ドローンによる測量とは?メリット・デメリットや手順・資格を徹底解説!

更新日: 2024.10.08 公開日: 2022.07.21
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建設業界では測量業務を行うにあたり、ドローンを活用する例が増えています。

ドローンを使うことで、従来の地上測量よりも短時間かつ広範囲の測量が可能となる上に、人の立ち入りが難しい場所でも安全に測量が行えるなどのメリットがあるのです。

今回は、ドローンを活用した測量について以下の内容を詳しく解説します。

この記事でわかること
  • ドローンによる測量の仕組みや精度
  • ドローン測量の具体的なメリットとデメリット
  • ドローン測量の手順
  • ドローン測量に必要な資格について
目次

ドローン測量とは?

建設業界における「測量」とは、土地の面積や高低差などを機械で測って図面に表す業務のことです。

従来は地上で機械を使ったり、有人航空機で空撮をしたりしてて測量を行っていました。

しかし、これらの方法では広範囲の測量を行う際に手間がかかる上に、人件費や有人航空機の運用費などのコストが高くなります。

このような問題を解決するツールとして、測量業務でドローンを導入する企業が増えています。

ドローンに搭載されたカメラやセンサーを用いて上空から土地を撮影することで、短時間で広範囲の地形を測ることができます。

ドローンは有人航空機よりも機体価格がリーズナブルなため、「低コスト」と「作業効率の向上」の両方を実現することが可能です。

【参考】ドローンによる測量事例

測量業務における具体的なドローン活用事例は以下の通りです。

  • ドローン搭載型グリーンレーザ測量による橋梁点検の洗堀調査
  • 2018年西日本豪雨の被災状況把握を目的としたドローン測量
  • リアムコンパクト数値モデルとドローン測量の連携による風況シミュレーション

ドローン測量の原理

ドローン測量では、「機体に搭載したカメラで空撮を行う」ことで地形の測量を実施します。

対象物を片目だけで見ると、それぞれで対象物の位置が少しずれて見えますが、両目で見ると違う位置で捉えられている対象物の映像が脳内で合成され、立体として認識しているという仕組みがあります。

ドローン測量は、目の代わりにカメラを用いて土地の写真を複数枚撮影します。

一定の高度・間隔で同じ箇所の写真が重なるように複数枚撮影することで人間の視覚を再現し、立体的な土地のデータが取得できるという原理です。

従来の測量方法との比較

ドローンを活用した測量は従来の測量方法と比較して、以下のような違いがあります。

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測量方法概要特徴
ドローン測量上空からの空撮やレーザー照射によって測量を行う・短時間で広範囲の測量が可能
・人が入れない場所でも測量できる
地上測量距離と角度を測れる装置を利用して測量を行う・測量範囲が狭い
・人件費と時間がかかる
有人航空機による測量セスナなどを用いて上空からの空撮やレーザー照射によって測量を行う・広範囲の測量が可能
・運用費がかかる

従来の測量方法では、人件費や運用費がかかるという課題がありました。

ドローンによる測量を取り入れることで、時間やコストの削減が可能で、広範囲の測量を効率的に行えます。

ドローンによる測量が活躍する業種

ドローンによる測量が積極的に活用されている業種を紹介します。

どのような業界でドローン測量が行われているのか詳しく見ていきましょう。

建設(建物点検・土地家屋調査など)・インフラ業界

ドローン測量を導入している代表的な業種は、建設・インフラ業界です。

着工前にドローンを使って現場を撮影したり、距離・角度・高度を測って地形の状態を把握する際に役立ちます。

また、竣工後に当初の設計通りにでき上がっているかを確認する「出来形管理」のためにドローン測量や点検を行う場合もあります。

専門職の人間による作業や航空機を使用するといった従来の方法に比べ、ドローン測量は人件費や機器の運用費といったコスト削減や作業効率の向上に繋がるのです。

産業廃棄物業者

産業廃棄物の最終処分場にて、ドローンによる測量を通じて取得した3次元点群データを利用し埋め立て量や残余容量を算出するという活用事例もあります。

ドローン測量を導入することで、従来よりも作業効率の向上やデータの高度化が可能になるメリットが得られます。

精度の高いデータで埋め立て量や残余容量などの状況を明確に把握できるため、適切に指示管理することができるという点も魅力です。

鉱山管理業者

経験豊富な作業員の高齢化が進む鉱山管理の分野でも、作業員の安全性の確立や作業の効率化を目的にドローンの活躍が期待されています。

国内では既に福岡県の住友大阪セメント小倉鉱山、北海道の砂子炭鉱にてドローン測量により取得したデータを管理に活かしている実例もあります。

参考:経済産業省|鉱山における無人航空機(ドローン)活用に関する手引き 

作業範囲の広い鉱山は測量や図化作業に多くの時間を要するだけでなく、墜落や落石といった災害リスクの高い現場です。

ドローンを導入した結果、時間・リスク共に大幅な低減や採掘計画や出来高管理の精度向上を達成できたという実績を残しました。

ドローン測量の種類

ドローン測量には、測量の方法によって以下の3つの種類があります。

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写真測量ドローンに搭載したカメラで空撮を行って、地上に設置したGPSと組みわせて測量を行う
レーザー測量ドローンからレーザーを照射して、地表から反射したレーザーを元に測量を行う
グリーンレーザー測量水の影響を受けないレーザーで河川や港湾などでの測量で用いられる

では、それぞれの測量方法について詳しくみていきましょう。

写真測量

写真測量は、光学カメラを搭載したドローンで撮影した航空写真をつなぎ合わせて地形の情報を取得する撮影方法です。

地上に設置したGCPによるドローンの位置情報と撮影範囲を重複させた写真をもとに、歪みを修正してつなぎ合わせた写真から地表の状態を調査します。

地表のデータ数や精度はレーザー測量よりも少ないですが、必要な機材が安価なためコスト削減に機体ができる撮影方法と言えます。

レーザー測量

レーザー測量は、ドローンに搭載したレーザー測距装置から取得した地表の距離情報とGCPから取得した位置情報を組み合わせることで、地表の状態を精密に記録できる撮影方法です。

地表へレーザー光線を照射し、反射したレーザー光線を元に地表との距離を測定するという仕組みになっています。

写真測量よりも高精度なデータが取得できる他、発射するレーザーの数が多ければ樹木のある場所でも伐採することなく測量を実施できます。

ただし、レーザー測距装置は高額なため写真測量よりもコストが高くなるというデメリットもあるのです。

写真測量とレーザー測量の違い

写真測量とレーザー測量の特徴をまとめると、以下の通りです。

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写真測量・光学カメラで撮影した写真から地表の状態を調査
・レーザー測量で取得できるデータよりも精度が低く、情報量が少ない傾向にある
・低コストで実施できる
レーザー測量・地上に照射後、反射したレーザー光線から地表の状態調査
・写真測量で取得できるデータよりも精度が高く、情報量は多い
・実施にかかるコストが高い

ドローン測量は撮影方法により異なるメリット・デメリットが存在します。

高精度かつ多くの情報を取得できるレーザー測量の方を積極的に実施するべきなのでは?と思いがちですが、コストが高いというデメリットがある上に非常に大きい問題です。

そのため実施できる企業は限られており、写真測量と比べて活用事例は少ないという現状にあります。

グリーンレーザー測量

グリーンレーザーとは、人の目に見える範囲である波長532mmの光を発振するレーザーの総称です。

人の目には緑色の光に見えることから、グリーンレーザーと呼ばれています。

建設現場における墨出し器や会議に使うレーザーポインター、理科学分野ではラマン分光、傾向分析、工業分野ではダイシング、ドリリングなど多岐にわたる分野で活用されています。

グリーンレーザー測量の仕組み

グリーンレーザーを用いた測量では、スキャナから水面にグリーンレーザーを照射します。

反射するパルスの往復時間と、水を透過するパルスの往復時間の差から水深を算出して陸上と水底の地形を3次元計測できるという仕組みです。

従来の測量では地上と水底を別々に計測したうえでデータを合成しなければならなかったため、手間やコストがかかっていました。

グリーンレーザーを使えば陸上と水底の測量を同時に行えるため、作業効率が大幅に向上するのです。

また、高精度なデータが取得できるというメリットもあります。

グリーンレーザー測量の特徴

グリーンレーザーは波長が短く水に吸収されにくいという性質を持っています。

そのグリーンレーザーを照射できる機器を小回りの利くドローンに搭載すれば、水底や濡れた地面の測量も広範囲かつシームレスに行うことができるのです。

航空レーザー測深機よりも低高度から計測可能なので、1㎡あたり100点以上という高密度な点群データも取得可能です。

今後、グリーンレーザーはドローンと併せて河川管理や港湾管理などへの更なる活躍に期待を集めています。

ドローン測量のメリット

測量にドローンを取り入れる具体的なメリットは、以下の通りです。

・短時間で広範囲の測量が可能
・人が立ち入れない場所でも安全に撮影ができる
・3Dモデル作成が容易
・低コストで測量ができる
・従来の航空測量と比較して点群データの密度が高い

では、1つずつ詳しくみていきましょう。

短時間で広範囲の測量が可能

上空から測量を行うドローンは作業可能な範囲に限りがなく、人の手よりも素早く計測することができます。

作業範囲や土地の状況、必要なデータの精度などによって詳細な所要時間は変動しますが、地上測量の場合は最低でも1日以上かかることが一般的でした。

しかし、同じ状況でドローンによる測量を行った場合は地上測量と比較して半分程度の工数で済みます。

また、ドローンの展開やターゲットの設置、安全確認などの準備は、どんなに広い現場であっても操縦者と安全管理者の2人だけで完結できるため人員の削減にもつながります。

人が立ち入れない場所でも安全に撮影ができる

斜面や高低差のある場所、河川付近、土砂崩れがある場所などの測量が必要となる場合もあり、地上測量の場合は常に転落事故などのリスクを隣り合わせの中作業することになります。

しかし、上空を飛ぶドローンを使った測量であれば危険な場所に人が立ち入る必要がなく、安全性を確保しながらも素早く作業を済ませることができます。

3Dモデル作成が容易

ドローン測量により取得したデータは、比較的容易に3Dモデルを作成することができます。

地形の情報を点群データとして保存しているため、専用ソフトを使えば自動的に解析されるためです。

なお、地上測量の場合は測量作業だけでなく、取得データからさらに必要な図を作成しなければならないためその分時間がかかっていました。

ドローンを使えば必要な図は自動的に作成されるため、3Dモデル作成までの作業時間が短縮されます。

低コストで測量ができる

上空からの撮影による測量(航空測量)では、セスナ機などの航空機を用いる方法が従来の方法でした。

条件によって異なりますが、セスナ機を測量目的で飛行させる場合は100万円程度の費用が必要です。

一方、測量向けドローンの機体価格は十数万円程度が相場となっているため大幅なコストカットにつながります。

準備から撮影まで少ない人員で行うことができるので、人件費の削減も可能です。

従来の航空測量と比較して点群データの密度が高い

ドローンは100メートル程度の低空飛行も可能なため、セスナ機で測量した場合よりも高密度な点群データが取得できます。

その結果、成果物となる3Dモデルの精度を高めることにつながるのです。

ドローン測量のデメリット

メリットの多いドローン測量ですが、一方で以下のようなデメリットも潜んでいます。

  • 狭い%凹凸の無い土地ではコストが割高になる
  • 広範囲の撮影はバッテリー交換が必要

デメリットを理解した上で導入するようにしましょう。

狭い範囲や凹凸の無い土地ではコストが割高になる

ドローンは広い範囲で測量できるというメリットがある一方、数十平方メートル程度の狭小地かつ平坦な場所では地上測量よりもコストがかかる場合があります。

狭い場所や平坦な場所は地上測量でも少人数で容易にできるため、ドローンを導入した場合は逆に割高となる可能性があるのです。

現場の規模や状況に合わせて測量方法を選択すると良いでしょう。

広範囲の撮影はバッテリー交換が必要

機体により異なりますが、ドローンの連続飛行時間は10~30分前後が一般的です。

連続飛行時間が短い機体で広範囲の撮影を行うと、何度も離着陸してはバッテリーを交換しなければならない場合もあります。

ただし、近年はドローンの機体性能やバッテリー技術の向上に向けた研究が各メーカーで積極的に行われている傾向にあります。

そのため、将来的にはドローンの連続飛行時間の平均値も伸びていくことが期待できます。

ドローン測量の手順・方法(やり方)

ドローン測量を行う手順は、以下の通りです。

STEP
現地調査と計画の作成
STEP
標定点及び検証点の設置
STEP
設計したルートを飛行させる
STEP
三次元形状復元計算
STEP
点群編集
STEP
三次元点群データファイルの作成
STEP
品質評価
STEP
成果等の整理

では、手順を1つずつ詳しく見ていきましょう。

1.現地調査と計画の作成

測量の対象となる土地へ実際に足を運んで現地調査を行い、障害物の有無や通信状況を確認します。

調査の結果をもとに、ドローンをどのように飛行させ、どのように撮影するかの計画を設定します。

なお、飛行計画の内容によっては国土交通省への飛行許可申請が必要となる場合もあるため状況に応じた対応が必要です。

2.標定点及び検証点の設置

三次元点群作成におけるドローン測量では、「標定点」と「検証点」の設置が必要です。

標定点や検証点は写真から判別できるように、白黒または黄色と黒で塗り分けられた標識を設置します。

なお、標識の模様は以下を基準として定められています。

引用:「UAV を用いた公共測量マニュアル(案)」より

三次元点群作成におけるドローン測量の標定点は、計測対象範囲を囲むように配置する「外側標定点」と計測対象範囲内に配置する「内側標定点」という構成です。

作成する三次元点群の位置精度に応じて以下を標準とした間隔で、外側標定点3つ以上・内側標定点1つ以上を配置します。

引用:「UAV を用いた公共測量マニュアル(案)」より

なお、標準的な標定点と検証点の配置イメージは以下の通りです。

引用:「UAV を用いた公共測量マニュアル(案)」より

3.設計したルートを飛行させる

標定点や検証点を配置したら、設定したルートに沿ってドローンを飛ばし空中写真を撮影します。

撮影後は正確にデータを取得できているのかを確認し、問題があれば再度ドローンを飛ばして撮影をやり直す必要があります。

4.三次元形状復元計算

ドローンによる空中写真の撮影が終わったら、「三次元形状復元計算」という作業に移ります。

三次元形状復元計算とは、撮影した空中写真からカメラと対象物との三次元構造を復元する作業です。

SfMソフトというツールを使い、作成したオリジナルデータをもとに点群編集や三次元データファイルの作成が行われます。

5.点群編集

点群編集では、SfMソフトで作成したオリジナルデータから必要に応じて異常点の除去や点群の補間などを行ってグラウンドデータを作成します。

具体的には、ドローンによる写真撮影から得られたオリジナルデータを複数の方向から確認し、地形以外を示す特徴点や成果に不要なデータ特徴点などを取り除きます。

また、オリジナルデータの密度が足りない場合は現地補則を行って点群を補間するのです。

オリジナルデータ上の異常点が多かったり、密度の足りない範囲が広い場合は必要に応じて空中写真の撮影や三次元形状復元計算を再度行わなければなりません。

6.三次元点群データファイルの作成

点群編集後のグラウンドデータから三次元点群データファイルを作成し、電磁的記録媒体に記録する作業に入ります。

三次元形状復元ソフトは様々な形式での出力が可能ですが、三次元点群データとしてはLAS・CSV・TXT・LandXML・TINなどの型式が一般的です。

7.品質評価

三次元点群データファイルが完成したら、「作業規程の準則」第3編第4章第12節の規定に沿って評価を行います。

1.「品質評価」とは、基準点測量成果について、製品仕様書が規定するデータ品質を満足しているか評価する作業をいう。

2.作業機関は、品質評価手順に基づき品質評価を実施するものとする。

3.評価の結果、品質要求を満足していない項目が発見された場合は、必要な調整を行うものとする。

引用:作 業 規 程 の 準 則

8.成果等の整理

メタデータの作成や、三次元点群データファイルに加えて適宜必要な資料などを揃えて整理します。

メタデータとは、「本体であるデータに関する情報が記載されたデータ」のことです。

作成者や作成日、保存場所、サイズなど本体データに関して補足する情報を指します。

【参考】公共測量においては国土地理院よりマニュアルが発行されている

ドローンを用いた公共測量の詳細な手順については国土地理院よりマニュアルが発行されており、これまで挙げた手順もマニュアルを参考に解説いたしました。

上記は「三次元点群データ作成」における測量の手順となっていますが、他にも「地形図作成」における測量の手順も記載されています。

参考:UAV を用いた公共測量マニュアル(案) 

ドローン測量で得られるもの

ドローン測量を行うことで以下のデータが得られます。

・3次元点群データ
・オルソ画像
・標高差データ

3次元点群データ

3次元点群データとは、ドローンで上空から取得できるX・Y・Z軸の情報です。

ドローンに搭載された気圧計などから高度のデータを取得すると同時に、GPSやGLONASSの人工衛星から位置情報を取得します。

位置情報を光学カメラやレーザー測距装置から捉えたデータと組み合わせると、点の群れによる3次元の地形データが作成されるのです。

このデータを専用ソフトで加工すると、特定の範囲内における距離や盛土の体積が算出できる他、地形の3Dモデルや図面作成、出来形管理などが可能になります。

オルソ画像

オルソ画像は、上空から撮影した複数枚の写真を組み合わせて傾きや歪みなどをなくし、正確な位置と大きさに配置されるように補正した写真のことを指します。

通常の航空写真よりも正確な地形情報を把握できるため、地図データとの組み合わせが容易というメリットがあります。

また、三次元点群データとオルソ画像を併せて活用することで、正確な測量データを素早く入手できるため作業効率化や工数の削減によるコスト削減も可能です。

標高差データ

地形の高低差を可視化したデータで、地形の起伏を一目で把握することができます。

標高差データは、大規模な造成工事における現場確認など様々な場面で必要になります。

ドローンで測量を行うには資格や免許は必要?

ドローンで測量を行うとなれば、取得が必要な資格・免許の有無は気になるところです。

ここでは、「ドローンの操縦」と「測量」に分けて必要な資格・免許の有無について解説いたします。

操縦に関する資格や免許は不要

2024年9月時点で、ドローンの操縦において取得しなければならない資格や免許はありません。

そのため、ドローンを操縦するのみであれば、特別な資格や免許は不要です。

2022年12月からドローンの国家資格制度が創設されましたが、こちらは取得することで、レベル4(有人地帯での目視外飛行)の実施や、一部の規制対象とされている飛行方法の許可申請簡略化が可能になります。

高い操縦技術が必要なためスクールへ通った方がいい

ドローンの測量を行うには、高い操縦技術が必要なため、ドローンスクールで講習を受けることが推奨されています。

ドローンスクールにて座学・実技のカリキュラムを履修すれば、基本的な操縦技術や知識が身につけられます。

ドローンスクールを受講することで、以下のようなメリットが挙げられます。

  • ドローン操縦に関する機体の知識や法規制について効率よく学べる
  • プロの操縦士から指導を受けて操縦技術を身に付けることができる
  • 国土交通省認定の団体による資格を取得すれば、飛行許可申請の一部を簡略化できる

公共測量を行うには「測量士」「測量士補」の資格が必要

測量業務を行う場合、ドローンを使っても使わなくても国土地理院認定の国家資格である「測量士」または「測量士補」の資格を取得しなければなりません。

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測量士測量業務の主任者として測量計画の作成が可能となる資格
測量士補測量士が作成した計画に従って測量業務を行うことができる資格

測量士とは

測量士とは測量業務の主任者として測量計画の作成が可能となる資格で、測量業者として開業する際に最低でも1人は在籍している必要があります。

測量士の資格は、下記のうちいずれかを満たすことが取得条件です。

  1. 文部科学大臣の認定大学で測量に関する科目を履修したうえで卒業し、1年間の実務経験を積む
  2. 文部科学大臣の認定短大または高等専門学校で測量に関する科目を履修したうえで卒業し、3年間の実務経験を積む
  3. 国土交通大臣の登録を受けた専門学校などで1年以上専門科目を履修し、2年間の実務経験を積む
  4. 測量士補の資格取得後、国土交通大臣の登録を受けた養成施設で専門科目を履修する

測量士補とは

測量士補とは、測量士が作成した計画に従って測量業務を行うことができる資格です。

測量士の資格を持っている場合と比べて待遇に大きな差が生じることはありません。

しかし、担当できる業務の幅が若干広がるため、始めから測量士の資格取得を目指す方が多いといわれています。

  1. 文部科学大臣の認定大学、短大、高等専門学校で測量に関する科目を履修したうえで卒業する
  2. 国土交通大臣の登録を受けた専門の養成施設で1年以上専門科目を履修する

ドローン測量に必要なもの

実際にドローンで測量を行う場合、ドローン本体だけでなく様々なツールが必要となります。

ドローン本体

ドローン本体に関しては、実施する測量方法が「レーザー測量」か「写真測量」かで適しているものが異なります。

レーザー測量ではレーザー装置搭載のドローンが必要

ドローンでレーザー測量を行う場合、当然ながらレーザーを放射できる装置を搭載した専用機に加えてレーザー測距装置も必要となります。

一般的にレーザー測量用のドローンは1000万円以上もかかる高額な機体ばかりでした。

ですが、近年では比較的安い価格と言える500万~600万円程度の機体も「テラドローン」より販売されています。

写真測量ではGPS/カメラ/高度計を搭載したドローンが必要

写真測量の場合、最低限カメラ・GPS・高度計が搭載されたドローンであれば実施可能です。

ただし、制度の点を考慮するとホビー用ドローンのように簡易的な機体を用いることは現実的ではありません。

写真測量によく使われているドローンとしては、DJI製の「Phantom 4 Pro V2.0」や「Matrice 600 Pro」などの産業用空撮ドローンが挙げられます。

プロポ(コントローラー)

ドローン本体を動かすためのプロポも必要となります。

プロポの操作方法は「モード1」と「モード2」があり、ドローン初心者の方はどちらが良いか迷う場合もあるでしょう。

モード1は昔から日本国内で使われている操作方法でもあり、農薬散布用ドローンなどに採用されていることが多いです。

一方で、モード2は世界的にスタンダードとされている操作方法となっており、直感的に操作しやすいという特徴があります。

そのため、どちらかを選ぶか迷ったときは、モード2を選んでおくと無難です。

メモリーカード

測量を含め、ドローンで空撮を行う際に必要となるものが撮影データを記録するメモリーカードです。

各メーカーが様々なメモリーカードを販売していますが、必ずしもドローン本体と同じメーカーから販売されている製品を使う必要はありません。

ただし、DJIの場合は同社製ドローンに対する推奨SDカード、非推奨SDカードの種類も公開しています。

非推奨SDカードを使用すると書き込み速度の低下などが生じる恐れがあるため注意しましょう。

飛行ルートを設定するアプリ・ソフトウェア

ドローン測量を行う場合、機体を一定の速度・高度で飛行させて点群データを取得する必要があります。

そのため、あらかじめ設定したルート上を自動航行させることも多いです。

DJI製ドローンであれば、「DJI GS Pro」というiPad用アプリを使うことで簡単に自動航行ルートを設定することができます。

なお、iPadを所有していない方はスマホやAndroidなどにも対応している「Litchi」というアプリもおすすめです。

3Dモデルや鳥瞰図を作るためのソフトフェア

ただドローンで写真を撮影すれば良いというわけではなく、撮影した写真を落とし込んで作成した3Dモデルや鳥瞰図を測量データとして活用します。

「Terra Mapper」や「PhotoScan」、「Pix4D Mappaer」などが測量データ作成用のソフトとして有名です。

レーザー測量では「レーザー測距装置」

レーザー測距装置は、地表に発射したレーザーが反射して戻ってくる時間差を参考に距離を測る装置です。

レーザー測量を行う場合、レーザー発射装置だけでなくこの測距装置も必要となります。

事故に備える保険

ドローンの飛行中に事故が発生した際のリスクに備え、「ドローン保険」に加入しておくことも大切です。

ドローン保険は、以下の2種類に分けられます。

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賠償責任保険ドローンにより人や物へ損害を与えた場合に支払う損害賠償を補償
機体保険機体の破損による修理費用、行方不明となった機体を捜索するための費用、盗難により生じた損害などを補償

保険会社によって提供しているプランの詳細は異なるため、加入する保険を選ぶ際はよく情報を確認しておきましょう。

測量におすすめのドローン機体(機種)

ドローンには様々な種類がありますが、測量業務に用いるうえでおすすめな機種は以下の通りです。

ACSL PF2-AE Survey

ACSL PF2-AE Surveyは、国産のパーツで開発されたセキュリティ性の高い測量ドローンです。

YellowScan社製LiDARを搭載しており、安全な3次元測量を可能にしています。

さらに、RGBカメラを搭載しているため、点群の色付けを行うことも可能です。

NTT e-Drone Technology EC101 connect

NTT e-Drone Technology EC101 connectは、農業用ドローンをベースに開発された産業向けドローンで、数多くの飛行実績があります。

YellowScan社製の測量器にも対応しており、測量用ドローンとしても幅広く利用できます。

機体は軽量かつコンパクトで取り回しがよく、バッテリー1つで長時間の飛行も可能です。

DJI Matrice 350 RTK

DJI Matrice 350 RTKは、DJIがラインナップする産業向けドローンのフラッグシップモデルです。

優れた飛行性能に加えて、安定した映像伝送、高効率なバッテリーシステム、包括的な安全機能など、卓越した性能を誇っています。

効率的かつ正確な地形データの収集が可能になっており、DJI Terraと併用すると、高解像度の2Dや3Dデジタル画像をスムーズに取得できます。

測量用ドローンおすすめの自動航行アプリ

先述の通り、ドローンで測量を行う場合はあらかじめ設定した飛行ルート上を自動航行させることが多いです。

そのため、ドローン測量には飛行ルートを設定するアプリが必要となります。

DJI GS Pro

DJI製ドローン向けの自動航行アプリで、iPad専用となっています。

クラウド上で飛行データをバックアップすることができ、安全なデータ管理が可能です。

タップによる簡単操作で、手軽に飛行ルートを設定できます。

Litchi

上記と同様にDJI製ドローンに対応したアプリで、タブレットだけでなくスマホやPC操作にも対応しています。

地図表示が詳細なので飛行ルートの細かな調整がしやすいアプリです。

データ作成・解析におすすめのソフトウェア(無料トライアルあり)

測量後のデータ作成や解析を行うにあたり、専用のソフトは必要不可欠です。

ここでは、データ作成・解析に使われることが多い専用ソフトを紹介します。

Pix4Dmapper

航空測量や地理空間情報技術業界をリードする存在でもある、国際航業株式会社が提供しているソフトウェアです。

点群データから高精度で距離・面積体積の算出が可能な他、3Dマップやモデルの作成も可能です。

なお、無料トライアルバージョンもあるため購入前に使用感を試すこともできます。

KUMIKI

ドローンで撮影した画像をアップロードするだけで、地形データを簡単に生成できるクラウドサービスです。

月間処理画像枚数やストレージ上限などが異なる「スタンダードプラン」と「エンタープライズプラン」という2種類のプランを展開しています。

簡易的な地形データから高精度な地形データまで生成できるため、ドローン初心者から経験者まで幅広い層に利用されています。

Metashape

ドローンに搭載したカメラをはじめ、様々なハードウェアで撮影した写真を取り込むことで3Dモデル生成や三角測量、高密度な点群生成などの機能が使用可能です。

「プロフェッショナル」と「スタンダード」の2種類があり、プロフェッショナルはより多彩な機能が搭載されています。

Windows、macOS、LinuxなどのPCに対応しています。

TerraMapper

テラドローン社が販売しているドローン用測量ソフトウェアです。

対空標識の自動認識、不要物の自動除去などデータ作成をスムーズに行える便利な機能の搭載している他、盛土・切土の計算も簡単にできるため現場の進捗管理もしやすくなります。

デスクトップ版は40万円程度で導入可能ですが、クラウド版にて無料トライアルもできます。

ドローン測量の費用(料金)はどれぐらい?

同じ空中写真を用いた測量でも、ドローン測量は有人航空機を用いた場合と比べてコスト削減効果に期待できます。

では、具体的にどれくらいの費用がかかるのかを詳しく見ていきましょう。

自分で行う場合

ドローン測量を代行業者に依頼せず、自社で機材を揃えて測量を行うには主に以下の費用が必要となります。

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ドローンやカメラなどの機材写真測量:30〜100万円
レーザー測量:数百万~1000万円
人件費数十万円
データ作成、解析のための専用ソフト5万円~40万円

機材

ドローンやカメラなどの機材に関しては、測量方法が「写真測量」か「レーザー測量」かにより大きく異なります。

写真測量

写真測量の場合は、ドローン本体とカメラなどを合わせて、小型であれば30~40万円程度で購入可能です。

中型機や大型機を導入する場合は、一式そろえると最低でも100万円以上はかかります。

レーザー測量

レーザー測量の場合、ドローン本体とカメラに加えてレーザー発振器も必要不可欠です。

これら必要な機材をすべて揃えるには、数百万~1000万円と高額な費用がかかります。

レーザー測量は写真測量よりも高額な費用が必要となるため、未だに普及率が低いのが課題です。

人件費・専用ソフト

上記の機材費に加えて、現場で作業を行う人員にかかる人件費はおよそ数十万円、専用ソフトの導入には5万円~40万円が必要となります。

資格取得費

また、ドローン操縦に関する資格取得のためにスクールへ通う場合はプラスで10万~40万円程度の受講費もかかります。

外注する場合

自社でドローンを導入せず、ドローン測量を代行している業者に依頼するという手もあります。

現場の地形や必要な作業員、機材によって価格は異なりますが、写真測量の場合とレーザー測量の場合にかかる単価の相場は以下の通りです。

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写真測量1日10万~15万円(解析も含めると40万円程度)
レーザー測量300万円程度

写真測量

写真測量の場合、業者によって写真撮影のみの場合と解析まで行ってくれる場合があります。

撮影のみであれば料金は1日10万~15万円程度、解析も含めると40万円程度が単価の目安です。

レーザー測量

ドローンによるレーザー測量の代行料金は300万円程度が目安と言われていま。

しかし、実施している業者は少なく現時点では正確なデータとしてまとめることは難しいという状況です。

外注の場合費用を算出するのは難しい

ドローンによる測量の代行料金はほとんどの場合オーダーメイドで行われるため、利用する業者だけでなく現地の地形情報によって大きく変動する場合があります。

また、業務にかかる費用だけでなく人件費や交通費もプラスされる場合があるため、実際に見積もりを行わなければ明確な費用の目安を確認することは困難です。

ドローン測量士になる方法

ドローン測量士になるためには、「測量士」または「測量士補」の資格を取得して、企業に就職するのが一般的です。

企業で測量士としての実務経験を積んだら、独立して開業するルートもあります。

いずれにしても、測量は実務経験が重要視されるため、まずは測量士の求人情報をリサーチしましょう。

必要な資格を取得する

「測量士」「測量士補」になるためには、下記の取得条件を満たさなければなりません。

スクロールできます
測量士・文部科学大臣の認定大学で測量に関する科目を履修したうえで卒業し、1年間の実務経験を積む
・文部科学大臣の認定短大または高等専門学校で測量に関する科目を履修したうえで卒業し、3年間の実務経験を積む
・国土交通大臣の登録を受けた専門学校などで1年以上専門科目を履修し、2年間の実務経験を積む
・測量士補の資格取得後、国土交通大臣の登録を受けた養成施設で専門科目を履修する
測量士補・文部科学大臣の認定大学、短大、高等専門学校で測量に関する科目を履修したうえで卒業する
・国土交通大臣の登録を受けた専門の養成施設で1年以上専門科目を履修する

求人を探す

求人サイトを使ってドローン測量士の仕事を探す場合、「建築・土木」や「測量」という業種に加えて「ドローン」というワードで検索するとドローン測量を実施している企業の求人情報がヒットします。

測量だけでなく、空撮などドローンに関わる様々な分野で操縦技術を活かしたいという方は、ドローン操縦士に特化したクラウドソーシングサービスも利用しても良いでしょう。

ドローン測量を取り扱う会社は増加傾向に

比較的安価に空中写真の撮影が行えるドローンは、近年様々な企業が導入している傾向にあります。

それに伴い、ドローンの操縦が可能な人材は測量分野における就職活動に有利となるでしょう。

もちろん、ドローン測量を取り扱っており、測量の資格さえあればドローンの操縦スキルが無くても一から指導してくれる企業もあります。

測量業務を低コスト・高効率で実施できるドローンを取り入れる企業は今後も増加し続けることが見込まれます。

ドローン測量におけるよくある質問

ドローン測量に関してよくある質問を、回答と一緒にまとめました。

ドローン測量の精度は高い?

通常のドローンで測量を行う場合はGPS機能による精度となるため、位置情報にメートル単位での誤差が生じる可能性もあります。

一方、RTK機能を用いた場合はセンチ単位まで誤差を修正することが可能です。

RTKとは、固定局・移動局と呼ばれる2つの受信機で4つ以上の衛星から信号を受信する技術です。

2つの受信機の間で情報をやり取りすることでズレを補正するためGPSよりも精度が高くなっており、搭載されているドローンはDJI社製の「PHANTOM 4 RTK」などが挙げられます。

ドローン測量専門の講習会はある?

ドローン測量に関する知識や技術に特化したコースを用意しているドローンスクールもあります。

数日間にわたりドローンや測量に関する知識を学ぶ座学と、ドローンの操作を学ぶ実技というカリキュラムを受講するという流れが一般的です。

国土交通省への飛行許可申請の方法についても学べるため、ドローン測量を導入する方は受講しておいて損はないでしょう。

高低差の大きい場所でも測量可能?

高低差の大きい現場におけるドローン測量は、取得できるデータの精度が低いため作業を複数回に分けて行うなどの工夫を求められるという点がネックとされていました。

しかし、近年はドローンの機体性能が進化しているため、高低差の大きな現場の測量にも対応できるようになってきました。

例えば、DJIの「Phantom 4 RTK」では、2019年に追加された地形認識モードにより地形の起伏に合わせて一定の高度を保ちながらの自動航行が可能です。

ドローン測量のカメラに求められる精度はどれくらい?

「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」では、ドローン測量に用いるカメラについて以下の性能や機能を基準として定めています。

一 焦点距離、露光時間、絞り、ISO 感度が手動で設定できる。

二 レンズの焦点の距離を調整したり、レンズのブレ等を補正したりする自動処理機能を解除できる。

三 焦点距離や露光時間等の情報が確認できる。

四 十分な記録容量を確保できる。

五 撮像素子サイズ及び記録画素数の情報が確認できる。

六 撮影に使用するデジタルカメラのレンズは、単焦点のものを標準とする。

引用:UAV を用いた公共測量マニュアル(案)

先ほどご紹介したDJI製のドローン3種類はいずれも上記の基準をクリアできる高性能なカメラを搭載しているため、測量用としておすすめできます。

ドローン測量の「標定点」とはなに?

標定点値は、空中写真測量の精度を向上させるために必要となる基準点のことです。

あらかじめ正確な座標が分かっているポイントに標定点として標識を設置し、検証点との座標の差から高低差や距離を算出します。

そのため、ドローン測量を行う前にトータルステーションやGNSSローバーなどを使って標定点となる座標を測定しなければなりません。

屋根の測量もドローンでできる?

地上に対する空中測量の技術を利用すれば、ドローンによる屋根の寸法や面積測定・点検も可能です。

テラドローン社ではドローンで撮影した屋根の写真から積算に必要な図面を自動生成できる「Terra Roofer」というアプリを開発したことで話題にもなりました。

ドローンの自動航行アプリや国土交通省への飛行許可申請代行、保険などがセットになったパッケージとして提供しています。

参考:ドローン撮影した画像から点群生成し自動で屋根の積算が可能に、“屋根点検”に革命 

水中での測量は可能?

近年は水中におけるドローン測量の技術開発も進んでおり、グリーンレーザー測量システムを用いた現場実証実験も行われています。

現時点では普及まで至っていませんが、開発が進歩すれば水中でのドローン測量も当たり前となる時代はそう遠くない未来に訪れると期待できます。

ドローン測量において覚えておきたい用語集

最後に、ドローン測量でよく見られる用語に関して解説いたします。

RTK機能

GPS機能と比較されることもあるRTK機能とは、GPSやGNSSといった測位衛星に加えて、地上に設置している基準局からの電波を同時に送受信しているシステムを活用した機能です。

GPS機能は位置情報に2メートル前後の誤差が生じますが、RTK機能による位置情報の誤差は数センチに抑えることができます。

高精度な位置情報を得られるRTK機能は、ドローンの自動航行における安全性を高めてくれるとして様々な分野において活用できると考えられています。

i-Construction

i-Constructionとは建設業界における生産性向上のためにICT(情報通信技術)を取り入れるプロジェクトの名称で、2016年に国土交通省が本格始動させました。

i-Constructionでは、以下3つの取り組みに力を入れています。

  • ICTの全面的な活用(ICT土工)
  • 規格の標準化(コンクリート工)
  • 施行時期の標準化

特に「ICTの全面的な活用(ICT土工)」はプロジェクトの大きなカギとなる取り組みと言われています。

効率化が遅れている土工の分野において、測量・設計・施行・検査・管理といったプロセスにドローンを含めたICTの導入が促進されているのです。

GNSS

GNSSは衛星測位システムの総称で、「global navigation satellite system」を略した名前となっています。

複数の測位衛星から時刻情報付きの信号を受信することで、地上の現在位置を計測できるシステムとなっています。

ちなみに測位衛星を利用した位置情報の計測システムとしては「GPS」と呼ばれるイメージが強いですが、GPSはアメリカ合衆国が開発したGNSSの名称です。

日本では初期からアメリカ合衆国のGPSを利用していたことから、衛星測位システム=「GPS」と呼ぶ…というイメージが定着している傾向にあるようです。

オーバーラップ/サイドラップ

オルソ画像を作成する際、ドローンで撮影した複数の空中写真を少しずつずらし、重ねていかなければなりません。

このとき、写真同士が重なっている面積の割合を「オーバーラップ/サイドラップ率」と呼びます。

オーバーラップと呼ばれる部分、サイドラップと呼ばれる部分は以下の通りです。

<ドローンによる写真測量の場合>

同一コースのオーバーラップ率を60%以上、サイドラップ率を30%以上保つことを推奨

<レーザースキャナを用いた三次元点群測量の場合>

同一コースのオーバーラップ率90%以上、サイドラップ率60%を推奨

地上画素寸法

撮影した写真データは1ピクセルあたり地上の何センチ分に相当するか、という寸法のことを地上画素寸法といいます。

地上画素寸法を求める式は、以下の通りです。

撮影高度×センサーサイズ(カメラの1画素あたりのサイズ)÷焦点距離

センサーサイズと焦点距離は同じであるため、一定の高度を保ってドローンを飛ばしても途中で土地が高く(撮影高度が低く)なれば、地上画素寸法はそれに応じて大きくなります。

そのため現場の高低差によって地上画素寸法を見直す必要があり、場合によってはドローンを飛ばす回数が増えることもあるのです。

SfM

「Structure from Motion」の略称で、ドローンで撮影した写真をもとに被写体の3D形状を復元できる機能のことをいいます。

先ほどご紹介した専用ソフトウェア「Pix4Dmapper」や「KUMIKI」、「Metashape」などがこの機能を持っており、写真を取り込めば自動的に点群による3Dモデルを生成してくれるのです。

オルソ画像

複数の空中写真をずらしながらつなぎ合わせ、被写体の位置を正確に表示させた画像のことをオルソ画像と呼びます。

空中写真は被写体から受けた光がレンズの中心を直進することで被写体が投影されるため、「ひずみ」という現象が生じます。

ひずみの影響を受けると、高層ビルや山地などにおける高低差の大きな被写体は写真の中心から傾いたように写ってしまうのです。

単純に空中写真をつなげるだけではひずみが原因で写真同士の接合部分にズレが生じるため、オルソ画像作成の際はSfMソフトを利用してひずみを補正しなければなりません。

まとめ

測量にドローンを用いることで、作業の効率や安全性を高めるだけでなくコストの削減にもつながります。

ただし、レーザー測量を行う場合は高額な機器が必要となるため、現在は写真測量に使うツールとしてドローンを取り入れている企業が多いです。

将来的にドローン測量士として活躍する場合、まずは測量士・測量士補の資格取得を目指す必要があります。

測量の分野におけるドローン活用は今後も拡大していくことが見込まれるため、ドローンの操縦が可能な測量士のニーズもさらに高まっていくことでしょう。

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