ドローンの高さ制限を解説!ドローンを飛ばせる高度はどこまで?

更新日: 2024.09.03 公開日: 2024.09.02
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ドローンは上空で360°自在に方向を変えて飛ぶことができますが、好きなだけ高度を上げて飛ばせるわけではありません。

むやみに高高度でドローンを飛ばすと、法律違反となる可能性があるため注意が必要です。

そこで今回は、ドローンを飛ばす際の高さ制限について詳しく解説いたします。

ドローンを高高度で飛ばす方法やポイントもご紹介していますので、参考にしてみてください。

目次

法的に定められるドローンの高さ制限は?

航空法では、ドローンを飛行させる際の高さ制限が設けられています。

まずは法的に定められているドローンの高さ制限について理解を深めましょう。

航空法による高さ制限は地上から150mまで

航空法で定められるドローンの高さ制限は「地表または水面から150mまで」であり、無断で150m以上の高度でドローンを飛ばすことはできません。

なお、この150mとは飛行中のドローンから真下の地面までの距離です。

山間部など標高差がある環境で高い場所からドローンを飛ばす場合、地上と機体の距離が変化することを考えて、高さを調整しながら飛行させる必要があります。

150m以上の高度でドローンを飛ばしたい場合、事前の飛行許可申請が義務付けられています。

飛行許可申請をしないと、航空法違反として罰則の対象になるため注意が必要です。

高さ制限の目的は航空機の航行に影響を及ぼさないため

無許可でドローンを高高度で飛行させると、旅客機や貨物機などの航空機に接触し、重大な事故に発展するリスクがあります。

一般的に航空機は高度150m以上で航行しているため、それよりも低い高度でドローンを飛ばせば接触する心配はありません。

これが、航空法でドローンに高さ制限が設けられている主な理由です。

重量100g未満のドローンには高さ制限はない

航空法の規制が適用されるのは、総重量100g以上のドローンです。

総重量が100gに満たないドローンは、実質的に高さ制限なしで飛ばすことができます。

とはいえ、「小型無人機等飛行禁止法」や自治体ごとの条例など、重量にかかわらずすべてのドローンに適用される法令もあります。

100g未満のドローンでも、完全に自由な飛ばし方ができるわけではない点は留意しておきましょう。

高構造物周辺30mは150m以上の高度でも許可不要で飛ばせる

地上から高さ150m以上でも、航空法の制限が適用されないケースもあります。

「高層の構造物から30m以内の空域」でドローンを飛ばす場合です。

一般的に高層の構造物周辺は航空機の飛行が想定されていないため、地表・水面から150m以上の高さがある構造物でも、30m以内なら許可申請なしでドローンを飛ばすことが可能です。

ただし、航空法では高度150m以上の空域だけでなく、「空港周辺」「緊急用務用空域」「人口集中地区上空」での飛行も規制されています。

高層の構造物から30m以内であっても、上記のいずれかに該当する場所なら事前の飛行許可申請が必要です。

空港周辺におけるドローンの高さ制限

地上などから150m以上の高さでドローンを飛ばす場合、飛行経路が「空港周辺の空域」に該当しているかどうかを必ず確認しましょう。

空港は敷地やその周辺で高さ制限を設定しており、それを超える高度でドローンを飛ばす場合、空港の管理者の了解を得たうえで国土交通大臣へ許可申請する必要があるからです。

また、空港の周辺には航空の安全を確保するために「制限表面」という6つのエリアが設けられています。

制限表面を超える高さで物件を設置したり、ドローンやラジコン飛行機などを飛ばすことはできません。

以下より、空港の周辺に設けられている6つの制限表面について解説いたします。

進入表面

滑走路を中心として、一定の幅・長さが確保された「着陸帯」という長方形のエリアがあります。

この着陸体の短辺に接続しており、かつ水平面に対し上方へ50分の1以上で、国土交通省で定める勾配を有する平面であり、その投影面が進入区域と一致するものが進入表面です。

このエリアは、航空機が離着陸する際に用いられます。

水平表面

水平表面は、航空機の安全な着陸経路を確保するため、標点(滑走路の中心)を中心に円形で設定される空間のことです。

この円形は、4,000m以下で国土交通省で定める長さの半径で描かれます。

航空機が低空で旋回飛行するためのエリアです。

転移表面

転移表面は、進入表面の斜辺を含む平面および着陸体の長辺を含む平面です。

具体的には以下のような部分のことをいいます。

  • 着陸帯の中心線を含む鉛直面に直角な鉛直面との交線の水平面に対する勾配が、進入表面または着陸帯の外側情報へ7分の1であるもの
  • 上記のうち、進入表面の斜辺を含むものとその斜辺に接する着陸帯の長辺を含むものとの交線、これらの平面と水平表面を含む、平面との交線および進入表面の斜辺、または着陸帯の長辺で囲まれる部分

航空機が安全に進入をやり直すためのエリアが、転移表面です。

なお、ここまで挙げた進入表面・水平表面・転移表面は全国の空港に共通する制限表面です。

次項より挙げる延長進入表面・円錐表面・外側水平表面は、東京・成田・中部・関西国際空港・政令空港にのみ設定されています。

延長進入表面

延長進入表面は、進入表面を含む平面のうち、進入表面の外側底辺・進入表面の外側情報への延長線、および当該の底辺に平行な直線で、進入表面の内側底辺からの水平距離が15,000mであるものに囲まれたエリアです。

進入表面を延長するエリアであり、精密進入方式で空港に進入着陸する航空機の、最終直線進入の安全を確保するためにあります。

円錐表面

円錐表面は以下の特徴がある、水平表面外縁に接続するエリアです。

  • 空港の標点を含む鉛直面との交線が、水平面に対し外側上方へ50分の1以上で、国土交通省で定める勾配がある円錐面
  • かつ、上記の投影面が当該の標点を中心として16,500m以下で、国土交通省が定める長さの半径で水平に描いた円で囲まれるもののうち、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要な部分

外側水平表面

外側水平表面は円錐面の上縁を含む水平面であり、その投影面が空港の標点を中心として24,000m以下で、国土交通省で定める長さの半径で描いた円に囲まれたエリアのうち、離着陸の安全確保に必要な部分を指します。

航空機の進入をやり直す場合に安全を確保するエリアであり、制限表面の中で最も外側に位置します。

空港等設置管理者/空港管制機関の連絡先一覧

空港周辺の制限表面に該当するエリアでドローンを飛ばす場合は、そのエリアを管轄する空港などの期間に連絡する必要があります。

ここでは、主な空港等設置管理者/空港管制機関の連絡先をご紹介いたします。

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空港等連絡先
成田国際空港・設置管理者:成田国際空港株式会社 空港運用部門 オペレーションセンター
 TEL:0476-34-4650

・管制機関:東京航空局成田空港事務所
 email :cab-cchousei-z46ww@mlit.go.jp
東京国際空港・設置管理者:東京航空局東京空港事務所
 連絡先資料→ https://www.mlit.go.jp/common/001222891.pdf

・管制機関:東京航空局東京空港事務所
 TEL:050-3198-2865
関西国際空港・設置管理者:関西エアポート株式会社 関西空港運用部 KIXオペレーションセンター
 TEL:072-455-2221

・管制機関:大阪航空局関西空港事務所
 TEL:0724-55-1330
大阪国際空港・設置管理者:関西エアポート株式会社 伊丹空港運用部 ITAMIオペレーションセンター
 TEL:06-4865-9601、HP:http://www.kansai-airports.co.jp/itm_seigen/index.html

・管制機関:大阪航空局大阪空港事務所
 TEL:06-6843-1293 Mail:cab-itm.kansei.drone@ki.mlit.go.jp
新千歳空港設置管理者:北海道エアポート株式会社新千歳空港事業所
TEL:0123-46-2970
那覇空港・設置管理者:大阪航空局那覇空港事務所
 TEL:098-859-5132

・管制機関:大阪航空局那覇空港事務所
 TEL:098-859-5120

その他空港等設置管理者/空港管制機関の連絡先は、国土交通省が公開している資料に記載されています。

なお、資料内に掲載されていない航空機の離着陸場は、航空法上は「空港等の周辺」に該当しません。

しかしその場所で離着陸する航空機の航行を妨げないためにも、事前に管理者や航空機の運航者と調整するといった配慮が必要です。

ドローンを150m以上の高度で飛ばす方法

先述したように、100g以上のドローンは無断で150m以上の上空に飛ばすことはできません。

もしも150m以上の高度で飛ばす必要がある場合、どのように飛行を実施すれば良いのでしょうか。

ここでは、法に準拠する形で150m以上の高度で飛ばす方法を詳しく解説いたします。

国土交通省の許可申請を行う

ドローンの飛行は、場所・方法の他に立入管理措置の有無などに応じてカテゴリーⅠ~Ⅲまで設けられており、カテゴリーごとに許可申請が必要かどうかが変わります。

高度150m以上はカテゴリーⅡに該当する飛行であり、国土交通大臣の許可が必要です。

そのため、事前に許可を得るための手続きを済ませなければなりません。

また、実施の際は第三者が飛行経路に立ち入らないように、補助者を配置するなどの「立入管理措置」も求められます。

飛行許可を行う手順

ドローンの飛行許可申請には、「DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)」で電子申請するか、紙の書類を窓口または郵送で提出するという手段があります。

国土交通省は原則として電子申請を求めており、紙の書類を作成するよりも比較的簡単なため、ここでは電子申請の手順をご紹介いたします。

まず、150m以上の高度でドローンを飛ばす場合は申請の前に以下の準備を済ませておく必要があります。

  • DIPS2.0でアカウントを開設する
  • DIPS2.0で使用するドローンの機体登録を済ませてリモートIDを実装する
  • DIPS2.0に機体と操縦者の情報を登録する
  • 飛行する空域の管理者と、飛行計画や安全管理計画などについて調整する

準備を済ませたら、以下の手順で許可申請手続きを行いましょう。

STEP
DIPS2.0にログインする
STEP
メインメニューの「新規申請」をクリックする
STEP
簡易カテゴリー判定で必要項目にチェックを入れ、飛行カテゴリーを確認する
STEP
「飛行許可・申請承認へ」をクリックする
STEP
飛行の目的・飛行の日時・飛行の経路・飛行の高度・操縦者の能力・安全体制などの項目を入力する
STEP
あらかじめ登録しておいた飛行させる機体と操縦者を選択する
STEP
入力した内容を確認する
STEP
「申請書の内容は間違いありませんか?」にチェックを入れ、「申請する」をクリックする

申請後は10開庁日程度で審査結果が出ますが、申請書や添付資料に不備があると確認のためのやり取りが発生し、必要な日数が延びる可能性があります。

スケジュールに余裕をもって、飛行予定日の1ヶ月程度前から申請手続きに取り組むことをおすすめします。

高さ制限以外のドローンに関連する飛行規制

高度150m以上の上空だけでなく、ドローンの飛行においては様々なケースに制限が設けられています。

どこでドローンを飛ばすにしても、その場所や方法が法規制に抵触するものではないかよく確認しておくことが大切です。

ここでは、高さ以外に規制されているドローンの飛行ケースについて解説いたします。

航空法で定められる規制

航空法では、以下の場所・方法でドローンを飛ばす場合は許可・承認が必要と定められています。

【飛行場所】

  • 高度150m以上の空域
  • 空港等周辺(制限表面)の上空
  • 人口集中地区の上空
  • 緊急用務空域

緊急用務空域については、災害等の報道取材やインフラ点検・保守などの目的でない限り、基本的に飛行許可を得ることはできません。

【飛行方法】

  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件との距離が30m未満の飛行
  • 催し場所上空での飛行
  • 危険物輸送
  • 物件投下

なお、人口集中地区の上空・夜間飛行・目視外飛行・人または物件との距離が30m未満の飛行は、国家資格と機体認証の取得などの条件を満たすことで、許可・承認申請が不要になります。

小型無人機等飛行禁止法で定められる規制

先ほども触れましたが、航空法の規制は機体重量100g以上のドローンにのみ適用されます。

しかし、機体重量にかかわらずすべてのドローンを対象とした規制を定める法律もあります。

その代表的な例が、「小型無人機等飛行禁止法」です。

小型無人機等飛行禁止法では、国の重要な施設やその周辺(おおむね300m)上空でのドローンの飛行が禁止されています。

規制対象となっている施設は、以下の通りです。

  • 国の重要な施設等
    ・国会議事堂
    ・内閣総理大臣官邸等
    ・危機管理行政機関
    ・最高裁判所庁舎
    ・皇居・御所
    ・政党事務所
  • 外国公館等
  • 防衛関係施設
    ・自衛隊施設
    ・在日米軍施設
  • 空港
  • 原子力事業所

なお、施設の管理者自身や管理者から許可を得た人などは、一部の対象施設でドローンを飛ばすことができます。

ドローンの機能的に飛ばせる高度はどれぐらい?

ドローンはプロポ(コントローラー)から機体を遠隔操作するため、機体から離れすぎると制御不能になります。

そのため、法規制だけでなく安全面という観点でも過度に高度を上げて飛行させることは避けるべきです。

ドローンの飛行可能な高度は製品のスペック情報に記載されているため、事前に確認しておきましょう。

機種のスペックによって異なる

ドローンが機能的に飛ばせる高度は機種ごとのスペックによって変わりますが、一般的には数kmが限界となっています。

高性能な機種であるほど、より高く飛行させることが可能です。

製品のスペック情報で、「航行可能限界高度」などの項目に飛行可能な高度の限界が記載されているため確認してみましょう。

主な機種の高度限界

ここでは、有名なドローン機種の航行可能限界高度をご紹介いたします。

ドローン選びや、ドローンの航行可能限界高度の傾向を知るための参考にしてみてください。

  • DJI Air 3:6000m(海抜)
  • DJI Mini 4 Pro:4000m(海抜)
  • DJI Avata 2:5000m(海抜)
  • Parrot anafi usa:6,000m(平均海抜)
  • Skydio 2+:約4000m(海抜)

なお、海抜とは近隣の海の平均海面を0mとした場合の高度を指します。

海面からの高さと地上の標高を足したものが海抜高度であり、ほとんどのドローンはこの海抜高度を基準として航行可能限界高度を示しています。

高高度でドローンを安全に飛ばすためのポイント

高高度でドローンを飛行させるにあたって、150m未満の高度で飛行させる場合よりも事故が起こりやすくなる点に注意が必要です。

安全な高高度飛行を実現するためにも、以下2つのポイントを押さえておきましょう。

高度維持機能がある機体を選ぶ

機種によっては、機体に搭載されたセンサーなどで機体と地面との距離(気圧)を計測し、一定以上の高度まで飛行しないようにできる「高度維持機能」があります。

操縦ミスで高度を上げすぎてしまう心配もなく、操縦の安定性も向上するため、高度維持機能があるドローンを選ぶことをおすすめします。

なお、一般的に高度維持機能は海抜で高度を測っているため、山間部のように標高差がある地形では地上高の変化にも注意して飛行しましょう。

目視可能な範囲で飛行させる

航空法でも定められている通り、ドローンは目視内での飛行が基本です。

特に高高度飛行の場合は、機体の位置を常に確認していないとすぐに見失ってしまい、ロストなどの事故につながる恐れがあります。

安全管理体制を万全に整えたうえで、飛行中は機体から目をそらさず慎重に飛行させることが大切です。

まとめ

航空法では、無断で150m以上の高さでドローンを飛行させてはならないという制限が設けられています。

150m以上の高度でドローンを飛行させる場合、国土交通大臣から許可を得るだけでなく、管轄の空港等の機関へ連絡のうえ飛行計画などの調整を行う必要があります。

空港によって異なる場合がある「制限表面」の高さを超えてはならないことも理解し、飛行計画を立てましょう。

また、法規制にかかわらずすべてのドローンにはスペックの面で飛行可能な高さの限界があります。

高高度飛行の実施前にスペック情報から限度を確認しておき、それを超える高度で飛行させないように注意が必要です。

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