ドローンは自由にどこでも飛ばして良いの?
飛行機と同じでドローンにも規制や法律がありますよ!
今回は、ドローンの規制や法律について詳しく説明していきます。
日本国内でドローンを飛行させる際は、法律に基づいて定められた規制ルールに従わなければなりません。
ですが、急激に普及し続けるドローンに法改正が追いついていないと言う理由もあり様々な情報が飛び交っているのも事実。
また、公的に発表された資料でも内容が難しくわからない…と言うことも。
そこで今回は、ドローンの飛行において絶対に押さえておくべき30種類の規制や飛行禁止区域の調べ方など詳しく解説いたします。
- ドローン飛行における規制にはどういったものがあるのか?
- 規制されていない場所の確認方法
- 今後のドローン規制の行方
を初心者にもわかりやすく解説しています。
2022年以降に改正される航空法についても記載していますので、要チェックです。
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ドローン飛行における規制とは?
近年、ドローンはビジネスから個人の趣味まで様々な分野において普及が進んでいます。
機能性や安全性に優れた機体も続々と出回っているものの、それでも衝突や墜落などのリスクは避けられません。
建物や通行人などにドローンがぶつかる危険もありますし、国の重要施設で事故が生じて多大な影響が及ぶ可能性もあるでしょう。
そのため、政府では建物や人、航空機の航行における安全を守るためにドローンを飛行させる上での規制を定めました。
ドローン飛行における規制は法律でも定められている
ドローンの中には、機体重量が100g前後のオモチャのようなものから、大型の業務用ドローンまで幅広くあります。
大型ドローンを扱う方であれば、関連する知識を得ようとする方も多いのですが、小型ドローンであっても規制に従わなければなりません。
ドローンの飛行に関連する規制には主に「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」などがありますが、これ以外にも各種法律や都道府県条例などの規制があります。
ドローン飛行に関する規制29種類
ドローンの飛行に関連する29種類の規制を紹介します。
飛行前にしっかりと確認をして、ルールを遵守した飛行ができるようにしてください。
規制1:空港周辺でドローンを飛ばしてはいけない(航空法)
航空機の離着陸や航行における安全を守るため、空港等の敷地内および周辺でのドローン飛行は規制されています。
基本的にすべての空港から6キロメートル以内の範囲が禁止エリアとされていますが、羽田・成田・関西・釧路・大阪国際・那覇など主要空港においては規制範囲が24キロメートル以内となっています。
規制2:150メートル以上の上空でドローンを飛ばしてはいけない(航空法)
地上または水面から150メートル以上の高度でドローンを飛ばすことも規制されています。
150メートル以上の上空は航空機などと接触するリスクが高まる上に、ドローンが制御不能となった際にどこへ流れていくか予測ができません。
さらに、落下した際の衝撃が強くなり危険と考えられていることも規制されている理由の1つです。
なお、山や谷など地表に高低差がある場所では、空域の上限もその高低差を反映したものとなります。
規制3:人家の密集地域でドローンを飛ばす(航空法)
人家の密集地域として指定されている「人口集中地区(DID地区)」の上空では、ドローンの飛行が規制されています。
理由としては、人家が密集している地域の上空で飛行させたドローンが落下した場合、第三者を巻き込む事故に発展する危険性が高いからです。
また、一見人家の密集していない河川敷なども、場所によっては人口集中地区に含まれていることがあるので注意してください。
なお、2022年12月からスタートしたドローンの国家資格を取得すると、許可や承認がなくても原則として密集地域でのドローン飛行が可能になります。
規制4:緊急用務空域でドローンを飛ばす(航空法)
上記3つは常時適用されるドローンの飛行禁止エリアであるのに対し、緊急用務空域は災害時における航空機の航行の安全を目的として定められた飛行禁止エリアです。
消防や救助、警察業務その他緊急用務を行う航空機の航行の安全を確保するために、災害などが発生した際は国土交通大臣より緊急用務空域として飛行禁止エリアがその都度指定されます。
飛行開始時に緊急用務空域に該当していなかったエリアでドローンを飛ばしていた場合でも、途中で関係機関から周知や呼びかけがあった場合は速やかに指示に従う必要があります。
規制5:国の重要施設周辺300メートルが対象「小型無人機等飛行禁止法」
国の重要施設と指定された施設内及びその周辺300メートル以内の範囲は、「小型無人機等飛行禁止法」によりドローンの飛行が禁止されています。
具体的には、国会議事堂・総理官邸・皇居や御所・政党事務所など国政の中枢機能に関わる施設に加え、外国公館・防衛関係施設・空港・原子力事業所が該当します。
ただし、対象施設の所有者本人またはその同意を得た人による飛行、国または地方公共団体の業務を実施するために行う飛行などにおいては飛行禁止に関する規制は適用されません。
規制6:他人が映り込んだ画像のアップロードは禁止「プライバシー・肖像権、個人情報保護法」
ドローンで撮影した画像や動画に、第三者の顔や車のナンバープレートなど個人を特定できる要素が写り込んだまま無許可でインターネットにアップロードするのはやめてください。
個人情報保護法に抵触するだけでなくプライバシー・肖像権の侵害にあたる場合があります。
また、住居の中など一般的に個人が第三者から干渉されたくないと思われるものが写り込んだ画像や動画を勝手にアップロードするのも、プライバシー権を侵害として訴訟トラブルを招く可能性があります。
もし個人情報が写り込んだ画像や動画をアップロードする場合は、本人の許可を得たり、ぼかしを入れて個人情報が特定できないようにしたりする配慮が必要です。
規制7:都立公園及び都立庭園でのドローン使用はNG「都市公園法」
東京都独自で定められた条例「都市公園条例」では、都内全81ヵ所に位置する都立公園および庭園内におけるドローンの使用が全面的に禁止されています。
重量に関わらず全てのドローンに適用される条例で、許可を得た上での飛行も認められていません。
他の道府県においても都市公園内でのドローン使用を規制する条例があるため、飛行前に自治体の窓口に確認してください。
規制8:公道での離着陸・飛行はNG「道路交通法」
道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図るために制定された法律である道路交通法では、ドローンの飛行において明確に規制するルールは記されていません。
ただし道路交通法では以下のように記されています。
道路交通法とは
道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止するための法律
引用:e-Gov
道路でのドローンの離着陸や飛行は上記の「工事若しくは作業」に該当することから、道路上における無断でのドローン使用はNGとされているのです。
規制9:文化財周辺での飛行は禁止「重要文化財保護法」
国が指定した重要文化財周辺では、毀損防止を目的としてドローンの使用が禁止されているケースが多いです。
重要文化財を守るための重要文化財保護法上では明確にドローンを規制するルールは記されていませんが、ドローンの飛行により重要文化財に傷をつけたり壊した場合には罰則が科せられるので注意してください。
規制10:周波数5.8GHzのドローン操縦は要注意「電波法」
一般的なドローンは、機体へ電波を発射する無線設備(コントローラー)を用いて操縦を行っています。
コントローラーには「2.4Ghz帯」の周波数が採用されており、使用において特別な許可や資格は必要ありません。
しかし、ドローンレースで用いられるFPVゴーグルでは、「5.8GHz」の周波数が使用されており、「陸上特殊無線技士(3級以上)」の取得と「無線局の開局」手続きが必要です。
上記2つの条件を無視して5.8GHzのドローンを使うと電波法違反とされるため注意してください。
電波法では周波数だけでなく「技適マーク」にも要注意
電波法では周波数だけなく「技適マーク」のついていないドローンの使用も禁止されています。
技適マークとは
無線通信機器において、技術基準適合証明と技術基準適合認定のいずれか、あるいは両者の認証がなされていることを表示するマークで、総務省令によって定められたものである。
Wikipedia
海外製のドローンには技適マークが付いていないものも多いため、購入の際にはよく確認してください。
規制11:優れた自然の風景地を保護する規制(自然公園法)
優れた自然の風景地として、環境大臣または都道府県により指定された公園を「自然公園」といいます。
自然公園の中でドローンを飛ばす場合、「自然公園法」により定められたルールを遵守しなければなりません。
具体的には、「立ち入り禁止区域・利用調整区域」への立ち入り・木竹を損傷すること・他の利用者に迷惑行為を行うことが禁止とされています。
規制12:国有林へは入林許可無しで立ち入ることができない
国有林に該当するエリアでドローンを飛行させる場合、管轄の森林管理署などへ「入林届」を提出しなければなりません。
また、操縦者が国有林内に立ち入らず、機体のみを国有林内で飛行させる場合でも届け出が必要です。
管轄の森林管理署は、林野庁のホームページから探すことができます。
各管理署のページにつながるリンクが記載されているので、該当する管理署のページへ移動したうえで入林届のフォーマットをダウンロードしましょう。
必要事項を記載したら、メールまたは郵送、FAXで提出します。
規制13:他人の所有する土地上空で勝手に飛行してはいけない
他人の所有する土地では、地上だけでなく地下や上空にも所有権が及ぶと民法で定められているため、他人の私有地で勝手にドローンを飛ばしてはいけません。
住宅だけでなく、民有林や駅・線路、神社仏閣、観光地も私有地に含まれるため注意が必要です。
具体的に上空何メートルまでが所有権の及ぶ範囲であるかは記載されておらず、ドローンの飛行を訴えられたとしても「所有者の権利が侵害された」とみなされるかはケースによります。
明確なルールや罰則が民法で定められているわけではありませんが、一般的なマナーの観点から、他人の私有地上空でドローンを飛ばす際は事前に許可を得た方が良いでしょう。
規制14:河川・海岸で勝手に飛行してはいけない
河川についてはドローンの飛行を明確に禁止する法律は定められていませんが、河川によっては管理者の許可が必要な場合もあります。
一方、海岸は「海岸法」という法律で以下4つの行為が禁止されています。
- 海岸管理者が管理する施設や工作物を損傷・汚損すること
- 油などで海岸を汚損すること
- 海岸管理者が指定した物(自動車や船など)を入れたり放置すること
- その他海岸の保全に支障をきたす行為
海岸の管理者がドローンの持ち込みや放置を禁止している場合、上記③に該当することから無許可でドローンを飛ばすと海岸法違反となるでしょう。
河川・海岸ともに、ドローンを飛ばしたい場合は事前に管理者へ確認のうえ必要に応じて許可申請を行ってください。
規制15:港や海上での離発着・飛行を勝手に行なってはいけない
港でドローンの離発着や飛行を行うことは、「港則法」における「作業行為」とみなされる可能性があり、行う場合には港長の許可申請が必要です。
一方、海はどこの国にも属さない海域「公海」と、国の領土として扱われる「領海」の2種類があり陸地から22.2kmの領海でドローンを飛ばす場合は国土交通省や海上保安庁への許可申請をしてください。
公海は許可申請が不要ですが、移動に用いる船からドローンを飛ばす場合は船長に許可を得なければなりません。
規制16:飲酒や薬物飲用時に飛行してはいけない
アルコール飲料またはアルコールを含む食べ物を口にしたり、医薬品を含むすべての薬物を使用した際のドローン飛行は禁止されています。
これはアルコールや薬物の影響により、ドローンを正常に飛行させられない恐れがあるからです。
規制17:危険を及ぼすような運転をしてはいけない
ドローンは地上や水上および物件の安全を考慮した方法で飛ばさなければなりません。
例えば必要がないのに高調音を発したり、急降下や急接近など他人に迷惑を及ぼすような危険運転が禁止されています。
規制18:飛行前の確認・点検
ドローンを飛行させる前に、安全な飛行を行うための準備を整えておかなければなりません。
具体的には以下についての確認が重要となります。
- 飛行させる機体の機能に異常はないか、バッテリーが100%充電されているかなどの点検
- 環境に応じてプロペラガードなどの装備が整っているか
- 通信系統は正常に作動するか
- 当日は飛行に差し支えない天気であるか
- 飛行経路に第三者や航行機、他のドローンが飛行していないか
規制19:衝突予防
ドローンを飛行させる際は、航空機や他の無人航空機との衝突を防ぐための措置を取らなけれなりません。
具体的に取るべき措置の内容としては以下の通りです。
- 飛行中の航空機を確認した場合
-
・飛行させているドローンを地上に降下させる
・衝突する可能性がある方向とは別の方向にドローンを飛行させる
- 飛行中の他の無人航空機を確認した場合
-
・他の無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させる
・飛行させているドローンを地上に降下させる
・衝突する可能性がある方向とは別の方向にドローンを飛行させる
規制20:夜間飛行
安全のため、日の出前または日没後の「夜間」におけるドローンの飛行は無許可で行うことができません。
日の出や日没の具体的な時刻については、国立天文台が発表している「日の出」および「日の入り」の時刻を参考にするため地域により異なります。
なお、2022年12月からスタートしたドローンの国家資格を取得すると、夜間でも許可申請不要でドローンを飛行させることができます。
規制21:目視外飛行
飛行中に常時監視することができない環境においてドローンを飛ばすことは、航空機の航行や人、物件の安全を守るため規制されています。
「目視」とは操縦者がメガネやコンタクトレンズを着用している場合も該当しますが、双眼鏡やモニターでの監視、操縦者以外の者による監視は「目視」として認められません。
なお、2022年12月からスタートしたドローンの国家資格を取得すると、目視外での飛行が許可申請なしでできます。
規制22:対象物や人と30m未満での飛行
操縦者や補助者など関係者以外の人、または第三者が所有・管理する物件から30メートル以上近づいてのドローン飛行は規制されています。
飛行させるドローンと人・物件との間に一定の距離を保つことで、衝突を予防し安全な航行を図ることが目的です。
なお、2022年12月からスタートしたドローンの国家資格(一等)を取得すると、許可申請を行うことで第三者上空での飛行が可能になります。
規制23:催し場所やイベント上空での飛行
野外フェスティバルやお祭りなど、不特定多数の人が集まる催し物の会場上空ではドローンの飛行が規制されています。
飛行が規制されるのは催し物の開会~閉会までの時間となっていますが、それ以外の時間については個別の判断となるため国土交通局との相談が必要です。
規制24:危険物輸送
ドローンを使って危険物を輸送することも規制の対象です。
「危険物」とは、凶器・毒物類・火薬類・引火性の液体など、爆発性または易燃性を有する物や他の物件を損壊する恐れのあるものが該当します。
ただし、上記に該当するものでもドローンの飛行に必要不可欠かつ常に機体と一体になって輸送される場合については「危険物」に該当しないと解釈されます。
規制25:ドローンから荷物などの物件投下
飛行させているドローンから物件を投下する行為も規制されています。
「物件の投下」とは固形物を機体から落とすだけでなく、液体や霧状のものを散布する行為も含まれます。
ドローンを使って農薬を散布するというケースもこれに該当します。そのため、農薬散布を行う場合は、国土交通大臣の承認が必要です。
規制26:大規模災害発生時の飛行調整
大規模災害などが発生した際、被災地におけるドローンの飛行について自粛を求められる場合があります。
本来であれば飛行の許可申請が必要な場所でなかったとしても、大規模災害発生後は飛行の自粛や事前の通報を求められるケースもあるのです。
被災地がドローンの自粛を求められているかどうかは、国土交通省のホームページから確認できます。
規制27:規制他の航空機や無人飛行機に影響を及ぼす恐れのある行為
ドローンの飛行中は、航空機や無人航空機の安全な航行に影響を及ぼす行為を行ってはならないというルールです。
航空機や無人航空機の飛行の安全だけでなく、地上や水上の人・物件の安全を守る目的で規制されています。
ただし、公益上やむを得ない一時的な行為については許可される場合もあります。
規制28:県・市区町村で定められた規制
先ほどご紹介した「都立公園条例」のように、都道府県や市区町村の各自治体ではドローン飛行に関して規制するルールを定めているところもあります。
飛行場所が決定したら、都道府県や市区町村のホームページや自治体窓口にてドローン関連の規制ルールが定められていないかを入念に確認しておきましょう。
規制29:100g以上のドローンは全て機体登録が必要
2022年6月から100g以上のドローンは機体登録をしなければ飛行できなくなりました。
事故発生時の所有者把握や原因の究明、再発の防止が目的となっており、手続きは「DIPS(ドローン情報基盤システム2.0)」を通じて行います。
ドローンの規制はたくさんありますが、全て覚える必要がありません。
まずは、こんな規制があるということを知っておきましょう。
ドローンの飛行規制区域は地図(マップ)で確認できる
ドローンの飛行は様々なエリアで制限されているため、「どこなら飛ばせるの?」と疑問に思う方もいるはずです。
飛行可能エリアを探すのにお困りの場合は、国土地理院がWeb上で提供している「地理院地図」やドローンマップアプリを使ってください。
地理院地図とは国土地理院が作成している地図のことで、人口集中地区や空港周辺に該当するエリアを一目で確認できます。
その他にも、「ソラパス」や「DJIフライトマップ」、「ドローンフライトナビ」などを使えば、人口集中地区や空港周辺エリア以外の飛行禁止区域が確認できます。
こちらの記事では、ドローンの飛行禁止区域を確認するために役立つマップについてより詳しくご紹介しています。
結局ドローンはどこで飛ばせるのか?
ドローンを飛ばせる場所は、法規制に抵触しない場所であることが前提です。
東京や大阪などの都市部は大部分が人口集中地区に含まれているため、こういったエリアでドローンを飛ばすことは難しいと言えます。
都市部から離れた地方や人家が集中していないエリアで飛行場所を探すといいでしょう。
ただし、飛行禁止区域に該当していないエリアでも私有地であったり、自治体独自の規制ルールが定められている可能性もあるため別途確認が必要となります。
100g未満の小型ドローンには航空法の規制は適用されない
ドローンの飛行は、主に「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」という法律による規制ルールが定められています。
しかし、航空法に関しては総重量が100gに満たない機体であれば規制対象外となっています。
(2022年6月から規制対象が200g以上から100g以上に改正)
ただし、航空法の中でも「150メートル以上の高度の上空」と「空港等周辺エリア」における飛行の規制については100g未満の機体にも適用されるため注意が必要です。
なお、小型無人機など飛行禁止法やその他ドローン関連の規制ルールに関しては重量にかかわらずすべてのドローンに適用されます。
100g未満のドローンで注意するべき規制については、こちらで詳しく解説しています。
飛行場所の探し方や100g未満でおすすめの製品もご紹介しているので、是非参考にしてみてください。
許可申請を行うことで規制対象内で飛行させることも可能に
ドローンの飛行が規制されているエリアでも、関係機関へ許可申請を行ったうえで承認を得ることができれば、ドローン飛行が可能となる場合もあります。
例えば人口集中地区内や夜間飛行、目視外飛行、物件投下、危険物輸送などの飛行については国土交通省への許可申請を行うことで飛行することが可能となります。
150メートル以上の高度の上空や空港周辺エリアでの飛行は管轄の空港事務所、道路上でのドローン飛行や離着陸は管轄の警察署に申請を出し、承認を得られればドローンを飛ばすことができます。
また、2022年12月から始まった国家資格を取得すると、航空法で定められる一部の特定飛行が許可申請不要で可能になります。
飛行場所や方法により申請先や申請方法が異なるため、どのような許可申請が必要となるかを事前に確認しておくことが大切です。
なお、飲酒・薬物使用時の操縦や人に危害を及ぼす危険運転、飛行前の確認など、申請をしても許可を得ることができない「操縦者が遵守するべきルール」として定められている規制もあります。
国家資格の取得によって許可申請なしで規制対象の飛行が可能になる
航空法ではドローンの飛行場所や飛行方法に関する規制を行っているのですが、2022年12月から始まった国家資格を取得すると、規制された飛行の一部が許可申請なしで可能になります。
許可申請不要での飛行が可能になるのは「無人地帯の上空」での「目視外飛行」や「夜間飛行」などです。
なお、特定飛行の中にも「有人地帯の上空」を飛行させるものや「空港周辺や上空での飛行」「期限物の輸送」などは、許可申請を行った上で飛行させなければなりません。
室内・屋内でのドローン利用は規制の対象外
屋外でドローンを飛ばす際は多くの規制ルールに従いながら飛行をしなければならない一方、屋内でのドローン飛行に関しては特に規制するようなルールは設けられていません。
万が一制御不能となったり、故障のため墜落しても人や建物などに著しい影響を及ぼさないと考えられているからです。
そのため、室内・屋内であれば規制の対象外となるため、自由にドローンを飛行させることができます。
また、壁で全方向を囲っているような完全な室内だけでなく、屋外でも四方がネットや柵などで四方が囲まれていれば「屋内」とみなされます。
全国各地には屋内での飛行スペースを確保している「ドローン飛行練習場」が存在するので、屋外飛行の許可申請が手間に感じる方や、飛行の練習をしたい初心者の方は屋内型練習場の活用をおすすめします。
ドローンの利用に関する法律は常に改正されている
ドローンに関する法律は、これまでさまざまな改正を経て現在の形になっています。
トラブル防止のために強化された規制もあれば、普及のために緩和された規制もあるため、最新の情報をチェックしなければなりません。
強化されたドローンの利用に関する規制
ドローンに関する規制が最初に強化されたのは、平成27年4月22日に総理官邸屋上で所有者不明のドローンが発見されたのがきっかけです。
『22日午前10時20分ごろ、東京・永田町の首相官邸で、小型の無人飛行機(ドローン)が屋上に落下しているのを職員が見つけた。警視庁によると、けが人はいない。同庁が所有者や落下した経緯などを調べている。
日本経済新聞
首相官邸の屋上で見つかった無人小型機・ドローンを調べる捜査員ら(22日、東京・永田町)
同庁によると、発見されたドローンは直径約50センチ。小型カメラや長さ約10センチのペットボトルのようなものが付いていた。機体に放射線を示すマークが描かれているほか、発えん筒のようなものが取り付けられていたとの情報もある。
政府高官は22日、ドローンについて「(どこの物かは)分からない。調べているが(危険性は)ない」と話した。テロかどうかも不明という。』
この事件を機にドローンの利用を規制する法整備が本格化しました。
航空法の改正に加えて、改正航空法における飛行ルールを補完する形で小型無人機等飛行禁止法が制定されたのが代表的です。
また、上記の事件をきっかけに都立公園条例でも「すべての都立公園・庭園においてドローンの飛行を禁止する」というルールが追加されました。
2022年には航空法の規制対象が200g以上から100gの機体となり、100g以上のドローンを飛行させるには機体登録が義務付けられるといった規制の強化が行われています。
ドローンに関連する規制は、誰か一人による法律への理解・配慮不足が原因となり強化される可能性があるため、一人一人の操縦者がルールを遵守して安全な飛行を心がけなければなりません。
緩和されたドローンの利用に関する規制
ドローンの利用に関して強化された規制がある一方、内容が緩和された規制もあります。
『目視外の状況での物件の投下ですけれども、これまで目視外で荷物を切り離すときは、補助者を配置するか、一度ドローンを着陸させて荷物をおろしてということになっておりましたが、ドローンによる荷物の配送がこれから頻繁に行われるということを想定して、荷物を切り離す場所、あるいはその周辺の立入管理区域を設定すれば、高度1メートル以下で荷物を切り離すときに補助者の配置は要らないということになりました。』
内閣府
上記の通り、ドローンから荷物を投下する際、従来であれば現地に状況を監視できる補助者を配置する必要がありましたが、柵などを設置して周囲に人が立ち入らないようにすれば補助者が不要になるという規制緩和が2021年3月30日に発表されています。
『目視外の高高度、目視外の飛行で高度150メートルを超える場合には、これまではいかなる場合も補助者を配置するルールになっておりましたが、例えば山がうねっているときに、ドローンを真っすぐ飛ばすと、うねっている部分の谷のところは150メートルを超えてしまうようなことがございました。こういう場合、あるいは高い構造物をドローンで安全性の点検などをやるために、この構造物の周りだけを飛ばすというような場合には、必要な安全対策を講じれば高度150メートル以上を補助者なしに飛行させてもよいということになりました。』
内閣府
同時に、第三者が立ち入る恐れのない山間部や高層ビル周辺では、高度150メートル以上の上空でも目視外による飛行が可能となりました。
従来であれば航空機などの接触を避けるため、目視外での高高度飛行は補助者の配置や飛行エリアへの第三者立ち入り防止措置を取る必要があったのです。
『十分な長さや強度の縄でしっかりと係留されている等の必要な措置が講じられている場合、ジオ・フェンス機能と呼ばれる仮想的な境界線の機能を有効に設定する、あるいは物理的に索でつなぐ、飛行高度と同じ距離の半径の範囲を超えて敷地境界には接近しない等の様々な管理がなされている場合には、「人口集中地区」や空港の周辺に立地しているプラント・工場であっても、夜間を含め、補助者なし、目視外での飛行が可能と整理いたしました。』
内閣府
また、2021年10月には「人口集中地区や夜間にドローンを飛ばす際、十分な強度を持つワイヤーなどで係留すれば飛行許可は不要」という規制緩和も実施されます。
いずれも建物・インフラ点検や物流におけるドローンの活用がしやすくなる規制緩和となっており、ドローンの社会実装を促進する取り組みと考えられます。
ドローンの利用規制は今後どう変わるのか?
2022年以降、「改正航空法」として航空法に記載されたドローンの利用規制に変更や新たな規制の追加が実施されます。
中でも、特に注目を集めている改正内容をご紹介いたします。
2022年6月から航空法の規制対象が100g以上の機体に変更される
2022年6月から航空法の規制対象が機体重量「200g以上」から「100g以上」に改正されました。
規制対象となるドローンの幅が広まったため、例えば、150gのドローンを使っていた人はこれから航空法の規制を意識してドローンを飛ばさなければなりません。
法改正前に航空法の対象外として販売されていた100g~200gの機体をお持ちの方は、こちらの航空法の改正ポイントは要チェックです。
2022年12月国内初のドローン国家資格が導入される
2022年12月から国内初のドローンの国家資格が導入されます。
これまでは民間の資格しかなかったのですが、国家資格の導入によって「第三者上空での目視外飛行」の実現に向けた動きが活発化しています。
将来的にドローンをビジネス活用する上での重要な資格ともいえるでしょう。
ドローン国家資格の概要
ドローン操縦ライセンスとは、国が試験(学科・実地)を実施してパイロットの操縦技能照明を行う制度です。
「一等資格」と「二等資格」という2つの区分があり、試験に合格した16歳以上であれば誰でも取得することができます。
取得した資格によってはレベル4に相当する飛行運用や、許可が必要な飛行方法における申請手続きの一部免除・省略が可能となることがメリットです。
国家資格は、登録講習機関での学科・実技講習を受けた後に、指定試験機関での学科試験をクリアすることで取得できます。
ドローンの規制は日本だけが厳しい?
ここまでの内容を読んで「日本ってドローンの規制がこんなに厳しいの?」と思ったかもしれません。
確かに、これだけの規制が多いと厳しい印象は受けますし、海外と比較してドローンの普及が遅れているイメージもあるため「厳しすぎるのでは?」と感じるはずです。
しかし、海外と比較をして日本が特別ドローンに厳しいわけではありません。
アメリカではホワイトハウス一帯を飛行禁止区域と定めており、日本でいうと「小型無人機等飛行禁止法」と同じです。
フランスでもパリ上空で無許可にドローンを飛ばすと懲役刑が科されるなど、規制はかなり厳しくなっています。
このように日本のドローン規制は特別厳しいというわけでもなさそうです。
不足しているのはドローンを運用するための法整備であり、2022年12月の航空法改正によってこの問題も解決に向けて前進すると考えられます。
ドローンの規制に関するよくある質問
ドローンの規制に関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
- 風速によるドローンの利用に規制はありますか?
-
航空法により飛行禁止区域となっているエリアにて、許可を得たうえで飛行する際は風速に制限が設けられており、国土交通省が作成した無人航空機飛行マニュアルでは、「風速5m/秒以上の状態では飛行させない」とあります。
また、風速が5m/秒未満であっても、ドローンの飛行速度と合計して「7m/秒以上」となる場合は飛行禁止となります。
- 水中ドローンにも規制はありますか?
-
現時点では、水中ドローンの利用そのものを規制する法律はありません。
ただし、海で使用する場合は港則法や海上交通安全法における「作業行為」に該当する可能性もあります。
また、自治体独自に定められた条例の内容によっては水中ドローンの使用は禁止、または許可が必要とされることも考えられるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
- 中国製のドローンは利用に規制がありますか?
-
2021年、政府機関は公共・秩序維持に影響があると考えられる分野(安全保障関連の分野、犯罪捜査、インフラ点検、人命救助など)で活用するドローンについてセキュリティを強化する方針を示しました。
具体的には、「運航記録や撮影した写真の外部漏えい、サイバー攻撃による乗っ取りを防ぐ機能を備えた機体の購入を義務付ける」という規制を設けたのです。
この規制により、特定の分野における中国製ドローンの利用は事実上禁止されるということになります。
なお、個人的な趣味での使用やトレーニング用など、高いセキュリティ性が必要とされない分野での活用であれば規制対象外となります。
- おもちゃのドローン(ホビードローン)にも規制は適用されますか?
-
100g未満のドローンである「ホビードローン」は航空法の規制対象からは外れますが、小型無人機等飛行禁止法やその他ドローン利用を制限する規制については適用されます。
おもちゃとはいえ、扱い方によっては人や建物に影響を及ぼす可能性があるため規制ルールを破れば罰則が科せられるのです。
- 海外でも同様の飛行規制がありますか?
-
海外でもドローンの飛行を規制するルールが設けられています。
不特定多数の人が集まる場所での飛行・目視外飛行・夜間飛行・危険物輸送・物件投下などを禁止したり、飛行前の安全確認を義務付けるなど日本国内における規制と同じような内容である場合が多いです。
ただし、国によって申請方法や罰則の内容は異なります。
- 100g以上のドローンの規制はいつからですか?
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航空法で100g以上のドローンが規制の対象となったのは2022年6月からです。
同時期には100g以上のドローンを飛行させる際の機体登録が義務付けられています。
- ドローンの罰則規定はありますか?
-
ドローンの規制に違反すると法律で定められた罰則が科されます。
例えば、航空法では「無人機の飛行等に関する罪」が定められており、これに該当するとみなされた場合は「50万円以下の罰金」に処されます。
- 国土交通省のドローンの罰金はいくらですか?
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国土交通省への許可承認が必要となる航空法で規制された飛行を無許可でした場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される可能性があります。
- ドローンのプロペラガードは義務ですか?
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プロペラガードの装着自体は義務ではないのですが、国土交通省などに飛行許可の申請を行う場合、「安全確保体制」の構築が求められており、その基準に「プロペラガードの義務化」が盛り込まれています。
そのため、規制外でドローンを飛行させる場合には、プロペラガードはなくても大丈夫です。
まとめ
ドローンを飛行させる前に、航空法や小型無人機等飛行禁止法などの法律や各自治体の条例を確認しなければなりません。
違反した場合は罰則が科せられるため、知らなかったでは済まされませんし、重大な事故を招く危険性も理解してください。
ドローンを扱う一人一人が規制の内容を理解して飛行させないと、事故や事件の発生によって規制が強化される可能性もあります。
ドローンの規制ルールは自分たちの行動次第で作られていくと認識しながら、安全に飛行を楽しんでください。
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