農業ドローンで有名な「enroute」とはどんな会社?代表的な機種や価格もご紹介

更新日: 2023.06.23 公開日: 2023.03.08
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ドローンを製造・販売する企業と言えば中国に多いイメージですが、実は国内でもドローンを生み出しているメーカーは複数存在します。

「エンルート(enroute)」もかつてドローンを製造していた国内企業のひとつで、特に農業用ドローンの製造に特化していました。

今回はエンルートとはどんな会社なのかを詳しく解説すると共に、代表的な機種やその価格などもご紹介いたします。

この記事でわかること
  • エンルートとは
  • エンルートのドローンの特徴
  • エンルートの代表的なドローン
目次

エンルート(enroute)とは

株式会社エンルートとは、かつてラジコン模型のメーカーとして設立された国内企業です。

当初はラジコン製品の設計・製造・販売などを行ってる会社でした。

しかし「ドローン黎明期」とされる2011年頃、国内でいち早く産業用ドローンを発表したことでその名が全国的に知れ渡りました。

その後はマルチコプター・無人車両・無人艇の製造メーカーとして、農業・測量・建設・点検などに活用する機材の設計や製造を行っていました。

現在はすでに会社解散が行われており、ドローン市場の表舞台から姿を消しています。

エンルート(enroute)の歴史

エンルートは2006年、ラジコン製品の設計・製造・販売を行うメーカーとして埼玉県新座市で設立されました。

国内にドローンの存在が浸透し始めた2011年、産業用ドローンの開発を進める方針に転向した後「Zionシリーズ」を発表します。

これによりエンルートは、日本でいち早く無人航空機分野に参入した「産業用ドローンのパイオニア」的存在として名を馳せました。

2017年には9リッター以上の農薬を散布できる「AC1500」、2019年には新型農薬散布ドローン「AC101」など数々の農業用ドローンを生み出します。

一時は日本を代表する産業用ドローンメーカーとして知られていましたが、2021年1月末に株式会社NTT e-Drone Technologyへドローン事業を譲渡。

機体開発・製造・販売・保守点検・飛行データ管理など、継続可能な事業をすべてe-Droneへ継承しています。

エンルートはドローン事業から撤退することとなり、同年の6月に会社解散を発表しました。

世界・日本から見るエンルート(enroute)の現在の立ち位置

先述の通りエンルートはドローン黎明期から国内の産業用ドローンを発表した企業であり、同社が発表したドローン「AC-940D」は農林水産航空協会の1号認定機にもなっています。

このような実績から、エンルートは産業用ドローンのパイオニアという立ち位置を確かなものとしました。

その後はドローンの開発だけでなく、ドローン練習場やスクールも開設して操縦士の教育事業も手掛けており、まさに日本のドローン事業をけん引する存在でした。

現在は表舞台から姿を消したものの、事業継承先であるe-Droneによりエンルートが生み出したドローンの数々は国内の生産者に向けた普及が続いています。

エンルート(enroute)製ドローンの特徴

かつてエンルートは、農薬散布・レーザー測量・写真測量・空撮・インフラ点検など産業活用を前提としたドローンを開発していました。

その中でも農薬散布用ドローンの開発・製造に特化しており、ドローンで低コスト・高効率な農薬散布を実現し、「農業の就労構造を変えていく」ことをスローガンとしていたのです。

エンルートは、主に「Zion(ザイオン)」シリーズという産業用ドローンシリーズを展開しています。

Zionシリーズに含まれる7機種は、2017年に国土交通省への飛行許可・申請承認において「資料の一部を省略することができる無人航空機」として認定されました。

その内、「AC940D」は物件投下・危険物輸送の対象機体として日本で初めて認定されています。

現在はe-Droneにエンルート製ドローンの一部が継承されており、さらなる改良が施されています。

エンルート(enroute)を代表するドローン機種

エンルートが生み出してきた、代表的な産業用ドローン機種をご紹介いたします。

1.AC-940D

AC-940D
Photo by yamaha motor

「Zion」シリーズのひとつで、農薬(液剤5L・粒剤7kgまで)の積載が可能なコンパクトサイズの農薬散布ドローンです。

産業用ドローンとしては軽量で持ち運びがしやすく、GPSにより複雑な地形でも安定した飛行で効果的な農薬散布を行うことができます。

国内導入実績No.1となったこともあり、一般社団法人農林水産航空協会から初めて認定を受けたドローンでもあります。

2.AC1500

2.AC1500
Photo by drone journal

AC-940Dを大型化した農薬散布ドローンで、9Lの液剤を搭載することが可能です。

これにより、広大な圃場における運用の高効率化を実現しました。

AC-940Dと同様にGPSによる安定した飛行機能も受け継いでおり、大型モデルながら初心者でも簡単に操縦することができます。

また、散布中に液剤が不足した場合は機体に搭載されたLEDライトが点滅し、操縦者に知らせてくれる設計です。

大型化に伴いアーム部分は折りたたみ可能な新機構を採用し、付属のジュラルミンケースで安全かつコンパクトに収納できるため持ち運びもしやすくなっています。

3.QC730

軽量かつ機動性に優れた、3D測量などに対応している産業用ドローンです。

18インチプロペラ・ハイパワーモーター・大容量バッテリーの採用により、高ペイロードと長時間飛行を実現しています。

数値としては「Zionバッテリー(6セル 480Wh)」1個搭載で最大50分・最大飛行距離30kmの運用が可能です。

フライトコントローラーには3Dロボティクス製の「APM2.6」を採用しており、気圧センサーによる飛行安定性やGPSによる自動航行が可能という特長があります。

飛行経路はPCへ保存することができるため、定量的な測量データの収集や精度の高さが求められる業務に適しています。

4.PG700

機体の外周を囲うように装着された真四角のプロペラガードが特徴の、インフラ点検向けドローンです。

プロペラそのものを機体構造物とすることで、人口密集地や構造物に接近しながらの点検も安全に行うことができます。

有線給電でのインフラ点検に特化したモデルですが、機体の上方や下方にカメラジンバルを搭載するなどのカスタマイズにも対応しており、幅広い業務への活用が可能です。

5.AC101

エンルートとしては最後に発表された農薬散布用ドローンです。

「効率良く農薬を散布したい」「部品の取り扱いが面倒」といったユーザーの意見を取り入れ、軽量・コンパクト・低燃費をコンセプトに開発されました。

AC101は取り外し不要の折りたたみ式プロペラを4基搭載しており、バッテリーの交換効率も向上させています。

また、農薬タンクはレール式構造の採用でスムーズな脱着を実現しており、結果的に「AC1500」と比較して40%の小型化・45%の軽量化を成功させました。

また、バッテリー1つで最大2.5haの散布能力も備えています。

自動離着陸・直進アシスト・ABモード・飛行連動散布など多彩な機能で操縦者をサポートし、安定した飛行を可能としていることも特徴です。

エンルートのAC101を改良したモデル「EC101」とは

エンルートはすでにドローン事業から撤退しており、エンルートの開発技術はe-Droneが継承しています。

e-Droneにてエンルートの代表的な農業用ドローン「AC101」を販売していますが、それをベースとした改良機「EC101」の製造・販売も行っていることはご存知でしょうか。

EC101は農薬散布で活躍するAC101が培ってきた数万フライトのノウハウを受け継ぎ、産業向けに改良が施されたペイロード8kgのドローンです。

NTT東日本をはじめとするNTTグループや開発パートナー、国産ドローンを必要とする公共セクター向けに先行提供が始まっています。

また、写真測量やレーザー測量など使用シーンに応じて必要な装備品をセットにしたレンタルサービスも行われています。

導入事例としては世界遺産の富岡製糸場における測量や、青森県で発生した斜面崩落に伴う通信インフラの復旧作業などに活用されています。

エンルート(enroute)に関するよくある質問

最後に、エンルートに関してよくある質問を回答と一緒にまとめました。

Q1.エンルート製ドローンの価格はいくらですか?

エンルートによるドローン販売は行われていないため、各機種における価格は不明です。

ただし、現在e-Droneが提供しているエンルート製ドローン「AC101」は初期費用(機体一式)で25万円となっています。

Q2.エンルート以外で日本のドローン企業はどれくらいありますか?

国産ドローンを製造・販売している日本のドローン企業は、以下の通りです。

  • プロドローン
  • 自立制御システム研究所(ACSL)
  • ヤマハ発動機
  • 京商
  • SONY
  • PRO DRONE
  • G FORCE  など

Q3.エンルート製「AC101」の散布幅はどれくらいですか?

AC101は、1バッテリーで最大2.5haの農薬散布が可能です。

まとめ

株式会社エンルート(enroute)は、日本の「ドローン黎明期」でいち早く産業用ドローンを開発・発表した日本企業です。

従来までは農業従事者の人手不足や農業用ヘリ運用のコストなどが問題視された中、高効率・低コストでの農薬散布を叶えてくれるドローンを生み出したエンルート。

まさに産業用ドローンのパイオニア的存在として、日本のドローン事業をけん引していました。

その後も数々の高性能な産業用ドローンを生み出していましたが、NTTグループのe-Droneに事業を継承し、惜しくも表舞台から姿を消しました。

しかし現在もe-Droneよりエンルート製の農業用ドローンが提供されており、エンルートの技術がもたらす農業の新しいスタイルは確実に普及が続いているのです。

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