ドローンの飛行禁止区域とは?該当エリアの調べ方も解説

更新日: 2021.11.19 公開日: 2021.10.07
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マサト

ドローンの飛行禁止区域って何?
どうやって調べたら良いの?

ドローン講師

ドローン飛行では禁止されているエリアがあります。
禁止エリアはアプリなどで簡単に調べることができるので、
合わせてご紹介します。

ドローンは「無人航空機」として分類されており、飛行における様々なルールや飛行禁止区域が定められています。

今回は、ドローンの飛行禁止区域を一つずつ解説します。

この記事でわかること
  • 飛行禁止エリアにはどんな場所があるのか
  • 飛行禁止エリアで飛行させた場合の罰則
  • 飛行禁止エリアの確認方法

をわかりやすく解説しています。

該当区域で飛行させてしまった場合はどうなるのか、一目で飛行禁止区域を確認できる便利なアプリなどについても記載しています。

ドローンを飛ばす前に、この記事を是非参考にしてみてください。

MEMO

ドローン飛行時の法律やルールから、飛行禁止エリアの探し方、許可申請の方法まで

ドローン飛行における規制とは?法律や条例から罰則まで徹底解説

にて紹介していますので、合わせてご覧ください。

目次

ドローンの飛行禁止区域とは

ドローンの飛行禁止区域とは、航空機の航行の安全に影響を及ぼしたり、落下した場合に地上の人へ危害を及ぼす恐れが高い空域として定められたエリアのことです。

まずはドローンの飛行禁止区域を1つずつご紹介していきます。

飛行禁止区域①:150メートル以上の上空

地上または海や川などの水面から150メートル以上の上空は、飛行禁止区域とされています。

理由としては航空法で定められる航空機の「最低安全高度」が関係しています。

航空法施行規則(第百七十四条)
法第八十一条 の規定による航空機の最低安全高度は、次のとおりとする。

一  有視界飛行方式により飛行する航空機にあつては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの

イ 人又は家屋の密集している地域の上空にあつては、当該航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度

ロ 人又は家屋のない地域及び広い水面の上空にあつては、地上又は水上の人又は物件から百五十メートル以上の距離を保つて飛行することのできる高度

ハ イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあつては、地表面又は水面から百五十メートル以上の高度

二  計器飛行方式により飛行する航空機にあつては、告示で定める高度

航空法

上記の通り、航空機は地表面又は水面から150メートル以上の距離を保って飛行することが義務付けられています。

つまり、150メートル以上は航空機が飛び交う区域のため、事故につながりかねないのです。そのため、原則としてドローンは150メートル未満での飛行が可能とされています。

150メートル以上の高さまでドローンを飛ばす場合は、空域を管轄する管制機関との調整が必要です。

飛行禁止区域②:空港や空港周辺の制限表面とされる空域

空港または空港やヘリポートの周辺に設定されている進入表面など、航空機の離陸や着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域です。

空港ごとに飛行可能な高さが異なり、約6キロメートルから24キロメートルの範囲が飛行禁止エリアに指定されています。

飛行禁止区域③:人口集中地区

人口集中地区とは、

日本の国勢調査において設定される統計上の地区である。英語による”Densely Inhabited District”を略して「DID」とも呼ばれる。市区町村の区域内で人口密度が4,000人/km2以上の基本単位区(平成2年(1990年)以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定される。ただし、空港、港湾、工業地帯、公園など都市的傾向の強い基本単位区は人口密度が低くても人口集中地区に含まれる。

Wikipedia

上記に該当するエリア内で万が一ドローンが落下した場合、地上の人々や建物に危害を及ぼす恐れがあるためドローンの飛行が禁止されています。

人口集中地区は地理院地図(国土地理院)で確認できる

実際にドローンを飛行させたい場所が「人口集中地区」とされているかは、国土地理院の「地理院地図」から確認できます。

地図上の赤く塗りつぶされているエリアが「人口集中地区」です。

地理院地図

飛行禁止区域④:国の重要施設とその近辺約300メートル

平成二十八年法律第九号

重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律

国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等、防衛関係施設、空港及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止することにより、これらの重要施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等、良好な国際関係、我が国を防衛するための基盤並びに国民生活及び経済活動の基盤の維持並びに公共の安全の確保に資することを目的とする。

小型無人機法

上記の通り、「小型無人機等飛行禁止法」により、国会議事堂や皇居、最高裁判所、原子力発電所など国の重要施設内や周辺300メートル以内でドローンを飛ばすことは禁止されています。

ただし、対象施設の管理者や土地所有者から同意を得るなどの条件を満たすことで飛行が認められる場合もあります。

飛行禁止区域⑤:国の重要文化財周辺

国が指定する重要文化財やその周辺では、落下や衝突から文化財を守るため、ほとんどの場合ドローンの飛行を禁止されています。

重要文化財周辺でドローンを飛行させる場合、施設の管理団体へ確認する必要があります。

飛行禁止区域⑥:防衛関係施設とその近辺300メートル

防衛大臣が指定する対象防衛関係施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね300メートルの地域の上空においては小型無人機等の飛行が禁止されています。

防衛省・自衛隊(小型無人機等飛行禁止法について)

上記の通り、自衛隊施設や在日米軍施設といった、防衛大臣が指定する防衛関係施設またはその周辺300メートル以内におけるドローンの飛行は禁止されています。

飛行禁止区域⑦:自治体が管理する公園

各市町村の自治体が管理している公園や史跡、庭園など公共の場所もドローンの飛行を禁止されていることがあります。

例えば東京都ではすべての都立公園でドローンの飛行が禁止されていたり、大阪府では大阪市内の都市公園でドローンの飛行が禁止されていたりと対応の仕方は地域ごとに異なります。

飛行禁止区域⑧:他人の管理する私有地上空

第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。 引用:民法

上記の通り、民法では、私有地の権利は地上だけでなく地下や上空にも及ぶと定められています。

したがって、第三者が管理している私有地の上空は無断でドローンを飛ばすことができません。

飛行禁止区域以外にも場所によって飛行が禁止されている場所もある

都道府県によっては、上記でご紹介した「小型無人機等飛行禁止法」に基づいて定められた飛行禁止区域の他にも独自に飛行禁止ルールを設定しているところもあります。

北海道の飛行禁止区域

北海道では、主に市街地や北海道電力株式会社泊発電所や自衛隊駐屯地、新千歳空港、北海道立公園などがドローンの飛行禁止区域に該当します。

「小型無人機等飛行禁止法」をもとに定められたドローンの飛行禁止区域以外で、独自に設定されたルールは現時点では確認されていません。

北海道警察HP「小型無人機等の飛行禁止区域のおしらせ」

東京都の飛行禁止区域

東京都では、行政機関や皇居及び御所、空港、防衛関係施設などの重要施設が密集しています。

さらに人口集中地区に該当するエリアが多いことから、少なくとも23区内でドローンを飛ばすことは難しいです。

また、都立公園や庭園も禁止区域に含まれている他、多摩川など一部の都内河川敷もドローンの飛行を禁止している場所があるようです。

警視庁HP「小型無人機等飛行禁止法について」

京浜河川事務所HP:https://www.ktr.mlit.go.jp/keihin/keihin00836.html

大阪府の飛行禁止区域

大阪府では、陸上自衛隊駐屯地や空港、大阪市内の公園といった「小型無人機等飛行禁止法」に基づいた施設やその周辺での飛行が禁止されています。

また、東京都と同様に人口集中地区に該当するエリアが多いためドローンを飛ばせる場所は限られます。

他にも淀川河川事務所が管理する河川や国営淀川河川公園もドローンの飛行・持ち込みが禁止されているようです。

大阪府警察HP「小型無人機等飛行禁止法について」:https://www.police.pref.osaka.lg.jp/tetsuduki/9384.html

国土交通省淀川河川事務所HP「淀川河川事務所管内における無人航空機の飛行について」:https://www.kkr.mlit.go.jp/yodogawa/use/danger/index.html 

広島県の飛行禁止区域

広島県では、人口集中地区や飛行場、海上自衛隊呉地方総監部、空港などの重要施設やその周辺でのドローンの飛行が禁止されています。

また、平和記念公園や国営備北丘陵公園など一部の公園ではドローンの飛行はもちろん、持ち込みをすることもできません。

広島県警察HP「小型無人機等の飛行禁止区域の指定について」:https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/police/kogatamujinki.html 

山口県の飛行禁止区域

山口県では他県に比べてわずかではありますが人口集中地区がある他、海上自衛隊岩国航空基地や岩国飛行場、山口市内の都市公園が「小型無人機等飛行禁止法」に基づき飛行禁止区域の対象として定められています。

山口県独自の飛行禁止区域としては、七夕ちょうちんまつりや花火大会など、イベントの時期に合わせて開催地周辺のドローン飛行を禁止していることもあります。

山口県警察HP「海上自衛隊岩国航空基地及び岩国飛行場(在日米軍施設)周辺地域の上空における小型無人機等の飛行規制について」:https://www.police.pref.yamaguchi.lg.jp/contents/pc_e001_000005.html 

山口市HP「都市公園等におけるドローン及びそれに類する機器の使用を禁止しています」:https://www.city.yamaguchi.lg.jp/soshiki/78/3411.html 

滋賀県の飛行禁止区域

滋賀県では、現時点ではドローンに関する独自の条例などは特に設けられていません。

ただし航空法などは適用されるため、滋賀県内でドローンを飛ばしたい場所が人口集中地区に該当するかなどの確認は必要です。

福岡県の飛行禁止区域

福岡県では、人口集中地区に加え航空自衛隊基地や情報本部太刀洗通信所、福岡空港、県営都市公園でのドローン飛行が禁止されています。

なお、県営都市公園では報道や測量などの業務目的であれば申請をすればドローンの飛行が認められる場合もありますが、趣味としての飛行は認められません。

福岡県警察HP「ドローンの飛行ルールについて」:https://www.police.pref.fukuoka.jp/keibi/keibi/drone.html

福岡県HP「県営都市公園における無人航空機の飛行について」:https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/kouen-mujinkoukuuki.html 

沖縄県の飛行禁止区域

沖縄県では、人口集中地区や飛行場、空港、在日米軍基地、自衛隊基地などが飛行禁止区域です。

他にも首里城公園、琉球村、美ら海水族館を含む海洋博公園など地方自治体によって飛行禁止と定められた施設もあります。

沖縄県警察HP「小型無人機等飛行禁止区域のおしらせ」:https://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2020071500016/ 

飛行禁止区域で飛行した場合はどうなる?

飛行禁止区域内で許可なくドローンを飛行させた場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が発生します。

中には飛行禁止区域のルールに違反したことで逮捕されている事例もあります。

<実例>

国土交通相の許可を受けずにドローンを禁止区域で飛ばしたとして、福岡県警は3日、北九州市戸畑区西大谷1丁目の会社員塩川貢志容疑者(58)を航空法違反の疑いで逮捕し、発表した。 

朝日新聞デジタル

2021年5月、那覇市でドローンを無許可で飛行させたとして警察は、60代の男性を航空法違反の容疑で書類送検しました。 

琉球朝日放送

京都区検は18日までに、許可なく住宅地でドローンを飛ばしたとして、航空法違反罪で京都市中京区の男性会社員(35)を略式起訴した。8日付。京都簡裁は9日に罰金20万円の略式命令を出した。

産経ニュース

大台ケ原(奈良県上北山村)上空で小型無人機「ドローン」を許可が必要な高さで飛行させたとして、航空法違反容疑で奈良県警に書類送検された男性(45)について、吉野区検は不起訴(起訴猶予)処分とした。

産経ニュース

ドローンを飛ばしたい場所が禁止区域に該当しないかを事前にしっかりと確認しておきましょう。

以下の記事では、ドローンに関わる法律について詳しく解説しています。

こちらも併せてご覧ください。

飛行禁止区域を確認するならアプリがおすすめ

事前に飛行禁止区域を確認しておくことは重要ですが、自分で調査すると手間がかかります。

そこで、飛行禁止区域が一目で分かる便利なアプリの活用をおすすめします。

ドローン飛行チェック

iPhoneとAndroidのどちらにも対応しているアプリです。

「人口集中地区」「空港・ヘリポート・自衛隊基地」をマップ上で確認できます。

ただし、「小型無人機等飛行禁止法」に該当する国の重要施設などには対応していません。

マップ上に差されたピンから「ピンの場所を確認」すると、飛行可能エリアや飛行可能時間を表示してくれます。

ドローンフライトナビ

「人口集中地区」「空港、ヘリポート、自衛隊基地(進入表面なども対応)」「小型無人機等飛行禁止法」など、飛行禁止区域に該当するエリアすべてを表示してくれるiPhone専用アプリです。

ログイン作業などは不要で、アプリをダウンロードすればすぐに飛行禁止区域を見ることができます。

国土地理院 地理院地図

国土交通省の国特別機関である国土地理院が作成した地図です。

5年ごとに実施される国税調査に基づき定められた「人口集中地区」や、「空港等の周辺空域」を簡単に確認できます。

なお、空港周辺エリアについては誤差が含まれている可能性があるため、境界付近で飛行を計画している場合は飛行場所が「空港等の周辺空域」に該当するか空港などの管理者に確認する必要があります。

SORAPASS

航空法で定められたドローン飛行禁止空域や国の重要施設、自衛隊基地、発電所などが確認できる地図サイトです。

ただし、「空港等の周辺空域」は一律9km範囲で表示されています。

そのため国土地理院が提供している正式な「空港等の周辺空域」範囲と誤差がある点には注意しましょう。

許可申請を行うことで飛行禁止区域でもドローンを飛ばせる

ドローンの飛行禁止区域として定められたエリアでも、対象エリアの管理者や所有者に許可申請を行えばドローンの飛行が認められる場合があります。

ただし、飛行の前にあらかじめ警察や各区海上保安部長などへの通報が必要です。

さらに防衛関係施設や空港の周辺地域の上空を飛行する場合は、対象施設の管理者への通報もしなければなりません。

ドローンの飛行許可については、以下の記事で詳しく解説しています。

こちらも参考にしてみてください。

飛行禁止区域はオリンピックなどイベントで拡大されることも

基本的に飛行禁止区域は上記の通り定められた場所となっていますが、イベントなどにより期間限定で拡大されることもあります。

例えば、東京オリンピックの開催時にも、様々な地域でドローンの飛行禁止区域が拡大されました。

飛行禁止区域の対象とされたのは、聖火リレー通過地点や競技会場、路上協議開催地に該当する「対象大会関係施設」として指定された施設の敷地又は区域及びその周囲300メートルの地域の上空です。

スポーツ庁HP「令和3年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法による小型無人機等の飛行の禁止について」:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop08/list/detail/1372975_00001.htm

オリンピックだけではなく、地域によって行われるイベントでも開催中の飛行が禁止されることもありますので、事前に確認しておきましょう。

【おまけ】日本人に人気のリゾート「ハワイ」の飛行禁止区域はどうなっている?

ここまで、日本国内における飛行禁止区域についてご紹介してきました。

ドローンを所有する方の中には、旅先へ所持して、思い出として空撮をしたいと言う方もいるのではないでしょうか。

例として、日本人の旅行先として人気のハワイの飛行禁止区域について調査してみました。

ハワイでは、ドローンを飛ばす際以下のルールが定められています。

  • 13歳以上であること
  • 地上から400フィート(約121メートル)の高度を維持すること
  • 飛行機や飛行場付近での飛行は禁止
  • 人の集まり、集団の上空飛行は禁止
  • スタジアムやイベントの上空を飛行することは禁止
  • 火事など緊急現場付近での飛行は禁止
  • 薬の利用やアルコール摂取時の飛行は禁止

このように、ハワイにもドローンの飛行禁止区域が存在することが分かります。

土地勘がなくドローンの飛行可能な場所が判断できない場合は、FAAが推奨するドローン飛行情報アプリ「B4UFLY」をダウンロードしておくと良いでしょう。

まとめ

航空機の航行や地上にいる人々の安全を守るために、ドローンの飛行禁止区域が法律として定められています。

行政機関や防衛施設などドローンを飛ばしてはいけない場所として分かりやすい区域もあれば、市区町村が運営している公園や河川敷といった意外な場所が飛行禁止区域に含まれていることもあるので注意が必要です。

ドローンを飛ばす前に、飛行禁止区域を確認したり申請許可などの正しい手続きを済ませてから安全に楽しみましょう。

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