航空法って名前からして難しそう…
必要なのは航空法の中でもドローンに関連する部分だけです。
わかりやすく解説していきます。
日本国内でドローンを飛ばす場合、航空法をはじめとするさまざまな法律を守って安全な飛行を実施しなければなりません。
そこで今回は「航空法」で定められたドローン飛行に関わる規制について解説していきます。
- 航空法とは
- ドローン飛行に必要な航空法の知識
- 航空法で定められたルール
- 航空法で禁止されたエリア・飛行方法
を初心者にもわかりやすく解説しています。
飛行禁止区域や飛行方法のルールなど、飛行前に確認必須な情報を記載していますので是非ご覧ください。
ドローンに関わる日本の法律「航空法」とは
ドローン飛行を行う場合、「航空法」という法律によりルールが定められています。
航空法とは
航空法(こうくうほう、昭和27年7月15日法律第231号)は、民間の航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止などを目的としている日本の法律である。
Wikipedia
上記に記載のある通り、航空法とは航空機が安全に飛行できるように定められた法律です。
全員が安心して空を利用できるように守るべきルールとなります。
航空法におけるドローンの定義
2015年に航空法の一部が改正され、「無人航空機の飛行」において許可が必要な空域・飛行方法について制定されました。
「小型無人機」とは、
飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(200g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)です。いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。
国土交通省 飛行ルール(航空法第9章)の対象となる機体
航空法における無人航空機の定義とは、「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの」です。
そのため、ドローンを始めラジコン機や農薬散布用ヘリコプターなども無人航空機に含まれます。
重さ100g未満のドローンは「模型航空機」に分類される
機体本体とバッテリーを合わせた総重量が100g未満のドローンは、無人航空機ではなく「模型航空機」とみなされます。
模型航空機は航空法に記されている無人航空機の飛行に関する規制は適用されません。
ただし、空港周辺や一定の高度以上に及ぶ飛行については許可申請が必要となるので注意しましょう。
航空法でドローンに該当する箇所は「第九章 第132条」
航空法でドローンに関するルールが記されているのは、第九章 132条「飛行の禁止空域」と第九章 132条の2「飛行の方法」の項目。
「飛行の禁止空域」は、無人航空機を飛行させてはならない場所が記載されています。
具体的な飛行禁止空域や飛行方法については、次項より解説していきます。
航空法(第132条)に記されるドローンの飛行禁止区域
航空法に記されているドローンの飛行禁止区域は、次の通りです。
規制対象①:空港等の周辺の上空の空域
空港やヘリポートなどの周辺上空は、飛行機やヘリコプターと衝突することを避けるためにドローンの飛行が規制されています。
具体的には、以下のような空域のことを指します。
- 航空機の離着陸直後や進入の最終段階において、安全を確保するために必要な表面(進入表面)の上空または下の空域
- 空港周辺で旋回など低空飛行をした際、安全を確保するために必要な表面(水平表面)の上空
- 着陸のための進入を誤り、側面へ方向転換してやり直す際の安全を確保するために必要な表面(転移表面)の上空または下の空域
すべての空港やヘリポートにおいて概ね6キロメートル以内の範囲がこれに該当します。
一部、羽田や成田、大阪国際、那覇など主要空港周辺では24キロメートルに及ぶ範囲が規制されていることもあります。
また、主要空港周辺においては以下のような空域もドローン飛行規制空域として指定が可能です。
- 「精密進入方式※」による、航空機の最終直線進入の安全を確保するために必要な表面(延長進入表面)の上空
- 航空機の大型化・高速化に伴い拡大した飛行経路や、精密進入方式以外の方法で進入する際の経路の安全を確保するために必要な表面(円錐表面)の上空
- 航空機が精密進入方式で着陸するまでの飛行経路の安全を確保するために必要な表面(外側水平表面)の上空
※「精密進入方式」:2種類の誘導電波(進入方向・降下経路)による指示を受けて、悪天候時でも所定のコースに沿って正確な進入着陸が可能となる方法。
航空法対象外の「重量100g未満」のドローンでも国土交通省の許可が必要
先ほどは重量100g未満のドローンは航空法における飛行規制の適用外とお伝えしました。
しかし、航空法134条の3・第1項と第2項「航空機の飛行に影響を及ぼす恐れのある行為を禁止する」という規制は適用されます。
※参考
- 無人航空機(ドローン、ラジコン等)の飛行に関するQ&A (Q1-4)
- 航空法 (134条の3 第1項・第2項)
重量にかかわらずドローンを空港周辺で飛行させるということは、航空機の飛行に影響を及ぼすことが考えられるため、国土交通大臣の許可が必要となるのです。
空港周辺でドローンの飛行を計画している場合は、必ず国土交通省の地方支分部局である地方航空局へ許可申請を行わなければなりません。
規制対象②:地表又は水面から150メートル以上の高さの空域
地上や水面から150メートル以上の高さの空域でドローンを飛ばすことも規制されています。
飛行機やヘリコプターとの接触の恐れ、万が一制御不能となり落下した際、衝撃が強くなることが理由です。
この空域についても、空港周辺の空域と同様の理由から重量にかかわらずすべてのドローンが規制対象となっています。
ただし、200g未満のドローンに関しては許可申請ではなく「国土交通大臣への通報」が必要です。
規制対象③:人口集中地区の上空の空域
人口集中地区(DID地区)の上空も、ドローン飛行が制限されています。
人口集中地区とは、5年に一度実施される国勢調査の結果をもとに定められた「人家の密集地域」です。
なお、人家が密集していない河川敷や海岸が含まれている場合もあるので飛行前に確認しておきましょう。
※地理院地図「人口集中地区 平成27年」より
人口集中地区は、国土地理院HPより公開されている「地理院地図」から閲覧可能です。
航空法(第132条)に記されるドローン(無人航空機)の飛行方法
航空法では飛行する場所だけでなく、ドローンの飛行方法として次のルールが決められています。
飛行規則①:薬物および飲酒時に飛行させてはいけない
アルコールまたは薬物の影響により安全な飛行を実施できない恐れがある場合、ドローンの飛行が禁止されています。
アルコールが含まれる飲食物(濃度の程度にかかわらない)、麻薬・覚せい剤・医薬品を摂取した状態でドローンを飛ばすことはできません。
飛行規則②:飛行は日出から日没までの間
安全のためドローンは見通しの良い日中に飛ばすことが義務付けられています。
日の出や日没の時刻は国立天文台が発表している時刻となるので、地域によって飛行可能な時間帯が異なります。
飛行規則③:目視の範囲内で飛行させる
位置や姿勢、人や障害物などにより、ドローンを常時目視できない環境下で飛行させることも禁止されています。
双眼鏡やモニターを通して監視する場合や、補助者による監視も「目視」には含まれません。
操縦者本人の目でしっかりと監視できることが求められています。
メガネやコンタクトレンズは、着用した状態でドローンを視ることができれば「目視」に含まれます。
飛行規則④:第三者の30m未満の距離に入る飛行
ドローンから第三者または第三者が所有する物まで、30m未満の距離になるまで接近することも禁止されています。
「第三者」とは、ドローンの操縦者や補助者といった関係者以外の人を指します。
そのため、操縦者または補助者以外の人物や第三者が所有する物(建物や車など)から30m以上の距離を取って飛行させなければなりません。
飛行規則⑤:イベント会場上空での飛行は禁止
野外フェスティバルや祭礼、展示会など多くの人が集合する催しを開催している間は上空でドローンを飛ばすことは禁止されています。
イベントの開会~閉会以外の時間については個別の判断となるため、国土交通局との相談が必要です。
飛行規則⑥:危険物の輸送は禁止
凶器・毒物類・火薬類・引火性の液体など、爆発性または易燃性を有する物や他の物件を損壊する恐れのある「危険物」をドローンで輸送することはできません。
真に必要と認められる事情がある場合のみ、危険物の輸送に適した装備や補助者などを用意したうえで許可申請を行う必要があります。
飛行規則⑦:飛行中に物件を投下させない
ドローンを飛行させている状態で、機体から物件を投下することも禁止されています。
「物件の投下」とは固形物を落とすだけでなく、液体や霧状のものを散布する行為も含まれます。農薬の散布もこれに該当します。
飛行規則⑧:飛行に必要な準備が整った上で飛行させる
飛行させる場合は、以下のポイントを踏まえつつ、安全な飛行を行うための準備を整えておくことが大切です。
- 十分な性能を備えた機体を用意すること
- 操縦者が十分な飛行経歴・技能・知識をもっていること
- 気象状態は安定しているかを確認すること など
また、許可が必要な場所で飛行する場合は早めに許可申請を行うなどの準備を怠らないようにしましょう。
飛行規則⑨:他人に迷惑を及ぼすような飛行をしないこと飛行をしないこと
地上や水上の人または物件に対して、安全を損なうような方法で飛行をしないようにしましょう。
ドローンの空撮では、周囲の人や車した撮影には注意しましょう。人の顔やナンバープレートが映った動画や画像をインターネット上にアップすると、プライバシーの侵害とみなされる可能性があります。
航空法の規制外でも私有地など飛行禁止区域が存在する
ドローンの飛行が禁止されている区域は、上記でご紹介した航空法により定められている場所だけではありません。
他にも「小型無人機等飛行禁止法」により国会議事堂など国の重要施設周辺、他人が管理・所有している私有地なども無許可でドローンを飛ばすことは禁止されています。
また、東京都ではすべての都立公園でドローンの飛行が禁止されているように、地域によって独自の条例が定められている場合もあります。
飛行禁止区域を飛行可能にする「許可申請」
航空法で飛行禁止と定められた区域でも、地方航空局や空港事務所へ許可申請を行い承認を得ることができれば飛行が可能となります。
また、禁止されている飛行方法についても「薬物および飲酒時」以外については国土交通大臣から承認を得ることで飛行ができます。
飛行場所や飛行方法によって申請方法や申請先が異なるので、まずはドローンに関する法律をよく理解したうえで適切に申請を行いましょう。
国土交通省にドローンの飛行許可申請を行う方法
「国土交通省への飛行許可申請」と聞くと、一般人にはハードルが高い手続きとイメージする方も多いのではないでしょうか。
慣れるまでは書類作成に時間がかかる場合もありますが、要点をしっかりと押さえていれば一般の方でもスムーズに申請手続きを済ませることが可能です。
許可申請の方法は3通り
国土交通省へドローンの飛行許可申請を行う方法は、大きく分けて以下の3通りがあります。
- 「DIPS」からオンライン申請を行う
- 申請書類を郵送で提出する
- 申請書類を窓口に持参して提出する
DIPS「ドローン情報基盤システム」のことで、国土交通省が提供しているドローン関連のオンライン申請システムです。
システム上に表示されている必要事項を入力のうえ送信するだけで手続きが完了する便利なシステムで、国土交通省から推奨されている申請方法でもあります。
DIPSを使った申請方法の詳細については、画像付きで手順を解説している以下の記事を参考にしてみてください。
ドローンの用途に応じて個別申請・包括申請を選ぼう
飛行許可申請を行うにあたって、書類の提出方法だけでなく申請のタイプも選ぶ必要があります。
ドローンの飛行許可申請には、「個別申請」と「包括申請」の2種類があります。
個別申請とは、規制に該当する場所・方法でドローンを飛ばす際、その都度書類を提出する申請方法です。
一方で包括申請とは、一定期間内に規制されている場所・方法で繰り返し飛行を行う場合にまとめて許可承認を得ることができる申請方法のことです。
個人的な趣味でドローンを飛ばすのであれば、個別申請でも問題ありません。
事業目的で繰り返しドローンを飛ばす場合は、手続きに伴う手間を削減するためにも包括申請がおすすめです。
ドローンの資格を持っていれば許可申請が簡略化される
ドローンの国家資格を取得していれば、飛行許可申請手続きが免除または簡略化される場合があります。
国家資格であれば、「一等資格」「二等資格」のどちらも簡略化の対象です。
国土交通省から認定を受けた民間資格も簡略化の対象となりますが、2025年12月4日が期限とされています。
なお、手続きの簡略化は国家資格の取得以外にも以下のような条件があります。
- ドローンの飛行ルートやその周辺の「立入管理措置」を行う
- ドローンの総重量が25kg未満
- 第一種または第二種機体認証を取得している
- 申請内容が「空港周辺」「150以上の上空」「イベント会場上空」「危険物輸送」「物件投下」のいずれかである
ただし上記のうち1~3までに該当しており、なおかつ「人口集中地区」「夜間飛行」「目視外飛行」「人や物との距離が30m未満」のいずれかを実施する場合は、飛行許可申請手続きが免除されます。
もちろん、免除の対象となるには国家資格の取得が必要です。
航空法に違反するドローン飛行をした場合はどうなる?
航空法で定められた飛行禁止区域内、または飛行方法でドローンを無許可で飛ばした場合、「無人航空機の飛行等に関する罪」が適用されます。
違反者には、50万円以下の罰金が科せられることがあります。
知らなかったでは済まされない事態に陥る恐れがあるため、航空法についての知識を十分につけておくことが重要です。
実際に航空法に違反してドローンを飛ばした人が逮捕されたという実例もあるため、ドローンに関する規制を守らないと厳しく処罰されることが考えられます。
<実例>
京都区検は18日までに、許可なく住宅地でドローンを飛ばしたとして、航空法違反罪で京都市中京区の男性会社員(35)を略式起訴した。8日付。京都簡裁は9日に罰金20万円の略式命令を出した。
産経ニュース
国土交通相の許可を受けずにドローンを禁止区域で飛ばしたとして、福岡県警は3日、北九州市戸畑区西大谷1丁目の会社員塩川貢志容疑者(58)を航空法違反の疑いで逮捕し、発表した。
朝日新聞デジタル
ドローンの法整備は着々と。直近の改正航空法の内容とは
2015年に航空法が改正されてからというもの、ドローンの進化や普及率は上昇の一方です。
そんな中、2020年12月に国土交通省の航空局より「無人航空機レベル4の実現のための新たな制度の方向性について」という資料が公開されました。
従来のルールでは実施不可能だった「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4)」を2022年に実施するため、規制の見直しや追加を行うという航空法の改正案が公表されたのです。
法改正の内容は主に「免許・ライセンス制度」「機体認証制度」の追加や「航空法対象ドローンの拡大」の3つが挙げられます。
ドローンの免許・ライセンス(国家資格)制度
改正航空法の施行に伴い、ドローンの国家資格制度(無人航空機の操縦者技能証明制度)が新設されました。
ドローンの国家資格には「一等資格(一等無人航空機操縦士)」と「二等資格(二等無人航空機操縦士)」という、2つの区分があります。
先述したように、どちらを取得しても国土交通省への飛行許可申請手続きが免除または簡略化されます。
さらに一等資格を取得した場合は、従来は禁止されていたレベル4の飛行も認められるようになりました。
なお、ドローンの国家資格には3年間の有効期限が設けられています。
期限が迫ったら、登録更新講習機関(ドローンスクール)を受講のうえ技能証明書を改めて発行する必要があります。
ドローンの国家資格の取得方法について
ドローンの国家資格は、国土交通省指定の登録講習機関(ドローンスクール)を受講のうえ試験を受けるか独学で試験を受けることで取得可能です。
試験は学科試験・実地試験・身体検査の3つがあり、ドローンに関する知識や技術力だけでなく、安全に運用するための身体基準を満たしているかどうかもチェックされます。
ただし、登録講習機関を受講した場合は試験の一部が免除されます。
スムーズに資格取得を目指したい方は、登録講習機関の受講をおすすめします。
ドローンの機体認証制度
国家資格制度に伴い、ドローンの機体認証制度も新たに制定されました。
国土交通省が定めたドローンの安全基準を満たしているかどうかを、「設計」「製造過程」「現在の状態」の面で審査のうえ認証書を交付する制度です。
自動車に例えるとドローンの国家資格は運転免許証、機体認証は車検のような制度と考えて良いでしょう。
前項ではドローンの国家資格を取得すると許可申請手続きが免除または簡略化されると述べましたが、その対象となるには機体認証を済ませる必要があります。
ドローンの機体認証の区分も、「第一種機体認証」と「第二種機体認証」の2通りです。
レベル4飛行を行うには第一種機体認証、レベル4以外の規制されている場所・方法で許可申請なしで飛行を実施するなら第二種機体認証が必要になります。
国家資格と同じく、ドローンの機体認証も3年間が有効期限となっています。
有効期限が迫ったら、その都度申請を行って認証書を更新しなければなりません。
航空法対象ドローンの拡大
2020年12月に発表された資料の中でも特に注目したいポイントが、「航空法対象ドローンの拡大」です。
政府はこれまで200g以上としていた航空法の規制対象ドローンを、100g以上に変更する方針を固めました。
近年普及が進んでいる200g未満のドローンは小型でも飛行速度の速い機体が多いだけでなく、手軽に入手できるようになり危険性が増していることを踏まえての変更とのことです。
【事例別】航空法改正後にドローンでできること・できないこと
ここまで航空法の主な改正について解説しましたが、「結局のところ何ができて何がダメなのか」という疑問が残る方もいるのではないでしょうか。
参考として、航空法改正後にドローンでできること・できないことを具体的な事例ごとにご紹介いたします。
事例①「資格なしでドローンを飛ばす」
国家資格・民間資格にかかわらず、無資格者がドローンを飛ばすことそのものは禁止されていません。
航空法をはじめとする法律で禁止されていない場所・方法であれば、無資格者でも許可申請無しで自由にドローンを飛ばすことができます。
ただし航空法改正後に新設された国家資格を取得することで、国土交通省への許可申請手続きが簡単になります。
航空法の規制対象となっている場所・方法でドローンを飛ばす機会がある方なら、国家資格を取得して損はありません。
事例②「機体認証なしでドローンを飛ばす」
航空法改正後に新設された機体認証制度は、機体重量100g以上のドローンに義務付けられた制度です。
100g以上のドローンを飛ばす場合、機体認証手続きなしでドローンを飛ばすことはできません。
ただし100g以上のドローンでもあらかじめ「試験飛行届出書」を提出しており、目的が研究開発または製造過程に必要な飛行であれば、機体認証なしでも問題ありません。
事例③「街中でドローンを飛ばす」
無資格かつ許可申請なしで、街中の上空にドローンを飛ばすことはできません。
ただしあらかじめ国土交通省への許可申請を済ませており、第三者の立ち入り管理や安全性の確保を実施する場合は街中でドローンを飛ばすことができます。
なお、新設された国家資格制度により、国家資格の取得など条件を満たしていれば許可申請なしでも航空法違反にはなりません。
事例④「広くて誰もいない河川敷・公園でドローンを飛ばす」
人がいない河川敷や公園は、管理している自治体により禁止されていなければドローンの飛行が可能です。
ただしドローンから30m以内の距離に人や物がある場合は、許可申請無しで飛行させることはできません。
河川敷や公園での飛行は航空法違反とはならなくても、自治体が独自に定めた条例違反となるリスクが伴います。
飛行前に必ず管理をしている事務所に問い合わせ、許可を得る必要があります。
ドローンの規制が厳しいのは航空法がある日本だけ?
日本国内では航空法をはじめ、ドローンの飛行を規制する法律がいくつも存在します。
「ここまでドローンの規制が厳しいのは日本だけなのでは?」とイメージされがちですが、もちろん海外にもドローンの飛行に関して様々なルールが設けられています。
ドローンの規制が多いのは日本だけではない
日本は国土の事情から、ドローンを飛行させる際に安全な航路を確保することが難しい国です。
加えて過去にはドローンによる墜落事故が増加したこともあり、航空法や小型無人機等禁止法など様々な法律でドローンの飛行を規制せざるを得ない状態となりました。
とはいえ、ドローンの飛行に関して多くの規制ルールが設けられているのは日本に限った話ではありません。
「ドローン大国」と呼ばれている中国やドローンの社会実装が進んでいるアメリカなども、ドローンの飛行に関する規制や機体登録・ライセンス制度が設けられています。
海外のドローン規制
海外のドローン規制の例として、中国・アメリカ・台湾・オーストラリア・タイにおける規制内容や制度についてご紹介いたします。
中国
中国ではドローンを飛行させるにあたって、「中国民間航空局への実名登録」と「機体重量250g以上のドローンの機体登録」が義務付けられています。
さらに、機体登録時に発行される二次元コードを機体に貼り付けていないと飛行させることはできません。
他にも、飛行に関しては以下のようなルールが定められています。
- 400フィート(高度約120m)以下で飛行させること
- 目視の範囲内で飛行させること
- 基本的に飛行できるのは日中のみ
- 空港、飛行場、軍事施設、政治的施設の周辺で飛行させないこと
- 周囲の人や建物との距離を30m以上保ちながら飛行させること
- 物件投下をしないこと
飛行規制の内容としては、日本の航空法におけるドローンの飛行規制と似たものが多く見受けられます。
ただし中国民間航空局への申請や登録には中国の電話番号が必要となるため、日本を含め国外から訪れた旅行者にとって中国国内での飛行はハードルが高いと言えます。
アメリカ
アメリカではドローンの機体登録制度が設けられており、13歳以上のホビー利用者および16歳以上の商用利用者が登録の対象です。
機体登録時に発行される番号は、機体の見えやすい位置に貼り付けることが義務付けられています。
また、商用目的でドローンを飛ばすにはアメリカ連邦航空局(FAA)が定めたライセンスを取得する必要があります。
その他ドローンの飛行に関する規制の内容は、以下の通りです。
- 機体重量は25kg以下であること
- 400フィート(高度約120m)以下で飛行させること
- 目視の範囲内で飛行させること
- 基本的に飛行できるのは日中のみ
- 他の航空機や空港近くでの飛行は禁止
- 人が多く集まる場所やスタジアム、スポーツイベント上空での飛行は禁止
- 事故、火事、捜索救助などの現場付近での飛行は禁止
- 飲酒時の飛行は禁止
なお、州ごとに独自の規制が設けられていることもあるため、飛行場所となる州のルールも確認が必要です。
台湾
台湾では、台湾交通部民用航空局(CAA)にて250g以上のドローンに対し登録が義務付けられています。
また、2kgを超えるドローンを扱うには免許の取得や機体・操縦者の登録も必要です。
ドローンの飛行方法に関する規制内容は、以下の通りです。
- 400フィート(高度約120m)以下で飛行させること
- 目視の範囲内で飛行させること
- 基本的に飛行できるのは日中のみ
- 政府施設や空港付近での飛行は禁止
- 物品の輸送や投下は禁止
- 人が集まる場所やイベント上空での飛行は禁止
オーストラリア
オーストラリアでは、ホビー利用時と商用利用時で異なる規制が設けられています。
ホビー利用の場合、機体重量に関する規制やライセンス取得の義務はありません。
一方で商用利用をする場合、機体重量が2kgを超える場合はライセンス・オペレーター資格の取得が必要です。
また、航空照会番号の取得も義務付けられています。
その他飛行に関する規制内容は、以下の通りです。
- 400フィート(高度約120m)以下で飛行させること
- 目視の範囲内で飛行させること
- 基本的に飛行できるのは日中のみ
- 人が集まる場所やイベント上空での飛行は禁止
- 事故、火事、捜索救助などの現場付近での飛行は禁止
- 基本的に複数のドローンの同時飛行は禁止
- 第三者から30m以内の距離での飛行は禁止
- 航空機付近での飛行は禁止
- 空港や飛行場などから半径5.5km以内での飛行は禁止
- 他人のプライバシーを侵害するような空撮は禁止
タイ
タイでは、カメラを搭載しているすべてのドローンの機体登録が義務付けられています。
また、カメラがなくても2kgを超えるドローンも機体登録が必要です。
機体登録を行うことで、タイの民間航空局(CAAT)から飛行ライセンスが交付されます。
さらにドローンは電波を使用して操縦を行うことから、全国放送通信委員会への機体登録も必要です。
飛行に関する規制内容は、以下の通りです。
- 300フィート(高度約90m)以下で飛行させること
- 危険な飛行は禁止
- 禁止されている物品やレーザーを飛ばす装置の輸送は禁止
- 人が集まる場所やイベント上空での飛行は禁止
- 空港や飛行場から9マイル(約14km)以内での飛行は禁止
- 他人のプライバシーを侵害する空撮は禁止
- その他規制エリアでの飛行は禁止
航空法のドローン規制に関してよくある質問
航空法におけるドローン規制に関してよくある質問を、回答と一緒にまとめました。
Q1.航空法の規制対象に100g以上のドローンが追加されたのはいつからですか?
100g異常のドローンも航空法の規制対象に追加されたのは、2022年6月20日です。
2022年6月20日以降、機体登録を済ませていない100g以上のドローンを飛行させると航空法違反となります。
Q2.航空法とは別にドローン法もありますか?
航空法とは別に、ドローンの飛行場所に関して制限を設けた「小型無人機等飛行禁止法」があります。
他にも道路交通法・電波法・民法・自治体の条例など、ドローンに関して直接的な規制はなくとも飛行時に注意するべき法律は複数あります。
Q3.ドローンを飛ばすのに免許は必要ですか?
ドローンを飛ばすだけであれば、免許を取得する必要はありません。
ただしレベル4飛行を実施したい場合、国家資格である一等資格の取得と第一種機体認証の登録が必要です。
また、二等資格や国から認定を受けた民間資格を取得すると、飛行許可申請が簡略化されるというメリットがあります。
Q4.航空法で義務付けられている「ドローンの立入禁止措置」とは何ですか?
「ドローンの立入禁止措置」とは、ドローンの飛行経路において第三者(操縦者とその補助者以外の人)の立ち入りを制限することを指します。
具体的には関係者の立ち入りを禁止する看板やコーンの設置、補助者による監視・口頭警告などを行います。
まとめ
今回は航空法の中で定められている、ドローン飛行のルールについて解説いたしました。
航空法についてまとめると以下のようになります。
- 航空法とはドローンを含む航空機の離着陸や航行の安全を確保するための法律
- ドローンの飛行には航空法第132項が適用される
- 航空法では3つの禁止区域エリアと9つの飛行方法が決められている
- 飛行禁止区域や飛行方法でも許可申請を行えば飛行可能になる
他にも、ドローンを飛行するうえで確認しておくべき法律は以下の通りいくつもあります。
- 小型無人機等飛行禁止法
- 道路交通法
- 電波法
- 民法
- 各自治体の条例 など
ドローンに関わる法規制の確認を怠ると意図せずとも法律に抵触する恐れがあるため、予期せぬ形で罰則を受けないようにしっかりと知識を身に着けておきましょう。
航空法以外の法規制については以下の記事をご参考ください。
法律で禁止と定められていること以外にも、人や建物などに危害を加えないよう安全に飛行する準備を怠らないこともマナーです。
2022年の法改正はもちろん、今後も改正や変更などが考えられます。
航空法だけでなくドローンに関わる情報を随時チェックしながら、正しくドローンを活用していきましょう。
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