ドローン大国と呼ばれる中国に拠点を置くドローンメーカーのひとつ、「GEPRC」をご存知でしょうか。
GEPRCはFPVドローンを数多く取り扱っており、これからFPVドローンを始めたい方やマイクロドローンの購入先を探している方であれば知っておきたいメーカーとも言えます。
今回はGEPRCとはどのようなメーカーなのかを解説すると共に、代表的な機種や新製品情報などもご紹介いたします。
- GEPRCとは
- GEPRC製ドローンの特徴
- GEPRCの代表的なドローン
- GEPRCの新製品情報
GEPRCとは
GEPRC(ゲップアールシー)とは、中国のドローンメーカーのひとつです。
公式サイトによると、誰しも一度は思う空を飛びたいという夢を叶えるために設立した企業であるといいます。
「FPVドローンインテリジェンスのパイオニアになる」というビジョンを掲げており、多彩かつ高品質なFPVドローンの製造・販売を通して多くの人々がFPV飛行を楽しめるよう取り組んでいるメーカーです。
すべて英語表記となっていますが、公式サイトには購入や配送関連だけでなく「ドローンが飛ばない」「BETAFLIGHTに接続できない」などドローンに関する基礎的なポイントの疑問を解消するページも設けています。
これから購入しようと考えているFPVドローン初心者の方は、あらかじめチェックしておくと良いでしょう。
GEPRC製ドローンの特徴
先述の通り、GEPRCでは主にFPV飛行に対応したドローンが製造・販売されています。
FPVとは「First Person View(一人称視点)」の略語で、機体に搭載したカメラを通してドローンのコックピットに乗っているような視点の映像をリアルタイムで楽しめる機能です。
空撮以外にも、機体の速度を競うドローンレースやアクロバティックな飛行方法で操縦技術を競うフリースタイルなどにもFPVドローンが用いられています。
FPVドローンは購入後に「BETAFLIGHT」というソフトを使ってフライトコントローラーや感度などの設定を行い、自分に合った操作性に整える必要があります。
一方でGEPRC製ドローンは、いわゆる「箱出し」のままでも快適に飛ばすことができるドローンが多いことが特徴です。
GEPRC製ドローンの主な購入先としては公式オンラインショップやBanggoodというECサイトなどがありますが、国内でも一部のラジコンショップではGEPRC製ドローンを取り扱っています。
GEPRCを代表するドローン機種
GEPRCで販売中または過去に販売されていたドローンの中でも、人気が高い代表的機種をご紹介いたします。
1.Phantom Toothpick 125mm
細いフレームが特徴的なタイプ「トゥースピック」に分類されるドローンで、DJIから販売されている同名のドローンとは別物です。
1103/8000KVブラシレスモーターの他に25V 300µFのコンデンサやブザーなども最初から搭載されており、箱から出したらカスタマイズをしなくても十分に飛行を楽しむことができます。
本体重量は約56g、バッテリーガードを装着しても100g未満となる軽さも特徴で、軽やかかつ力強い飛行が可能なことから人気を博した機種です。
2.CineLog35
ブラックで統一されたカラーと薄く収まっているモーター部分がスタイリッシュな印象を与える、3.5インチのシネフープドローンです。
「Analog」「HD VISTA Nebula Pro」という2種類のバージョンが用意されている他、バッテリーに関しては「4S LIPO」と「6S LIPO」のどちらかを選ぶことができます。
なお、使用を推奨されているバッテリーはGEPRC 1100mAhバッテリーです。
機体は狭い場所・広い場所のどちらでも飛ばしやすいサイズ感となっており、屋外でも風の影響を受けにくく飛行に安定感があります。
CineLog35は「CineLog」シリーズにおける現行モデルであり、従来から全体的に構造が見直されていることも特徴です。
より耐久性に優れた素材や、高効率・高速処理を実現するフライトコントローラーなどが採用されています。
機体にはVISTA HD VTXとNebula Proカメラが搭載されていますが、別売りのカメラを装着するための3Dプリントマウントが付属しています。
Insta360 Go2 カメラ・Naked GoPro Hero 8・Caddx Peanut カメラなどの搭載に対応しており、ハイクオリティな映像撮影にこだわりたい方にもおすすめな機種です。
3.Dolphin 153mm
トゥースピックの4Sドローンで、本体は136gと軽量でありながら3Kカーボンファイバー素材とやや厚みのある構造で優れた耐久性を発揮します。
強力な1507サイズ 3200KVのモーターを搭載しておりパワフルな飛行を楽しむことが可能です。
また、GEP-F411-35A AIOや安定した高性能コンピューティングSTM32F411チップなどにより、安定感があり滑らかな操作感を実現しています。
4.CineKing 95mm
4Kカメラを搭載した、ブラシレスマイクロドローンです。
フライトコントローラー・ESC・VTXはピンで接続されているため、カスタマイズは難しいことに注意が必要です。
従来は同じ4Kカメラでも技適認証を取得していない「Caddx Tarsier 4k」が採用されていましたが、現行モデルでは「4K RunCam Hybrid」が採用されています。
Wi-Fiを用いるカメラではないため、技適認証に関して心配無用な点は嬉しいポイントです。
モーターのKV値は5000KV、推奨バッテリーは3-4S 450-550mAhバッテリーとされており、力強い飛行を楽しめるドローンのひとつです。
5.Crocodile Baby 4
最長で28分以上の長時間飛行を可能とする、4インチのドローンです。
GEPRC 1404 2750kvモーターと Gemfan 4024プロペラの組み合わせ、さらにGEP-20A-F4 AIOフライトコントロールシステムを採用し、高効率な出力で安定した飛行を実現しています。
「DJI HD VTX」と「アナログ VTX 5.8G 600MW」という2種類のバージョンがあり、好みに合わせて選ぶことが可能です。
Crocodile Baby 4はGPSが標準搭載されている点も大きな特徴で、位置情報を取得することができます。
信号が切断されたり、VTXが制御不能となった場合は自動的に帰還させることも可能なため、安全にFPVドローンの操縦練習を行いたい方にもおすすめです。
6.SKIP HD 3 118mm
HDカメラの「Caddx Baby Turtle V2 Camera」を搭載しており、鮮明な映像を撮影することができるトゥースピックドローンです。
パワフルかつ安定した飛行が可能な「GR1105 5000KV 3-4S バッテリー」バージョン、柔軟性のある飛行が可能な「GR1202 8000KV 3S バッテリー」バージョンの2種類から選ぶことができます。
7.CineQueen Runcam Hybrid 4K
「Runcam Hybrid 4K」カメラを搭載した3インチドローンで、Wi-Fiを使用したものではないため技適認証の心配が不要なことがメリットです。
高性能なF4フライトコントローラーを採用しており、安定した飛行を体感することができます。
さらにVTXは200mWまで出力可能で、長距離飛行をしながらの空撮にも最適です。
バッテリーは3~4S仕様で、4S 650mAh~4S 850mAhバッテリーの使用が推奨されています。
8.SMART 35 HD
3.5インチのフリースタイルドローンで、機体の形状としてはトゥースピックに分類されます。
「vista nebula nano」と「アナログ5.8g 600mw」の2種類があり、好みに合わせて好きなバージョンを選ぶことができます。
GEPRC 1404-3850kvモーター・emax 3.5×2.8×3の組み合わせ、高性能なGEP-F4-35A aio飛行制御システム、1100mahバッテリーなどがもたらす、柔軟かつ安定感のある飛行が特徴の機種です。
さらにgoproカメラに適合したカメラマウントを独自に設計しており、レースやフリースタイル中の様子を4k60fpsの鮮明な映像で記録することができます。
GEPRC直近の新製品発表の動向
GEPRCは2023年2月、新製品として小型のプッシャースタイルドローン「CineLog20」を発表しました。
昨年DJIより発表されたFPV飛行をアシストするアクセサリー、DJI O3 Air Unitを搭載していることが特徴です。
CineLog20は頑丈な射出成型プロップガードを備え付けたプロペラを採用しており、モーターと共に「プッシャースタイル」という上下逆さまに取り付けるスタイルで効率性の向上につなげています。
なお、プロペラは2″Emax 4ブレードプロペラ、モーターはGEPRC SPEEDX2 1303.5 5500KVモーターを搭載しています。
機体に搭載されたカメラは最大4K/60fpsの映像を撮影することができ、20GBのストレージも内蔵。
優れた飛行性能と撮影性能を兼ね備えた機種ですが、軽量かつ2″プロペラのため風の影響を受けやすく、屋内での使用が推奨されています。
GEPRCに関するよくある質問
最後に、GEPRCに関してよくある質問を解答と一緒にまとめました。
Q1.GEPRCに購入後の保証サービスはありますか?
GEPRCでは、購入日から30日以内かつ以下のケースに該当しないことを条件に返品を受け付けています。
- GEPRCまたは正規販売代理店以外からの購入
- 元の電源プラグの切断や逆極性保護プラグを使用した場合
- ワイヤーの損傷
- 衝突が原因の損傷
- 湿度の影響や水没による損傷
- 機械(電子部品やPCB)の損傷
- PCBにはんだ付け(外部はんだタブを除く)をした場合 など
基本的に、誤った使い方や推奨されていない方法でのカスタマイズなどを行っていない限り、保証対象になると解釈して良いでしょう。
Q2.GEPRC製ドローンに免許は必要ですか?
GEPRC製ドローンはほとんどの機種に「5.8GHz」の電波帯が使われているため、無線免許の取得と開局申請が必要です。
5.8GHzのドローンは、個人的な用途で使用する場合は「第4級アマチュア無線技士」以上の資格、事業で使用する場合は「第3級陸上特殊無線技士以上」以上の資格が必要です。
Q3.GEPRC製ドローンの系統図はどうすれば良いですか?
日本の正規販売代理店などで購入したGEPRC製ドローンであればVTXの系統図が付属していることが多いですが、公式サイトや海外のECサイトなどで購入するとほとんどの場合は系統図が付きません。
系統図が付いていなかった場合は、一般社団法人日本ドローン無線協会の会長である戸澤洋二技術士に依頼することで、有償で系統図の提供を受けることができます。
ホームページから解析済みの系統図一覧を有償で提供してもらえますが、一覧に記載されていないVTXでも対応可能な場合があるため、問い合わせてみると良いでしょう。
Q4.日本でGEPRC製ドローンを購入できるショップはどこですか?
2023年3月現在、「若狭小浜ドローン協会公式ショップ」にてGEPRC製ドローンの販売が確認されています。
まとめ
GEPRCはFPVドローン本体や周辺機器、アクセサリーを多数販売している中国のドローンメーカーです。
GEPRC製ドローンは快適な飛行に必要なパーツが最初から揃っていることが多く、「箱出し」のままカスタマイズをしなくても十分に楽しむことができるという特徴があります。
ただしその分、カスタマイズが難しい作りになっている機種も少なくないため、気軽に部品の交換などを行いたい方はフレームのみ購入してGEPRCならではのスタイリッシュなデザインを楽しんでも良いでしょう。
なお、ほとんどの機種に使用している電波帯は5.8GHzであるため、事前の無線免許取得と開局申請を忘れないよう注意が必要です。
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