ドローンは空を飛ぶだけでなく、水中を自由に動き回るタイプもあります。
「水中ドローン」と呼ばれるドローンの一種であり、、レジャー目的だけでなく、産業目的での利用にも期待が集まっています。
しかし、ここで「水中ドローンの操縦に免許は必要?」というのが気になりますよね。
今回は水中ドローンの操縦に免許が必要なのかどうかや、水中ドローンに関する資格について解説します。
水中ドローンとは?
水中ドローンとは、遠隔操作で水中を動きながら、搭載されたカメラで撮影ができる機械です。
無人の機体を遠隔操作して動かすという点でドローンの一種に分類されており、水中でのインフラ点検や水難事故の救助、水中での撮影などに活用されています。
従来だと、潜水士を雇って行っていた作業を、水中ドローンで代替することができるため、人的コストの削減や作業の効率性・安全性向上に繋がります。
水中ドローンの操縦に免許は必要?
水中ドローンの操縦に免許は必要ありません。
空を飛ぶドローンと同様に、使用自体を制限するような法律はなく、免許がなくても操縦ができます。
ただし、水中ドローンを使用する際には、場所によって許可申請を行う必要があります。
また、電波の通じない水中を操縦するため、上空を飛行させるドローンとは、操縦の難易度が異なります。
水中ドローン安全潜航操縦士とは?
水中ドローン安全潜航操縦士は、水中ドローンの活用を推進することを目的に、水中ドローンに関する知識や技術を持った人材の育成を目指すライセンスです。
座学と実技の講習を受けることで資格取得が可能で、講習では水中ドローンの機能や安全に操縦するための技術が学べます。
水中ドローン安全潜航操縦士の取得方法
水中ドローン安全潜航操縦士の取得方法を解説します。
どこで何を学ぶことで資格を取得できるのか明らかにしていきましょう。
認定スクールで講習を受ける
水中ドローン安全潜航操縦士の取得には、日本水中ドローン協会が認定したドローンスクールで、所定の講習を受ける必要があります。
講習内容は座学と実技の2種類で、それぞれ講習後に行われる試験に合格しなければなりません。
受講にかかる時間は、座学講習・実技講習それぞれ2〜3時間程度なので、1日あれば取得できます。
認定スクール一覧
水中ドローン安全潜航操縦士の講習が受けられる認定スクールは、下記のリンクから確認できます。
日本全国に50校以上あるので、お住まいの地域で水中ドローンの資格が取れます。
水中ドローン安全潜航操縦士の講習内容
水中ドローン安全潜航操縦士の講習内容を紹介します。
講習は主に以下の3つで構成されています。
- 座学講習
- 実技講習
- 筆記/実技試験
では、それぞれがどのような内容なのか詳しくみていきましょう。
座学講習
座学講習では、主に以下の内容に関する講義が行われます。
- 概要
- 水中ドローンの市場
- 法令
- 運用環境
- 運用
- 技術・メンテナンス
- 安全潜航管理
講習時間は認定スクールによって異なりますが、2〜3時間程度となっています。
実技講習
実技講習では、主に以下の内容に関する実習が行われます。
- 環境確認
- 準備・事前点検
- 起動
- 設定・動作確認
- 基本操縦・操作
- 応用・目視外
- 事後点検
講習時間は認定スクールによって異なりますが、2〜3時間程度となっています。
筆記/実技試験
各講習の後には、30分〜1時間程度の試験が行われ、合格すると講習修了となります。
試験に合格しなければならないので、講習の内容をしっかりと頭にいれなければなりません。
水中ドローン安全潜航操縦士の登録手続き
所定の講習を受講し、試験に合格したら、水中ドローン安全潜航操縦士ライセンスの発行申請手続きを行います。
ここでは、水中ドローン安全潜航操縦士のライセンス発行申請と更新の手続きを解説します。
発行申請
ライセンスの発行申請は以下の条件を満たす方に限られます。
- 水中ドローン安全潜航操縦士認定講習を修了(筆記・実技試験合格)
- JUDA認定スクール修了者(3ヶ月以内)
- 年齢16歳以上であること・JUDAの賛助個人会員に入会すること
※JUDA=日本水中ドローン協会
ライセンスの申し込みでは、以下の情報を登録します。
- 修了スクール ・受講日
- 氏名(フリガナ)・生年月日
- 電話番号 ・メールアドレス
- ライセンス送付先 ・請求先(任意)
登録が完了したら、以下の費用を振込にて支払います。
入会金 | 5,000円 |
年会費 | 初年度年会費は特別免除 (入会日〜翌年の3月末迄) |
ライセンス発行費用 | 10,000円 |
入金が確認されたら、以下の書類が送付されます。
- 水中ドローン安全潜航操縦士 修了証
- 水中ドローン安全潜航操縦士 技能認定証(ライセンスカード)
上記の手続きは、日本水中ドローン協会の「会員マイページ」から行います。
更新手続き
水中ドローン安全潜航操縦士の有効期限は2年間で、定期的な更新が必要です。
更新にはオンラインテストの受験と更新料の支払いをしてください。
手続きの概要に関しては以下の通りです。
更新の手続き期限 | 「認定期限」の翌月末まで |
更新方法 | オンラインテスト(20問)受験 100点満点中、80点以上で合格 (※80点未満の場合は、80点以上になるまで再テストを行う) |
更新費用 | 10,000円 |
更新テストに合格したら、「ライセンス更新登録情報フォーム」から必要な情報を登録してください。
所定の手続きを完了させ、更新費用の入金が確認されたら、ライセンスが交付されます。
水中ドローン安全潜航操縦士を取得するメリット
水中ドローン安全潜航操縦士を取得するメリットは、以下の2点です。
- 水中ドローン操縦者としての技能証明になる
- 水中ドローン保険割引制度が受けられる
資格の取得は必須ではありませんが、メリットを理解した上で取得を検討してみてください。
水中ドローン操縦者としての技能証明になる
水中ドローン安全潜航操縦士を取得すると、水中ドローンの操縦者として十分な知識や技術があると証明できます。
操縦者としてのスキルを証明するのに最もスムーズなのが資格の取得なので、水中ドローンの操縦士として活躍したい方には必須の資格といえるでしょう。
さらに、水中ドローン安全潜航操縦士は、公的な業務を行う際に提示が求められるなど、信頼性の高い民間資格です。
水中ドローンに関する唯一の資格なので、取得を検討してみてください。
水中ドローン保険割引制度が受けられる
水中ドローン安全潜航操縦士を取得すると、水中ドローン保険の割引制度が受けられます。
操縦中に人や物に損害を与えた場合の損害賠償金や、機体が破損した際の損害を補償してくれます。
ドローンは、操縦する場所に限らず、保険に加入して適切な補償を受けなければなりません。
水中ドローンも操縦ミスや衝突によって、人や物に損害を与える可能性があるため、ライセンス取得後に保険に加入しておきましょう。
水中ドローンの主な用途
水中ドローンの主な用途は以下の通りです。
- 釣り
- 船底やスクリュー確認
- 養殖
- ダム・貯水池の点検
- ダイビング
- 捜索・救助
- 映像制作
では、1つずつ詳しくみていきましょう。
釣り
水中ドローンを魚群探知機として活用する方法があります。
魚が多くいる当たりの場所を水中を移動しながら探すこともできますし、機種によっては給餌機能で魚を集めることもできます。
従来の魚群探知よりも手軽に利用できるため、誰もがワンステップ上の釣りを楽しめるようになるかもしれません。
釣りのシーンで水中ドローンが使われるのが当たり前の未来も現実的になっています。
船底やスクリュー確認
海面下での船の点検に水中ドローンが活用されることがあります。
例えば、海面下の船外機器の故障や破損などの有無を調べたり、船底汚損の状況を確認するなどが可能です。
従来であれば、潜水士による点検作業が行われていたのですが、人による作業では限界があるケースもありました。
水中ドローンであれば、水深数十メートルの環境でも安全に点検ができますし、船底と水底の幅が狭い場合でも、機敏に動くことができます。
養殖
養殖場での生育状況の確認や、水中ケージ・ネットの監視などに水中ドローンが活用できます。
肉眼で海面をチェックすることはできますが、水中からの監視は潜水士に依頼する必要がありました。
水中ドローンであれば、こまめな生育状況のチェックができるため、確認頻度が上がることで、養殖の効率を高めることができます。
さらに、台風などがあった際にも、網の損傷を確認できるため、適切なタイミングで補修箇所の把握ができます。
ダム・貯水池の点検
ダムや貯水池などの底の点検作業に水中ドローンが活用されています。
老朽化が進むダムや貯水池の底にあるパイプラインやケーブルなどの検査もできますし、沿岸建築構造などにも応用が可能です。
従来であれば、潜水士による点検が行われていたのですが、水中ドローンを活用することで、人的コストの削減や安全性の向上に繋げられます。
ダイビング
ダイビングができるスポットの開拓に、水中ドローンを使うこともあります。
安全性の確認だけでなく、魚やサンゴなどのロケーションも水中ドローンによる撮影で、具体的に残すことができます。
水中ドローンを活用することで、人的コストや機材のセットアップなど、金銭的・時間的コストの削減が可能です。
ダイバーの活動記録や安全管理にも活用できます。
捜索・救助
水中での救助者の捜索や救助活動にも、水中ドローンの活用が機体されています。
機動力に優れており、迅速な捜索が可能になる上に、捜索・救助を行うダイバーの安全も確保できます。
アーム搭載の水中ドローンであれば、対象物を掴む・運ぶなどの作業も可能になります。
また、捜索活動を行う前の下見や事前調査を水中ドローンで行えるため、潜水士の負担も軽減できます。
映像制作
映像作品の制作で水中での映像を撮影する際に、水中ドローンの活用が期待されています。
水中での撮影を陸上から遠隔操作で行える上に、人が入りにくいような水深の深いところでの撮影も可能です。
水中ドローンの免許に関するよくある質問
水中ドローンの免許に関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
水中ドローン安全潜航操縦士の取得者は何人いる?
2024年10月時点で、水中ドローン安全潜航操縦士は1,700名以上が資格を取得しています。
全国には北海道から沖縄まで、全国で50を超える認定スクールがあり、認定講習を受けることで資格の取得ができます。
参考:一般社団法人日本水中ドローン協会「水中ドローン安全潜航操縦士とは」
水中ドローン安全潜航操縦士の取得にかかる費用は?
水中ドローン安全潜航操縦の取得にかかる費用は以下の通りです。
講習受講費用 | 7〜10万円 ※認定スクールによって異なる |
入会金 | 5,000円 |
ライセンス発行費用 | 10,000円 |
ライセンス更新費用 | 10,000円 |
水中ドローン安全潜航操縦士の取得にかかる期間は?
資格取得は講習を受けるだけなので、1日〜2日で取得できます。
座学と実技それぞれ2〜3時間ずつの講習を受け、最後に筆記試験を受ければ、カリキュラム修了となります。
講習のタイムテーブル例は以下の通りです。
9:45~10:00 | オリエンテーション |
10:00~12:30 | 座学 |
12:30~13:30 | 昼食 |
13:30~16:00 | 実技実習 |
16:00~17:00 | 筆記試験/その他 |
まとめ
水中ドローンに免許が必要かどうかについて解説しました。
免許は不要ですが、民間資格を通じて水中ドローンの操縦に必要な知識や技術を学ぶことができます
将来的には、空だけでなく水中もドローンが活躍することが予想されるため、水中でのドローン活用をお考えの方は資格取得を検討してみましょう。
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