DJIを象徴するドローンと言われているPhantomシリーズ。
一時期は「Phantom 4」が販売中止となったり、新機種「Phantom 5」の発売が噂されるなど、様々な話題が上がっている有名な機種です。
今回はDJIのPhantomとはどんなドローンなのかを詳しく解説すると共に、過去のシリーズを一挙ご紹介いたします。
気になる新製品発表の動向についても記載していますので、ぜひご覧ください。
DJI Phantomとは
「Phantom」シリーズとは、DJIより2012年に発売されてから現在もなお親しまれているセミプロ仕様のドローンです。
まずはPhantomの特徴について詳しく解説いたします。
DJI Phantomの特徴
Phantomは、シリーズを通してレッグがある曲線的な機体が特徴的です。
表面積が大きく厚みもあり、折りたたみができないため携帯性は他の機種よりもやや劣りますが、カラーリングがホワイトなことも相まって抜群の視認性を誇ります。
さらに高い機能性とカメラ性能を備えており、映像制作や測量など様々な分野においてプロが仕事に使っても申し分ないスペックです。
詳細は後述しますがPhantomは初期モデルの登場から何度も進化を遂げており、現在は「4」やその派生モデルが販売中されています。
DJI Phantomの歴史
Phantomシリーズの歴史は、2012年~2013年に登場したPhantom1から始まりました。
当時の機体はカメラが搭載されておらず、自分で別売りのカメラを購入のうえ装着する必要がありました。
機体のデザインとしては現行モデルにはない、前方2角の赤いラインが特徴です。
2014年にはPhantom2が発売となり、当時から人気が上昇し始めたGoProカメラの搭載が可能に。
さらに派生モデルではオリジナルのHDカメラが機体に搭載されており、現行モデルの基礎と言える機体になりました。
2015年にPhantom3が発売され、カメラの性能が大幅に上昇します。
派生モデルにて4Kカメラが初めて搭載され、プロ仕様の映像撮影が可能となりました。
新たなセンサー類の追加やジンバルの性能向上など、機能面でも進化を遂げています。
そして2016年、Phantom4が発売となりました。
障害物回避センサーやスポーツモードなどの追加により、優れた安全性と機動力を兼ね備えたモデルです。
2018年には安全性と4K 60fpsでの撮影に対応したカメラが追加されたバージョンアップモデル、Phantom 4 Pro V2.0が発売。
2019年3月に一度は生産終了となりましたが、その根強い人気から2020年1月に再生産が決定したという過去を持ちます。
しかし2022年3月に再び生産終了の報せが公表され、それ以降の生産予定については不明です。
DJI Phantomの現在の立ち位置
現在は生産が終了しており新品の購入が困難となっているものの、ドローン空撮の存在を社会に浸透させるきっかけとなったPhantomシリーズの人気は未だに根強いものです。
海外の大手ドローンサイトではPhantom5の図面情報と言われる画像がリークされており、一時期は「Phantomに新作が出るのでは?」という噂で話題となりました。
生産が終了してもなお、新作の登場を期待するユーザーは多いということです。
とはいえ、近年DJIが積極的にシリーズを展開しているMavicの現行モデルと比べて性能・利便性(携帯性)のどちらも引けを取っていることは否めません。
DJIの公式オンラインストアでもMavicシリーズの購入が推奨されていることも相まって、Phantomシリーズの存在感は少しずつ失われていくことが考えられます。
DJI Phantomシリーズの機種一覧
Phantomシリーズの機種とその特徴を詳しくご紹介いたします。
1.DJI Phantom1
Phantomの初期モデルとなるPhantom1は、機体にカメラやジンバルは搭載されていませんでした。
その代わりに台が付属しており、空撮の際は別途自分で用意したカメラをそこに置きます。
その一方で高性能な機体制御機能がすでに搭載されており、非常に安定感のある飛行が可能なドローンとして注目を集めていました。
2.Phantom2
2作目となるPhantom2からは、GoProカメラの装着に対応可能となりました。
GoProカメラの人気が上昇していた中で発売した影響もあり、Phantomシリーズやドローン空撮そのものの知名度を大幅に高めたモデルです。
Phantom2 Vision+
Phantom2のバージョンアップ版となる「Vision+」は、Phantomシリーズで初めて機体にカメラが搭載されました。
DJIオリジナルのカメラに加え、スマホのアプリから簡単にFPVが楽しむことが可能となったモデルです。
3.Phantom3
3作目のPhantom3では、2よりもカメラ性能が向上してよりハイクオリティな映像撮影が可能に。
カメラ性能に応じ、3つのグレードが登場しました。
Phantom3 Standard
Phantom3における低価格版のStandardは、2.7Kカメラを搭載しておりAdvancedやProfesionalよりも飛行範囲が狭いことが特徴です。
とはいえ趣味として空撮を楽しむ分には十分な性能であり、リーズナブルな価格設定でコストパフォーマンスに優れています。
Phantom3 Advanced
中間グレード的な立ち位置のAdvanceは、フルHD撮影に対応したカメラを搭載しています。
「Standardの性能では物足りないけれど、Professionalの性能や価格はオーバー」と感じるユーザーをターゲットとしたモデルです。
Phantom3 Professional
Professionalは4Kカメラやビジョンポジショニングシステム、インテリジェントバッテリーなど性能が大幅に向上した上位モデルです。
プロレベルの映像・写真を撮影することが可能で、性能が最新のPhantomにぐっと近づきました。
4.Phantom4
Phantom4は新たなテクノロジーの搭載に加え、機体デザインがスタイリッシュに進化しました。
前方・下方に障害物回避センサーを搭載しており、障害物を自動的に回避しながら飛行することができます。
カメラはスタンダードモデルでも4K30fpsの映像撮影に対応し、スポーツモードと呼ばれる機能で最大時速72kmでの飛行も可能です。
Phantom3以前と比較し、より臨場感のあるハイクオリティな映像制作が実現できる空撮ドローンとなりました。
Phantom4はスタンダードモデルの他、大きく分けて以下の4種類が展開されています。
Phantom4 Pro
Phantom4の性能がさらにアップグレードされたモデルで、前方・下方に加え側面・後方にも障害物回避センサーを搭載しています。
これにより、5方向の障害物検知と4方向の自動回避が可能となっています。
また、1インチ2,000万画素カメラを採用しており、より鮮やかで美しい映像撮影を実現しました。
Phantom4 Advanced
AdvanceはProと同様の性能を備えたカメラを搭載していますが、側面・後方に障害物回避センサーがないことが特徴です。
安全機能の一部を省略したことでコストパフォーマンスに優れたモデルとなっているため、ドローン空撮のクオリティをさらに高めたい中級者ユーザーに適しています。
Phantom4 Pro V2.0
Phantom4シリーズにおける最新機種であり、Proをベースにカメラ性能と静粛性が向上しています。
カメラは4K60fpsの映像撮影に対応しており、他のDJI製ドローンを凌駕する性能に進化。
加えて「メカニカルシャッター」により高速飛行時や高速移動する被写体を撮影しても映像が歪むことを防ぐことが可能です。
また、プロペラは航空力学に基づいて設計されており、飛行時のノイズが従来の60%まで軽減されました。
Phantom4 RTK
ProをベースにRTK(リアルタイムキネマティック)システムを搭載した、写真測量ユーザー向けの産業用モデルです。
RTKとは、4つ以上の衛星から「固定局」と「基地局」の2つの受信機で信号を受信する技術のことをいいます。
ベースの優れたカメラ性能と安全性はそのままに、測量時はcm単位の高精度な画像データを取得することが可能です。
過去にはモニター付き送信機が付属した「Phantom4 Pro+」やボディカラーがマットグレーになった「Phantom4 Obsidian」も販売されていましたが、性能はProやスタンダードモデルと同様です。
DJI Phantom直近の新製品発表の動向
Phantomシリーズは2022年12月現在、生産終了のまま再販や新製品発売の予定については公表されていません。
しかし、その一方で「Phantom5が発売されるかもしれない」という噂が語られています。
アメリカの大手ドローンサイトをはじめ、国内外の各ドローン関連メディアではPhantomシリーズの最新機種と思わしき図面情報がリークされています。
そこにはPhantom5と思わしきドローンの組立図が記載されており、従来では不可能だった「アームの折りたたみ」が可能であることが分かりました。
さらにレッグ部分がなくなっており、ジンバルカメラで360°撮影も可能になるという説も語られています。
しかし2022年12月現在、DJI公式からはPhantomシリーズ最新機種の発売日については何も言及していません。
新型コロナウイルスの流行に伴う製造の遅れも考えられるため、今後もじっくりと最新情報を待つ他にありません。
DJI Phantomに関するよくある質問
Phantomシリーズに関してよくある質問を、回答と一緒にまとめました。
Q1.DJI Phantom4の飛行時間はどれくらいですか?
Phantom4は最大で約28分の飛行が可能です。
Q2.DJI Phantom4 Proはどれくらいの風速まで使用できますか?
Phantom4 Proの場合、風速10m/秒までが使用可能範囲となっています。
ただし安全のため、風速5m/秒以上の環境では飛行を控えることをおすすめします。
Q3.DJI Phantom4 RTKの特徴は何ですか?
Phantom4 RTKは、Phantom4 Proの機能にRTKシステムが追加された写真測量ユーザー向けモデルです。
衛星から受信した位置情報の誤差を基地局が補完するため、cm単位の誤差しか生じず高精度な画像データの取得が可能となっています。
なお、産業用モデルとなっているため通常販売はされておらず、メーカー見積となります。
Q4.DJI Phantom4 Proの大きさと重量はどれくらいですか?
Phantom4 Proはサイズが全長289.5×全幅289.5×全高196mm、重量が1,388g(バッテリー・プロペラ含む)となっています。
日本国内で飛行させる場合、国土交通省への機体登録申請が必要です。
Q5.DJI Phantom4の飛行速度はどれくらいですか?
DJI Phantom4には2つの飛行モードがあり、モードによって以下の通り最高速度が異なります。
- S(スポーツ)モード:最高時速72km(44.7マイル)
- A(姿勢)モード:最高時速57.6km(35.8マイル)
まとめ
「Phantom」はDJIにおける空撮ドローンの基礎であり、象徴的存在でもあるシリーズです。
特にPhantom4は初期に比べてカメラ性能や安全性など目覚ましい進化を遂げており、空撮でハイクオリティな映像を制作したいプロに最適なドローンと言えます。
初登場から10年以上経過した現在もなお最新機種の登場が期待されているほどの根強い人気を誇りますが、最新機種はどの程度まで開発が進んでいるのか?いつ頃発売されるのか?などほとんどの情報が不明なままとなっています。
モデルチェンジが行われるたびに革新的な機能が追加されてきたPhantomですが、今後も既存機種を凌駕するパフォーマンスで私たちを驚かせてくれる時は訪れるのでしょうか。
新たなPhantomの登場に期待しつつ、随時最新情報をチェックしておきたいところです。
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