- 航空法の規定に基づいて国土交通省から受験が停止されていないこと
受験停止は、ドローンに関する法令違反などの問題を起こして資格の取り消し処分が行われた人や、過去の試験で不正行為を行っていた人に与えられる処分です。
16歳以上かつ、これまで問題なくドローンを運用していた人であれば基本的に気にしなくても問題はありません。
ドローンの国家資格を取る流れ
ドローンの国家資格は、具体的にどのような流れで取得するのでしょうか。
以下より登録講習機関(スクール)で受講する場合と独学で受検する場合の2通りに分けて、資格取得までの具体的な流れをご紹介いたします。
スクールで受講する場合
登録講習機関で受講のうえ国家試験を受けるには、まず受講するスクールを探したうえで「DIPS」というシステムに登録し、各種手続きを済ませる必要があります。
スクールの決定から資格取得までの流れは、以下の通りです。
ドローンスクールに国家資格対応のコースがあるか問い合わせる
まずは通いたいエリアの中で、国家資格対応のコースを用意しているスクールに問い合わせをしましょう。
国家資格対応コースはすべてのスクールに用意されているわけではないため、事前に探す必要があります。
なお、「ドローン 登録講習機関」とネット検索をすると国土交通省から公表されている登録講習機関の一覧表(Excel形式)がヒットするため、それを参考に受講先を探しても良いでしょう。
技能証明申請者番号の取得申請とスクールの登録
受講先となるスクールを決めたら、「DIPS」から技能証明申請者番号を取得しましょう。
DIPSとは国土交通省から提供されているドローン情報基盤システムのことで、国土交通省への飛行許可申請など、ドローンに関わる申請手続きをオンラインで済ませることができます。
国家試験や講習を受けるには技能証明申請者番号が必要となりますが、その取得手続きもDIPSから行うことになっています。
技能証明申請者番号を取得する手順は、以下の通りです。
スクールで資格に合わせた講習を受ける
ドローンの国家資格には、「一等資格」と「二等資格」という2つの区分があります。
どちらを取得するのかあらかじめ決定し、DIPS上で選択しておきましょう。
選択したら、その資格取得に対応したコースを受講することになります。
スクールでは学科講習と実地講習が行われますが、すべての課程を修了すれば国家試験のうち実地試験が免除されます。
試験に申し込む
ドローンの国家試験に申し込むには、「無人航空機操縦士試験申込システム」の登録が必要です。
DIPSで登録してあるメールアドレスと同一のものを入力し、アカウント登録を行いましょう。
メールアドレスの登録後、メールに記載されているURLから必要情報を入力すればアカウント登録は完了です。
登録が完了したら、試験一覧より「受験資格の確認」を選択のうえ申し込みを行います。
受験・合格証明書の発行
登録講習機関を受講している場合は、指定試験機関で学科試験と身体検査を受けます。
試験日までに入念な学科試験対策を行い、合格を目指しましょう。
試験に合格すると、無人航空機操縦士試験申込システムの「試験一覧」から試験合格証明書の発行申請が可能になります。
技能証明書の発行
試験の合格後、DIPSから技能証明書の交付も受けられるようになります。
資格を保有していることを証明する大切な書類であるため、忘れずに申請手続きを行いましょう。
DIPSの「技能証明書の新規交付」から手続きを済ませると、後日DIPSに登録した住所へ技能証明書が郵送されます。
独学で受験する場合
登録講習機関に通わずドローンの国家資格を受験する場合、学科試験・実地試験の内容に併せて1人で勉強や操縦練習を行う必要があります。
独学で受験のうえ資格を取得するまでの流れは、以下の通りです。
まずはドローンを購入して操作に慣れる
まずはドローンの操縦練習を行うため、練習用のドローンを購入しましょう。
100g未満のトイドローンであれば、安価かつ航空法の規制対象とならないため比較的自由に飛ばしながら練習を行うことができます。
自宅や屋内で練習しながら、前後・左右・上下の動きや安定的なホバリング、対面操縦、八の字飛行といったテクニックを身に付けましょう。
国土交通省HPや本などを参考に知識を身に付ける
国土交通省のホームページでは、航空法に基づくドローン関連の規制・制度や飛行ルールが記載されています。
ドローン関連の法規制や制度は試験内容に含まれるだけでなく、操縦者として遵守する義務があるため必ず目を通し覚えておきましょう。
併せて、試験対策としての勉強用に市販の書籍なども購入することをおすすめします。
飛行許可申請を行い屋外でもドローンを飛ばしてみる
基本的な操縦技術や知識が身に付いてきたら、実際に屋外でドローンを飛ばしてみましょう。
トイドローンと、より高い性能を備えた屋外用ドローンとでは操縦感覚が異なります。
飛行禁止区域に十分な注意を払いながら、適切な場所で屋外での飛行練習を行いましょう。
なお、屋内外で10時間以上の飛行実績を達成すれば国土交通省へ飛行許可申請を行えるようになります。
飛行許可申請を行えば練習方法の幅が広がるだけでなく、手続きに関する理解が深まるため1度は経験しておくことをおすすめします。
国家試験の対策を行う
機体や法規制に関する知識や10時間を超えるドローンの飛行実績も達成すれば、ようやく国家試験に受験しても問題がないレベルのスキルが身に付きます。
再度国家資格の取得を目指す目的とそれに必要な資格の区分を明確化し、本格的な試験対策を行いましょう。
なお、ドローンの国家資格の試験内容は公表されているため、よく目を通したうえで勉強・練習を重ねることが大切です。
試験内容の詳細は、後ほど詳しくご紹介いたします。
指定試験機関で受験する
独学の場合、国家資格取得を目指すにあたって学科試験・実地試験・身体検査を受ける必要があります。
国家資格への申込みから合格時の流れに関しては、登録講習機関を受講した場合と同様です。
技能証明申請者番号を取得のうえ、試験を受けたい国家資格の区分を選択して試験に申し込みましょう。
試験に合格したら、合格証明書と技能証明書の発行申請を行います。
【参考】ドローンの国家試験の試験日
ドローンの国家試験の日程については、下記のサイトより確認することができます。
・学科試験:無人航空機操縦士試験専用ページ
・実地試験、身体検査:試験日程(実地試験・身体検査)
都道府県に応じて異なる予約期間が設けられているため、事前に確認しておくことをおすすめします。
ドローンの国家試験の内容・受講必要時間
ドローンの国家試験において、受験者は「経験者」と「初学者」という2つの区分が設けられています。
経験者はすでに学科・実地の民間資格を取得している人、初学者はドローンについて初めて学ぶ人のことを指す区分です。
登録講習機関を受講する場合、資格の区分だけでなく受験者の区分によっても最低限必要な受講時間が変わります。
以下より学科試験と実地試験の内容・受講必要時間、身体検査の内容について詳しくご紹介いたします。
学科試験の内容・受講必要時間
学科試験では、「CBT」と呼ばれるコンピューターを利用した試験方法が採用されています。
問題はすべて選択式で、3つの選択肢から正解を選ぶという形式です。
出題内容は大きく分けて4項目ありますが、基本的に登録講習機関で修了した講習内容がそのまま含まれています。
ただし、一等資格と二等資格とで問題数が異なる他、一等資格限定の問題も出題されることがあります。
学科講習の内容と受講必要時間
登録講習機関における学科講習の内容と受講必要時間は、以下の通りです。
一等資格
講習内容 | 経験者 | 初心者 |
---|---|---|
①無人航空機操縦者の心構え | 1 | 3 |
②無人航空機に関する規制 ・航空法全般 ・航空法以外の法令等(小型無人機等飛行禁止法、電波法、その他法令、飛行自粛要請空域など) | 1 | 3 |
③無人航空機のシステム ・無人航空機の機体の特徴 ・飛行現糸飛行性能 ・機体の構成 ・機体以外の要素技術 ・機体の整備、点検、保管、交換、廃棄 | 2 | 5 |
④無人航空機の操縦者及び運航体制 ・操縦者の行動規範及び遵守事項 ・操縦者に求められる操縦知識 ・操縦者のパフォーマンス ・安全な運航のための意思決定体制 | 4 | 6 |
⑤運航上のリスク管理 ・運航リスクの評価及び最適な運航計画の立案の基礎 ・気象の基礎知識及び気象情報を元にしたリスク評価並びに運航計画の立案 ・飛行の方法に応じた運航リスクの評価及び最適な運航計画の立案 | 2 | 4 |
(単位:時間)
二等資格
講習内容 | 経験者 | 初心者 |
---|---|---|
①無人航空機操縦者の心構え | 1 | 3 |
②無人航空機に関する規制 ・航空法全般 ・航空法以外の法令等(小型無人機等飛行禁止法、電波法、その他法令、飛行自粛要請空域など) | 1 | 3 |
③無人航空機のシステム ・無人航空機の機体の特徴 ・飛行現糸飛行性能 ・機体の構成 ・機体以外の要素技術 ・機体の整備、点検、保管、交換、廃棄 | 1.5 | 3.5 |
④無人航空機の操縦者及び運航体制 ・操縦者の行動規範及び遵守事項 ・操縦者に求められる操縦知識 ・操縦者のパフォーマンス ・安全な運航のための意思決定体制 | 1 | 2 |
⑤運航上のリスク管理 ・運航リスクの評価及び最適な運航計画の立案の基礎 ・気象の基礎知識及び気象情報を元にしたリスク評価並びに運航計画の立案 ・飛行の方法に応じた運航リスクの評価及び最適な運航計画の立案 | 0.5 | 1.5 |
(単位:時間)
学科試験の試験内容
学科試験の出題内由生における具体的な項目は、以下の4つです。
- 無人航空機に関する規則
- 無人航空機のシステム
- 無人航空機の操縦者及び運航体制
- 運航上のリスク管理
また、問題数・合格基準は資格ごとに以下の通り定められています。
一等資格 | 二等資格 | |
---|---|---|
問題数 | 70問 | 50問 |
合格基準 | 正答率90%程度 | 正答率80%程度 |
実地試験の内容・受講必要時間
実地試験では、ドローンの操縦技術に加えて機体の点検や記録など、ドローンを安全に運用するための知識や技術に関する試験が行われます。
試験は機体の種類(マルチローター・ヘリコプター・飛行機)、限定変更の内容(夜間飛行・目視外飛行・重量25kg以上)に分かれて実施されます。
また、学科試験とは違い実地試験は100点の持ち点からスタートし、誤りがあれば減点されていく方式となっています。
試験終了時に一定以上の点数が残っていれば合格です。
学科講習の内容と受講必要時間
学科講習の内容と受講必要時間は、以下の通りです。
【一等資格( 経験者 )】
講習方法 | 講習内容 | 基本 | 目視外 | 夜間 | 25kg以上 |
---|---|---|---|---|---|
講義または演習 | ①飛行計画、リスク評価結果及び飛行環境の確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
②運航体制、手順、役割分担等の管理の確認 | – | – | – | – | |
講義、演習または実習 | ③機体の状況、操縦モード、バッテリーの確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
④フェールセーフ機能の適切な設定、飛行経路の設定、自動飛行の設定 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
実習 | ⑤基本操縦(手動) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
⑥基本操縦(自動) | – | 〇 | – | – | |
⑦基本操縦以外の機体操作 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
⑧様々な運行計画への対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義、演習または実習 | ⑨安全に関わる操作 | 〇 | – | – | – |
⑩緊急時の対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義または演習 | ⑪飛行後の記録、報告 | 〇 | – | – | – |
受講必要時間 (単位:時間) | 10 | 5 | 1 | 1 |
※経験者と初学者の基本・目視外、初学者の25kg以上は二等相当の受講時間を含む
【一等資格( 初学者 )】
講習方法 | 講習内容 | 基本 | 目視外 | 夜間 | 25kg以上 |
---|---|---|---|---|---|
講義または演習 | ①飛行計画、リスク評価結果及び飛行環境の確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
②運航体制、手順、役割分担等の管理の確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義、演習または実習 | ③機体の状況、操縦モード、バッテリーの確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
④フェールセーフ機能の適切な設定、飛行経路の設定、自動飛行の設定 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
実習 | ⑤基本操縦(手動) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
⑥基本操縦(自動) | – | 〇 | – | – | |
⑦基本操縦以外の機体操作 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
⑧様々な運行計画への対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義、演習または実習 | ⑨安全に関わる操作 | 〇 | – | – | – |
⑩緊急時の対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義または演習 | ⑪飛行後の記録、報告 | 〇 | – | – | – |
受講必要時間 (単位:時間) | 50 | 7 | 1 | 2 |
※経験者と初学者の基本・目視外、初学者の25kg以上は二等相当の受講時間を含む
【二等資格( 経験者 )】
講習方法 | 講習内容 | 基本 | 目視外 | 夜間 | 25kg以上 |
---|---|---|---|---|---|
講義または演習 | ①飛行計画、リスク評価結果及び飛行環境の確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
②運航体制、手順、役割分担等の管理の確認 | – ※ヘリコプター型の場合は必要 | – | – | – | |
講義、演習または実習 | ③機体の状況、操縦モード、バッテリーの確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
④フェールセーフ機能の適切な設定、飛行経路の設定、自動飛行の設定 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
実習 | ⑤基本操縦(手動) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
⑥基本操縦(自動) | – | 〇 | – | – | |
⑦基本操縦以外の機体操作 | – | 〇 | – | – | |
⑧様々な運行計画への対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義、演習または実習 | ⑨安全に関わる操作 | 〇 | – | – | – |
⑩緊急時の対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義または演習 | ⑪飛行後の記録、報告 | 〇 | – | – | – |
受講必要時間(単位:時間) | 2 | 1 | 1 | 1 |
【二等資格( 初学者 )】
講習方法 | 講習内容 | 基本 | 目視外 | 夜間 | 25kg以上 |
---|---|---|---|---|---|
講義または演習 | ①飛行計画、リスク評価結果及び飛行環境の確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
②運航体制、手順、役割分担等の管理の確認 | – ※ヘリコプター型の場合は必要 | – | – | – | |
講義、演習または実習 | ③機体の状況、操縦モード、バッテリーの確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
④フェールセーフ機能の適切な設定、飛行経路の設定、自動飛行の設定 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
実習 | ⑤基本操縦(手動) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
⑥基本操縦(自動) | – | 〇 | – | – | |
⑦基本操縦以外の機体操作 | – | 〇 | – | – | |
⑧様々な運行計画への対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義、演習または実習 | ⑨安全に関わる操作 | 〇 | – | – | – |
⑩緊急時の対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
講義または演習 | ⑪飛行後の記録、報告 | 〇 | – | – | – |
受講必要時間(単位:時間) | 10 | 2 | 1 | 2 |
なお、実地講習には「基本」と「限定変更」の2種類があります。
限定変更では基本的な講習内容に加え、目視外飛行・夜間飛行・機体重量25kg以上のうちいずれかに関する講習が追加されます。
これらの受講は任意となるため、個々の必要性に応じて受講を検討したいオプションコース的なものと考えて良いでしょう。
学科試験の試験内容
実地試験の内容は、以下の通りです。
一等資格
試験方法 | 試験内容 |
---|---|
①机上試験 | 飛行計画の作成 |
②口述試験 | 飛行空域及びその他の確認 |
作動前点検 | |
作動点検 | |
③実技試験 | 高度変化を伴うスクエア飛行 |
ピルエットホバリング | |
緊急着陸を伴う8の字飛行 | |
④口述試験 | 飛行後点検 |
飛行後の記録 | |
⑤口述試験 | 事故または重大インシデントの説明 |
事故等発生時の処置の説明 |
※「基本」の場合
二等資格
試験方法 | 試験内容 |
---|---|
①机上試験 | 飛行計画の作成 |
②口述試験 | 飛行空域及びその他の確認 |
作動前点検 | |
作動点検 | |
③実技試験 | スクエア飛行 |
8の字飛行 | |
異常事態における飛行 | |
④口述試験 | 飛行後点検 |
飛行後の記録 | |
⑤口述試験 | 事故または重大インシデントの説明 |
事故等発生時の処置の説明 |
※「基本」の場合
実地試験の解答方法は机上・口述・実技となっており、実際にドローンを操縦するのは「実技」に含まれる試験内容のみです。
身体検査の内容
身体検査は、視力・色覚・聴覚・一般的な運動能力がドローンの操縦者として適切であるか確認を行う検査のことです。
具体的な検査内容と合格基準は、以下の通りです。
検査内容 | 基準 |
---|---|
視力 | 視力が両眼で0.7以上かつ一眼でそれぞれ0.3以上ある または 一眼の視力が0.3に満たない者もしくは一眼が見えない者は、他眼の視野が左右150度以上・視力0.7以上である |
色覚 | 赤色・青色・黄色の識別ができる |
聴力 | 後方2メートルの距離から発せられた、通常の強さの会話の音声を正しく聞き取ることができる |
一般 | ①施行規則第236条の62第4項1号または第2号に挙げる身体の障害がない ②①に定めるものの他、「無人航空機の安全な飛行に必要な認知または操作」のいずれかに係る能力を欠く障害があるが、規則第132条の44の規定による条件を付せば安全な飛行に支障が出る恐れがないと認められる |
※一等資格25kg未満及び二等資格限定
なお、身体検査の受検方法は公的証明書や医療機関の診断書を提出して受検する「書類受検」、指定された会場で直接検査を受ける「会場受検」から選択可能です。
ドローンの国家資格に必要な費用
ドローンの国家資格取得に必要な費用は、大きく分けて「受験料」「技能証明書の交付手数料」「スクールの受講費用」の3つがあります。
それぞれどのくらいの金額になるのか、以下よりご紹介いたします。
国家試験の受験料
国家資格取得のために受ける学科試験・実地試験・身体検査には、それぞれ受験料がかかります。
各試験の手数料は以下の通りです。
学科試験
区分 | 手数料 |
---|---|
一等資格 | 9,900円 |
二等資格 | 8,800円 |
実地試験
機体の種類 | 区分 | 試験内容 | 手数料 |
---|---|---|---|
マルチローター | 一等資格 | 基本 | 22,200円 |
限定変更 | 20,800円 | ||
二等資格 | 基本 | 20,400円 | |
限定変更 | 19,800円 | ||
ヘリコプター | 一等資格 | 基本 | 22,600円 |
限定変更 | 21,200円 | ||
二等資格 | 基本 | 20,900円 | |
限定変更 | 20,300円 | ||
飛行機 | 一等資格 | 基本 | 23,800円 |
限定変更 | 22,400円 | ||
二等資格 | 基本 | 21,500円 | |
限定変更 | 20,900円 |
身体検査
受検方法 | 手数料 |
---|---|
書類受検 | 5,200円 |
会場受検 | 19,900円 |
技能証明書の交付手数料
区分 | 手数料 |
---|---|
新規申請 | 3,000円 |
再交付申請 | 2,850円 |
更新申請 | 2,850円 |
限定変更申請 | 2,850円 |
なお、一等資格を新規取得した場合は上記に加えて「登録免許税」もかかります。
登録免許税の税額は1件につき3,000円となっており、東京国税局麹町税務署へ直接納付するかPay-easy(ペイジー)を通して納付する必要があります。
納付期限は認定日から1ヵ月間となっているため、期限内に忘れず納付を済ませましょう。
スクールの受講費用
受講費用は利用するスクールが独自に設定しているため、具体的な金額を確認するには各スクールへ問い合わせを行う必要があります。
なお、一般的な相場は一等資格なら「90,000~400,000円程度」、二等資格なら「90,000~250,000円程度」となっています。
ドローンの国家資格は定期的な更新が必要
ドローンの国家資格は、認定から3年間が有効期限となっています。
期限を過ぎれば技能証明書が無効となるため、国家資格を保有し続ける場合は期限内に更新を行いましょう。
更新を行うには、登録講習機関で講習を受けたうえで身体検査の基準に合格し、技能証明書を再発行する必要があります。
改めて試験を受ける必要はありませんが、手数料を支払いDIPSを通して再発行手続きを行わなければなりません。
ドローンの国家資格取得とセットで機体認証も必要
国家資格の取得には、資格の区分に応じてレベル4飛行の解禁や飛行許可申請の簡略化・免除といったメリットがあります。
しかし、実際には「機体認証」の登録も済ませなければ上記の恩恵を得ることができません。
機体認証とは、ドローンの国家資格化に伴い新設された制度です。
使用する機体が国土交通省が定めた安全基準を満たしているかどうかを、「設計」「製造過程」「現在の状況」という観点から審査します。
国家資格と同じく、機体認証にも「第一種機体認証」「第二種機体認証」という2つの区分があります。
航空法で規制されている一部の場所・方法の飛行を許可申請なしで行うなら上記のどちらか、レベル4飛行を実施するなら第一種機体認証が必要です。
ドローンの機体認証と型式認証の違い
ドローンの機体認証と混同されがちな制度として、「型式認証」というものがあります。
型式認証とは量産型ドローンの型に対応した検査のことで、機体認証のように個々の機体が検査されるわけではありません。
設計と製造過程の2点から対象の型式の安全性とその均一性を検査し、基準に適合することが認められると型式認証書が交付されます。
型式認証の交付を受けた型式のドローンは、機体認証の検査の一部またはすべてを省略することが可能です。
ドローンの民間資格を取得する必要はある?
民間の認定資格は取得が義務付けられているわけではないため、取得をしないという選択肢ももちろん存在します。
ただし、民間の認定資格を取得することで以下のようなメリットが得られるため、可能であれば取得も検討すると良いでしょう。
民間資格を取得していれば国家試験の一部が免除に
国家資格の講習内容でも述べた通り、受験者が「初学者」か「経験者」かによって受講必要時間が異なります。
すでに国から認定を受けている民間資格を取得している人は経験者に分類されるため、学科講習・実地講習ともに初学者の半分以下の講習時間で試験に臨むことが可能です。
受講必要時間が短くなれば、資格取得までの期間や費用の短縮につながります。
受講するスクールによっては、民間資格と国家資格にかかった費用を合わせてもトータルで安く済む場合もあるのです。
将来的に国家資格の取得を検討している方、国家資格取得までにまとまった費用の発生を抑えたい方であれば事前に民間資格を取得することをおすすめします。
資格取得を目指すことでドローン飛行に必要な知識・技術が身につく
先述の通り、ドローンを飛行させるうえで多くの知識や飛行技術を身に付ける必要があります。
初心者の方は具体的にどのような範囲まで知識を身に付ければ良いのか、どんな練習方法で技術を磨けばよいのか…など、自分で判断するには難しい方も多いことでしょう。
民間資格のほとんどは認定団体が管理しているスクールに受講し、予め定められたカリキュラムを修了することで取得が可能となります。
ドローンについて熟知した講師が直々に、必要な知識や技術を指導してくれるため独学よりも効率的です。
操縦技術や知識の客観的証明になる
実際にドローンの操縦技術や知識が身に付いていても、自称するだけでは根拠に欠けるため第三者には伝わりにくいものです。
そこで、「資格」という存在が役に立ちます。
ドローンに関して知識のない方でも、資格という存在は「一定以上のスキルを持つ人が有するもの」という認識があるため一目で自分のスキルを証明することができるのです。
また、国土交通省へ飛行許可申請を行う際は資格証明書を提示することで、必要書類を一部簡略化できる場合もあります。
主なドローンの民間資格一覧
管理団体によって異なる資格が発行され、その資格が証明するスキルの内容やレベルに差がある場合もあります。
ここでは、主要な管理団体より発行される資格の種類とその内容をご紹介いたします。
DJICAMP認定資格
大手ドローンメーカー、DJIの日本支社である「DJI JAPAN」が主催している講習を修了することで取得できる資格です。
企業向けに組まれたカリキュラムとなっており、DJI製ドローンの正しい知識・操縦方法・飛行モラルを取得していると証明できます。
受講は10時間以上の飛行経験かつ、DJI製品のユーザーマニュアルを熟読している方が対象です。
2日間の座学講義に加え、筆記試験と実技試験の受講と技能テストの合格により認定証が発行されます。
JUIDAドローン資格
JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)が管理している、2種類の資格です。
ドローンを安全に飛行させるための基礎的な知識・技術を有すると証明できる「無人航空機操縦技能」と、ドローンの飛行業務における安全管理能力が身に付いていると証明できる「無人航空機安全運航管理者」が用意されています。
JUIDAが認定しているドローンスクールにて、規定のカリキュラムを受講したうえで試験に合格すると取得することができます。
ドローンをビジネス活用したい方は、どちらも取得しておくと業務上で役に立つことでしょう。
スクールによっては片方のみ取得を目指せるコースがあったり、2種類の同時取得を目指せるコースがあったりと対応が異なります。
一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)の資格
DPAとも呼ばれる一般社団法人ドローン操縦士協会認定のスクールにて規定のカリキュラムを修了することで、「ドローン操縦士回転翼3級」という資格を取得することができます。
3級はドローンの飛行に必要な基礎知識や基本的な操縦技術を有していることを証明できる資格です。
また、3級資格の講習を開催するためのインストラクター資格も用意されています。
現時点では1・2級といった上位の資格はありませんが、今後新設される予定です。
日本ドローン協会(JDA)の資格
JDAとも呼ばれる日本ドローン協会が開催している講習を受講し、試験に合格することで取得できる資格です。
ドローンの基礎的なスキルを証明する資格、業務活用するうえで必要なスキルを証明する資格、農薬散布を行う上で必要なスキルを証明できる資格など、様々な種類の資格が用意されています。
資格によっては受講資格が設けられているコースもありますが、自分の目的に合わせたスキルを身に付けやすいことが特徴です。
ドローンの民間資格の取得方法
民間資格を取得するための方法は、大きく分けて以下の2通りとなります。
認定スクールへ通う
民間資格は、管理団体が認定しているスクールに通ってから取得できる場合が多いです。
取得を目指す資格に合わせて構成された座学や実技指導などがカリキュラムとして組まれており、すべて受講したうえで最終試験に合格すれば資格が発行されるという流れが一般的となっています。
スクールによって受講料やカリキュラム、授業の雰囲気などは異なるので、自分にとって通いやすいスクールを見つけることが重要です。
ドローンスクールの選び方などは以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてみてください。
座学のみなら独学でも可能
操縦技術は自分一人で練習をしても正しく操縦できているかが分かりづらいため、プロから直接指導を受けることをおすすめします。
ただし、座学のみであれば独学でも身に付けることは可能です。
また、ドローン検定協会が実施している座学のみの試験「ドローン検定」を受験するという手もあります。
他の資格とは異なり講習は行われず、自分で勉強して検定試験を受けるという形式になっているため、スクールに通った場合より費用を抑えることも可能です。
ドローンの民間資格取得にかかる費用
筆記試験のみを受ける場合
「ドローン検定」のような筆記試験のみを受ける場合であれば、テキスト代+受講費がかかります。
おおよそ3,000円~18,300円とリーズナブルな費用で資格の取得が可能です。
スクールに通って取得する場合
スクールに通って資格を取得する場合、スクールによって受講料が異なるため費用も変動します。
一般的には100,000円~400,000円程度が相場です。
専門的なコースの講座や、内容が充実している講座のあるスクールは受講料が高くなる傾向にあります。
また、単純に受講料だけでなく資格の認定証発行料や定期的な資格の更新料が必要となる場合もあるため情報はよく確認しておきましょう。
スクールの詳細費用については以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご参考ください。
ドローンの仕事をする場合に取得する資格はどれがいい?
空撮・点検・測量・農薬散布など、ドローンをビジネスで活用する例は増え続けています。
ドローンに関する仕事をするにあたり、資格は取得しておくべきなのでしょうか。
ドローン操縦士(パイロット)になるために認定資格が必ず必要というわけではない
ドローンを操縦する仕事は、資格の取得が必須となる訳ではありません。
企業によっては、無資格・無免許の方でもドローン操縦士として就職することも可能です。
もちろん、就職ではなくフリーランスとして活動していく方も資格取得は必須ではありません。
とはいえ、業務では場合は航空法などにより許可申請が必要と定められている場所・方法でドローンを飛ばさなければならない機会が増えます。
ドローンに関わる法律の知識や操縦士として求められるレベルの技術が身に付くのはもちろんのこと、飛行許可申請を簡略化できるなどのメリットがあります。
また、就活の際にも一定以上のスキルを有していると証明できる資格があると有利に運ぶ可能性も高まるため、資格は取得しておいて損はないでしょう。
ドローンに関連する仕事には専門知識がいることも
ドローンを仕事で飛行させる行為そのものは無資格・無免許でも可能ですが、測量や農薬散布など特定の分野における専門知識が求められる場合はあります。
また、ドローンに関する仕事は操縦士だけではありません。
ドローンを開発するエンジニア職に就く場合、機体開発は航空工学や材料力学などの知識、プログラミングはC言語やPythoなどのプログラミング言語…といった知識が必要不可欠となるのです。
一口にドローン関連の仕事といっても、職種によりプラスアルファで身に付けておいた方が良いスキルがあります。
すでに特定の分野で仕事をしているわけではなく将来的にドローンに関わる何らかの仕事に就きたいと考えている方は、希望する職種も明確に定めたうえで必要となる専門知識を学ぶことも心がけましょう。
そもそもドローンに関連する仕事にはどのような仕事がある?仕事にはどのような仕事がある?
先ほども触れましたが、ドローンに関連する仕事は大きく分けて「ドローン操縦士」と「ドローンエンジニア(開発職)」の2種類があります。
ドローン操縦士…実際にドローンを操縦して業務を遂行する仕事ドローンエンジニア…機体を開発する「ハードウェア開発」と、制御プログラムを開発する「ソフトウェア開発」の2つに分けられる。
以下の記事ではドローンを使った仕事の種類や求人情報などを詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。
目視外の飛行を必要とする仕事は無線関連の資格が必要
FPVゴーグルを装着しながら目視外でドローンを飛行させる場合、免許・資格の取得をしなければなりません。
FPV対応ドローンは5.8GHz帯の周波数が用いられており、電波法にて免許・資格の取得が義務付けられているのです。
取得が必要な免許と資格の詳細は、以下の通りです。
無線局免許
5.8GHz帯の周波数を用いたドローンを操縦するには、総務大臣へ申請を行い「無線局の開設」免許を受ける必要があります。
申請書に加え、無線局の開設目的・設置場所・使用する無線機(ドローン)の工事設計などを記載した添付資料を提出して申請を受けなければならないのです。
その後は審査などを経て、問題が無ければ免許状が交付されます。
なお、業務ではなく利益を伴わない個人的な趣味目的の場合、比較的申請が簡易的な「アマチュア無線免許」を取得すれば5.8GHz帯のドローンを操縦することが可能になります。
第3級陸上特殊無線技士免許
上記にて解説した無線免許は、国家資格である「第3級陸上特殊無線技士免許」以上の資格が無ければ申請することができません。
試験は公益財団法人日本無線協会が年に3回開催しており、試験申請書を提出して受験の末合格すれば資格が与えられます。
国家資格なので試験の難易度は高そう…というイメージを持つ方も多いかと思いますが、合格率は7~8割程度と言われており、事前に勉強をしておけば中学生でも合格できる難易度です。
また、日本無線協会などが主催している講習会を受講すれば、勉強から試験まで1日の間で済ませて資格を取得することができます。
農薬散布や測量などはドローン操縦関連以外の資格やスキルが必要になることも
ドローンの操縦技術以外にも特殊な資格やスキルが必要となる職種の例としては、「農薬散布」や「測量」が挙げられます。
それぞれどのような資格やスキルが必要となるのでしょうか。
ドローンの農薬散布には農水協の認定教習所を受講して資格の取得が必要
ドローンを用いた農薬散布を行う場合、農林水産航空協会(農水協)という団体から認定を受けた教習所にて講習を受講したうえで資格を取得する必要があります。
この資格を取得すれば、農水協が定める安全基準に合格した認定機を農薬散布に使用することができるのです。
主要なメーカーが提供している農薬散布ドローンのほとんどは農水協認定機となっているため、資格の取得が実質必要不可欠であると言えます。
なお、農水協から認定を受けていない機体を使用する場合の資格取得は不要です。
ただし認定を受けていない機体は性能が保証されていないため、薬害やドリフトなどの危険性が高まるという点は注意しておきましょう。
ドローン測量士をめざすなら「測量士・補資格」の取得が必要
ドローンを使って測量を行うドローン測量士の仕事をする場合、「測量士」または「測量士補」資格の取得が必要です。
この2つの資格については、以下のような違いがあります。
- 測量士:測量に関する計画を作成、または実施する者
- 測量士補:測量士が作成した計画に従い、測量に従事する者
それぞれ年に1回国家試験が実施されており、合格すると資格を取得できますが測量士は10%、測量士補は20%の合格率という難易度の高い試験です。
ただし、それぞれ以下の条件を満たせば国家試験を受験しなくても資格を取得することが可能です。
●測量士
- 文部科学大臣の認定大学で測量に関する科目を履修したうえで卒業し、1年間の実務経験を積む
- 文部科学大臣の認定短大または高等専門学校で測量に関する科目を履修したうえで卒業し、3年間の実務経験を積む
- 国土交通大臣の登録を受けた専門学校などで1年以上専門科目を履修し、2年間の実務経験を積む
- 測量士補の資格取得後、国土交通大臣の登録を受けた養成施設で専門科目を履修する
●測量士補
- 文部科学大臣の認定大学、短大、高等専門学校で測量に関する科目を履修したうえで卒業する
- 国土交通大臣の登録を受けた専門の養成施設で1年以上専門科目を履修する
ビジネス活用する場合の資格取得は補助金を受けられる可能性も
企業と正規雇用関係にある従業員が資格を取得するためにドローンの講習を受講する場合、「人材開発支援助成金」という補助金が支給される可能性があります。
要件や申請により助成金の内容は異なりますが、基本的にドローンの講習は「特定訓練コース」または「一般訓練コース」のどちらかに該当する場合がほとんどです。
それぞれの概要については、以下の通りとなります。
●特定訓練コース
対象者 | 雇用契約締結後5年以内・35歳未満の若年労働者 |
対象条件 | ・訓練の時間が10時間以上であること ・Off-JT(職場外研修)に基づき行われる訓練であること |
助成金額 | 経費助成 45(30)% + 賃金助成 760(380)円/時・人 |
※()内は中小企業以外
●一般訓練コース
対象者 | 35歳以上の労働者 |
対象条件 | ・訓練の時間が20時間以上であること ・Off-JTに基づき行われる訓練であること ・セルフ・キャリアドック(定期的なキャリアコンサルティング)を対象時期を明記して規定すること |
助成金額 | 経費助成 30%+賃金助成 380円/時・人 |
なお、補助金は基本的に「法人」かつ「雇用保険適用事業所」のみが受給可能となっています。
対象となるのは正規雇用されている従業員なので、有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者、さらには事業主や会社役員も対象外となります。
ドローンは資格なしで飛ばせるが法規制に注意
ドローンの飛行そのものは無資格者でも認められていますが、資格の有無にかかわらず法律に抵触しない飛行を心がける必要があります。
ドローンの飛行に関して直接的な規制が設けられている航空法や小型無人機等飛行禁止法は有名ですが、明確にドローンの飛行を規制されていなくとも抵触する恐れがある法律は盲点となりがちです。
ここでは、ドローンを飛行させる際に注意したい法律をご紹介いたします。
航空法
航空法では、ドローンの飛行場所・飛行方法に関して規制が設けられています。
150m以上の高さの飛行・空港周辺の飛行・目視外飛行・夜間飛行など、合計14通りの場所・方法で許可なく飛行を実施することを禁止するという規制です。
また、飲酒時の飛行禁止・危険な飛行の禁止・飛行前確認の遵守・衝突予防の遵守も航空法より求められています。
これまでご紹介してきた、ドローンの国家資格制度や機体認証制度も航空法によるものです。
なお、機体重量100g未満のドローンは航空法の規制対象外となっています。
小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法は、国会議事堂や原子力事業所などの重要施設周辺においてドローンの飛行を禁止する法律です。
特定の施設に加え、海外の要人が来日する場合なども小型無人機等飛行禁止法に基づき、一時的に飛行禁止エリアが設定されることもあります。
航空法の飛行禁止エリアは100g以上のドローンに適用されますが、小型無人機等飛行禁止法は重量をとわずすべてのドローンに適用されるため、注意が必要です。
電波法
電波法では、「技適マーク」が交付されていない無線機の使用が禁止されています。
大手ドローンメーカー製の機体や国産の機体であれば問題はありませんが、海外から輸入されたドローンは技適マークがついていない場合が多いです。
購入前に技適マークの有無について確認を怠ると、知らず知らずのうちに電波法違反となる恐れがあります。
また、一般的なドローンは2.4GHz帯の電波が使われていますが、産業用ドローンやFPVドローンの中には5.8GHz帯の電波が使われていることもあります。
ドローンを含め5.8GHz帯無線機を使うには、電波法に基づき無線免許の取得と開局申請が必要です。
民法
民法では「土地所有権の範囲」という条文において、私有地の所有権は地上だけでなくその上空や地下にも及ぶと記載されています。
つまり、誰かの私有地上空で許可なくドローンを飛行させると所有権の侵害に該当し、民法違反とみなされるのです。
違反による明確な罰則はありませんが、ドローンの飛行がきっかけで土地所有者に損害が及んだ場合は損害賠償の請求を受ける可能性があります。
道路交通法
道路交通法では、第76条にて道路上の交通の妨げとなる方法で物件を置いてはならないと記載されています。
例えばドローンを飛行させる前に道路上でセッティングを行うと、道路の占領行為となるため道路交通法違反とみなされる可能性があります。
歩道や車道の路肩などをドローンの離発着に利用したい場合、道路使用許可の申請が必要です。
各自治体の条例
国が定めた法律以外にも、都道府県や市町村が定めた独自の条例でドローンの飛行が規制されている場合があります。
例えば東京都の場合、都立公園内でのドローン飛行は全面的に禁止されています。
また、人が少なく広々とした河川敷でも、その河川敷を管理している市町村がドローンの飛行を禁止しているケースも多いです。
都道府県や市町村が管理する場所や施設でドローンを飛行させたい場合、許可が必要かどうか確認しておきましょう。
ドローンの資格に関するよくある質問
最後に、ドローンの資格に関してよくある質問を回答と一緒にまとめました。
まとめ
現在、ドローンの操縦に関して取得が必要な資格は存在しません。
しかし民間の認定資格を取得しておくことで様々なメリットを得ることができるため、効率的にドローンのスキルを身に付けたい方、ドローンに関する仕事に就きたい方は取得をおすすめします。
ドローンの資格や資格取得を目指せるスクールは様々な特徴があるため、通いやすいスクールで自分の目的に合った資格を取得しましょう。
2022年よりドローンの国家資格も新設され、より多くの操縦士がドローンを仕事に活かしやすくなりました。
国家試験といえどしっかりと対策を行っていれば基本的に誰でも合格し得る難易度なので、スクールに受講のうえ技術・知識を身に付けて試験に臨みましょう。
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