【2021年最新】ドローンに関する全法律をわかりやすく解説

更新日: 2022.06.08 公開日: 2021.10.09
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ケン

ドローンに関連する法律っていっぱいあってわからない…

ドローン講師

ドローンの法律は主に「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」が関わってきます。
わかりやすく解説していきますね。

日本国内でドローンを飛ばす場合、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」などの法律を守りながら安全な飛行を実施しなければなりません。

そこで今回は、ドローンに関わるすべての法律をご紹介します。

この記事でわかること
  • ドローンに関連する法律
  • ドローンの用途別に関連してくる法律
  • もしも法律に違反した場合

を初心者にもわかりやすく解説しています。

ドローンに関わる全法律とともに飛行が規制されているエリアや違反をした場合はどうなるのか?という点についても解説していますので、ぜひご参考ください。

MEMO

ドローン飛行時の法律やルールから、飛行禁止エリアの探し方、許可申請の方法まで

ドローン飛行における規制とは?法律や条例から罰則まで徹底解説

にて紹介していますので、合わせてご覧ください。

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目次

ドローン飛行に関わる日本の法律はドローンの重さ(重量)が200g以上か以下かで異なる

ドローンの飛行において知っておくべき法律としては、次の8種類が挙げられます。

  1. 航空法
  2. 小型無人機等飛行禁止法
  3. プライバシーの侵害・肖像権
  4. 道路交通法
  5. 重要文化財保護法
  6. 電波法
  7. 民法
  8. 自然公園法

ただし、航空法に関しては機体の総重量(本体重量とバッテリー重量の合計)が200g未満のドローンは適用外とされています。

空港等周辺の飛行や150メートル以上の高度で飛行させることを除き、航空法上のルールが適用されないため比較的自由にドローンを飛ばすことができるのです。

200g未満のドローンにおける規制などについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

ドローンの法律9種

各法律では、ドローンの飛行についてどのようなことが規制されているのかを確認していきましょう。

1.航空法

国土交通省が管轄しており、主に総重量200g以上のドローンに適用される法律です。

航空法とは

航空法(こうくうほう、昭和27年7月15日法律第231号)は、民間の航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止などを目的としている日本の法律である。

Wikipedia

上記の通り、航空機の離着陸や航行の安全、航空機の航行に起因する障害の防止などを目的に定された法律です。

第9章 第132条にて、ドローンを含めた「無人航空機」の飛行に関わる規制について記載されています。

航空法ににおけるドローンの規制は、「飛行の禁止空域」と「飛行の方法」の2種類があり、特定の飛行エリア・方法でのドローン飛行は無許可で実施してはいけないという内容となっています。

航空法で定められる「ドローン」の飛行エリア規制と飛行ルール

航空法で定められている、ドローンの飛行禁止エリアと飛行方法のルールは次の通りです。

●飛行禁止エリア

  • 空港等周辺
  • 高さ150メートル以上の上空
  • 人口集中地区(DID地区)

※人口集中地区とは、5年に一度実施される国勢調査の結果をもとに定められた「人家の密集地域」です。

●飛行方法

  • 日中に飛行すること
  • 目視の範囲内で飛行すること
  • 人や物、建物などからドローンまで30メートル以上の距離を確保すること
  • 催し場所上空での飛行は禁止
  • 凶器や火薬類など危険物の輸送は禁止
  • 物件投下は禁止

ドローンを飛行禁止エリア内で飛ばしたい場合、飛行方法ルールに沿わない形で飛ばしたい場合は各関係機関へ許可申請を行う必要があります。

飛行禁止エリアや飛行方法ルールについては、こちらで詳しく解説しています。

2.小型無人機等飛行禁止法

国の重要施設周辺などにおいて、ドローンを含む「小型無人機」の飛行を禁止する法律です。

小型無人機等飛行禁止法とは

重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(じゅうようなしせつのしゅうへんちいきのじょうくうにおけるこがたむじんきとうのひこうのきんしにかんするほうりつ、平成28年法律第9号)は、国会議事堂、総理大臣官邸その他の国家の重要施設等、外国公館等、防衛関係施設及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機(ドローン等)および特定航空用機器等の飛行の禁止について定める日本の法律。

Wikipedia

上記の通り、小型無人機等飛行禁止とはドローン・ラジコン飛行機・無人飛行船・無人滑空機などの「小型無人機等」に適用される法律で、特定の施設およびその周辺における飛行が禁止されています。

機体の重量にかかわらずすべてのドローンが規制対象とされていますが、対象施設の管理者又はその同意を得た者、国または地方公共団体の業務を実施するためという目的があればこの法律は適用されません。

ただし、適用外であっても対象施設やその周辺で飛行を実施する場合は周辺地域を管轄する警察署を通して東京都公安委員会に通報する必要があります。

国の重要な施設及びその周辺の飛行規制されている

小型無人機等飛行禁止では、以下の施設及びその周辺300メートル以内が規制対象エリアとなっています。

・国の重要施設(国会議事堂、皇居、総理大臣官邸など)
・外国公館など
・防衛関係施設
・空港
・原子力事業所

上記エリアでも許可を得てドローンの空撮を行った事例は存在するようですが、落下などの事故が発生した際の影響は大きなものであると考えられるため飛行は極力避けておく方が賢明と言えます。

3.プライバシーの侵害・肖像権

人が多く集まるイベントや外の風景をドローンで撮影する際、第三者が写り込んでいると「プライバシー権・肖像権」の侵害に抵触する可能性があります。

プライバシー権とは、

私生活上の事柄をみだりに公開されない法的な保障と権利である

Wikipedia

肖像権とは、

肖像(容姿やその画像など)に帰属される人権のことである

Wikipedia

上記の通り、それぞれ人権があるため、第三者が映り込んだ画像を勝手に公開した場合、第三者のプライバシーが脅かすことになりかねません。

最悪の場合損害賠償責任を負う事態になりかねないため、十分に注意しましょう。

プライバシーの侵害とドローンの関係

プライバシー権とは、「私生活上の事柄をみだりに公開されない権利」のことです。

一般的にプライバシーとは名前や住所、電話番号といった個人情報が定義とされています。

ただしそれだけでなく、私生活に関する事柄について本人が干渉されたくないと感じる情報もプライバシーとして法的保護の対象になりえるのです。

例えば屋外をドローンで撮影した際、人家の中や車両のナンバープレートが鮮明に写り込んだ画像や動画をインターネット上で公開すると「プライバシーが侵害された」として相手方から訴えられる可能性があります。

肖像権とドローンの関係

肖像権とは、「本人の承諾なしに容貌や姿態をみだりに撮影・公開されない権利」です。

公道や公共の場、イベント会場などをドローンで撮影した際、特定の個人が長時間大写しになっている場合は肖像権を侵害しているとみなされる場合があります。

ただし、個人を特定できないほどに小さく映っている場合、または容貌が判断できないようにぼかしを入れたり解像度を落としたりしている場合は肖像権の侵害には当たらないと考えられています。

ドローンで撮影した画像や動画を公開する際は、第三者が写り込んでいないかの確認・個人を特定できないような加工を忘れずに行いましょう。

4.道路交通法

道路交通法ではドローンの飛行そのものを禁止するルールはありませんが、飛ばし方によっては事前の許可申請が必要となる場合があります。

道路交通法とは

道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、および道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする(1条)、日本の法律である

Wikipedia

上記の通り、道路における危険の防止・交通の安全と円滑を図る・道路の交通によって起きる障害の防止に役立てることを目的に定められた法律です。

車や自転車などの車両が走行するうえで守らなくてはならないため、最も身近に感じる法律なのではないでしょうか。

しかし規制対象は車両だけに留まらず、道路上で飛行するドローンも含まれる場合があります。

道路交通法では一般交通に影響を及ぼすようなドローン飛行行為は禁止

道路交通法において、ドローンの飛行を規制する直接的な表現はされていません。

しかし、「円滑な交通の妨げになる恐れ」、または道路に人が集まり「一般交通に著しい影響を及ぼす恐れ」が想定される場合には管轄の警察署へ道路使用許可の申請を行うことと定められています。

例えば道路上でドローンの離着陸を行ったり、車両の通行に影響を及ぼすような低空飛行を行う場合は上記に該当するケースとみなされるため許可申請が必要です。

5.重要文化財保護法

国の指定する重要文化財及びその周辺では、ドローンの飛行が禁止されている場合もあります。

重要文化財とは

日本に所在する建造物、美術工芸品、考古資料、歴史資料等の有形文化財のうち、歴史上・芸術上の価値の高いもの、または学術的に価値の高いものとして文化財保護法に基づき日本国政府(文部科学大臣)が指定した文化財を指す。

Wikipedia

重要文化財とは、日本に所在する建造物・美術工芸品・考古資料・歴史資料などの有形文化財の内、歴史上・芸術上・学術的に価値の高いものとして文化財保護法に基づき指定された文化財のことです。

ドローンの飛行が原因で重要文化財を傷つけたり壊したりすることで、文化財保護法違反となってしまいます。

なお、重要文化財に対して破壊行為をはたらいた人物がその所有者であったとしても処罰の対象とされています。

重要文化財では文化財を傷つけないために飛行禁止エリアが定められている

出雲大社や伊勢神宮などの重要文化財では、神社の境内や周辺の社有地など周辺エリアにおけるドローンの飛行を禁止しているところもあります。

管理者が敷地内でドローンの飛行を禁止する看板を提示している場合もあるため、無断で飛行はせず事前によく確認しておくことが大切です。

6.電波法

一般的なドローンは、地上から機体を操作するために電波を発射する無線設備(コントローラー)を仕様します。

日本国内で無線設備を使用する場合、電波法により総務大臣の免許や登録を受けて無線局を開設する必要があります。

電波法とは

電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする(第1条)、日本の法律である。

Wikipedia

電波は限界のある貴重な資源と考えられており、公平かつ能率的に利用できるように国から定められたルールが電波法となります。

電波法があるからこそ、スマートフォンやWi-Fiなど様々な電波が飛び交い続ける現代において、混線することなく常に安定した電波を使いことができるのです。

許可なく無線局を開設する、国が認可していない無線機を使って無線通信をする、指定された周波数以外で通信をする…といった行為に及ぶと、電波法違反とみなされてしまいます。

5.7Ghz帯・5.8Ghz帯の無線を使用する場合は資格と開局手続きが必要

テレビの発信やレーダーの使用など、それぞれの用途に合わせて使用可能な周波数帯が定められています。

ドローンの操縦で使用可能と割り当てられている周波数帯は主に2.4Ghzまたは5.7Ghz、5.8Ghzですが、多くの製品は2.4Ghzとなっています。

電波法において2.4Ghzは他の無線機器に影響を及ぼす必要がなく、無線LANや混線防止などの措置が取られたものは免許不要で使用可能です。

一方で注意が必要な周波数帯が、5.7Ghz・5.8Ghzです。

産業向けの大型ドローンやドローンレースで使用されるFPVゴーグルは上記の周波数帯が使われていますが、日本国内で無資格・無許可による飛行は電波法で禁じられています。

5.7Ghzは「陸上特殊無線技士(3級以上)」、5.8Ghzは「アマチュア無線技士(4級以上)」以上の資格を取得しましょう。

さらに5.7Ghz・5.8Ghzの周波数帯の電波を利用するには、国内の技術基準に合致した設備を使用したうえで原則総務大臣の免許や登録を受け、無線局を開設する必要があります。

技適マークがないドローンは電波法違反に

日本で使用されるドローンは他の装置との混線を防ぐため、「特定無線設備の技術基準適合証明(技適)」を取得することが電波法で義務付けられています。

技適取得済みのドローンにはそれを証明する「技適マーク」が付いています。

技適マークとは、

総務省

無線通信機器において、技術基準適合証明と技術基準適合認定のいずれか、あるいは両者の認証がなされていることを表示するマークで、総務省令によって定められたものである。

Wikipedia

「技適マークの付いていないドローンを使用すると電波法違反」となるため注意が必要です。

海外で購入した製品やFPV対応のドローンは技適マークが付いていない場合があるので、購入前によく確認しておきましょう。

7.民法

ドローンの飛行において関係性がイメージしづらい法律ですが、飛行場所に注意しないと民法に抵触する恐れがあります。

主に民法207条「土地所有権の範囲」という条項が該当

民法207条「土地所有権の範囲」において、誰かが所有している土地の所有権はその土地の上空・地下にまで及ぶと定められています。

具体的に上空の何メートルまで権利が及ぶかは明記されていませんが、一般的に有効と認識されているのは300メートル上空です。

空き地や住宅だけでなく、神社・駅・線路・神社仏閣・山林などの私有地に含まれます。

このような場所が飛行経路に含まれている場合、あらかじめ権利者に承諾を得ましょう。

他人の土地で飛行させた場合は「所有権の侵害」となる

他人の私有地上空にて無断でドローンを飛行させると、「所有権の侵害」とみなされます。

所有権を侵害された側は、「所有権に基づく物権的請求権の行使」として土地内上空に入ってきたドローンを離脱させたり、ドローンを入れないことを求めることが可能となるのです。

さらに、私有地内でドローンを飛ばしたことにより何らかの損害が生じた場合は損害賠償請求もされる場合があります。

8.自然公園法

自然公園におけるドローンの飛行では、自然公園法に注意する必要があります。

自然公園法は優れた自然の風景地を保護する規制

自然保護法とは、

優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的(第1条)として定められた法律。

Wikipedia

上記の通り、「優れた自然の風景地の利用の増進」や「優れた自然の風景地の保護」を目的として制定された法律です。

優れた自然の風景地であり、環境大臣または都道府県により指定された公園のことを「自然公園」と呼びます。

自然公園内でドローンを飛ばしたい場合、自然公園法により定められたルールを遵守しなければなりません。

立入禁止区域への立入や迷惑行為が規制の対象

自然公園法では、「立入禁止区域・利用調整地区」に入ること・木竹を損傷すること・他の利用者に迷惑行為を行うことが禁止されています。

ただし、立入禁止区域や利用調整地区への立ち入りや木竹の損傷を伴うドローンの飛行については、環境大臣・都道府県知事の許可を受けた場合のみ可能です。

また、自然公園と分類されるエリアでも私有地となっている場所は少なくありません。

ドローンの飛行を計画する場合、まずは土地の所有者や施設の管理者へ相談をしましょう。

9.都立公園法

都立公園内でドローンを飛行させると、都立公園法違反とみなされてしまいます。

規制の内容について、以下より詳しく確認しておきましょう。

都立公園法とは

都立公園の設置、管理等について必要な事項を定め、都立公園の健全な発達と利用の適正化を図り、都民の福祉の増進と生活文化の向上に寄与することを目的とする。

東京都立公園条例

上記の通り、都立公園法は、都立公園の設置や管理などについて必要な事項を定める他、都立公園の健全な発達と利用の適正化を図り、都民の福祉の増進と生活文化の向上に寄与することを目的に定められた東京都独自の条例です。

2015年に首相官邸の屋上でドローンが発見された事件を受け、東京都は都立の公園・庭園計81ヵ所の管理者へドローンを含む小型無人機の仕様を規制すると通知しました。

ドローンユーザーとしては突然の発表という印象を抱いた方も多いと思いますが、都立公園法には「知事は、都市公園の管理のため必要があると認めるときは、都市公園の使用を制限することができる」と記載されていることから都市公園内におけるドローン飛行の規制が実施されたのです。

都立公園及び都立庭園でのドローン使用に関する規制

規制の内容は、「都立公園及び都立庭園において、ドローンを含めた小型無人機の使用を禁止する」というものです。

他のドローン飛行禁止区域とは異なり、許可申請を行えば飛行が可能になるわけではなく全面的に禁止されてしまっています。

都立公園・庭園については下記URLにて確認可能です。

東京都23区エリアマップ

東京都多摩部エリアマップ

用途によって関わる法律一覧

ドローンを飛ばす用途によっては、上記に挙げた項目以外でも注意するべき法律があります。

ドローンで農薬散布を行う場合

ドローンを用いて農薬散布を行う場合、航空法で規制されている飛行方法の「危険物輸送」と「物件投下」に該当します。

そのため、事前に国土交通大臣へ事前の許可申請を行わなければなりません。

しかし農薬散布の場合に気を付けるべき法律は航空法だけでなく、「農薬取締法」についても理解しておく必要があります。

農薬取締法とは

農薬取締法とは、農薬についての登録制度を設けることで販売及び規制などを行い、農薬の安全性や品質及び適正な使用の確保を図り、農業生産の安定・国民の健康保護・国民の生活環境の保全に寄与することを目的とした法律です。

農薬を安全かつ適正にしようするため、ドローンで農薬散布を行う場合は農薬ラベルに記載されている使用方法を遵守しながら、ドリフトが起こらないように注意する必要があります。

農薬の使用者が遵守すべき基準を満たしたうえで、散布の実施区域周辺に住宅地が近接していないか、収穫間近の圃場が近接していないかなどを考慮し、散布計画を立てる必要があります。

釣りでドローンを使用する場合

餌を正確な位置に落とせることから、釣りにおいてもドローンを活用する例が増えているようです。

しかしドローンで釣りをする場合、航空法において禁止されている次の飛行方法に該当します。

航空法の「目視外飛行」「物件投下」が該当

ドローンによる釣りは機体から水面へ餌を落とすことになるため、これは「物件投下」に該当します。

また、釣りを行う位置によっては機体を目視で確認できなくなる恐れがあるため「目視外飛行」となる場合もあります。

以上の点から、ドローンで釣りを行う場合は事前に国土交通大臣への許可申請が必要です。

しかし、一般的なドローンは基本的に正規の装備以外を搭載することは推奨されていません。

釣り具を装備したことによる破損などのリスクもゼロではないため、注意が必要です。

空撮した動画や画像をインターネットで公開する場合

ドローンで空撮した動画や画像をインターネットで公開する方が多いと思いますが、第三者が写り込んでいる場合は以下の点に注意しましょう。

プライバシー・肖像権の侵害をしている可能性がある

ドローンによって撮影した動画画像に第三者が写り込んでいる場合、写り込んだ人の同意なくインターネット上で公開すると「プライバシー及び肖像権の侵害」となる恐れがあります。

個人が特定できる容貌だけでなく、車のナンバープレートや家の中を無許可で撮影して公開することも上記に該当します。

そのため、空撮において第三者本人が写り込む場合は許可を取ったり、公開前にぼかしなどの加工を施したりすることを意識しましょう。

水中ドローンは今の所、関連する法律はない

水中ドローンとも呼ばれる水中を潜水潜航可能な小型無人機は、近年定置網やダムの点検・作業において活用が期待されている機体です。

また、マリンスポーツや釣りなど趣味の分やおいても人気が高まっています。

しかし、空を飛行するドローンの規制は航空法を中心に整いつつありますが、水中ドローンに関しては未だ運用に関する規制は制定されていません。

ただし、今後法規制がされることが予想される

現時点では水中ドローンを動かす際、エリアの規制や許可申請は不要とされています。

しかし海には港則法や海上交通安全法など、港で行う作業や船舶の交通に関する法律が存在します。

水中ドローンの普及が進み、法整備が必要であると国が判断した場合は新たな規制が制定される可能性もあるため情報は随時チェックしておくことをおすすめします。

また、自治体独自のルールや環境団体、漁業管理団体が管理している水域があり、当該水域内で水中ドローンを動かす場合は規制がないかを事前に確認しておくことも大切です。

ドローンを自作した場合に関わる法律はある?

既製品を飛ばすだけでは満足ができない、200g未満で高性能な機体を飛ばしたいといった理由から、ドローンの自作を考えている方も多いのではないでしょうか。

ここで気になるのは、自作のドローンに関わる法律はあるのか?というポイントであるかと思います。

ドローンを自作してはいけないという法律はない

法律上、ドローンを自作することについての規制はなく、企業から一般の方まで様々な人が楽しむことのできる分野となっています。

「特殊機体の製造に挑む企業」、「パーツの組み立てを趣味として楽しむ一般の方」といったように、自作する目的やレベルは人それぞれ異なるものです。

中には必要なパーツがすべて揃った半完成品のキットも販売されており、初心者も最低限の知識さえあれば自作ドローンを作ることができます。

ただし自作したドローンは国土交通省へ機体登録が必要

自作ドローンを飛行許可が必要な区域・方法で飛ばす場合、申請の際に自作機として機体情報を登録する必要があります。

例えばオンライン申請サービス「DIPS」の場合、トップページにある「無人航空機の登録・変更」から以下の項目に情報を記載します。

スクロールできます
製造者名製造者の名前
機体名称自作機なので、基本的にどんな名称でも問題なし
最大離陸重量飛行時の機体(ドローン+バッテリー)、カメラなどの積載物を足した最大重量
製造番号等明確に機体の区別がつく名前ならどんな番号でも問題なし

「自作機ですか?」という項目は「はい」をチェックし、「改造はしていますか?」という項目は「いいえ」をチェックすれば登録できます。

もしも法律違反した場合はどうなる?

これまでご紹介してきたドローンに関わる法律は、違反した場合どうなってしまうのでしょうか。

法律ごとに異なる、違反の罰則について解説していきます。

航空法に違反した場合

航空法では「無人機の飛行等に関する罪」が定められており、これに該当するとみなされた場合は50万円以下の罰金に処されるとされています。

また、違反の内容などによっては逮捕された事例もあり、ドローンの飛行における規制違反した場合は厳しく処罰されることが分かります。

以下は実際に逮捕・書類送検となった実例です。

酒を飲んだ状態で小型無人機「ドローン」を操縦したとして、愛知県警豊田署は16日、航空法違反(酒気帯び操縦)の疑いで、同県豊田市の無職男性(56)を書類送検した。署によると、男性は「間違いありません」と容疑を認めている。航空法が定めるドローンの飲酒操縦禁止規定での摘発が明らかになるのは初めて。

共同通信

国土交通相の許可を受けずにドローンを禁止区域で飛ばしたとして、福岡県警は3日、北九州市戸畑区西大谷1丁目の会社員塩川貢志容疑者(58)を航空法違反の疑いで逮捕し、発表した。ドローンの無許可飛行容疑での逮捕は全国初。

朝日新聞デジタル

小型無人機等飛行禁止法に違反した場合

小型無人機等飛行禁止法で飛行禁止の対象施設やその周辺でドローンを飛ばした場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

また、常に飛行禁止の対象とされている施設以外にも、海外の要人来日時やオリンピックななど特定のイベントの際は宿泊施設や会場周辺が飛行禁止施設として指定される場合があるので注意しましょう。

公園での飛行など条例に違反した場合

公園でのドローン飛行規制など、各都道府県や市町村では独自に条例が定められている場合があります。

例えば都立公園でドローンを飛ばして都立公園条例に違反した場合、5万円以下の罰金に処されます。

道路交通法に違反した場合

道路上でのドローンの飛行や離着陸により車両の交通を妨げるなどの恐れがあるにもかかわらず、無許可でドローンを飛ばした場合は道路交通法違反として罰則が科されます。

罰則の内容はは、1年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

電波法に違反した場合

技適マークの付いていないドローンを使用、またはいつでも使用できる状態にあったり、資格・免許の必要な周波数帯を無資格・無免許で使用するなどして電波法に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

また、違法無線機で他の公共の電波を阻害した場合は重要無線通信妨害罪となり、5年以下の懲役または250万円以下の罰金刑と思い罰則が科されます。

民法の「土地所有権の範囲」に違反場合

私有地上空でドローンを飛ばし「土地所有権の範囲」を侵害すると該当するケースでも、具体的な罰則は定められていません。

ただし、土地所有者による「権利が侵害された」という訴えが認められた場合は損害賠償を支払うことになる場合もあります。

【おまけ】日本以外のドローン飛行に関する法律はどうなっている?

ドローンの飛行において様々な規制があることは、もちろん日本に限った話ではありません。

世界各国で様々な法律のもと、ドローンの飛行を規制するルールが存在します。

ここでは、旅行先としても人気な海外スポット「タイ」で定められたドローン飛行に関する法律をご紹介します。

人気海外スポット「タイ」のドローンに関する法律

タイではドローンを趣味・娯楽目的で使用するのか、それ以外の目的で使用するのかで飛行におけるルールがが異なります。

それぞれの基本的なルール内容は、次の通りです。

趣味・娯楽用
  • 機体が2kg未満の場合、操縦者は18歳以上であること
  • 機体が2kg~25kgの場合、操縦者は20歳以上であること
  • 飛行エリア内にある車両・構造物・建物所有者の飛行許可を得ること
  • 航路雑誌に掲載されている制限地域、危険地域、政府組織の建物、病院の周囲で許可なくドローンを飛行させないこと
  • 操縦者の視界の範囲内で飛行すること(モニターなどの機材による確認のみでの飛行は不可)
  • 有人飛行機の近くでドローンを飛行させないこと
  • 高度90メートルを超えてドローンを飛行させないこと
  • 人、車両、構造物、建物から30メートル以内の場所でドローンを飛行させないこと
  • 特別な許可なしに空港または臨時飛行場の9キロメートル範囲内でドローンを飛行させないこと
その他目的
  • 趣味・娯楽用ドローンと同じ規定を守ること
  • 操縦者は20歳以上であること
  • 麻薬取締法で有罪の前歴がある場合は操縦しないこと
  • 国家の安全保障を脅かさないこと
  • 飛行エリアの土地所有者に許可を得ること
  • 事故、救急、コントロール喪失時などに備え、緊急対応計画を作成すること
  • タイ民間航空局にドローンを登録すること
  • ドローンの飛行中、常に当該機体の登録証を携行すること
  • ドローンの飛行中、常に消火器と保険証書を携行すること。また、保険は人身事故、対物事故をカバーし、1回の飛行で100万バーツ以上の保険金額を設定する事
  • 人、車、建物から50メートル以上離れてドローンを飛行させること

趣味や娯楽以外の目的でドローンを使用する場合、「保険の加入」「許可申請手続き」の義務化やその他多くのルールが定められています。

また、これに違反すると最長5年の禁固刑及び日本円で30万円を超える罰金が課せられることもあり、日本に比べて重い刑罰が下されるのです。

ドローンの法整備は日々着実に進んでいる。改正のニュースには敏感に

2022年にはドローンなどの無人航空機に関して「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」、いわゆる「レベル4」を実現するとして航空法の一部を改正する法律案が閣議決定されています。

改正案の中でも特に注目したいのは、「機体の安全性に関する認証制度(機体認証制度)」や「操縦者の技能に関する証明制度(操縦ライセンス制度)」の創設、そして航空法規制対象ドローンが200g以上から100g以上になるという改正内容です。

無人航空機のレベル4の実現のための新たな方向性について

今回閣議決定された航空法の改正案だけでなく、まだ法整備の行き届いていない水中ドローンの規制や、小型無人機等飛行禁止法のように特定の事柄が発端となり新たな規制が制定されるケースもあります。

ドローンの飛行における規制は、少しずつですが着実に整いつつあります。

日々新しい情報を掴むためのアンテナを張っておくと良いでしょう。

【安全な飛行をするために】法律はないが定期点検を行った上で飛行させよう

法律として定められているわけではありませんが、いざ飛行をさせるとなったときに思わぬ事故を発生させないように機体の定期点検を行うことが大切です。

国土交通省にて作成されたドローンを安全に飛行させるためのマニュアル「無人航空機飛行マニュアル」には、整備と点検の項目に以下の点検するべきポイントを記載されています。

●飛行前

  • 各機器は確実に取り付けられているか
  • 発動機やモーターに異音はないか
  • 機体に損傷やゆがみはないか
  • 燃料の搭載量又は充電量は十分か
  • 通信系統・推進系統・電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか

●飛行後

  • 機体にゴミなどの付着はないか
  • 各機器は確実に取り付けられているか
  • 機体に損傷やゆがみはないか
  • 各機器の異常な発熱はないか

●20時間の飛行毎

  • 交換の必要な部品はあるか
  • 各機器は確実に取り付けられているか
  • 機体に損傷やゆがみはないか
  • 通信系統・推進系統・電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか

上記の項目を「無人航空機の点検・整備記録」として、電子データまたは書面で管理することが推奨されています。

ドローンの飛行前・飛行後は時間をかけて丁寧に点検を行い、機体に異常がないかをしっかりと確認しましょう。

まとめ

日本国内においてドローンを飛ばすには、様々な法律に違反しないよう気を付けなければなりません。

法律違反となれば最悪の場合逮捕となる可能性があるだけでなく、ドローンの飛行に関してさらに厳しい規制がかかる恐れもあります。

今回の記事を参考に、法律や飛行ルールについて理解したうえで安全な飛行を楽しみましょう。

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