国内でも産業用ドローンの実用化に向けた取り組みが少しずつ進んでいる昨今、「PRODRONE」というメーカーが特に積極的な動きを見せています。
産業用ドローンや国内ドローンメーカーに関心がある方は、そのメーカー名を目にしたことがあるのではないでしょうか。
今回はPRODRONEとはどんなドローンメーカーなのかを詳しく解説すると共に、PRODRONE製ドローンを価格と一緒にご紹介いたします。
- PRODRONEとは
- PRODRONEのドローンの特徴
- PRODRONE製ドローンの紹介
- PRODRONEの新製品発表の動向
PRODRONEとは
PRODRONEとは「株式会社プロドローン(PRODRONE Co., Ltd.)」という産業用ドローンシステムメーカーで、愛知県名古屋市に本社を構える日本企業です。
「世界一の産業用ドローンシステムメーカーになり世界を変える」というスローガンのもと、産業用ドローンシステムの研究・開発・製造を主な事業として取り組んでいます。
また、産業用ドローン市場に参入する多くの企業に対し、コンサルティングや各種受託開発、機体のODMなども行っていることが特徴です。
PRODRONEは機体開発とソフト開発の両方において技術力を有する、世界でも数少ない企業のひとつと言えます。
国内最多レベルの実証実験を経てその技術力が培われており、機体開発だけに留まらない多様な事業へ柔軟に対応することができるのです。
PRODRONEの歴史
PRODRONEは、2015年に東京都千代田区で設立された企業です。
元々は放送業務用映像システムのシステムインテグレーターである株式会社システムファイブが、産業用ドローンメーカーの株式会社ケイアンドエスと業務提携を締結した際に設立された事業部でした。
しかし運営強化を目的に2015年1月に分社化され、いち企業として設立されたという背景があります。
また、同年7月に世界最大手クラスのドローンメーカーDJIと包括的業務契約を締結しています。
DJIと業務提携を交わした国内企業は、PRODRONEが初となりました。
その後は高機能・高性能な産業用ドローンの数々を生み出しながら、パナソニックやキヤノンマーケティングジャパン、KDDI、ゼンリンなど多くの大手企業と提携を交わしています。
自社で培ったノウハウと大手他社の技術や既存事業のシステムを掛け合わせ、産業用ドローンをより多くの国内企業が活用できるような仕組みづくりに現在もなお取り組み続けているのです。
世界・日本から見るPRODRONEの現在の立ち位置
PRODRONEは国内外で他社とのつながりを構築していますが、世界と日本においてどのような立ち位置の企業なのでしょうか。
世界における立ち位置
現在、PRODRONEと業務提携を交わしている海外企業はDJI社(中国)とAVIDRONE社(カナダ)の2社です。
PRODRONEは海外企業とも協力をしながら、世界各国の産業界における課題について産業用ドローンで解決させることを目指す姿勢を見せています。
日本における立ち位置
PRODRONEは、国内ドローンメーカーとしてトップレベルの特許出願取得数を誇る企業でもあります。
「生態探索システム」や「水中撮影装置」、「ロボットアーム」など数多くの特許を取得し、今後様々なサービスが立ち上がるドローン市場においてあらゆるニーズに応え得る技術力を国内に知らしめています。
また、既に国務期間や地方自治体、大手企業など様々な機関・企業と共に国内最多レベルの数で実証実験を行っていることも特徴です。
まだ国内の誰も生み出していない産業用ドローンの価値を続々と生み出し続けるPRODRONEは、まさに国内におけるドローン市場をけん引する存在のひとつと言っても良いでしょう。
PRODRONE製ドローンの特徴
PRODRONEの製品は、ドローンとして代表的な形状の小型クワッドコプター機から長距離輸送に適したシングルヘリコプター、レーザー測量機などの重量物を搭載できるヘキサコプター機など多彩な無人航空機がラインナップされています。
あらゆる産業分野でニーズに応えうる機能性を備えていることが、PRODRONE製品の特徴です。
PRODRONEは産業用ドローンの開発・製造・販売を専門的に行っているため、いずれの機種も優れた機能性相応の価格となっています。
PRODRONE製ドローン機種と価格一覧
PRODRONEの代表的機種や現在販売中の機種を、価格と一緒にご紹介いたします。
1.PD6B-Type3(標準機体価格:税込5,720,000円~)
航空法で定められた「レベル3飛行」(人や住宅がない地帯を目視外範囲まで飛行させる形態)に対応した機種で、運送用ドローンとして実用的な機能性を備えています。
国内で初めてドローン配送事業の本格運用に採用された機種でもあり、現在も長野県伊那市にて配送事業に活用されていることが特徴です。
機体重量20kgの大型ドローンであるPD6B-Type3は、高出力モーターと大径プロペラの組み合わせと相まって重量物の積載にも耐えうる安定性を実現しています。
最大積載量にして30kgのペイロードとなっており、運送業務における物資の積載はもちろん測量業務に使用するレーザー機器や超高精細カメラなどの搭載も可能です。
活用シーンに応じて様々な装備を搭載することができる、カスタマイズ性の高さもPD6B-Type3の魅力と言えます。
機体に関してはアーム部分の折りたたみが可能となっており運びやすく、ワンタッチ操作でアームを展開してすぐに使うことができます。
2.PD4B-M(標準機体価格:税込1,985,000円~)
最大ペイロード30kgを誇るフラッグシップモデルのPD6Bに対し、PD4B-Mの最大ペイロードは10kgで小型なモデルとなっています。
そのぶん5kgの搭載時には最長30分の飛行が可能となっており、PD6Bよりも10分延長されていることが特徴です。
高い安全性は担保しながらも電子デバイスなどの点数を減らすことで、標準機体価格200万円未満と低コスト化も実現しています。
PD4B-Mは測量技術者との共同で試験飛行を重ねたモデルでもあり、測量用ドローンとしての使いやすさが追求されています。
軸間は130~150mm、12mmのパイプで測量機を固定することが可能です。
さらに、フライトコントローラーはDJI製のカメラドローンにも用いられているA3フライトコントローラーを採用しています。
3.PD6B-AW-ARM(現在購入不可)
2016年9月に米国ラスベガスで開催された産業用ドローン見本市、「InterDrone2016」に展示された大型ドローンです。
従来の産業用ドローンといえば機体に機材を搭載して空撮や測量を行ったり、農薬を搭載して散布をしたりといった方法で活用されていました。
一方、PD6B-AW-ARMには産業用ドローンとして世界初となるロボットアームが採用されています。
アームで様々な形の物を運搬・設置したり、ケーブルを切断・接続したりといった「直接的作業」が行えるようになりました。
機体は同社製の最大積載量20kgのドローンであるPD6B-AWをベースとしており、5軸ロボットアームを2本搭載した形状となっています。
ロボットアームの最大荷重量は約10kgで、最大飛行時間は30分です。
4.PD4-XA1(標準機体価格:税込4,290,000円~)
鉄塔や橋梁などの点検や警備・監視業務においてニーズが高い、前方カメラ付きの小型ドローンです。
機体前方には汎用性の高いズームカメラが配置されており、前方や下方への視野を広く確保することができます。
使用シーンごとに異なるドローンと被写体の最適な角度に対応しているため、ドローンには不向きとされていた橋梁天井部や構造物上方の撮影も可能になりました。
カメラは光学20倍ズームカメラ(SONY製モジュール)で、強力な防振性能を備えるジンバル上に標準装備。
これにより、最大ズームでの撮影時も画像のブレを大幅に抑えることが可能です。
必要に応じてズームカメラ以外の装備も搭載することもでき、幅広いシーンに活用できる機能性と小型ドローンならではの持ち運びやすさを兼ね備えています。
5.PD4-AW-AQ(標準機体価格:税込1,859,000円~)
離陸だけでなく着水にも対応しており、漁場の管理やサンゴ礁の生育観察などにも活用が可能なドローンです。
同社製中型ベーシックモデルのPD4-AW2 BasicにGoPro HERO5を搭載しており、オリジナルフライトコントローラーのPD-FC1と組み合わせてプロポがなくても稼働させることができます。
撮影中の映像は機体から伝送装置でモニターへ映し出されるため、リアルタイムでの確認が可能です。
標準装備のカメラだけでなくオプションでセンサー類の取り付けも可能なため、水深調査など様々な水際業務で活躍します。
さらにフロートを機体の4方向に装着しているため水没のリスクがなく、防水性が高いため雨天時の飛行にも強いことが特徴です。
6.PDH-GS120(標準機体価格:税込16,500,000円~)
無人ヘリコプター型のドローンで、シングルローター特有の優れた飛行性能と耐風性能を強みとする機種です。
大容量の燃料タンクを搭載しており、最大2時間以上という長時間・長距離飛行を可能としています。
オートフライトに対応しており、離島間や孤立地区への物資輸送や長時間広域の監視業務などに最適なドローンです。
飛行性能に関しては、エンジンヘリ特有の課題に対応したオリジナルの専用フライトコントローラーを搭載していることが特徴です。
マルチコプターよりも制御が複雑なシングルコプターでも、専用フライトコントローラーが離着陸を含めた自動航行を実現しています。
機体には物流ボックス・ズームジンバルカメラ・レーザー測量装置など、必要に応じて多彩な装備を取り付けることができます。
素材は高強度アルミ合金や炭素繊維複合材を採用しており、耐久性に優れる一方軽量化も成功しています。
大人2人の力で持ち運ぶことができ、メインローターを取り外せば普通ワゴン車の荷室に2台入るため迅速な運搬が可能です。
PRODRONE直近の新製品発表の動向
PRODRONEは2023年2月15日、新たなドローン開発・検証の実施を発表しました。
「PD-Bear10」と呼ばれる新ドローンは、最大50kg搭載・50kmの飛行が可能なことから「空飛ぶ軽トラ」とも称されています。
大規模災害による孤立集落の発生時に救援物資を運ぶ際の運用モデルを想定し、すでに愛知県新城市にて実証実験が行われています。
優れた携行性と高ペイロードを兼ね備えるドローン(PD-Bear10)の活用により、従来は困難とされていた飲食料の大量輸送や蓄電池などの重量物輸送を検証したとのことです。
PRODRONEは今後も各関係者と共に、PD-Bear10の実用化に向けた取り組みを行っていく方針を示しています。
「空飛ぶ軽トラ」プロジェクト #2 46.5kg積載で救援物資輸送検証を実施。「PD-Bear10」デビュー! | PRODRONE
PRODRONEに関するよくある質問
最後に、PRODRONEに関してよくある質問を回答と一緒にまとめました。
Q1.PRODRONE製ドローンの価格帯はどれくらいですか?
PRODRONE製ドローンは、およそ180万円台~420万円台程度の価格帯となっています。
Q2.PRODRONEはどんな強みを持つドローンメーカーですか?
PRODRONEは、高い技術力に基づく高機能・高性能な産業用ドローンの開発や製造に特化したメーカーです。
しかしそれだけではなく、産業用ドローン事業に参入する企業へのトータル的なサポートにも対応できる柔軟性の高さも大きな特徴と言えます。
Q3.PRODRONE以外で活躍している日本国内のドローンメーカーはどこですか?
ドローンの開発事業で活躍しているPRODRONE以外の国内企業は、以下の通りです。
- SONY
- 京商
- ヤマハ発動機
- G FORCE
- 株式会社自律制御システム研究所(ACSL) など
産業用ドローンだけでなく、個人的な趣味で使うことができるトイドローンのメーカーも複数存在します。
まとめ
「PRODRONE」とは、産業用ドローンの開発・製造・販売を行っている日本のドローンメーカーです。
国内にも様々なドローンメーカーが存在する中、他の追随を許さない技術力で国内トップレベルの特許出願取得数を誇るメーカーとして知られています。
さらにDJIをはじめ、多数の機関や企業と業務提携を交わしながら国内外の社会問題を産業用ドローンで解決するべく積極的に取り組んでいるのです。
2023年においても新たな産業用ドローンの開発や検証の実施が発表されており、物資の運搬をはじめとする分野で大いに活躍してくれるドローンの誕生が期待されています。
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