ドローンの撮影はどこでもできるの?
場所によっては許可が必要になります。
どのような場所で許可が必要になるか、撮影の注意点を紹介しますね。
ドローンに搭載したカメラを使えば、普通では撮れないダイナミックなアングルでの空撮が楽しめます。
操作方法を覚えれば初心者の方でも気軽に空撮が楽しめるため、興味を持っている方も多いはずです。
しかし、屋外でドローンによる撮影を行うには、さまざまな法規制や関係各所への許可が必要です。
今回の記事では、ドローンの撮影でどのような許可申請が必要なのかを解説します。
- ドローンでの撮影で必要な許可
- どのような許可が必要か?
- ドローンでの撮影で注意するポイント
ドローンを使った撮影で許可が必要なケースや、ドローンによる空撮を行う際の注意点を詳しく見ていきましょう。
ドローンで撮影を行う場合の許可は必要?
ドローンを使った空撮を行う際には、許可が必要なケースがあります。
では、どのようなケースで許可が必要になるのか、詳しく見ていきましょう。
撮影自体 | 原則許可は不要 |
公園での撮影 | 管理者の許可が必要 |
商業施設での撮影 | 管理者の許可が必要 |
公共の場所での大掛かりな撮影 | 自治体や管理者の許可が必要 |
建造物の写真・動画の商用利用 | 撮影許可は不要、商用利用は要確認 |
自分の私有地 | 許可は不要 |
撮影自体の許可は原則不要
商業施設や公共空間、道路などを個人的な趣味で撮影する場合、「撮影」という行為自体について関係機関への許可申請は不要です。
ただし、個人の顔や車のナンバープレートなど、第三者のプライバシーに関わるものが映り込む場合には、事前に本人から承諾を得ておくのが無難です。
また、大掛かりな機材を設置するなど、周囲に迷惑をかける可能性が高い場合には、許可が必要になるでしょう。
公園での撮影は自治体や管理者の許可が必要
都市公園や河川敷、道路などで一定の場所で機材などを広げて一時的に独占するような使い方をする場合には、営利・非営利目的かかわらず各管理所や警察署への許可申請が必要です。
また、都市公園によってはドローンの使用を禁止している場合もあるため、撮影許可が降りてもドローンが飛ばしての空撮はできません。飛
例えば、都立公園・庭園におけるドローンの使用は全面禁止ですし、千葉市内の都市公園では、個人の趣味目的に限りドローンの使用が禁止されています。
場所によってドローン撮影の規制範囲に差があるため、あらかじめ現地のルールを確認しておきましょう。
商業施設では管理者の撮影許可を得る
ショッピングモールや百貨店といった商業施設などでは、施設の管理者の撮影許可を得なければなりません。
スマホで個人的な写真を撮る程度であれば許可は不要ですが、ドローンを飛ばす前提であれば事前の許可は必須です。
以下では主な商業施設で撮影許可を得る場合の問い合わせ先をまとめているので参考にしてみてください。
ショッピングモール | 施設の管理者 |
鉄道や駅 | 鉄道会社 |
サービスエリア | 施設の管理者 高速道路警察隊 |
公共の場所で大掛かりの撮影を行う場合は許可が必要
公共の場所で大掛かりなセットを組んで撮影を行う場合には、自治体や施設の管理者の撮影許可が必要です。
周囲に迷惑が及ぶ方法での撮影を行う場合には、必ず許可を得る必要がありますし、場合によっては利用料が発生する可能性もあります。
また、撮影場所によってドローンの飛行が可能かどうかも確認してください。
建造物を撮影した写真・動画を商用利用する場合は許可が必要
建造物を撮影する行為自体には特に問題はないのですが、撮影した写真や動画を商用利用すると問題が発生する可能性があります。
商用利用とは、建造物が写った写真がプリントされたTシャツを販売するなどが挙げられます。
東京スカイツリーなど名称やロゴ、形状などが商標として登録されている建物については、撮影自体は可能でも商用利用をしないようにしてください。
自分の私有地であれば撮影許可は不要
家の中や自宅の庭などの私有地であれば撮影許可は不要です。
ただし、他人の家や他人のプライバシーが特定できるような情報が写り込まないよう注意しなければなりません。
ドローンの飛行に対しての許可は必要
「撮影」に対する許可が不要でも、「ドローンを飛行させる」ことに対する許可申請が必要となるケースもあります。
ドローンの飛行に許可申請が必要なケースは様々な例がありますが、撮影という場合においてよくある例は以下の通りです。
航空法や小型無人機等飛行禁止法の規制に該当する飛行 | 国土交通省の許可 |
私有地での飛行 | 土地権利者の許可 警察署への確認・事前通知 |
学校での飛行 | 施設管理者の許可 国土交通省の許可 |
道路上での飛行 | 警察署 |
都道府県・市町村の条例に該当する場所での飛行 | 各自治体の窓口 |
【例1】航空法や小型無人機等飛行禁止法に該当する飛行は国土交通省への許可申請が必要
航空法では、ドローンを含む「無人航空機」の飛行場所や飛行方法を規制するルールが記されています。
以下の規制の対象となる飛行場所や飛行方法に該当する場合は、国土交通省や地方航空局へ許可申請が必要です。
飛行場所 | ・空港等周辺の空域 ・地上または水面から150メートル以上の高度 ・人口集中地区の上空 |
飛行方法 | ・日の入り前や日没後の夜間飛行 ・目視外の飛行 ・人や建物と30メートル未満の距離まで近づく飛行 ・お祭りやイベントなど催し場所上空での飛行 ・危険物を輸送する飛行 ・機体からの物件投下 |
なお、航空法は機体重量100g未満のドローンには適用されません。
そのため、「空港等周辺の空域」と「地上または水面から150メートル以上の高度」を除く飛行場所・飛行方法に該当する場合でも、機体重量が100g未満であれば許可申請は不要です。
また、2022年12月にスタートしたドローンの国家資格を取得すると、上記の特定飛行のうち一部が許可申請不要となります。
他にも国会議事堂や首相官邸、防衛関係施設、外国公館など国の重要施設と指定されている場所は「小型無人機等飛行禁止法」という法律も確認が必要です。
ドローンを飛行させる際に許可申請が必要なケースについて気になる方は、以下の記事をご覧になってください。
【例2】私有地での撮影は土地権利者の許可または警察署への確認・事前通知が必要
民法では、他人が所有する土地の権利は「土地の上空や地下にまで及ぶ」と定められています。
そのため、私有地を撮影する場合、土地の権利者へ事前通知を行わないと「所有権の侵害」とみなされ、トラブルに発展する可能性があります。
さらに、駅や線路、神社仏閣、観光地なども私有地として分類されるため、空撮の際には権利者に対して事前の通知が必要です。
ただし、土地権利者より許可を得て飛行をしたとしても、無関係の第三者がドローンを見て違法な飛行であると勘違いし、警察へ通報する可能性も考えられます。
そのため、通報者への対応や説明を円滑に済ませることができるよう、管轄の警察署へ事前に連絡をしておくと安心です。
【例3】学校での撮影は航空法・その他法規制に抵触していないか確認が必要
学校や病院のように不特定多数が集まる場所でドローンによる空撮を行う場合、航空法により定められた以下の規制に該当する可能性があります。
- 人口集中地区の上空
- 人や建物と30メートル未満の距離まで近づく飛行
さらに体育祭や文化祭の様子を空撮する場合には、「お祭りやイベントなど催し場所上空での飛行」という規制された飛行方法に該当する場合もあります。
法規制に触れていないかを確認した上で、必要な場合には国土交通省への許可申請を行い、施設管理者への許可も忘れずに得てください。
【例4】道路上での撮影は道路交通法に違反していないか確認が必要
道路上でドローンを飛行させる場合は、道路交通法の確認が必要です。
当然ながら、他の自動車の通行を邪魔したり、交通事故を招いたりするような飛ばし方はいけません。
道路交通法には、ドローンの飛行に関するルールが明記されていませんが、条文の内容から以下の行為は禁止されています。
- ドローン離着陸のための安全スペースを道路上に設置する
- 地上から車両の通る4.1m以下の高さで道路上を飛行させる
- ドローンを飛行させるために道路上で準備する
上記に該当する場合は、事前に管轄の警察署に許可申請を行い、必要であれば道路使用許可も取得してください。
【例5】都道府県・市町村の条例で撮影が禁止された場所もある
法律だけでなく、都道府県や市町村で制定された条例によって、撮影が禁止される場所もあります。
主に公共施設や公園、観光地などでは、条例によってドローンの飛行が禁止されています。
条例で禁止された場所でドローンを飛ばす場合は、管轄の自治体に問い合わせて許可を得てください。
ドローン飛行の許可申請で必要な手続き
航空法の規制に該当するドローン飛行で必要な許可申請は、「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」を通じてオンラインから行えます。
アカウントを作成した上で、飛行許可・承認申請書を提出して、承認を受ければOKです。
後は、飛行前に「飛行計画の通報」や「飛行日誌の作成」を忘れずに行ってください。
また、上記とは別に施設管理者や土地所有者の許可を得るのを忘れないようにしましょう。
ドローンで撮影を行う場合の注意点
ドローンを使った撮影を行う上で、法律で明確に規制されているわけではないものの、以下のケースに該当する場合にはトラブルに発展する可能性があります。
- プライバシーを侵害しない
- 撮影に対して通報やクレームが発生するケースもある
- 公開後に権利侵害の申立てが行われたら直ちに削除する
では、1つずつ詳しくみていきましょう。
プライバシーを侵害しない
ドローンで撮影した画像や動画をインターネット上にアップする際、「他社のプライバシー」に注意しなければなりません。
例えば、他人の顔や車のナンバープレート、住居の中の様子など、第三者を特定できる要素、一般的に個人が干渉されたくないと思われるもの・場所などが写り込んだ画像や動画が挙げられます。
他社のプライバシーに関する写真や動画を本人の許可なくアップすると、プライバシー権の侵害として訴えられる可能性があります。
インターネット上に公開する際には、事前に該当する本人に許可を得るか、ぼかしなどを入れて特定されないような配慮が必要です。
撮影に対して通報やクレームが発生するケースもある
法律違反に該当しない場合でも、ドローンによる撮影を不快に感じて警察に通報したり、クレームに発展したりする可能性もあります。
公共の場所などで他者が撮影範囲内にいる場合には、周辺への通知を行うなどの配慮が必要です。
いくら法的に問題がなくても、マナーを守れないとドローン業界全体のイメージが悪くなって、自由な飛行が楽しめなくなる恐れがあるので注意してください。
公開後に権利侵害の申立てが行われたら直ちに削除する
さまざまな配慮を行った上でインターネット上にアップしたとしても、個人の特定やプライバシー情報の写り込みなどが指摘されて削除を求められた場合は早急に対処してください。
権利侵害の申立てを放置していると、法的なトラブルに発展したり、利用しているWebサービスのアカウントが凍結されたりなどが生じます。
申立てが妥当ではない場合でも、公開した側がその理由を説明しなければならないので、放置せずに適切な対処をしましょう。
ドローンの撮影許可に関するよくある質問
ドローンの撮影許可に関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
個人での撮影であれば許可を取る必要はない?
個人での撮影であれば原則として許可を得る必要はありません。
ただし、周囲に迷惑が及ぶ可能性や大掛かりなセットを組んで周辺のスペースを独占するような利用をする場合は、事前に施設管理者への許可を取った方がいいでしょう。
飛行許可と撮影許可は別々に行う必要がある?
「飛行許可」と「撮影許可」は別物なので、それぞれで行う必要がありますが、許可を得る対象が同じである場合(施設管理者など)は同時に行ってもいいでしょう。
プライバシーを侵害しない撮影をするためのポイントは?
撮影のポイントとしては以下が挙げられます。
- 住宅地にカメラを向けない
- 人を大写しで撮影しない
- 飛行高度を上げて写り込みを防ぐ
撮影場所やアングルなどを考慮した上で撮影を行いましょう。
撮影した風景の中に建物が写り込んだ場合は違法になる?
撮影した画像や動画を商用利用する場合、写り込んだ建物などに対して権利者から「無断で利用されては困る」といったクレームが入る可能性があります。
このケースについては、敷地内での撮影を行う場合を除いて、基本的には建物の写り込みは気にしなくても大丈夫です。
ただし、有名なタワーや美術館、学校など、自由な使用を認めていないケースもあるので、気になる場合は事前に確認をしてください。
まとめ
ドローンを使った空撮では、人の手による撮影が難しい場所でもダイナミックな構図での撮影が可能です。
ただし、ドローンの飛行や撮影において守るべき法律やマナーは数多く存在するので事前に確認しなければなりません。
どんな場所で撮影したいのか、いかに配慮して第三者とのトラブルを避けられるのかを確認した上で空撮に臨んでください。
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