
重量が200g未満かどうかでドローン飛行のルールが変わるの?

200g未満のドローンには航空法が適用されません。
しかし、「小型無人機等飛行禁止法」は適用されるため抑えておきましょう。
200gに満たないドローンは「トイドローン」とも呼ばれ、通常のドローンよりも比較的自由に飛行ができるため初心者も挑戦しやすい機体です。
しかし、全く制限が無い中で飛ばせるというわけではないことを理解しておく必要があります。
そこで今回は、200g未満(199g以下)のドローンに適用される法規制や飛行禁止区域について詳しく解説していきます。
- 200g未満のドローンと200以上のドローンに関わる法律の違い
- 200g未満のドローンに適用される法律
- 200g未満のドローンを飛行できる場所
200g未満(199g以下)のドローンとは
総重量が200g未満(199g以下)のドローンは「トイドローン」とも呼ばれており、通常のドローンよりも制限が少ない中で飛行できます。
気軽に操作できるだけでなく、リーズナブルな価格の製品が多いことも相まって初心者からも多くの人気を集めているドローンです。
200g未満(199g以下)のドローンには航空法が適用されない
ドローンは原則として、航空法に基づき定められた場所・条件下でしか飛ばせません。
航空法に違反すると逮捕されてしまう恐れもあるので、ドローンを飛行させる前はルールをしっかりと理解しておく必要があります。
しかし、200gに満たないドローンであれば航空法の適用外とされています。
これこそが冒頭でお伝えした、「200g未満(199g以下)のドローンは比較的自由に飛行ができる」ことの理由なのです。
ただし200g未満(199g以下)のドローンにも適用される法規性や飛行禁止区域があるので、どこでも好きなように飛ばせるというわけではありません。
200g未満(199g以下)のドローンに適用される法規制6種
200g未満(199g以下)のドローンは、以下6つの法律に沿って飛行させなければいけません。
1.国の重要施設周辺300メートルが対象「小型無人機等飛行禁止法」
今年の5月に改正されたばかりの新しい法律です。
次の重要施設及び、おおむね300メートルの周辺地域の上空におけるドローンの飛行が禁止されています。
- 国の重要な施設等
国会議事堂等、内閣総理大臣官邸等、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、皇居・御所、政党事務所など - 外国公館等
- 防衛関係施設
自衛隊施設、在日米軍施設 - 空港
- 原子力事業所
ただし、条件を満たせば上記エリアでも飛行が認められる場合があります。
条件を満たし飛行する際は、あらかじめ都道府県公安委員会(警察)・管区海上保安本部長などに通報しなければなりません。
さらに防衛関係施設や空港の周辺地域の上空を飛行する場合は、対象施設の管理者への通報も必要です。
原則 | 防衛関係施設・空港 | |||
敷地又は区域 | 周囲300メートル | 敷地又は区域 | 周囲300メートル | 敷地又は区域 |
対象管理者又はその同意を得たものによる周辺地域上空の飛行 | ○ | ○ | ○ | ○ |
土地所有者等又はその同意を得た者による当該土地上空の飛行 | ○ | ○ | × | ○ |
国又は地方公共団体の業務実施のために行う周辺地域上空の飛行 | ○ | ○ | × | ○ |
2.他人が映り込んだ画像のアップロードは禁止「プライバシー・肖像権、個人情報保護法」
近年は高性能なカメラを搭載し、ハイクオリティな映像や写真を撮影できる200g未満(199g以下)のドローンが増えています。
そこで注意しておきたいのが、高画質な映像や写真を撮影する場合は周囲を通る人やマンションなどの住宅内が写り込んでしまう可能性があるということです。
人の顔や住宅内の生活状況を推測できるような私物、車両のナンバープレートなどが写り込んだままの映像や写真をインターネットにアップロードすると、迷惑防止条例違反とされる恐れがあります。
もしもインターネットにアップロードしたい場合は、個人を特定できるようなものが写らない撮影環境であるかを確認するか、ぼかしを入れるなどの措置を取りましょう。
3.都立公園及び都立庭園でのドローン使用はNG「公園条例」
東京都では「都立公園条例」と「都立海上公園条例」に基づき、計81ヶ所の都立公園・庭園においてドローンやラジコンの使用が禁止されています。
これは200g未満(199g以下)のドローンも適用内とされており、使用する場合は市区町村の担当者に確認と許可を取らなければなりません。
4.公道での離着陸・飛行はNG「道路交通法」
道路交通法においてはドローンに関する明確な規定は記されていません。
しかし、公道でドローンの離着陸や飛行をすることで道路交通法における次の禁止行為に抵触する可能性があります。
・何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
・何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
・何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
公道でドローンの離着陸や飛行をしたい場合、その道路(地区)を管轄する警察署長に許可を摂る必要があります。
5.文化財周辺での飛行は禁止「重要文化財保護法」
国が指定する重要文化財及びその周辺では、ドローンを飛ばすことが禁止されています。
重要文化財周辺でドローンを飛ばす場合、施設の管理団体へ確認しなければなりません。
基本的に業務目的以外でドローンを飛ばすことは全面的に禁止されていますが、200g未満(199g以下)のドローンは電波が途切れる恐れもあることから飛行を認められる可能性は低いと言えます。
6.周波数5.8GHzのドローン操縦は要注意「電波法」
ドローンを飛ばす際、機体とコントローラー(プロポ)を無線で接続して操縦しています。
このような無線設備を日本国内で使用するときは、使われている周波数によって「無線局免許」や「無線従事者資格」が必要になることもあるのです。
ただし、日本で一般的に使用されているドローンの場合はほとんどがスマホやWi-Fiの電波帯と同じ2.4GHz帯とされており、特別な免許や資格は必要ありません。
要注意と言えるのが、海外で多く利用されておりネットでも簡単に購入できる周波数5.8GHz帯のドローンです。
5.8GHz帯のドローンを操縦するには「第四級アマチュア無線技士」の資格を取得する必要があります。
なお、ドローンレースにおけるFPV操作でもFPVゴーグルへの映像伝送に5.8GHzが用いられています。
賞金のあるレースに参加する場合、ビジネス用途(産業用)とされるため「第四級アマチュア無線技士」だけでなく無線局の開局や「第三級陸上特殊無線技士」以上の資格も必要になります。
200g未満(199g以下)ドローンの飛行禁止区域
200g未満(199g以下)を含むドローンは、航空法により飛行禁止区域が定められています。
- 空港等の周辺の上空の空域
- 国勢調査の結果による人口集中地区の上空
- 地表または水面から150m以上の高さの空域
上記のように航空機の航行の安全に影響を及ぼす可能性があったり、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼす恐れが高い空域が対象となっています。
200g未満(199g以下)のドローンを飛ばせる場所を確認する方法
200g未満(199g以下)を飛ばす際、次の方法で簡単に飛ばせる場所を確認できます。
飛ばせる場所はアプリ活用で見つかる
地域ごとに定められている飛行禁止区域を自力で調査するには時間がかかってしまうものです。
そこで、ドローンを飛ばせる場所がマップ上ですぐに確認できるアプリを活用しましょう。
ドローンフライトナビ
「人口集中地区」や「空港・ヘリポート・自衛隊基地」、「小型無人機等飛行禁止法」などすべての飛行禁止区域に対応した、iPhone専用アプリです。
アプリを開くと現在地が表示され、マップ上に飛行禁止区域に該当するエリアがマークされます。
ログイン不要かつシンプルな操作で使いやすいアプリとなっています。
SORAPASS
航空法により定められているドローン飛行禁止区域や国の重要施設、障害物、自衛隊基地などドローンに関わる飛行禁止エリアを殆ど網羅している地図サイトです。
ただし、「空港周辺の飛行禁止エリア」は一律9km範囲で表示されるため国土地理院が提供している正式なエリアの範囲と誤差がある点には注意しましょう。
ドローン飛行チェック
「人口集中地区」「空港・ヘリポート・自衛隊基地」をマップ上に表示してくれる、iPhoneとAndroidどちらにも対応したアプリです。
ただし「小型無人機等飛行禁止法」に該当する国の重要施設などには対応していません。
マップ上にいくつかのピンが刺されており、「ピンの場所を確認」をタップすることでピンが刺された場所の飛行可能エリアや時間を一発で表示してくれます。
実際にドローンマップを活用して飛ばせる場所をチェック
今回は「SORAPASS」を使用し、次のエリアでドローンが飛行できる場所をチェックしてみました。
マップ上の表示については、以下のようになっています。
- 「人口集中地区」…薄い赤色で塗りつぶされたエリア
- 「空港など国土交通省や空港への届け出が必要な空域」…赤い円で囲われたエリア
- 「原子力施設・発電所・石油コンビナート・自衛隊基地」…黄色で塗りつぶされたエリア
上記を除くエリアであれば法規制の対象にならず、ドローンを安全に飛ばせると言えます。
ただし実際に飛行させる場合、民間や私有地における規制がないか各自治体またはエリアの管理者へ事前に問い合わせましょう。
東京(多摩川・荒川周辺)

こちらは東京都を中心としたマップです。
ご覧の通り都内(特に23区近郊)のほとんどは赤く塗りつぶされています。
●荒川周辺

●多摩川周辺

23区内での河川敷でドローンを飛ばすことは難しいことが伺えますが、山の方面へ近づくにつれて飛行ができそうな場所も見えてきます。
大阪

大阪府を中心としたマップです。
やはり都市部は人口集中地区として赤く塗りつぶされ、ドローンを飛ばせる場所は限られています。
ドローンを飛ばせる場所をもう少し拡大すると、この辺りになります。


京都

京都府を中心としたマップです。
主な飛行禁止区域は以下の通りです。

また、海上自衛隊舞鶴航空基地などがある舞鶴湾周辺も飛行禁止区域とされています。

飛行禁止区域でも許可申請を行うことで飛行可能となる場所もある
飛行禁止区域内でドローンを飛ばしたい場合、事前に許可申請を行えば飛行が認められることもあります。
飛行許可の取得方法
ドローンを飛ばしたい場所が飛行禁止区域に該当する場合、事前に飛行エリアを管轄する地方航空局や空港事務所に申請書を提出する必要があります。
申請書は少なくとも飛行予定日の10開庁日前までに提出しましょう。
ただし内容に不備があった場合は審査に時間を要する場合もあるため、期間に相当の余裕をもって提出することをおすすめします。
また、都道府県・市区町村などの地方公共団体が定めている条例や「小型無人機等の飛行禁止法」等により飛行が禁止されている場所・地域もあります。
そのため地方航空局へ申請する際は必ず飛行を希望する地域でドローンの飛行が可能か確認し、必要な手続きを済ませておきましょう。
飛行許可の申請方法
申請は、電子申請サービス「DIPS(ドローン情報基盤システム)」から行います。
操作はすべてWebブラウザ上で行うので、特別なソフトウェアのダウンロードは必要ありません。
国土交通省のホームページでは「原則、DIPSでの申請をお願いいたします」と記載がありますが、書類の郵送・持参による申請も可能です。
申請書のテンプレートは国土交通省のホームページからダウンロードできるので、印刷して記入しましょう。
テンプレートと同様の記載事項・様式であれば独自に作成しても問題ありません。
飛行場所が空港周辺の区域や150メートル以上の上空に飛ばす場合は空港事務所へ、それ以外の飛行場所は地方航空局が送付先になります。
要チェック!2022年200g未満ドローンに適用される新たな航空法が施行予定
2020年12月、国土交通省航空局より「無人航空機のレベル4の実現のための新たな制度の方向性について」という資料という資料が公開されました。
これには、現在のルールでは不可能とされている規制レベル「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4)」を実現するために何を行うか、ということが記されています。
その中に、
施行にあわせて登録・許可承認の対象となる無人航空機の範囲を100g(現行200g)以上に拡大
国土交通省航空局
と表記されていました。
この規制が施行されると、現在は航空法の適用外とされていた100~199gまでのドローンにも航空法の対象になってしまうのです。
いつから施行されるのかなど詳しい情報は公開されていないため、今後の発表に注目したいところです。
ルールを確認していざ飛行!200g未満(199g以下)のおすすめドローン
飛行ルールを把握できたら、実際に200g未満(199g以下)のドローンを飛ばしてみましょう。
ここでは、200g未満(199g以下)のドローンでおすすめの製品をご紹介します。
DJI「Mavic Mini2」

重さ199gのトイドローンですが、12MPの空撮写真と2.7KクアッドHD動画の撮影に対応しておりハイクオリティな空撮が楽しめます。
横揺れ・縦揺れ・ロールを制御する3軸ジンバル付きで滑らかかつ安定した動き
更に満充電状態では最長約18分間の飛行も可能です。
RYZETECH「Tello」

DJIのフライトコントロールシステムとIntelプロセッサーを搭載した、重さ約80gの超軽量型ドローンです。
スマートフォンで直感的に操作できるので、初心者にもおすすめのモデルとなっています。
更に高品質映像プロセッサーを搭載しており、簡単に本格的な空撮を楽しめます。
GFORCE「INGRESS」GB080

INGRESSは重さ約182g、アームを折りたためるコンパクトな設計となっています。
専用のアプリで作成したルートに沿って自動飛行する「マルチポイントモード」や操縦者に追従する「フォローミーモード」、ボタン一つでホームポイントに帰還する「マルチポイントモード」など多彩な機能を搭載しているのが特徴です。
操作に不慣れで、機体を見失ったり落下したりするのを防ぎたい方におすすめ。
まとめ
200gに満たないドローンは航空法の適用外とされているため、通常のドローンよりも比較的自由に操縦を楽しめます。
ただし全くの無制限というわけではなく、道路交通法や個人情報保護法などの様々なルールに沿って安全に飛行させなければなりません。
また、200gに満たないドローンでも適用される飛行禁止区域というものが存在するため、アプリを活用しながら飛行できるエリアをしっかりとチェックしておきましょう。
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