ある有名女優とドローンとの深い関わりの話をしよう。
ドローンが軍事用の航空機として進化を遂げてきたことは、すでによく知られた事実だろう。
第二次世界大戦時には、一万機ものターゲット・ドローン(標的無人機)がアメリカの工場で作られた。工場に多くの働き手がいたことはもちろんである。
ある時ドローンを作る女工の姿を収めた写真が、陸軍の広報誌に掲載された。
そもそもこの写真撮影自体、陸軍の広報利用のために写真家を派遣したものだった。
広報目的ゆえに、見目麗しい女工が被写体として選ばれたことは、当然といえば当然であっただろう。
しかし事態は思わぬ方向へ向かうこととなる。
写真に映る当時19歳だったノーマ・ジーン・ベイカーという女性の美しさに、業界人が注目し、彼女はモデルとしてスカウトされた。
ノーマは元はブルネットだった髪の毛を金髪にかえ、スターダムにのし上がった。セクシーなドレスに魅惑の唇にほくろ……。
そう、マリリン・モンローである。
ドローン工場でプロペラを付けていた彼女自身も、まったく予期していなかったことだろう。
ドローンとともにマリリン・モンロー自身もまた、飛翔していったというわけだ。
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