建設業でドローンを活用する現場が増えています。
ドローンを活用することで、建設業でのさまざまな業務の効率性を向上し、作業員の安全性も確保できるため、導入を検討している企業も多いです。
今回は建設業でのドローン活用法を紹介します。
活用事例や導入のメリットについても詳しく見ていきましょう。
建設業でのドローン活用方法
![](https://drone-school-navi.com/wp-content/uploads/2025/01/construction-industry-drone1.png)
建設業でのドローン活用方法は、主に以下の4つが挙げられます。
測量 | 建設現場の測量を上空から行う |
施工管理 | ドローンを飛行させて工事の進捗状況を確認する |
点検・調査 | 建設物やインフラ設備の点検・メンテナンスを行う |
運搬 | 建設資材などをドローンで運搬する |
では、1つずつ詳しくみていきましょう。
測量
建設現場では、建築前に行う測量をドローンで行う活用法が増えています。
ドローンを飛行させて上空から現場を撮影し、地形の把握や土量計算を行います。
従来の人の手で行っていた測量よりも、効率的かつ人的コストの削減が期待できるため、業界内でも特に導入が進められています。
施工管理
ドローンを飛ばすことで、工事がスケジュール通り進んでいるかを上空から確認できます。
従来では、巡回員が直接現場を見る方法が主流でしたが、作業時間の長さや作業員の負担がネックになっていました。
ドローンを活用すれば、効率的な巡回が可能になる上に、撮影した映像を事務所で確認できるため、移動の必要性がなくなります。
こまめなチェックも可能になるため、施工ミスの防止や作業環境の問題点もトラブルが起きる前に解決できます。
点検・調査
ドローンを飛行させて、建築物やインフラ設備の点検や調査を効率的に実施できます。
従来の目視による点検よりも、効率的かつ安全性の高い点検ができるため、建設現場での需要も高い活用法です。
障害物検知に優れた小型ドローンも増えており、狭い場所でも正確かつ安全な飛行による点検が可能になっています。
運搬
建築資材の運搬に大型ドローンを使用するケースも増えています。
人手不足や高齢化などの課題を抱えている建設業において、建築資材の運搬をドローンで行い自動化することには大きな意味があります。
さらに、クレーン設置が難しい現場では、ドローンによる資材運搬が効果的に活用できるでよう。
建設業でのドローン活用事例
![](https://drone-school-navi.com/wp-content/uploads/2025/01/construction-industry-drone2.png)
実際に建設業でドローンがどのように活用されているかを紹介します。
大林組 | ドローンによる完全無人巡回による建設現場の工事進捗管理を行う |
清水建設 | 建設現場の安全な点検のために球体ドローンを導入 |
鹿島建設 | AIとドローンによる資機材管理システムを導入 |
では、1つずつ具体的に見ていきましょう
大林組
大林組では、ドローンによる工事進捗管理を実施しています。
ドローンによる自動かつ無人の巡回を実現することで、作業時間を1/6に削減しています。
さらに、ドローンが建設現場を飛行しても、安全に巡回できることが確認されています。
参考:ドローンを活用した完全無人巡回による建設現場の工事進捗管理の実証実験に成功
清水建設
清水建設では、屋内点検業務向けに球体ドローン「ELIOS 3」が導入されました。
点検作業の安全性を高め、作業効率の向上やコスト削減に寄与しています。
さらに、足場を組まないと点検できない場所でも、ドローンで簡単に点検ができますし、操縦に関しても講習を受けるだけで安定した飛行が可能だと確認できています。
参考:清水建設、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」を導入
鹿島建設
鹿島建設は、AIとドローンを組み合わせた資機材管理システムを開発しました。
ドローンで上空から資機材を認識し、その位置を現場の3Dモデル上に表示することで、資機材管理の作業時間の削減に成功しました。
従来の手作業で行っていた資機材管理に対して、安全性の向上や作業時間の短縮が可能です。
参考:AIとドローンによる新たな資機材管理システムで作業時間を75%削減
建設業でドローンを活用するメリット
![](https://drone-school-navi.com/wp-content/uploads/2025/01/construction-industry-drone3.png)
建設業でドローンを活用するメリットは、以下の3点です。
- 安全性の向上
- 人手不足の解消・生産性の向上
- コスト削減
導入するメリットについて詳しく見ていきましょう。
安全性の向上
従来の手作業で行っていた業務をドローンで行えるようになるため、安全性の向上に繋がります。
足場を組んで行う高所や人が入ると危険な場所での作業もドローンが担えるため、事故などのリスクを削減できます。
人手不足の解消・生産性の向上
人の手で行っていた作業をドローンが行うため、人手不足の解消に繋がる上に、生産性の向上も可能です。
ドローンで作業を行うことで、人が移動する手間や、足場を組んだりクレーンを動かしたりする準備も不要になるため、より短い時間と労力で作業が行えます。
人手不足や高齢化は建設業でも課題になっているため、労働者の負担を減らしながら、効率的な作業を実現するドローンは重要な存在と言えるでしょう。
コスト削減
ドローンを建設業に導入することで、さまざまなコストの削減に繋がります。
重機を使う機会も減らせますし、人的コストの削減も可能です。
ドローンによる正確な施工管理を行えば、資材のロスやスケジュールの遅れなども防止できるでしょう。
建設業でドローンを導入する上での注意点
![](https://drone-school-navi.com/wp-content/uploads/2025/01/construction-industry-drone4.png)
建設業でドローンを導入する上での注意点は、以下の4点です。
- ドローンに関連する法規制を遵守する
- ドローンの操縦に長けた人材を配置する
- 天候の影響でスケジュール通りに進まない
- 落下や騒音の対策を行う
注意点を把握した上で導入を検討してください。
ドローンに関連する法規制を遵守する
ドローンを飛行させる上では、法規制を必ず遵守しなければなりません。
航空法を中心に法規制を理解し、作業を行う前に必要な許可申請を行いましょう。
法律に違反した飛行をした場合、罰則の対象にもなるので注意してください。
ドローンの操縦に長けた人材を配置する
ドローンを建設業に導入するには、操縦スキルに長けた人材の配置が必要です。
機体の導入は容易ですが、ドローン操縦者の育成や人材の確保が難しいケースも多く、導入のネックになっています。
操縦スキルが未熟だと、作業の効率性や安全性に欠けるため、ドローンを導入するメリットが薄れてしまうでしょう。
天候の影響でスケジュール通りに進まない
ドローンは天候の影響を受けやすいため、雨や風の影響で作業が行えない可能性があります。
悪天候によるスケジュール変更を余儀なくされるケースもあるため、天候を判断しながら柔軟な運用が必要です。
悪天候時に無理やりドローンを飛行させて、墜落などの事故を起こすのは避けなければなりません。
落下や騒音の対策を行う
ドローンを飛行させる際には、落下や騒音などの問題に対して、適切な対策を行わなければなりません。
作業前に周辺住民への挨拶を行い、ドローンによる騒音に対して了承を得たり、落下による衝突事故を防ぐために、作業現場周辺に人が入らないようにしたりなど、徹底した対策が必要です。
建設業で使用するドローンで重要なスペック
![](https://drone-school-navi.com/wp-content/uploads/2025/01/construction-industry-drone5.png)
建設業で使用するドローンには、以下のようなスペックが重要視されます。
- カメラ性能
- 障害物回避
- 防塵機能
それぞれのスペックがどのように役立つのか具体的に見ていきましょう。
カメラ性能
解像度の高いカメラを搭載することで、より正確な撮影が可能になるため、測量や点検、施工管理などで重要です。
離れた場所からの撮影でも、現場の状況が正確に確認できるスペックが必要ですし、撮影工数を減らせば作業の効率性も上げられます。
障害物回避
点検業務では、柱や壁の間や狭い場所での飛行が必要になるため、障害物回避性能に優れたドローンが必要です。
こまめな飛行でも衝突を避けながら安全な飛行ができなければ、建設業にドローンを導入するののは難しいでしょう。
ドローン飛行時の事故を防ぐためにも、障害物回避に優れた機体を使用してください。
防塵機能
現場によっては砂埃を避けられないケースもあるため、防塵性能を搭載していると安心です。
防塵機能を備えていないと、砂埃が機体内部に入り込んで故障に繋がる恐れがあります。
作業現場の環境に応じて、防塵性能の必要性を判断してください。
建設業のドローン活用に関するよくある質問
![](https://drone-school-navi.com/wp-content/uploads/2025/01/construction-industry-drone6.png)
建設業のドローン活用に関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
建設業でドローンを導入する際に使える補助金はある?
建設業でドローンを導入する際に使える補助金には、以下のような制度があります。
小規模事業者持続化補助金 | 少額ドローンやドローン関連ソフトウェアの購入に使用できる |
事業再構築補助金 | ドローンを活用した新規分野への挑戦や事業再構築に使用できる |
人材開発支援助成金 | ドローン人材育成に使用できる |
建設業におすすめのドローン機種は?
建設業に使用されているドローンには、以下のような機種があります。
- Matrice 350 RTK
- DJI MAVIC3 ENTERPRISE
- Skydio 2+
- ACSL PF2-AE
建設業でドローンを導入するのに資格は必要?
建設業でドローンを導入するのに、特に必要な資格はありません。
ただ、業務でドローンを使用する上で、操縦者は所定の講習を受けたり、国家資格を取得したりなどで、安全に運用するための知識と操縦スキルを身につけなければなりません。
まとめ
建設業でのドローン活用法を紹介しました。
人手不足や高齢化などの課題を抱える建設業ですが、ドローンの導入による効率化とコスト削減による問題解決が可能になります。
普及が進むことで導入によるノウハウも蓄積され、よりドローンを扱うハードルも低くなるでしょう。
さまざまな場面で広まる建設業でのドローン活用に今後も注目ですね!
この記事と一緒によく読まれている記事
-
建設業でのドローン活用法を紹介!活用事例や導入メリットを徹底解説!
-
ドローン操縦者向けのGoogleマップ活用術!飛行場所の探し方やロケハンの仕方を紹介!
-
ドローンショーの仕組みを解説!演出や操縦はどうやっている?
-
ドローンを使ったスマート農業を解説!農業用ドローンの主な用途とは?
-
ドローンの免許(国家資格)の取得には年齢制限がある?何歳から取得できる
-
水中ドローンの操縦に免許は必要?水中ドローンに関する資格を解説
-
ドローンの操縦に無線技士の資格は必要?必要なケースや資格の取得方法を解説!
-
ドローン測量管理士とは?新しく登場したドローン測量の資格を取得する方法を解説!
-
海でドローンを飛ばす際の規制や必要な許可申請は?海で飛ばす時のルールを解説
-
ドローン国家資格の取り方を解説!取るまでの手順や取得期間はどれぐらい?
-
ドローン国家資格の難易度は高い?試験の合格率や勉強時間はどれぐらい?
-
ドローンを使った橋梁点検とは?メリット・デメリットや橋梁点検で使用される新技術を解説!