測量・農業・物流などの分野で少しずつドローンの実用化が進んでおり、ドローンの操縦技能を持つプロの操縦士も求められる時代となっています。
特に、資格でドローンの操縦技能を照明でいれば、操縦士として活躍できる場がさらに広がることでしょう。
今回は、ドローン操縦士の仕事内容や年収、取得しておきたい資格などについて詳しく解説いたします。
実際に求人サイトで掲載されている、ドローン操縦士の求人情報もご紹介していますので、今後ドローン操縦士の仕事をしてみたい方はぜひ参考にしてください。
- ドローンパイロットとは何か?
- ドローンパイロットは資格が必要か?
- ドローンパイロットの求人にはどんなものがあるのか?
- ドローンパイロットとして働く際に準備しておきたいアイテム
をわかりやすく解説しています。
ドローン操縦士を目指す際に取得しておきたい資格も紹介していますので、是非参考にしてみてください。
ドローン操縦士(パイロット)とは
近年、ドローンは人の手では困難な場所における点検業務や上空からの空撮、農作業の人手不足解消・効率化など、様々な分野での活用に期待が高まっています。
とはいえ、ドローンという物体を空に飛ばすため、多くのリスクを伴います。
操縦するにもドローンを安全に飛行させるための高い技術力や機体の知識、ドローンに関連する法律知識を身に付ける必要があります。
「ドローン操縦士」とは高い技術力と知識を身に付け、プロとしてドローンを操縦する仕事に就いている人のことを呼ぶのです。
ドローン操縦士(パイロット)が活躍する仕事
ドローン操縦士は、主に以下のような分野で活躍しています。
インフラ・建物点検
橋梁やダム、鉄塔、トンネルなどのインフラや建設現場の点検業務において、ドローンを活用する例が増えています。
従来は高所の点検を行う場合、足場を組んで目視による点検が行われてきましたが、足場を組むにはコストや人員を手配する手間がかかりました。
ドローンを活用することで、人的なコストや作業の手間を抑えることができます。
また、人が踏み入るには危険が伴うような場所の点検も、ドローンを使えば容易に実施できます。
測量
土木・建築分野における測量業務にドローンを使う企業が増えています。
従来は人の手でレーザーを用いて測量を行っていましたが、対象が広大であったり、土壌が柔軟で人が立ち入りにくい環境下には適していない方法でした。
しかし、ドローンを使って上空から撮影した映像を3D図面に作成する方法で測量を行えば、上記のような問題を低コストで解決できます。
空撮カメラマン
ドローン操縦士が活躍している例として代表的な仕事です。
カメラを搭載したドローンで写真や映像を撮影・制作するクリエイティブ職で、企業に所属している人もいれば個人で活動しているクリエイターもいます。
ドローンの操縦技術はもちろん、クライアントが期待している以上のクオリティで作品を生み出せるセンスも重要です。
スクール講師
ドローンスクールに所属したり、自分でドローンスクールを開校したりしてドローンの操縦に関する指導を行う仕事です。
受講生に正しい知識と操縦方法を指導する立場であるため、相応に高いスキルを身に付ける必要があります。
JUIDAやDPAなど国交省認定の管理団体によるインストラクター資格を取得しておくと、資格取得を狙える講習の実施が可能となり、受講生からの需要も高められるでしょう。
農業
農業分野では農薬散布をドローンで行う事例が増えています。
ドローンを使えば短時間で効率よく作業が進められる上に、作物に対して均一に農薬が散布できるなど多くのメリットがあります。
高齢化や後継者問題で人手不足が深刻化する農業分野において、ドローンによる農薬散布を専門に請け負う業者もいます。
物流
今後普及していくドローンの活用分野として「物流」が挙げられます。
街中をドローンが飛行して荷物を配送する未来はまだ先の話ですが、離島や山間部などに物資や医療品を届けるなどの実証実験が盛んに行われています。
災害時に救援物資を届ける活用法も期待されており、人や車が入れない場所であってもピンポイントで救援物資が届けられるようになります。
警備
ドローンに搭載されたカメラを利用して施設などの監視を行う活用法も期待されています。
人的コストを削減できる上に、固定式の監視カメラよりも広範囲を監視できるのがメリットです。
カメラだけでなく、センサーやスピーカー、ライトを搭載することで、より高度な警備業務が可能になります。
水質調査
空中を飛行するドローンだけでなく、水中を潜水・潜航できるドローンにも注目が集まっています。
河川やダム、海などの水質調査に水中ドローンが活用された事例もあり、課題は多くあるのですが今後広がりを見せていく可能性があります。
ドローンショー
複数のドローンを同時に飛ばして、さまざまな演出を行うドローンショーも人気を高めています。
東京オリンピックの開会式でも行われた演出で、ライトを搭載した多数のドローンをプログラムして飛行させることでさまざまな演出を可能とします。
人命救助・捜索
離陸の準備に時間がかからず小回りの利くドローンは、要救助者の捜索や被災地の調査といった、災害現場の活動にも貢献しています。
カメラやセンサー類を搭載したドローンなら、人が立ち入るには危険な場所でも上空から安全に被災者・要救助者を発見することが可能です。
また、被災地周辺のマップ作成や安全管理に必要な情報も効率的に入手できます。
近年は消火剤・拡声器・浮き輪・救命胴衣などの搭載に対応し、あらゆる現場で迅速な人命救助を可能とする仕様の救助用ドローンも登場しています。
ドローンプログラマー
ドローン関連の仕事内容は、ただ機体を操縦するだけではありません。
プログラミングにより機体の自律飛行などを可能とする、ドローンプログラマーという仕事もあります。
一般的なドローンは、プロポの操作で方向転換や回転といった動作を実行します。
しかしプログラミングができれば、あらかじめ機体に飛行中の挙動を指示しておくことで、手動操作がなくても指示通りに飛行させることが可能です。
「どのようなルートでどのように動きながら飛ぶか」だけでなく、障害物を検知したら自動で回避させたり、センサーでデータを収集・分析させたりといった指示もできます。
様々な分野でドローンの需要が高まっている傾向に反して、国内のIT人材不足は未だに目立っています。
ドローン関連の仕事に就くなら、プログラミングは有利となり得るスキルです。
ドローンの仕事で必要な法律の知識
ドローン関連の仕事、特に操縦士を目指す人にとっては、ドローン関連の法知識が必要不可欠です。
ドローンは扱い方を誤ると、航空法をはじめとする様々な法律に抵触する恐れがあります。
ここでは、ドローンの仕事をするうえで知っておくべき4つの法律について解説いたします。
航空法
どのような分野でドローンを飛ばす場合にも知っておくべき法律が、航空法です。
航空法では、無人航空機(100g以上のドローン)の飛行場所・方法に関する規制が設けられています。
規制対象の場所・方法でドローンを飛ばす場合は、事前の許可申請が必要です。
航空法で規制されている飛行場所・方法は、以下の通りです。
飛行場所 | ・空港等の周辺 ・人口集中地区 ・高度150m以上の上空 ・緊急用務空域 |
飛行方法 | ・夜間飛行 ・目視外飛行 ・人または物と30m以内の距離での飛行 ・催し場所上空での飛行 ・危険物輸送 ・物件投下 |
小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法とは、以下の施設とその周囲300mほどの上空におけるドローンの飛行を原則禁止としている法律です。
- 国の重要な施設等(国会議事堂、内閣総理大臣官邸、皇居、最高裁判所など)
- 外国公館等
- 防衛関係施設(自衛隊施設、在日米軍施設)
- 空港
- 原子力事業所
ただし管理者が飛行させる場合、または管理者に同意を得た人が飛行させる場合など、一定の条件を満たせばドローンの飛行が認められることもあります。
その場合は、警察や各区海上保安本部長などへの通報が必要です。
航空法の規制は重量100g以上のドローンに適用されますが、小型無人機等飛行禁止法は、重量にかかわらずすべてのドローンに適用されます。
電波法
ドローンは電波を発する無線機器であり、電波を使って操縦や画像伝送などを行っています。
そのため、国内における電波の利用を制限している、電波法という法律にも注意が必要です。
トイドローンやコンシューマー向けの空撮ドローンなどの多くは、2.4GHz帯の電波が使われています。
2.4GHz帯の電波の使用であれば、特に規制されていないため自由に使うことが可能です。
一方で、産業用ドローンやFPVドローンは5.7GHz~5.8GHz帯の電波が使われていることもあります。
これらの電波帯は電波法の規制対象であり、使用するには「第三級陸上特殊無線技士」以上の資格が必要です。
そのうえで無線局の開局申請手続きを行うことで、ようやく使用できるようになります。
また、国内では電波法の基準を満たした証明である、「技適マーク」のないドローンは使えない点にも注意しましょう。
個人情報保護法
ドローンで空撮を行う場合は、個人情報保護法に抵触しないように気を配りましょう。
撮影場所や撮影方法によっては、第三者の顔・住居の中・表札・ナンバープレートなど、個人の特定につながる情報が映ってしまいます。
それらの情報をデータベース化すると、個人情報保護法で禁止されている「個人情報取扱事業者による、不正の手段による個人情報の取得(隠し撮りも含む)」とみなされる可能性があります。
また、「肖像権の侵害」や「プライバシーの侵害」にもあたり、トラブルへ発展する可能性も高いです。
人通りのある場所や住居があるエリアで撮影した映像・画像は、慎重に取り扱いましょう。
ドローン操縦士(パイロット)の年収
ドローン操縦士の求人情報を参考に、職種ごとの年収を調査してみました。
職種 | 年収 |
---|---|
インフラ・建物点検 | 300〜500万 |
農薬散布操縦士 | 350〜550万 |
測量 | 350〜600万 |
空撮カメラマン | 350〜640万 |
スクール講師 | 350〜450万 |
なお、上記でご紹介した求人情報等から推測した金額となっており、実際に就職する企業や雇用形態によって変動する可能性があるため、あくまで目安と考えてください。
また、プロとして活躍しているドローン操縦士はまだまだ少なく、ドローン市場そのものが未だ発展途上にあります。
今後さらにドローン操縦士の人口が増えていけば、年収の正確な目安が見えてくることでしょう。
ドローン操縦士(パイロット)になるには資格は必要?
ドローンを操縦するだけであれば、取得が必須となる資格はありません。
ドローン操縦士として仕事をする場合も同様で、資格がなくとも仕事を請け負うことは可能です。
ただし、ドローン操縦士は操縦技術だけでなく、ドローンを安全に飛行させるためのルート確保・メンテナンス・緊急時の対応などの広範な知識も求められます。
当然ながら、ドローンを飛行させる上で抵触する恐れのある法律も網羅しなければなりません。
必要な知識を身に付けていないままドローンを飛行させれば、重大な事故を引き起こすリスクも高くなります。
そのため、操縦技術や知識を得るためにも資格の取得が推奨されます。
資格を取得するとスキルの証明になるドローン操縦士の資格は、上記にて挙げたような知識・飛行技術を持っていると一目で証明することができる存在です。
資格により分かりやすくスキルを証明すれば、求人に応募する際も企業へ好印象を与えることができて就職が有利に進むことでしょう。
また、資格があれば国土交通省への飛行許可申請が一部簡略化できたり、飛行を予定している場所の管理者へ許可を得る際の交渉もスムーズに運びやすいです。
資格取得はドローンスクールに通うのがおすすめ
ドローンの資格は独学で取得できるものもありますが、基本的にはスクールに通って取得するのがおすすめです。
スクールで実技講習を受けないと取得できない資格もありますし、プロのインストラクターから教えてもらう方がビジネスでも活用できるスキルが身につけられるでしょう。
ドローンの操縦以外で業務に必要な資格もある
仕事内容によっては、ドローンの操縦技能に関わる資格以外にも取得が必要なことがあります。
先述したように、周波数が5.7GHz~5.8GHz帯のドローンを使う業務には、電波法に従って「第三級陸上特殊無線技士」以上の資格取得が必須です。
同じ無線資格には「アマチュア無線技士」もありますが、これは対象の無線設備を趣味目的で使える資格であり、業務目的の使用は認められません。
また、ドローンを使って自分で測量を行う場合は、測量士または測量士補の資格が必要です。
無線技士資格・測量士と測量士補資格は、国家試験の合格により取得できます。
その他にも、ドローンによる農薬散布を行う上では「産業用マルチローターオペレーター技能認定証」を取得する必要があります。
職種に応じてドローン以外の資格が必要になるケースがあるので、事前に把握しておきましょう。
ドローン操縦士(パイロット)におすすめの資格
ドローン操縦士として取得をおすすめする資格を紹介します。
ここでは、主要な団体が管理している資格の概要やその評判をご紹介していきますので、自分が取得を目指すべき資格を選ぶ際の参考にしてみてください。
一等/二等無人航空機操縦者技能証明(国家資格)
資格の種類 | 一等/二等 |
受講料 | 500,000円〜 |
受験資格 | ・16歳以上であること ・航空法の規定により国土交通省から本試験の受験が停止されていないこと |
試験内容 | ・学科試験 ・実地試験(講習を受ければ免除) ・身体検査 |
2022年12月から国内初となるドローンの国家資格が誕生しました。
国家資格を取得することで航空法で定められる「特定飛行」の一部を許可・承認なしで行えるようになります。
取得に際しては、国によって指定された登録講習機関で学科・実技の講習を受け、指定の試験期間で学科試験に合格するというのが基本的な流れです。。
登録講習機関(ドローンスクール)を受講する場合、費用総額はは50万円以上と高くなります。
しかし、取得すれば航空法で規制されている一部の特定飛行の許可申請が免除される、「レベル4飛行」が可能になるなど、ドローンの仕事において重要なメリットが得られます。
そのため、これからドローン操縦士を目指す方で、よりハイレベルなキャリアを築きたい場合は、国家資格の取得をおすすめします。
ドローン検定(ドローン検定協会)
資格の種類 | 1級〜4級 |
受講料 | 3,200円〜18,800円 |
受験資格 | 誰も受験可(1級は2級取得者のみ、2級は3級取得者のみが受験可能) |
試験内容 | 筆記試験 |
「ドローン検定協会」が管理している認定資格です。
1~4級までの級位が設けられた筆記試験が開催されており、合格すると級に応じたレベルの知識を持っていることの証明として「無線航空従事者試験〇級」資格が発行されます。
4・3級は基礎的な知識を問われる試験内容となっているため初心者でも受験することができますが、2・1級はより専門的かつ難易度も高くなります。
また、筆記試験とは別に「基礎技能講習」という実技の講習も行われています。
基礎技能講習を受講し、最終試験に合格すればドローンの操縦技術を証明できる「操縦技能証明証」が発行されます。
無人航空機操縦技能証明(JUIDA)
資格の種類 | 無人航空機操縦技能証明 |
受講料 | 約200,000~400,000円 |
受験資格 | ・16歳以上 |
試験内容 | ・学科試験 ・実技試験 |
「JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)」が管理している資格の1つです。
「無人航空機を安全に飛行させるための知識と操縦技術を有する者」を証明する資格であり、ドローンに関する基礎的な知識と操縦技術が身に付きます。
JUIDAの認定スクールにて、規定のカリキュラムを受講したうえで最終試験に合格すると取得することができます。
ドローンの飛行経験は問わず、16歳以上であれば誰でも受講可能です。
無人航空機安全運行管理者(JUIDA)
資格の種類 | 無人航空機安全運航管理者証明 |
受講料 | 約200,000~400,000円 |
受験資格 | ・18歳以上 ・操縦技能証明証保有者 |
試験内容 | 学科試験 |
JUIDAが管理する認定資格の1つで、「無人航空機の運航に関わる十分な安全と法律の知識を有し、飛行業務の安全を管理する者」を証明する資格です。
18歳以上かつ、上記の「無人航空機操縦士」資格を取得している方のみが受講対象とされています。
ドローンを安全に運用するための知識を学ぶことができ、ドローンを使う業務を行う上での安全管理者として必要なスキルが身に付きます。
ドローン操縦士回転翼3級(DPA /ドローン操縦士協会)
資格の種類 | ドローン操縦士回転翼3級 |
受講料 | 約600,000円~700,000円 |
受験資格 | ・15歳以上 ・視力、色覚、身体要件あり |
試験内容 | ・学科試験 ・実技試験 |
「DPA(一般社団法人ドローン協会)」が管理している認定資格です。
ドローンを安全に飛行させるために必要な知識と基本技能を証明することができます。
DPAの認定スクールにて規定のカリキュラムを受講し、認定試験に合格すれば資格取得となります。
現在は3級しか用意されていませんが、今後はより専門的かつ高度な飛行を行うためのスキルが身に付く2級や1級資格も新設される予定です。
ドローン操縦士回転翼3級インストラクター(DPA)
資格の種類 | ドローン操縦士回転翼3級 |
受講料 | 約600,000円~700,000円 |
受験資格 | ・18歳以上 ・視力、色覚、身体要件あり |
試験内容 | ・学科試験 ・実技試験 |
上記の「ドローン操縦士回転翼3級認定資格」取得に必要な講習の実施が認められるインストラクター資格です。
ドローン操縦士回転翼3級認定資格の知識や技術を網羅していることを前提に、座学・実地講習を行うために必要な知識も身に付けます。
ドローンインストラクターとして働くことを視野に入れている方は、取得を検討してみても良いでしょう。
DJI CAMPスペシャリスト認定講習(DJI JAPAN)
資格の種類 | DJI CAMPスペシャリスト |
受講料 | 約50,000円~100,000円 |
受験資格 | ・10時間以上の飛行操縦経験があること ・DJI製品のユーザーマニュアルを事前に熟読し、実際のマルチコプター飛行業務に従事できる者 |
試験内容 | ・筆記試験 ・実技試験 |
DJI CAMPスペシャリスト認定講習は、DJI JAPANが実施しているドローンの民間資格です。
受講には10時間以上の飛行経験が必要で、DJI製品の知識も必要となります。
取得には座学講習を受けた後に、学科と実技試験に合格しなければなりません。
DJIのドローンを愛用している人にとっては、取得を検討しておきたい資格といえるでしょう。
プロパイロット資格(請川博一氏主催の講座)
資格の種類 | PROパイロット技能認定 |
受講料 | 22,000円〜 |
受験資格 | ・認定会参加者かつ一定の技量を認められた方に限る |
試験内容 | 実技試験 |
SkyLink社にて開催されるドローンの操縦技能講座「PROパイロット技能認定会」に合格すると取得できる資格です。
日本を代表するドローン操縦士、請川博一氏をはじめとする各分野のプロが講師を務めています。
合格率7%の国内最難関の技能試験と言われており、参加者の多くは既に業務パイロットとして活躍している方です。
これからドローン操縦士としてのスキルを身に付けたいという方よりも、より自分のスキルを向上させたいプロ向けの資格です。
ドローン操縦士検定(一般社団法人 日本ドローン操縦士協会)
資格の種類 | 1級〜3級 |
受講料 | 5,280円〜15,290円 |
受験資格 | ・18歳以上の方 ・2級は3級取得者のみ、1級は2級取得者のみ |
試験内容 | ・学科試験 |
「DPJ(一般社団法人 日本ドローン操縦士協会)」が管理する認定資格です。
送付される授業動画を視聴する型式となっているため、スクールに通わず自宅でドローンの知識を身に付けることができます。
3級検定試験合格者を対象としており、国土交通省への飛行許可申請方法など実践的な知識がカリキュラムに含まれています。
ドローンに関する基礎的な知識が身に付いている、中級者向けコースです。
ドローン操縦士(パイロット)の求人募集にはどんなものがある?
実際に求人サイトで掲載されているドローン操縦士の求人内容例としては、以下の通りです。
- 測量業務におけるドローン操縦士
- ドローンインストラクター
- 赤外線ドローンを用いた外壁調査員
- 農業ドローン操縦・メンテナンススタッフ
- 映像製作スタッフ(一部ドローン空撮)
様々な職種でドローン操縦士の求人情報が掲載されていましたが、中でも多く見受けられたものが「測量」「インストラクター」でした。
将来的にドローンを活用する分野が増えれば、それだけ求人数やドローン操縦士を募集する職種も増えていくと考えられます。
ドローン操縦士の具体的な求人内容
2024年12月現在に公開されている、ドローン操縦士の求人内容をご紹介いたします。
【求人例①】
業務内容 | ドローンなどの最新機材を使った測量 |
業種 | 測量 |
給与 | 月給25万円~ |
勤務地 | 愛知県名古屋市 |
備考 | 普通自動車免許必須、測量士/測量士補・土木施工管理技士1級/2級資格保有者歓迎 |
【求人例②】
業務内容 | ドローン配送のリモートパイロット(業務委託) |
業種 | 物流 |
給与 | 日給15,000円 |
勤務地 | 和歌山県日高郡 (出張あり) |
備考 | 二等無人航空機操縦士(目視外)・普通自動車免許必須、重量物(10kg)の運搬経験必須 |
【求人例③】
業務内容 | ドローン農薬散布の作業、作業補助(業務委託) |
業種 | 農業 |
給与 | 日給10,000円~16,000円 |
勤務地 | 福井県福井市・美山町 |
備考 | 所有機体の持ち出し時などは手当あり、ライセンス取得支援あり |
ドローン操縦士の求人は決して多くない
農業・測量を中心に、産業分野でドローンの需要は増えています。
とはいえ、ドローンパイロットとしての求人は未だ多くはないのが現状です。
その中で自分が求める条件の求人情報がすぐに見つかるとも限らないため、こまめに情報をチェックすることをおすすめします。
フリーランスや副業として「業務委託・請負」の仕事もできるドローン操縦士として仕事をするには、求人情報を掲載している企業へ就職するというパターンが一般的です。
一方で、独立してドローンの操縦業務を請け負う「業務委託」という働き方もあります。
フリーランスとしてドローン操縦の業務委託を生業としたり、副業として空いた時間にドローン操縦業務を請け負ったりと自分のライフスタイルに合わせて働きやすいという点が業務委託の魅力です。
フリーランスでドローン操縦士の仕事ができる分野としては「空撮」が代表的です。
しかし、空撮分野はすでに数多くのカメラマンが活躍しているため競争率が高く、生計を立てるのはかなり難しいでしょう。
また、空撮だけでなく、どんな分野でもフリーランスでドローン操縦士の活動を続けていくには「高い操縦技能」が必要です。
より安定して仕事を集めたいのであれば、クライアントに「この人だから仕事を頼みたい」と思ってもらえるようなスキルをプラスアルファとして身に付けておくことがカギになります。
ドローン操縦士(パイロット)として働くためには?
ドローン操縦士として働くには求人情報をリサーチして応募し、企業に就職するといった流れが一般的ですが、以下のような方法でもドローン操縦士の仕事を始められます。
ドローンパイロット仕事斡旋会社に登録する
ドローン操縦士として登録をすると、様々なドローン操縦業務を紹介してくれるマッチングサービスも存在します。
特にフリーランスの操縦士は自力で企業へ営業する必要もなく、比較的簡単に依頼を確保することができるので役立つはずです。
マッチングサービスによってはジャンル問わず幅広い分野の依頼を取り扱っていたり、農業関係の依頼を専門としていたりと受注できる依頼の内容は異なる場合があります。
そのため、複数のマッチングサービスを比較し、自分にあったものを見つけるのが重要です。
例えば、空撮・測量・点検・物流などのドローン操縦士のマッチングを行っている「DRONE MASTER」や、農業専門のマッチングサービスを提供している「OPTIM」など、活動分野に応じてサービスを選ぶのもいいでしょう。
個人事業主として会社を立ち上げる
ドローンパイロットとしての業務を請け負う会社を立ち上げるという選択肢もあります。
会社を立ち上げる場合は空撮・農業・測量・点検などの中で、自分が持つスキルや知見を活かせる分野に絞ってビジネスを組み立ててください。
自分にとって強みのある分野で上手にドローンを活用すれば、他社との差別化にもつながります。
また、参入する分野の情報収集・分析を行いつつ自社の将来的な目標を明確に描くのも重要です。
事業計画をしっかりと構築しつつ、競合他社の分析や必要な資金の調達、人材採用などの事前準備を整えてください。
個人的な活動を通じて実績を作る
フリーランスとして活動したり、趣味でドローンの空撮映像をYoutubeなどに投稿したりして、実績を積み重ねることで仕事を得るという方法もあります。
最初は趣味から始めたことでも続ければさまざまなスキルが養われますし、仕事を請け負えるレベルにまで成長することもあるでしょう。
何もない状態から仕事を得るのは難しいですが、個人的な活動を通じてある程度の実績が見せられればアピールにもつなげることが可能です。
ドローンスクールで紹介してもらう
ドローンスクールによっては、カリキュラムの修了者を対象に仕事の紹介も行っています。
スクールから紹介してもらえば、自分で1から仕事を探したり個人事業主となったりするよりも、素早くドローンの仕事に就ける可能性があります。
「資格を取得したらすぐにドローン関連の仕事でスキルを発揮したい」と考えている場合は、仕事紹介ありのドローンスクールを探してみると良いでしょう。
ドローン操縦士の育成ノウハウを持つスクール運営事業者なら、パイロットごとの適性に合った仕事を紹介してくれることにも期待できます。
ドローンスクールによる仕事の紹介に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。
ドローン操縦士に必要なスキル・資質
ドローン操縦士に必要なスキルを解説します。
操縦スキルは当然必要なのですが、実際に業務を行うに当たってどのようなスキルがあると良いのか詳しくみていきましょう。
基本的なドローンの操縦・整備スキル
まずは当然ですが基本的なドローンの操縦スキルに加えて、機体をメンテナンスするための整備スキルが必要です。
業務によっては高所や狭所でも正確に操縦するスキルが求められますし、安全に業務を遂行するためには日々のメンテナンスが欠かせません。
クライアントの要望に答えられるよう、あらゆる飛行方法に対応できるスキルを身につけましょう。
仕事を円滑に進める計画性や判断力
ドローンを使った業務を円滑に進めるには、単純な操縦スキルだけでなく計画性やそのときの状況に応じて適切に判断できる思考力が必要です。業務のスケジュールを管理しながら、飛行計画を整えつつ、現場での天候なども含めた総合的な判断力も求められるでしょう。
また、業務中のリスクを事前に想定のうえ、防止策を講じておくというリスク管理も重要です。
例えば農薬散布なら、ドリフト(実施区域外への農薬の飛散)が起こらないための対策を講じて、作業中に気候が不安定になれば速やかに飛行を中止するという工夫が求められています。
クライアントの要望を実現するコミュニケーション能力
ドローン操縦士は職人的な仕事ではなく、クライアントとのヒアリングを重ねながら要望を実現する仕事です。
そのため、クライアントの要望を汲み取って具体化するためのコミュニケーション能力は必須です。
相手の要望を聞きながら、ドローンのプロとしての知見やアドバイスを伝えるなど、粘り強く相手と向き合うことも求められるでしょう。
現場仕事や力仕事にも対応できる体力
ドローン操縦士は屋外で作業をする機会が多く、仕事内容によっては遠方の現場へ足を運ぶ必要もあります。
さらに、現場へ到着したらドローン本体やモニターなど、必要な機材を運んでセットしなければなりません。
作業中は集中力を保ちながら慎重にドローンを操縦しなければ危険なため、気の休まるタイミングも少ないです。
したがって、ドローン操縦士の仕事では上記による体力的・精神的負担にもある程度は耐えられるスタミナが求められます。
最新の知識をキャッチアップする学び続ける姿勢
法規制や新たに開発された機体など、ドローンに関わる最新情報を常に取り入れて身につけるという学びの姿勢も重要です。
2022年に操縦ライセンス制度や機体登録が新設されるなど、ドローン関連の法整備は続いています。
将来的に、規制の変更や追加が行われる可能性も考えられます。
その際に情報をつかめていないと、業務に必要な申請作業やクライアントとの打ち合わせがスムーズにできず、仕事に支障が出る恐れがあります。
また、自身が請け負う業務に最適な機種が登場すれば、さらに業務を効率的に進められることでしょう。
ドローン操縦士という分野で有利に活動を続けるためにも、常に新しい知識を取り入れることを怠らないようにしましょう。
求人募集から見えるドローン操縦士(パイロット)の需要
求人サイトの募集情報を調査していると、分野ごとの求人数に差はあれど主に「測量」「インストラクター」「点検」「建物調査」でドローン操縦士の求人募集が掲載されています。
一方で、ドローン操縦士の仕事として代表格ともいえる「空撮」の求人情報は少なく、掲載されているとしても業務のほんの一部にドローン空撮が含まれている程度でした。
こういった傾向から、現時点でドローン操縦士の需要が高まっている分野は空撮よりも公共インフラの点検や測量、建物調査と考えられます。
また、ドローンの普及に伴いドローン操縦士という仕事への注目度も上がっていきます。
将来的にドローン操縦士として活躍したいと考えてスクールへ通う人も増えているため、ドローンの指導を行うインストラクターの需要も高まっているでしょう。
ドローン操縦士(パイロット)の将来性
さまざまな分野でドローンが取り入れられるようになり、ドローン操縦士の需要は高まっています。
その一方で「この右肩上がりの需要はいつまで続くのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
ドローン市場は年々拡大している
ドローンの市場は年々拡大しており、今後も拡大傾向を続けると予測されています。
2022年には3000億円以上の市場規模になると推測されており、広範囲に渡るドローンの活用が進んでいます。
今後の5年間で市場規模が今の3倍以上にも拡大すると言われているため、ドローン操縦士の需要は劇的に高まる可能性を秘めています。
自動操縦が普及しても需要は下がることはない
ドローンは直接操縦をしなくても、プログラミングによる自動操縦で高度な飛行を行うことができます。
現時点での法規制ではすべてのドローンを自動操縦で運用することは難しいですが、法改正や開発技術の進歩により自動操縦によるドローン運用の例が増えていくことでしょう。
「「自動操縦が普及すれば、ドローン操縦士は不要になってしまう」と考える方もいますが、必ずしもそうとは限りません。
業務によっては人の判断でドローンをコントロールしなければ危険な場合もあるため、ドローンの安全管理に関する知識を持った操縦士の需要は続いていくと考えられます。
航空法改正によって考えられるドローン市場の変化
2022年12月の航空法改正によって有人上空かつ目視外の飛行が法律によって実現可能になりました。
このいわゆる「レベル4飛行」が実現されることで、ドローンの活用分野はより幅広くなり、市場の拡大も加速していくでしょう。
例えば、ドローンを使った宅配も「有人上空かつ目視外」の飛行が認められなければ実現できませんでした。
今回の法改正はドローン市場を大きく前進させるきっかけともいえるため、新しい時代のドローンがどのように使われるか楽しみですね。
【おまけ】ドローン操縦士(パイロット)として働く際に準備しておきたいアイテム
ドローン操縦士として働く際、以下のようなアイテムも揃えておくと安全に飛行しやすくなります。
パイロットベスト
蛍光色で目立ちやすいベストを着用することで、パイロットの位置を確認しやすくなります。
一般の方へドローンの操縦中であることをアピールできる(または何らかの作業中と認識させる)ため、飛行範囲内への立ち入りも抑制する効果も期待できるでしょう。
また、ペン、小物、カードなどを収納できるポケットがあれば、必要なアイテムをすぐに取り出せるため便利です。
ヘルメット
故障などによりドローンが頭上から墜落した場合を考えて、頭を保護するためのヘルメットを装備することは重要です。
ヘルメットには「飛来・落下物用」「墜落時保護用」「電気用」と特定の用途に特化したタイプが存在します。
ドローンの操縦で装備するヘルメットの場合、「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」に対応したヘルメットがおすすめです。
ランディングパッド
ドローンは離着陸時に地面の草や砂、虫など様々なものを巻き込んでしまいます。
機体の汚れにつながるだけでなく、小さな砂や虫がモーターに入り込んで故障してしまう可能性もあるでしょう。
ランディングパッドを離着陸地点に敷いておけば、そういったトラブルを防ぐことができます。
飛行中標識テープ
ドローンの飛行範囲を囲い、第三者の立ち入りを防ぐことができる標識テープです。
飛行中であるドローンの存在を周囲に伝えることで、飛行業務がより安全に進められます。
視認性の高い黄色と黒のカラーリングで、「ドローン飛行中」「上方注意」といったドローンならではの注意喚起メッセージが記載された専用テープも販売されています。
ドローン操縦士に関するよくある質問
ドローン操縦士に関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
ドローン操縦士は副業でできる?
ドローン操縦士は副業としても活動できます。
フリーランスや業務委託という形で空いた時間に活動すれば、副業としても十分成り立ちます。
ドローン操縦士に求められる能力は何?
ドローンを正確に操縦するための技術や安全・法律に関する知識などが求められます。
その他にも、コミュニケーション能力や計画性、判断能力など、業務を円滑に進めるための能力も必要です。
今からドローンの資格をとるなら何がおすすめ?
今取得するのにおすすめの資格としてはやはり「国家資格」が挙げられます。
注目度も高いですし、国内初の国家資格ということで信頼性の高さもあります。
ドローン操縦士としての大きなアピールにもなりますし、一部の特定飛行で許可申請が不要になるなど、業務上のメリットもあります。
まとめ
現在、ドローン操縦士は「測量」「点検」「インストラクター」などの分野を中心に需要が高まっている状態です。
航空法の改正によってドローンをビジネス活用しやすい環境が整いつつありますし、今後はよりドローン操縦士として活躍する場の選択肢も増えていくことでしょう。
そして、実際にドローン操縦士として働くことを考えている場合、資格を取得しておくと就活や業務をスムーズに進めやすくなります。
自分はどのような分野に強みがあり、どのように働きたいのかなどを明確に定め、将来的に長く活躍できるドローン操縦士を目指しましょう。
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