ドローンに赤外線カメラを搭載すると何に使える?活用分野やメリットを解説!

更新日: 2024.07.12 公開日: 2024.07.30
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ドローンによっては機体に赤外線カメラが搭載されていたり、後付けできたりすることもあります。

しかし、ドローンと赤外線カメラの併用はどんなことに役立ち、どんなメリットがあるのでしょうか。

今回は赤外線カメラを搭載したドローンの活用方法・メリット・注意点などについて、詳しく解説いたします。

赤外線カメラ付きのドローン機種もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

ドローンに赤外線カメラを搭載すると活用の幅が広がる!

今やドローンは趣味の分野だけでなく、産業分野でも普及が拡大している機器です。

しかし、事業でドローンをさらに有効活用するなら用途に合った装備を搭載する必要があります。

赤外線カメラはドローンに搭載可能な装備のひとつで、赤外線カメラを搭載したドローンならより幅広い分野の事業に活用できるようになります。

赤外線カメラとは

赤外線カメラとは、「物体の温度」を可視化できるカメラのことです。

物体から放射されている赤外線を検知して電気信号に変換し、温度を複数の色で表した映像を生成できます。

テレビ番組などで、人や場所の温度を色で示した「サーモグラフィ」の画像・映像を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

これは赤外線カメラを利用して生成されたものであり、温度が高い(赤外線の放射量が多い)ほど赤に近い色、温度が低い(赤外線の放射量が低い)ほど紫に近い色で示されます。

ドローンにおいては機体に赤外線カメラを後付けできる場合もあれば、すでに赤外線カメラが内蔵されている場合もあります。

ドローンに赤外線カメラを搭載してできること

物体の温度を検知できる赤外線カメラは、ドローンへ搭載することでどのような分野に活かせるのでしょうか。

ここでは、赤外線カメラを搭載したドローンの主な活用方法をご紹介いたします。

太陽光発電パネルの点検

地球環境に優しい発電方法として国が導入を促進している太陽光発電パネルは、定期的な保守点検・メンテナンスが義務付けられています。

不具合を放置したまま使っていると、発電効率の低下や思わぬ事故につながるリスクがあるからです。

太陽光発電パネルに異常が生じると、多くの場合発熱状態に異常が生じます。

それを検知するための点検作業に、赤外線カメラを搭載したドローンを活用するケースが増えているのです。

太陽光発電パネル点検にドローンを使うことで、人が屋根に上らなくても遠隔操作で状態異常の有無を目視でチェックできるため、安全かつ効率的に作業を進められます。

農作物の生育調査

農業におけるドローンの活用方法といえば農薬・肥料散布のイメージが強いですが、近年は作物の生育調査に赤外線カメラを搭載したドローンを使うケースも増えています。

植物は光合成に伴い光を吸収しますが、近赤外線波長の領域にある光は吸収せず反射します。

この仕組みを活かし、赤外線カメラを通して作物それぞれに光合成の差による生育ムラはないか、エリアごとに日照時間の違いがあるのかなどを見える化できます。

インフラ点検

橋梁やダム、電線などのインフラ設備点検にもドローンの実用化が進んでいます。

一般的なカメラを搭載してドローンを使う場合もありますが、外観の状況を確認できるだけで内部の劣化状況までは把握できません。

その問題を解決できる手段が、赤外線カメラです。

設備内部に破損・ひび割れ・浮きといった異常が生じると、その箇所だけ温度が変化します。

これを赤外線カメラで可視化することで設備の劣化状況が一目瞭然となり、保守に活かせます。

外壁調査

赤外線カメラ搭載ドローンを使用した、ビルやマンションなどの建造物の外壁調査を提供する事業者が増えています。

従来の外壁調査では打診棒を叩いたときの音や感触で判断するという手法が主流でした。

しかし、高所の調査にあたって足場を組む手間・コストや事故の危険性を伴う他、調査の精度も懸念点です。

物体の温度差が可視化される赤外線カメラなら、外壁の浮き・ひび割れ・漏水などを的確に捉えて見つけることが可能です。

遠隔操作で調査できるため、作業員の安全性も確保されます。

生態調査

主に農業の分野で、農作物に悪影響を与える鳥獣の対策として赤外線ドローンを使った調査も行われています。

赤外線カメラを搭載したドローンを自律飛行で巡回させて、農場の中でも鳥獣が頻繁に出没する場所を見つけ出し、それを元に住処の特定につなげることができます。

赤外線カメラなら暗い場所でも動物の体温を検知できるため、夜行性の動物による獣害対策にも活かすことが可能です。

人命救助

赤外線カメラを搭載したドローンは、人命救助の場面でも活躍が期待されています。

山中で遭難した人や大地震で倒壊した建物に取り残された人を捜索するにあたって、人の足と目だけでは時間がかかります。

また、場所によってはヘリコプターでの接近が難しく、要救助者を見つけ出しても対応が遅れることもあります。

ドローンなら小回りが利くため、ヘリコプターが近づけないような場所も飛行できます。

さらに赤外線カメラなら人の温度を検知できるため、瓦礫に埋もれた人など目視では見つけることが難しい要救助者もいち早く発見できます。

夜間の警備

警備員の目だけで広範囲を監視することは容易ではなく、不審者の侵入や不審火など設備の異常を見逃してしまう場合があります。

赤外線を搭載したドローンなら、暗い場所でも温度を検知して、人や異常を発見することが可能です。

さらに警備用として開発されたドローンには赤外線カメラに加え、サーチライトやスピーカーなどを搭載した機種もあります。

赤外線カメラで不審者や異常な温度変化を検知したら、その場で警告したりライトで不審者を照らしながら追尾したりといった機能が作動し、迅速な対応の助けになります。

ドローンに赤外線カメラを搭載するメリット

赤外線カメラを搭載したドローンには、以下のようなメリットがあります。

  • 温度を検知できるため点検や調査の効率が上がる
  • 危険な場所でも高精度かつ安全に作業が進む
  • 対象物に触れなくても異常を検知できるため破損の心配がない
  • 対象物の状態を検知したら画像データとして残せる

主に点検や調査など、人の目と足を使って行う作業で大きな利便性を発揮します。

また、赤外線を通して見えた対象物の状態は画像データとして残せるため、クライアントに作業の結果を分かりやすく説明する際にも役立ちます。

ドローンに搭載した赤外線カメラを使う時の注意点

ドローンに赤外線カメラを搭載すれば様々なメリットを得られますが、実際に使用する際は以下の点に注意が必要です。

  • すべてのドローンに赤外線カメラを後付けできるわけではない
  • 用途に適した赤外線カメラを自分で選ぶことは難しい
  • 赤外線カメラを用いた撮影は難易度が高い
  • 現場の環境によっては正確な温度差を見極めることが難しい
  • 飛行時は航空法のルールを遵守する必要がある

赤外線カメラは特殊な機器であり、使用には専門的な知識や技術が必要です。

ドローンに搭載する際は、まずその機体が赤外線カメラを搭載できるかどうかを確認のうえ、専門業者の助言を受けましょう。

また、作業場所によっては航空法で規制されている場合があり、事前の飛行許可申請などの対応も必要になります。

無断で作業を実施して、航空法違反とならないように注意しましょう。

ドローンに搭載する赤外線カメラのメーカー

ドローンに搭載できる赤外線カメラのメーカーとして、特に代表的な企業が以下の2社です。

FLIR

FLIRは、赤外線カメラにおいてトップクラスのシェア率を誇るアメリカのセンサシステムメーカーです。

ドローンへの後付けに対応している赤外線カメラも、複数販売しています。

その中でも代表的といえるモデルが、「FLIR VUEシリーズ」です。

最先端の赤外線サーモグラフィ技術をわずか95~120gの本体に搭載しており、それぞれ監視・動画と静止画の保存・放射温度測定という機能を搭載した3種類の機種を展開しています。

DJI

ドローンの世界シェア率でトップを独占し続ける、中国の最大手ドローンメーカーであるDJIも機体に後付け可能な赤外線カメラを販売しています。

多種多様なモデルから用途に併せて選べるカメラシリーズ「DJI Zenmuse」のひとつに、赤外線センサーを搭載した「DJI Zenmuse H20T」があります。

20MPズームカメラや12MP口角カメラを採用しており、遠距離や広範囲でも高解像度な撮影から見えない情報のデータ化まで可能です。

同社製ドローンのMatrice 300 RTKとMatrice 350 RTKへの搭載に対応しています。

赤外線カメラ搭載のドローンを紹介

ドローンの用途が赤外線カメラを利用した点検や調査などがメインの場合、機体に赤外線カメラが内蔵されているドローンの導入もおすすめです。

以下より、赤外線カメラが内蔵されているドローンの中でも有名な機種をご紹介いたします。

DJI Mavic 3 Thermal

Photo by sekido

一般ユーザーから事業者まで幅広い層に人気が高い高性能なカメラドローン、「DJI Mavic 3」のインフラ点検・災害対応に特化した機種です。

48MPの広角カメラや12MPの望遠カメラに加え、赤外線カメラも搭載されています。

最適化されたバッテリーにより45分の連続飛行が可能かつ、全方向障害物センサーで安全性の高い飛行を実施できます。

DJI Mavic 2 Enterprise Advanced

Photo by dji

同社製カメラドローン「DJI Mavic 2」の産業用ドローンシリーズである、DJI Mavic 2 Enterpriseのひとつです。

解像度640×512pxの赤外線カメラを搭載している他、32倍デジタルズームにも対応しています。

用途に応じて、映像の見え方をビジュアル・サーマル・分割ビューの3通りからワンタップで切り替えることが可能です。

EVOⅡ DUAL 640T V3

Photo by kmtech

アメリカのドローンメーカーであるAutel Robotics製の赤外線カメラ搭載ドローンです。

16倍デジタルズームに対応した赤外線カメラを搭載しており、遠方の対象物も容易に調査できます。

画面中央の温度をリアルタイムで表示する機能、事前に設定した温度を検知するとアラームを表示する機能など、多彩な機能であらゆる場面の調査や点検をサポートします。

DJI Matrice 30T

Photo by sekido

DJI Matrice 30Tは、バックパックにも収まるほどのコンパクトなサイズ感が特徴の産業用ドローンです。

同じく産業用ドローンであるDJI Mavic 2 Enterprise Advancedにはない防塵防滴性能が追加されており、災害対応や夜間の調査にも適応可能となりました。

DJIのドローン管理プラットフォーム「FlightHub 2」との併用により、赤外線マップを素早く作成することもできます。

Parrot ANAFI USA

Photo by cybernetech

フランスの老舗ドローンメーカーであるParrotが、米軍向けに開発したハイエンドドローンです。

内蔵されている赤外線カメラと併せて、モニター上で特定の温度を検知した箇所のみ可視化するモードなど便利な機能で正確な点検作業を行えます。

一般データ保護規則(GDPR)に準拠したセキュリティ対策が施されており、重要なデータも安心して取り扱うことができます。

ACSL SOTEN

国内の産業用ドローンメーカー、ACSLが開発した小型空撮ドローンです。

オプションとして赤外線カメラを搭載したモデルを選ぶことができ、81,920画素・動画撮影画質60pで対象物の温度を高精度に可視化できます。

ワンタッチで標準カメラへ切り替えられるため、複数の用途にドローンを活用したい場合にも最適です。

通信環境が悪い場所でも、コントロール側の基地局アプリにオフライン地図を表示してドローンを自動飛行させることができます。

ドローンに搭載する赤外線カメラに関するよくある質問

最後に、ドローンと赤外線カメラについてよくある質問を回答と一緒にまとめました。

通常のカメラと赤外線カメラでは何が違う?

赤外線カメラとは、物体の温度を検知して色で可視化できるカメラです。

通常のカメラのように風景や被写体をそのまま撮影することはできないため、設備やモノの異常を検知したり、人や生物を捜索・検知したりするといった用途への活用に適しています。

ドローンに赤外線カメラを搭載する費用はどれぐらい?

ドローンに赤外線カメラを搭載する場合にかかる費用の目安は、100万円~300万円程度です。

一般的に、高性能なドローンやカメラほど価格も高くなります。

なお、用途によっては「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」など、補助金制度が適用される場合もあります。

補助金制度を利用すれば初期費用を抑えることができるため、導入の際は各種制度の条件を確認しておきましょう。

赤外線カメラ対応のドローンを製造しているメーカーは?

赤外線カメラ対応のドローンメーカーとしては、海外ならDJI・Autel Robotics・Parrot、国内ならACSL・PRODRONEなどがあります。

また、赤外線カメラ単体ならFLIRも有名で、ドローンに後付け可能なカメラも販売しています。

まとめ

赤外線カメラを搭載したドローンは、太陽光パネルやインフラなどの点検・農業・建造物の調査・人命救助など多岐にわたる分野で大きなメリットを発揮します。

導入方法としては既存のドローンに赤外線カメラを後付けするか、機体に赤外線カメラが内蔵された機種を購入するかの2通りです。

ただし赤外線カメラは専門性の高い機器であり、導入や使用には知識が必要です。

製品知識が豊富な専門家や業者と相談のうえ、用途に最適な赤外線カメラ付きドローンを活用しましょう。

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