ドローンの普及が進む中で、「自分もドローンをやってみたい!」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、ドローンは安全に飛行させるための技術がなければ、墜落による事故を発生させるリスクが伴います。
そのため、基本操作をしっかりと身につけなければなりません。
そこで今回は、ドローンの基本的な操作方法や練習方法を解説します。
- ドローンを操作する前に確認すべき事項
- ドローンの基本的な操作方法
- ドローン操作の練習方法
- 操作方法上達のコツ
を知ることができます。
初心者の方は是非参考にしてみてください。
ドローンを操作できる仕組みは?
ドローンの操作方法に関する理解を深めるため、まずは「どのようにして操作ができるのか」という仕組みについて知っておきましょう。
ドローンは、基本的に「プロポ」という送信機で機体を操作します。
プロポは本来ラジコンカーを操作するコントローラーを指しますが、ドローンのコントローラーに流用された名残から、今もなおドローンの送信機はプロポと呼ばれています。
プロポには左右に操作用のスティックが1本ずつ配置されており、機体はスティックを倒した向きや角度に応じた動き方をします。
なお、プロポで行われた操作は電波により機体へ伝わります。
その際に用いられる電波の周波数は、一般向けドローンの場合2.4GHz帯であることが多いです。
ただし産業用ドローンやFPVドローンの場合、無線免許が必要な5.7GHz帯・5.8GHz帯の電波が使われていることもあります。
ドローンの操作は難しい?
ドローンは、浮上して前進する程度の操作なら難しくありません。
近年は自動的に高度や姿勢を維持してくれるドローンも多く、便利な機能によるサポートで初心者や子供も簡単に操作できるようになっています。
ただし、旋回・対面飛行・障害物がある場所での飛行など、繊細な操作が求められる飛行は難易度が高いです。
360°全方位に移動できるドローンは、ラジコンカーよりも距離感を掴みにくいだけでなく、飛ばしているうちに前後の判別が難しくなります。
ドローンを自由自在に飛ばしたり、空撮で様々な被写体・風景を撮影できたりするレベルとなるには、とにかく練習を重ねて操作感を体に覚えさせる必要があります。
ドローンの操作に関する2つのモード
ドローンのプロポ(コントローラー)には「モード1」 「モード2」の2種類の操作モードが存在します。
モード1 | モード2 | |
---|---|---|
右スティック | 上昇/下降/左右移動 | 前後移動/左右旋回 |
左スティック | 前後移動/左右移動 | 上昇/下降/左右旋回 |
モード1と2では、上昇・下降と前後移動に対応したスティックが逆になります。
日本におけるドローンはモード1が主流ですが、海外ではモード2が標準的な操作モードです。
ドローンを始める上でモード1とモード2のいずれかを選ぶ必要があるのですが、選ぶ基準としては以下の通りです。
モード1の特徴・おすすめな人 | ・ラジコンヘリでも主流の操作モード ・海外製品は対応していない機種もある ・ホバリング機能がないドローン、日本製のドローン、ラジコンヘリを操縦したい方におすすめ ・国内で資格を取得する場合おすすめ |
モード2の特徴・おすすめな人 | ・海外製のドローンで主流とされる操作モード ・右スティックのみで前後左右に移動するので、直感的な操作ができる ・上昇下降は左手で行うので、利き手が右の人はホバリングが難しくなる ・海外製品を購入する方におすすめ |
ドローンの基本的な操作方法
ドローンの基本的なスティック操作についてご紹介します。
1.始動方法
機体を上昇させる前に、左右のスティックを「ハの字」または「逆ハの字」に倒してモーターを始動させます。
なお、飛行中にこの操作を行うとモーターがオフになり機体が緊急落下してしまうため注意してください。
または
2.上昇方法
- モード1:右スティック
- モード2:左スティック
スティックをゆっくりと上に倒して上昇させ、離陸します。
※モード1
※モード2
3.前後左右移動方法
●前後移動
- モード1:左スティック
- モード2:右スティック
●左右移動
- モード1:右スティック
- モード2:右スティック
前後に水平移動したい時はスティックを上下に、左右に水平移動させたい時はスティックを左右に倒します。
※モード1
※モード2
4.左右回転方法
- モード1:左スティック
- モード2:左スティック
スティックを右へ倒すと機体は右を向き、左へ倒すと左を向きます。
方向転換したい時に機体を回転させましょう。
※モード1
※モード2
5.着陸方法
- モード1:右スティック
- モード2:左スティック
スティックをゆっくりとした方向へ倒し、機体を地面まで下降させます。
着陸するとモーターはオフになります。
※モード1
※モード2
ドローン操作(操縦)の具体的な練習方法
基本的な操作を理解できたら、実際に機体を動かして練習してみましょう。
練習1:離陸・着陸
離陸の際は思い切り上昇させ、着陸の際はゆっくりと下降させることがポイントです。
練習2:ホバリング
下降しそうになったら上昇(右スティックを上に倒す)、上昇しそうになったら下降(右スティックを下に倒す)、左右へブレそうになったら逆の方向へ移動(左へブレたら左スティックを右へ、右へブレたら左スティックを左へ)などして調整します。
一見簡単そうにも思えますが、上下・左右移動を同時に行わなければならないため、上手くホバリングできるまで少し時間がかかるかもしれません。しっかりと練習することが大切です。とが大切です。
練習3:左右移動(エルロン)・着陸
左へ移動する場合は右スティックを左へ、右へ移動する場合は右スティックを右へ倒します。
※移動地点まで目印を置くと分かりやすいです
急激にスティックを動かすとスピードが出て危険なので、ゆっくりと倒し一定の角度に留めることがポイントです。
練習4:前後移動・着陸
前へ移動する場合は左スティックを上へ倒します。
右へ旋回させる場合は左スティックを右へ倒し、左へ旋回させたい場合は左スティックを左へ倒します。
左スティックを下(手前)に倒すことで後進させることができます。
前進させるだけでも機体がずれてしまうことがあるので、調整しながらゆっくり操作します。
練習5:帰還
ドローンを離陸地点まで帰還させる動作の練習です。
下降は右スティックを下(手前)に倒すことで下降させることができます。
中には自動で帰還する「リターントゥホーム」機能が搭載されたドローンもありますが、手動による操作でも帰還させることができるようになりましょう。
練習6:ドローンの向きを変える(回転:ラダー)
左に向きを変えたい場合は、左スティックを左へ。右に向きを変えたい場合は、左スティックを右へ倒します。
前に向きを変える場合は左スティックを上に倒し、後ろに向きを変える場合は左スティックを下(手前)に倒します。
練習7:四角形移動
この時、自分の位置は手前のテープの真ん中あたりに立ちます。
右スティックを左に倒し、目印上までドローンを移動させます。
左スティックを上へ倒し、左奥の目印上まで移動させます。
右スティックを右に倒し、右奥の目印上まで移動させます。
左スティックを下(手前)へ倒し、右手前の目印上まで移動させます
右スティックを左へ倒し、自分の目の前までドローンを移動させキープします。
時計回りだけでなく、反時計回りも練習してより上下左右移動を安定させることができるようにしましょう。
上達してきたらドローンの正面を移動させる方向に向けた状態で四角移動ができるように練習しましょう。
練習8:円形移動
左旋回する場合は左スティックを左へ、右旋回する場合は右スティックを右へ倒しつつ、右スティックで移動したい方向(右もしくは左)へ移動させます。
この時、左スティックは軽く倒し、右スティックは徐々に倒すことがポイントです。
慣れてきたら、常に機体を離陸地点に向けながら縁を描くように移動させてみましょう。
空撮の際、被写体を中心として360度撮影することができるテクニックなので是非習得してみてください。
練習9:8の字移動
慣れるまでは8の字にコーンやテープを置いて、移動の目安にすると良いでしょう。
上下・左右・前後移動、旋回という4種類の操作を駆使する難易度の高い動作です。
中心点をずらさないように意識しながら、一定の大きさの円を描けるようになるまで練習しましょう。
FPVドローンの操作練習
FPVは「First Person View」の略で、ドローンに取り付けたカメラの映像を手元の画面(スマホなど)に映し出すことで、ドローン目線での飛行が可能になります。
ドローンレースに参加する方やドローンの視点で空撮をしたい方など、FPVドローンの操作をマスターする必要があるでしょう。
FPVドローンの3つのモード
FPVドローンには「アングル」 「アクロ」 「ホライゾン」という3つの飛行モードがあります。
アングル | ・補助機能付き ・操作をしなくても自動的に水平姿勢を維持できる ・アクロバティックな操作はできない ・初心者向き |
アクロ | ・水平姿勢制御なし ・アクロバティックな操作ができる ・上級者向け |
ホライゾン | ・水平姿勢制御あり ・アクロバティックな操作ができる |
それぞれの違いについて理解しないまま操作すると、最悪の場合機体を故障させる恐れもあるため注意が必要です。
アングルモード
補助機能が付いているモードで、スティックを離した際にジャイロが働き自動的に水平姿勢を維持してくれるため、安定した操作性で、通常の飛行に適したモードです。
ただし、設定した角度以上に機体を傾けることはできないため、アクロバティックな動きやスピード感のある操作には向いていません。
初心者の方はまずアングルモードでの操作に慣れることから始めましょう。
アクロモード
アングルモードのような水平姿勢制御が無効になるため、フリップや急速旋回など自由度の高い飛行を楽しめます。
ただし、スピードコントロールや姿勢制御など操作をすべてマニュアルで行うため、高度な飛行テクニックが必要です。
初心者の方だと上手く制御できず墜落・故障させる危険性もあるので、慣れるまではアクロモードによる操作は避けてください。
ホライゾンモード
アングルモードとアクロモードの中間的なモードで、水平姿勢制御サポートは付いていますが角度の制限がありません。
そのため、スティックを倒している間は機体を自由な角度に傾けてアクロバティックな飛行が楽しめます。
スティックを中央に戻すと機体は自動的に水平姿勢へ戻ってくれるため、自由度の高い飛行と姿勢の安定性を兼ね備えたモードとなっています。
練習1:ホバリング
まずは、上記で紹介した方法でホバリング練習を行うのですが、最初はFPV視点ではなく目視で飛行させてください。
目視で安定してホバリングできるようになったら、次はFPV機能で練習を行います。
FPVの視点では操作感も異なるので、感覚を掴みながら安定したコントロールができるように練習しましょう。
練習2:ゴーグルなしで直進・Uターン
ホバリング同様、まずは目視で直進・Uターンの練習を安定した操作ができるまで行ってください。
目視での直進・Uターンが安定して操作できるようになったら、ドローンを正面に向けてからの練習を行い、慣れてきたら自分と対面する形で直進やUターンを練習します。
正面と対面ではプロポの操作が真逆になるので、使い分けに慣れるまで何度も練習しましょう。
練習3:右旋回・左旋回
ホバリング・直進・Uターンができるようになったら、次は旋回の練習です。
これまで室内で練習していた場合は、屋外での練習を始めてみてもいいしょう。
練習方法としては、目印などを設置したうえで右旋回→ホバリング、左旋回→ホバリングという動作を繰り返していきます。
正面向きの操作に慣れてきたら、対面でも同じ練習を行ってください。
練習4:障害物回避
障害物を設置して、回避させたり外周を回ったりなどの操作を練習します。
機体と障害物との距離感も目視とFPVで異なるので、繰り返し練習して距離感を体に覚え込ませてください。
FPVドローンは高度なテクニックを要するため、通常のドローンに慣れた後に練習を開始するのがおすすめです。
ドローン操作(操縦)の上達のコツ
ただ操作練習を繰り返すよりも、コツを押さえながら練習をする方がより上達します。
ドローン操作の上達のコツは以下の
- ゆっくりと操作をする
- 繰り返し練習する
- 高さや奥行きの感覚を掴む
- 遊びながら練習をする
では、1つずつ詳しくみていきましょう。
ゆっくりと操作をする
基本的に、緊急時を除いてプロポの操作はゆっくりと行うのが大切です。
急激にスティックを倒すと想像以上のスピードでドローンが動いてしまい、上手く制御できなくなります。
また、離着陸の際もドローンに勢いが付きすぎると機体に衝撃が加わり、繰り返す内に負担が蓄積されて故障の原因に繋がります。
ドローンを長持ちさせるためにも、ゆっくりと操作することを心がけましょう。
スティックをじんわりと動かし、「人が歩く速度の半分以下」のスピード感で動かすのが理想的です。
繰り返し練習する
ドローンの操作方法を理解するだけでは技術の上達は難しいので、実際に飛ばして何度も練習することが大切です。
「自分が想定した距離ピッタリまでの移動ができる」を目標に、何度もドローンを飛ばしてみましょう。
また、ドローンの機首が進行方向の正面を向いている状態、自分と対面している状態では操作方法が真逆になります。
どちらの向きでも迷わず操作できるよう、均等に練習してください。
高さや奥行きの感覚を掴む
上空を飛行するドローンは、平面的に移動するラジコンカートとは違い360°全方位の空間把握能力が必要です。
特に屋外で飛行させる場合、地上とドローンが飛行している位置とでは風向き・風速が大きく変わることもあります。
どの程度スティックを倒せば、ドローンはどの程度自分から離れていくのかという感覚を養いましょう。
一定間隔にカラーコーンを設置してその位置を超えないように飛行させる、8の字飛行を繰り返すといった練習方法が有効です。
遊びながら練習をする
規則的な練習を繰り返すだけでは、モチベーションが尽きてしまう可能性もあります。
ある程度操作の感覚を掴めてきたら、ドローンを使った遊びを楽しみながらテクニックを磨くのもおすすめです。
ドローンを使った遊び方としては、障害物を設置して避けながら速さを競う「ドローンレース」、専用のバルーンを設置してドローンで割った数を競う「バルーンファイト」などがあります。
遊びを取り入れた練習ならモチベーションを維持しやすく、操作スキルの伸びの向上にも期待できます。
ドローンの練習はどこでできる?
ドローンの操作練習はしたいけど「ドローンってどこで飛ばせばいいの?」とお困りの方もいるはずです。
ここでは、主なドローンの練習場所を紹介します。
自宅なら自由に練習できる
自宅の中であれば自分の好き勝手にドローンを飛ばして練習できます。
もちろん部屋の中なので広さの限界もありますし、物や壁、天井などに当たるリスクはありますが、初心者の方で基本的な操作をマスターする上では屋内練習がいいでしょう。
また、家の中でも飛ばせるような小型で軽量なトイドローンを練習機として選ぶのもおすすめです。
規制の対象ではない屋外で飛ばす
屋外で飛ばす場合は法律の規制がかかっていない場所で飛ばす必要があります。
主な法律としては航空法や小型無人機等飛行禁止法がありますが、その他の法律や都道府県条例、施設の利用ルールなど、細かく確認が必要です。
また、ドローンを飛ばす前に関係各所への許可や問い合わせが必要なケースも多いので、忘れずに行った上で練習をしてください。
ドローンスクールに通う
ドローンの操作技術を確実に伸ばしたいのであればスクールに通うのもおすすめです。
費用はかかりますが、プロのインストラクターが操作方法を教えてくれるため、自分で練習するよりも効率的にスキルが身につけられます。
また、独学で練習すると独特な操作のの癖がつくこともありますが、スクールであれば正しい操作技術が学べるというのもメリットです。
アプリやシミュレーターを活用する
アプリやシミュレーターを活用して、ドローンを操作する感覚を身につける方法もあります。
操作方法やコツが分かっても、初めてドローンを飛ばす際は誤って墜落さる不安感があるかと思います。
シミュレーターであればPCやスマホからバーチャルの世界でドローンの操作練習が可能で、衝突や墜落のリスクもなく、自宅で簡単にドローンの操作感を体験することができます。
初心者はもちろん、ブランクがあり操作の感覚を取り戻したい経験者にもおすすめです。
フライトシミュレーターにも様々な種類がありますが、無料トライアル版を配信しているアプリやソフトもあるので、自分が使いやすいものを選びましょう。
以下の記事ではおすすめのフライトシミュレーターソフトやアプリをご紹介しているので、選ぶ際の参考にしてみてください。
Youtubeで上手な人の動画を参考にする
ドローンの操作は体感的に覚え込むことが大切なので、文章だけではなかなか掴み切れないかもしれません。
YouTubeでは非常に多くのチャンネルでドローンの基礎的な練習方法を紹介した動画が公開されているので、合わせて参考にしてください。
「10時間の飛行経験を積む間に身に付けるべき技術」「空撮テクニック」など様々なテーマに沿った動画もアップされています。
また、実際にドローンを動かしてみる前にフライトシミュレーターから操作感を掴んでみても良いでしょう。
PCやスマホからバーチャルの世界でドローンの操作を体感することができるので、実践練習もよりスムーズに始めることができます。
上達したらやってみたい!飛行技術別ドローンの操作方法・テクニック
基礎的な動作をマスターしたら、以下のような応用テクニックを身に付けることにも挑戦してみましょう。
1.8の字操作
フィールド上空を8の字状に飛行するテクニックです。
慣れない間は円の大きさが安定しないため、如何に均等なバランスで8の字を描けるか意識しながら操作しましょう。
モード1は左スティックの操作のみで8の字を描けるので比較的簡単ですが、モード2は左右のスティックで方向転換や回転具合をバランスよく調整する必要があるため難しいです。
左スティックで方向転換をする前に、少しだけ右スティックを入れるとスムーズに旋回しやすくなります。
2.ノーズインサークル操作
設定した中心点に機首を向けたまま外周を回って飛行する方法で、空撮において求められることが多いテクニックです。
操縦者を中心として一定の距離を保ち、綺麗な正円を描けるようになるまで練習しましょう。
旋回の角度が強くなってしまう場合、軽く上昇させるようにスティックを入れると角度を抑えられます。
ただし、 空撮中は上昇の入力が強すぎると機体が前傾姿勢となり、プロペラガードなどが映像に映り込んでしまうため注意しましょう。
3.アクロバット操作
「フリースタイル」というドローンの競技にて活用できるテクニックです。
急上昇や急旋回などを駆使して如何にスピード感のある美しいパフォーマンスを行えるかが重要となります。
マイクロドローンなど姿勢制御機能がない機体に向いている操作ですが、上昇・下降や方向転換などの基礎的な動作に加え自分で姿勢を調整する必要があります。
まずは、姿勢制御機能なしでの飛行に慣れるところから始めましょう。
4.フリップ操作
ドローンを縦に360度宙返りさせる、上記のアクロバット操作にも含まれるテクニックです。
ある程度上昇し、思い切り前進しながら一気に下降するようにスティックを倒してからすぐに指を離すと綺麗に宙返りします。
反復練習しながらスティックの加減を体で覚えることが大切です。
ドローンを飛ばす前の確認事項
安全にドローンを飛行させるため、事前に機体の情報について確認しておく必要があります。
確認事項は以下の11点です。
- 電源の入れ方・切り方
- コントローラーにはネックストラップを使う
- 周囲の確認
- 飛行モードの確認
- 通信状態の確認
- 電圧の確認
- スイッチ・モードの確認
- ドローンの操作可能な距離
- 機体をチェックする
- バッテリー状態を確認する
- 気温や天候を確認する
では、1つずつ詳しくみていきましょう。
電源の入れ方・切り方
電源の入れ方・切り方には順番があるので必ず守るようにしてください。
- 入れ方:送信機から電源を入れる
- 切り方:機体から電源を切る
順番を守らないと機体が思わぬ動きをする可能性があるので注意してください。
コントローラーにはネックストラップを使う
飛行中に手を滑らしてコントローラーを落としてしまうと、機体が思わぬ方に動いて墜落や衝突の危険が生じます。
そのため、必ずネックストラップを使用して、コントローラーが落ちないようにしてください。
機体をチェックする
ドローンを飛ばす前日までに、機体が正常に飛行できる状態かどうかを確認しておきましょう。
具体的には、以下のポイントをチェックします。
- プロペラに曲がりや歪みはないか
- 部品に破損やヒビはないか
- モーターの排気口がふさがっていないか
- モーターに引っかかりがないか
- カメラに損傷がないか など
ドローンの機体はプラスチック製であることが多く、経年劣化によりヒビ割れや歪みが起こりやすくなります。
飛行中の破損・墜落リスクを避けるためにも、必ず確認しておきましょう。
また、モーターの状態についてはプロペラをセットし、手で回してみると判断できます。
スムーズに動くなら問題ありませんが、引っかかりを感じる場合は内部に異物が混入している可能性があります。
気温や天候を確認する
上空を飛行するドローンは気温や天候の影響を受けやすく、基本的に風が穏やかな晴れの日の飛行が望ましいです。
雨や雪が降っているときにドローンを飛ばすと、機体から内部の電気系統に水分が入り込み故障する恐れがあります。
また、風の強い日にドローンを飛ばした場合、機体が風にあおられて操作しにくかったり、制御不能になるリスクを伴います。
国土交通省が公開している飛行マニュアルに則り、風速5m/s以上の風が吹いているタイミングでの飛行は避けましょう。
事前に天気予報をチェックしておく他、飛行当日は風速計を用意のうえ飛行の可否を判断しましょう。
飛行中に突発的な雷雨が発生した場合は、すぐに中断して退避させます。
周囲の確認
ドローンを飛ばす周辺に人や物などがないかを確認しましょう。
飛行中に衝突したり、落下の際に人にぶつかったりすると大変危険です。
その他にも、木の近くで飛行させると枝にプロペラが引っかかって墜落する可能性があるので注意してください。
飛行モードの確認
ドローンにはさまざまな飛行モードが搭載されている機種もあるので、飛行前にどの飛行モードに設定されているかを確認してください。
飛行モードによって速度などに違いがあり、設定によって操作感が異なるため、飛行前に確認しておかないとうまく操作ができません。
思った以上にスピードが出て衝突する危険性も生じるので必ず確認をしましょう。
通信状態の確認
ドローンはプロポ(コントローラー)からの指示を受信して作動しています。
そのため、通信状態が良好でなければ正常に飛行させることができません。
通信状態の悪い環境での飛行は接続に不具合が出ることもあるため、通信状態の良い場所であるか確認しましょう。
携帯電話の基地局や鉄製・金属製の建物がある場所は、電波障害が起こりやすいため注意が必要です。
電圧の確認
ドローンの動力源とも言える「リポバッテリー」の電圧値を送電機から確認します。
リポバッテリーは過充電や過放電に弱いため、適切に電圧を管理しなければドローンが上手く作動せず墜落する恐れもあるため注意が必要です。
バッテリーは「セル」と呼ばれる単位で容量が複数に分けられており、機種によって3セルであったり4セルであったりと数が異なります。
1セルあたり「3.7V」が最も安定した状態の電圧値とされています。
飛行前に電圧値をチェックして3.7V以上の数値であるかを確認しましょう。
バッテリーが消費されるにつれて値が下がっていき、3.5V以下になると出力が急激に出力が低下するのでバッテリー交換が必要です。
バッテリー状態を確認する
バッテリーの電圧に加え、現在の残量や損傷の有無も確認しましょう。
バッテリー残量が不足したまま飛行を開始すると、飛行可能な時間が短縮されるだけでなく墜落のリスクも高まります。
バッテリー残量の確認方法は機種によって異なりますが、プロポが付属しているタイプならプロポの画面、専用アプリが用意されているタイプなら端末の画面から確認が可能です。
また、外見上のチェックにおいては以下のような異常がないかどうか確認しましょう。
- 傷がある
- 膨らんでいる
- 柔らかくなっている
上記の異常を放置したままバッテリーを使い続けると、さらなる膨張や発火につながる恐れがあります。
スイッチ・モードの確認
ドローンのプロポ(コントローラー)における操作方法は、「モード1」「モード2」と呼ばれる2種類のパターンが存在します。
自分の機体はどちらの操作モードに対応しているのかを確認しておきましょう。
機種によってはモードの切り替えが可能なプロポもあるため、自分が操作を行いたいモードになっているかの確認も大切です。
また、プロポにはGPSを使用した飛行モードのオンとオフの切り替え、緊急着陸スイッチなど機能に応じたスイッチもあります。
飛行前に、必要なスイッチが入っているか、不要なスイッチがオンになっていないか入念に確認しましょう。
ドローンの操作可能距離
ドローンに電波が届く距離の上限も確認しておきましょう。
機種により距離は異なりますが、おおよそ300m〜1,700mが目安といわれています。
機体から離れすぎると制御できなくなるため、適切な距離を保って操作することが大切です。
ドローンの操作練習をする際の注意点
ドローンの操作練習をする際には以下の4点に注意してください。
- 後退飛行の際に障害物がないかを確認する
- 直射日光などによる機体温度の上昇に注意する
- 木の側で飛ばさない
- 高すぎる場所で飛ばさない
飛行前にこれらのポイントを必ずチェックしましょう。
後退飛行の際に障害物がないかを確認する
後退飛行をする際には、操縦者の視界に障害物が入らないケースがあり、機体が衝突する危険性があるので注意してください。
FPVドローンだと前方の視界しか画面上では見えないため、後退飛行をする際には目視による確認もしながら飛行させてください。
直射日光などによる機体温度の上昇に注意する
ドローンは直射日光などによる温度上昇が故障の原因に繋がるので注意してください。
電子機器と同様に機体の温度上昇が故障の原因になる上に、飛行中に温度上昇によって動作が停止すると落下による危険が生じます。
そのため、気温の高い日の飛行には十分な注意をしながら、機体が熱くなりすぎてないかを確認してください。
木の側で飛ばさない
木の近くでドローンを飛ばすと枝などにプロペラが引っかかって墜落の原因になります。
また、高い木に引っかかってしまうと取れなくなってしまうので、ドローンを飛ばす際にはできるだけ周囲に何もない場所を選びましょう。
高すぎる場所で飛ばさない
地上と上空では風向きや風の強さが全く異なるため、高すぎる場所でドローンを飛ばすと制御ができなくなる可能性があります。
操作練習をする際には少しずつ高度を上げていき、操作の感覚を掴むことを優先してください。
ドローンの操作が難しいと感じた場合は?
練習を重ねてもなかかなドローンの操作スキルが上達しない、プロポによる操作に慣れることができない…といった場合には、以下のように対応すると良いでしょう。
- 自動操縦機能を利用する
- スマホやタブレットで操作を行う
- モーションコントロールができる機体を選ぶ
それぞれの対応について、以下より詳しく解説いたします。
自動操縦機能を利用する
ドローンの操作が難しい場合は、自動操縦機能に頼るのもおすすめです。
離陸や着陸を自動で行ったり、ボタン1つで自分がいる場所に戻ってきたりなど、技術が不十分でもドローンが飛ばせます。
主なドローンの自動操縦機能は以下の通りです。
障害物自動回避 | 障害物を感知して自動的に避けてくれる機能 |
自動ホバリング | 操作をしなくても自動でホバリングをして高度を維持する機能 |
自動帰還 | GPS機能を利用してコントローラーがある場所まで自動で帰還させる機能 |
自動追尾 | GPS機能を利用してコントローラーの移動に合わせて自動でドローンが追尾する機能 |
自動離着陸 | 離陸と着陸をオートでやってくれる機能 |
上記の自動機能のはリーズナブルなトイドローンでも搭載されている機種もあるので、初心者の方はチェックしてみてください。
スマホやタブレットで操作を行う
初心者向けのトイドローンでは、スマホやタブレットによる操作に対応している機種も多いです。
専用アプリをインストールした端末で、スマホを傾けたり画面上で操作したりすることでドローンを飛ばせます。
日常的に使っている端末による操作なら、操作のハードルが大幅に下がることでしょう。
ただし、スマホやタブレットで操作する場合は電波の伝達距離が比較的短く、遠距離に飛ばしたい場合には不向きです。
また、Wi-Fi通信を利用しているため他の電波の影響を受けて、操作に対する反応が遅れる場合がある点に注意しましょう。
ジェスチャー・モーションコントロールができる機体を選ぶ
ドローンはプロポや端末だけでなく、体の動きで操作することも可能です。
一般向けドローンの中には、「ジェスチャーコントロール機能」が搭載されている機種もあります。
認識した人のアクションに応じた動作を、ドローンが実行するという機能です。
また、専用のモーションコントローラーを片手に装着・持つことで、手を動かすだけでドローンの動きを制御できるドローンもあります。
プロポの独特な操作感に慣れない場合は、体の動きで直感的な操作が可能なドローンを使ってみても良いでしょう。
【おまけ】操作練習におすすめの場所や練習に適したドローンは?
ドローンの操作練習はどこでできる?
先述の通り、屋外は様々な法律によりドローンの飛行が制限されているため、無許可で自由に飛ばせる場所は非常に少ないです。
しかし、練習のためにいきなり許可申請を行うのはハードルが高いですよね。
「初めてドローンを飛行させる」「操作に慣れるために安全な場所で練習したい方」は、屋内のドローン飛行練習場がおすすめです。
屋内は法規制の適用範囲外なので、許可を得なくても飛ばせる上に、ドローンの練習に適した環境が整っているメリットもあります。
練習場ではトレーナーから指導を受けられるプランも用意されているので、初心者の方にはぴったりです。
こちらの記事では、全国のおすすめドローン練習場をご紹介していますので、是非ご覧ください。
練習用に適したドローンとは?
初心者の方であれば、まずは小型でコストを抑えた練習用のドローンから用意しましょう。
ドローンは高価な機体ほど性能も良く、安定して飛行させやすいため初心者でも安心して操作することができますが、その分墜落や衝突により故障した場合の損失も大きくなってしまいます。
そのため、最初はリーズナブルな小型ドローンから入って、慣れてきてより高度な飛行や空撮を求める場合は、上位機種を購入してください。
また、100g未満の機体は航空法の規制は対象外となるため、空港周辺などの特別なエリアや一定の高度を超えていなければ比較的自由に飛ばすことができます。
なお、ドローン飛行練習場によっては、ドローンの貸し出しを行なっているところもあります。
まだ購入していない、購入前に一度実機を触って購入したいという方は、レンタルを活用するのもおすすめです。
ドローンの操作方法に関するよくある質問
ドローンの操作方法に関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
ドローンを操作するのに免許や資格は必要?
ドローンを操作するのに特別な資格を取得する必要はありません。
さまざま民間資格・国家資格がありますが、基本的にはドローンの操作スキルや知識を証明するものや、許可が必要な場所や方法での飛行を行う際に申請手続きを省略できるものでしかありません。
そのため、ドローンを飛ばすだけであれば、資格などがなくても誰でも可能です。
操作練習のおすすめの機体は?
操作練習のために購入するのであれば、100g未満のトイドローンがおすすめです。
リーズナブルで買いやすいですし、小型で屋内での練習にも使える上に、100g未満で航空法の対象外なので、屋外でも比較的自由に飛ばせるのがメリットです。
いきなり高価なドローンを購入すると、墜落や衝突による故障でお金を無駄にする可能性も高いので、最初は安いドローンから始めましょう。
ドローンの操作をマスターするのに必要な時間は?
個人差はありますが、ドローンの操作に慣れるまでには目安として10時間程度の練習が必要と言われています。
まとめ
ドローンの練習を始める前に、機体の確認事項や操作モードについて理解しておきましょう。
飛行練習を実践する場合は上昇・下降、前後左右移動、回転など基礎的な動作に慣れることが大切です。
ある程度慣れて滞りなく基礎的な操作を行えるようになったら、8の字飛行やノーズインサークル飛行などのテクニックにも挑戦すると飛行の楽しみがより広がります。
ドローンは何度も練習しながら飛行の感覚を身に付けることが上達につながります。
実際に機体を飛ばせないときでも、フライトシミュレーターを活用して感覚を忘れないようにしましょう。
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