農機メーカーの「クボタ」について、テレビCMなどでその名前を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
クボタといえばトラクターやコンバインなどの農業機械を製造・販売しているメーカーですが、実は近年農薬散歩用ドローン市場にも参入を遂げているのです。
今回はクボタとはどのような企業なのかをおさらいしたうえで、クボタで販売されているドローンの特徴を価格と一緒にご紹介いたします。
操縦時の免許についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
- クボタとは?
- クボタのドローンの特徴
- クボタの代表的なドローン
クボタとはどんな会社?
クボタとは大阪市浪速区に本社を構える国内の産業機械メーカーで、主に農業機械・建設機械・建築材料などの製造・販売を行っています。
創業から約130年の老舗であると同時に、特に農業機器業界においてはトップクラスの業績と知名度を誇る大企業です。
クボタ製の機器といえば国産としては初の畑作用乗用トラクター「T15」や小型の「ブルトラ」シリーズなどが代表的ですが、近年は農薬散布用のドローンも製造・販売しています。
クボタの歴史
クボタが誕生したのは1890年2月のことで、当初は久保田権四郎氏により「大出鋳造所」として設立されました。
事業は鋳物の製造・販売から始まり、以降は農工用石油発動機の製造や住宅建材の製造販売も開始。
1960年に畑作用トラクター「T15」、1962年に水田用トラクター「L15」の開発と商品化も行いました。
また、1971年には当時としては世界最小のディーゼルエンジンを搭載し、業界初の4輪駆動を用いた小型の乗用トラクター「ブルトラ」シリーズを発売。
発売直後から急激に売り上げを伸ばし、瞬く間にクボタのベストセラー製品として知れ渡りました。
1990年の創業100周年に伴い社名を「株式会社クボタ」に変更し、その後もトラクターやコンバインなど農機の製造や販売を中心に様々な事業を展開しています。
また、2016年には農業用ドローン市場に参入を発表し、翌年にクボタとして初の農業用ドローン「MG-1K」を発売しました。
世界・日本から見るクボタの現在の立ち位置
世界・日本のどちらにおいても、クボタはトップクラスの農機メーカーという立ち位置にいます。
以下より、世界と日本から見るクボタの立ち位置について解説いたします。
世界における立ち位置
2023年3月現在、クボタは世界120ヵ国以上に進出を果たし事業を展開しています。
海外事業における売上の主軸は「機械部門」からであり、2022年12月期には日本を除いても売上高2兆円超えという実績も残しました。
2021年には農業機器メーカーの売上高世界シェア3位を獲得しており、シェア率にして8.2%を達成。
その中でも稲作が盛んなアジア圏ではトップシェアを誇ります。
日本における立ち位置
日本国内の農機具市場ではクボタが35%のシェア率となっており、国内市場全体の売上に対し3分の1をクボタが占めています。
2022年12月期には日本で6,000億円超えの売上を達成し、まさに日本屈指の農機メーカーとして名を馳せている企業です。
ドローン市場においては「農業」という小さな枠組みでの活動ではあるものの、日本の農業の機械化と発展を牽引する存在という立ち位置を確立する大企業と言えます。
クボタで販売されているドローンの特徴
2017年から2023年3月現在に至るまで、クボタはDJIよりOEM供給を受けた機種を改良しつつ販売を行っています。
販売されているドローンはどの機種も優れた機動力を備えている他、液状の農薬や粒状の肥料など幅広い散布作業に対応した機種を展開しています。
さらに、GPSよりも高精度な位置測定が可能な技術「RTK」を搭載した農業用ドローンも開発しており、時代に合わせた最新技術も活用しながら効率的な農作業の実現が可能です。
年1回の定期点検サービスやオリジナルのドローン保険、「KSAS」と呼ばれるサポートサービスを提供していることも特徴です。
KSASとは、「営農コース」と「機械サポートコース」の2種類が用意された有料のサポートサービスです。
営農コースはドローンと連携し、パソコンやスマホを使って圃場管理・肥料管理・作業計画や記録、管理などを簡単に行うことができます。
一方で機械サポートコースは、機械の順調な稼働をアドバイスするレポートの提供や稼働状況のモニタリングなどを行うコースです。
性能に優れた機種の販売に留まらず、手厚いサポート体制を整えていることはドローンに不慣れな生産者へにとって大きなメリットと言えます。
クボタで販売されているドローン機種と価格
先述の通り、クボタではDJIからOEM供給を受けて農業用ドローンを販売しています。
過去に販売されていた機種から現在も販売中の機種まで、価格と一緒にご紹介いたします。
1.MG-1K(販売終了)
クボタが初めて販売した農業用ドローンが、MG-1Kです。
8枚羽の折りたたみ式オクトコプターで、10kgまでの液剤・粒剤の搭載に対応しています。
飛行速度に応じて液剤の散布量を自動的に調節することが可能で、ドローン初心者でも均等な農薬散布を簡単に行うことができます。
さらに障害物検知や高度一定制御レーダーで衝突事故を自動的に回避する機能など、DJIの最先端技術も搭載されていることが特徴です。
2.MG-1SAK(販売終了)
MG-1Kの後継機にあたり、過去にクボタが販売していたドローンの中でのベストセラー製品と言われた機種です。
MG-1Kと同じくオクトコプターならではの安定感と障害物検知&高度一定制御レーダーによる安全性、10kgの大容量タンクが搭載されています。
基本的に手動での操縦となりますが「手動操作モード(M)」「手動強化操作モード(M+)」「AB点モード(AB)」という3種類の操作モードがあります。
・手動操作モード:完全に手動で操作するマニュアルモード
・手動強化操作モード:自動ホバリングなどの機能で手動操作をアシストするモード
・AB点モード:指定した2つのポイントへ自動で直進するモード
また、MG-1Kよりも本体価格が抑えられており導入しやすくなったことも特徴です。
3.MG-1RTK(販売終了)
MG-1RTKは「MGシリーズ」の中で唯一RTKシステムを採用した機種で、MG-1SAKの上位グレードにあたります。
先述の通りRTKは高精度な位置測定を可能とする技術で、GPSでは数m程度の誤差が生じるのに対し、RTKでの誤差はわずか数cm以下と圧倒的に優れた精度が特徴です。
これにより、自動飛行時も思い通りのルートで効率的に農薬を散布することができます。
さらに自動飛行中、機体前方に搭載されたカメラでリアルタイムに状況を確認することも可能です。
最長飛行時間は9分ですが、交換式バッテリーにより連続した作業にも活用できます。
4.T10K(価格:約120万円~)
T10Kは4枚羽の折りたたみ式クアッドコプターで、タンク容量8L・散布幅5mと小〜中規模の圃場における農薬散布作業に適した機種です。
機体に搭載するタンクはカセット式となっており、薬剤の交換やメンテナンスが容易な他、必要に応じて粒剤散布装置への切り替えも簡単に行うことができます。
薬剤の噴射ノズルはローター直下に配置されており、コンパクトな機体でありながら優れたパワーでの散布を可能としていることも特徴です。
また、機体には全方向3次元での探知に対応したレーダーを内蔵しており、ホコリや光の干渉を受けずスマートな障害物回避が可能となっています。
カーボンファイバー製の機体は軽量かつ耐久性に優れており、ワンタッチで機体の折りたたみができます。
片手で簡単に持ち上げられる軽さも相まって、散布作業に伴う負担を大幅に軽減してくれるドローンです。
5.T20K(販売終了)
T10KとT30Kの中間的な性能を備えた機種で、タンクの最大容量は16L、散布幅は6mとなっています。
形状は6枚羽のヘキサコプターで、風量の増加によりT10Kと比較してダウンウォッシュ性能が向上していることが特徴です。
これにより約10分で最大5haの散布を実現し、より効率的な散布作業をサポートすることが可能となりました。
さらに新型のプロポを採用しており、自動飛行時のルート設定や操縦モードの切り替えなどパネル操作で簡単に行うことができます。
別売りのRTKアンテナと併用することでより高精度な位置測定が可能となり、的確かつ高効率で散布作業を進められます。
6.T30K(価格:約170万円~)
T20Kよりもさらにサイズアップした上位機種で、タンク容量30L・散布幅7.5mと大規模な圃場での作業にも申し分ない性能を備えていることが大きな特徴です。
T30Kの形状もヘキサコプターですが、16個のノズルが搭載されている他、新設計の「プランジャーポンプ」で最大7.2L/minの吐出量を誇ります。
また、最大40kgまでの肥料散布にも対応しており360°の散布が可能であると同時に、防塵防水機能が備わっています。
機体には前方・後方にFPV対応のカメラを搭載しており、前後の正面方向の映像をプロポのクリアな画面を通して確認することが可能です。
さらに新設計のレバー構造を採用しており、アーム部分の折りたたみ時にワンタッチでロックをかけることができます。
ロックがかけられないと検知によりお知らせされるため、うっかりロックをかけ忘れてしまうというリスクがなく安心です。
クボタのドローンは免許が必要?
通常はごく一部の飛行条件に当てはまらない限り、ドローンを操縦するうえで免許を取得する必要はありません。
しかし農業用ドローンを使って農薬を散布する場合は、産業用マルチオペレーター技能認定証を取得する必要があります。
ホビー用ドローンと比較してはるかに大型で操縦の難易度も高く、操縦ミスで深刻な事故につながる恐れがあるためです。
また、農薬散布は国土交通省で規制されている「物件投下」に該当するため、飛行前に別途許可申請も行わなければなりません。
クボタでは法令に則った安全な農薬散布が行えるよう、産業用マルチオペレーター技能認定証取得のサポートが行われています。
北海道・東北地方(秋田県・岩手県・山形県)・長野県・新潟県・群馬県・石川県・愛知県・香川県・福岡県・鹿児島県にクボタグループの指定教習施設があり、購入時はいずれかの施設で教習を受ける必要があります。
クボタに関するよくある質問
最後に、クボタたクボタのドローンに関してよくある質問を解答と一緒にまとめました。
Q1.クボタは何の会社ですか?
クボタは農業機械を中心に、建設機械・建築材料・鉄管・産業用ディーゼルエンジンの開発も行っています。
主に食料・水・環境という3つの分野で事業を展開していることが特徴のメーカーです。
Q2.クボタはどんなところがすごい会社ですか?
クボタは国内の農機具市場において、およそ3分の1のシェア率を占めているメーカーです。
さらに海外の120カ国以上で事業を展開しており、農業機器メーカーの売上高世界シェア3位を獲得したという実績も残しています。
Q3.クボタの農業用ドローンは免許が必要ですか?
クボタのドローンを含め、農業用ドローンの操縦そのものを許可する免許はありません。
ただし、ドローンを使って農作業を行う場合は指定の施設で講習を受講する必要があります。
クボタのドローンを購入する場合、クボタと提携しているドローンスクールを受講のうえ産業用マルチオペレーター技能認定証を取得することになります。
Q4.クボタのドローン講習の費用はいくらですか?
講習の受講費用は施設や受講期間によって異なりますが、おおむね15万~25万円程度となっています。
Q5.クボタの農業用ドローンの飛行申請は必要ですか?
基本的に、ドローンを使って農薬や肥料などを散布する場合は国土交通省が定めた航空法で規制されている飛行方法です。
規制対象の飛行方法は無断で実施することができないため、あらかじめ国土交通省へ飛行許可申請を行う必要があります。
まとめ
国内外ともに非常に知名度が高く、農機具市場において高いシェア率を誇る大企業のクボタ。
そんなクボタでは、農作業に必要な農薬・肥料散布をサポートしてくれる高性能な農業用ドローンも販売されています。
さらに定期点検サービスや独自のドローン保険、圃場・機械の2点でサポートするサービスなど手厚いサポート体制を整えていることも特徴です。
別途費用を用意のうえ指定の施設で講習を受ける必要がありますが、農作業にドローンを導入することで身体的な負担が大幅に削減されます。
農業用ドローンの導入を考えている方は、初めてドローンを扱う人も安心のサポートが充実しているクボタを検討してみてはいかがでしょうか。
この記事と一緒によく読まれている記事
-
ドローンショーの仕組みを解説!演出や操縦はどうやっている?
-
ドローンを使ったスマート農業を解説!農業用ドローンの主な用途とは?
-
ドローンの免許(国家資格)の取得には年齢制限がある?何歳から取得できる
-
水中ドローンの操縦に免許は必要?水中ドローンに関する資格を解説
-
ドローンの操縦に無線技士の資格は必要?必要なケースや資格の取得方法を解説!
-
ドローン測量管理士とは?新しく登場したドローン測量の資格を取得する方法を解説!
-
海でドローンを飛ばす際の規制や必要な許可申請は?海で飛ばす時のルールを解説
-
ドローン国家資格の取り方を解説!取るまでの手順や取得期間はどれぐらい?
-
ドローン国家資格の難易度は高い?試験の合格率や勉強時間はどれぐらい?
-
ドローンを使った橋梁点検とは?メリット・デメリットや橋梁点検で使用される新技術を解説!
-
ドローンの目視外飛行は飛行許可が必要?目視外飛行を行う条件や練習方法を解説!
-
100g未満のドローンを飛ばせる場所を解説!チェックすべき法律や飛行ルールは?