天候の影響を受けやすいドローンは、可能な限り降雨時を避けることが得策です。
しかし、業務でドローンを使う場合など、降雨時に飛行を実施せざるを得ないケースもあります。
そこで本記事では降雨時にドローンは飛ばせるのか?飛ばすときはどのように対応すべきなのかなど、国土交通省のガイドラインに沿って分かりやすく解説いたします。
降雨時は基本的にドローンは飛ばせない
降雨時におけるドローンの飛行は法的に禁止されているわけではありませんが、基本的には飛ばせないと考えて良いでしょう。
国土交通省が公開している無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドラインでは、ドローンの飛行時における注意点として飛行前に「安全に飛行できる気象状態であるかの確認」が必須と提示しています。
天候を含め、ドローンが安全に飛行できるコンディションが整っているかを確認して初めて飛行が可能になるということです。
また、国土交通省航空局標準マニュアルにもドローンを飛行させる際の基本的な体制のひとつに、「雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない」と明記しています。
雨の日にドローンを飛ばせない理由
国が提示しているガイドラインやマニュアルだけでなく、降雨時がドローンの飛行に適していない理由は他にもあります。
その理由としては、雨の中でドローンを飛ばすことにより伴う以下のようなリスクが挙げられます。
電子部品が濡れて故障を招く
精密機械であるドローンを雨の中で飛ばすと、パーツ同士の隙間や穴から内部へ雨水が侵入します。
水は通電性が高く、ドローンが浸水した状態で通電させるとショートして電気系統の故障を招きます。
さらに、バッテリーやモーターなど金属製の部品にサビが生じて故障する可能性もあります。
水に濡れても通電させなければ故障を免れる場合もありますが、内部まで完全に乾燥させるには数日間を要するため、その間はドローンを飛ばせなくなるという弊害が生じる点にも注意が必要です。
各機能が作動せず墜落事故が起きる
降雨時に飛行に飛行したことでドローンの部品が故障すれば、機体が制御不能となる可能性が高いです。
その結果、センサー類に誤作動が生じて緊急停止などの安全機能が作動しなかったり、機体の操作ができなくなったりします。
最悪の場合、第三者や第三者の所有物などを巻き込む事故に発展する恐れがあります。
雨以外にも注意したいドローン飛行時の天候
降雨時だけでなく、以下の天候もドローンに影響を与えるため飛行を避けましょう。
強風
上空を飛ぶドローンは風の影響を受けやすく、一般的に風速5m/s以上の強さになると機体が流され操作が困難になります。
また、風向きとは逆方向へ機体を飛ばそうとすれば風圧によりバッテリーが消耗しやすくなり、通常時の時間感覚で飛行を続けるとバッテリー切れで墜落するリスクも生じます。
国土交通省の飛行マニュアルにも突風の発生時は飛行を中止すべきと記載がある通り、強風を確認したらドローンは飛ばさないようにしましょう。
塵や砂
風が吹いている中での飛行や離着陸時など、塵・砂が舞いやすいタイミングにも注意が必要です。
細かな塵や砂粒が機体の内部に入ると、部品の故障やそれに起因する事故のリスクが高まります。
そのため、屋外での飛行時は塵・砂の巻き込みを防ぐためにランディングパッドを必ず使いましょう。
離着陸ポイントに敷いておけば、塵・砂が舞い上がらず故障のリスクを抑えられます。
ドローン飛行中に雨が降ってきた場合の対処法
雨が降るタイミングは必ずしも予測できるとは限らず、飛行中に突然降り出すケースも珍しくありません。
以下より、ドローンの飛行中に雨が降ってきた場合の対処法をご紹介いたします。
速やかに飛行を中止する
飛行中に雨が降ってきたと感じたら、速やかにドローンを着陸のうえ雨から退避させましょう。
機体の内部が浸水する前に飛行を中止できれば、故障や事故を未然に防ぐことができます。
なお、テープやラップなどで部品の隙間をふさぐなど即席の防水加工を施しても飛行を再開すべきではありません。
テープやラップのようにごく軽量なものでも、機体の重量や空気抵抗に変化が生じて正常に飛行できなくなるからです。
さらに部品の隙間がなくなれば、内部から生じる熱を逃すことができずオーバーヒートする恐れがあります。
電源を落として自然乾燥させる
機体が濡れて浸水している可能性がある場合、まずは電源を切りましょう。
先述したように、水に濡れたまま電源を入れると故障につながるからです。
次にバッテリーを抜いて、機体の水分を乾いたタオルで拭き取ります。
この時点で機体がある程度乾いたように見えますが、タオルで拭き取れない細かな隙間・穴や内部部品にはまだ水分が残っています。
2日~3日程度は自然乾燥させ、内部まで完全に乾燥させてからバッテリーを入れて動作確認をしましょう。
なお、早く乾かそうとドライヤーを使うと熱で基盤が故障する恐れがあるため、使用を避けるか冷風を当てる程度に留めましょう。
雨でも飛ばせる防水ドローンを紹介
ドローンの多くは降雨時の飛行に適していない構造となっていますが、機種によっては防水加工が施されており、降雨時や水上でも使用できる場合があります。
ここでは、防水仕様のドローン機種を3つご紹介いたします。
PowerEgg
卵のようなフォルムが特徴的なPowerEgg XはAIカメラとドローンを兼ね備えており、まさに陸・海・空対応型の機種です。
卵型の本体にドローン用のアームやプロペラを取り付けると飛行が可能となり、さらに付属の防水アクセサリーを装着すれば降雨時の飛行や水上の離着陸も問題なく実施できます。
本体に搭載されたカメラは4K/60fpsの高画質な写真・映像撮影に対応している他、AIによる精密かつ継続的な顔認識機能で幅広い撮影シーンの快適性を向上させてくれます。
SwellPro Splash Drone 4
SwellPro Splash Drone 4は防水ドローンの開発に関して豊富な実績を持つ、SwellPro社製の機種です。
工業用のABS樹脂による強い耐衝撃性、1台ずつ実施される空気圧テストにもクリアする優れた機密性を兼ね備えた機体となっています。
さらに内部の電子部品から機体全体に防水コーティングが施されており、雨・雪・海・川など水濡れが懸念されるどんな環境でも飛行が可能です。
オプションとして防水3軸ジンバルカメラ・任意のポイントに2kgまでの餌を落とせるアクセサリがセットになっている製品もあり、撮影やフィッシングにも使えます。
PD4-AW-AQ
国内の産業用ドローンメーカーであるPRODRONE製のPD4-AW-AQは、機体の四方向に装着したフロートと防水設計で雨天時や水上でも活用できる防水型産業用ドローンです。
オリジナルフライトコントローラーPD-FC1を搭載しており、プロポがなくても操縦することができます。
漁場の管理・サンゴ礁の生育観察・ダム点検・雨天時の警備など、あらゆる業務に利用できる高性能な機種です。
雨の日のドローン飛行に関するよくある質問
最後に、雨の日のドローン飛行に関してよくある質問を回答と一緒にまとめました。
ドローンを飛ばす上での気象条件の判断基準は?
ドローン飛行の実施を検討する際の気象条件における判断基準は、以下の通りです。
- 雨は降っていないか(雨の予報は出ていないか)
- 風速5m/sが観測されていないか
- 雷が鳴っていないか(雷の予報は出ていないか)
- 霧が発生していないか
上記の気象条件のいずれかに該当していないことを確認のうえ、機体・バッテリーの状態や飛行場所、安全の確保、関連する法規制の把握などを済ませてドローンを飛行させましょう。
雪の日はドローンを飛ばしても大丈夫?
雪の日も、ドローン飛行は避けることをおすすめします。
雪が降る中でドローンを飛ばすと視界不良によるロストの他、雪の水分による故障にもつながります。
また、凍結による内部部品やシステムへの負荷で、飛行の安全性に支障が出る恐れもあるからです。
まとめ
降雨時のドローン飛行は、国土交通省が公開しているガイドラインやマニュアルを遵守するだけでなく機体の故障を防ぐためにも避けるべきです。
飛行中に予期せぬ降雨に見舞われた際は、速やかに飛行を注視して水分をよく拭き取り、内部までしっかりと乾燥させましょう。
水の多い環境や降雨時にもドローンを飛ばしたい場合は、防水性能を持つドローンがおすすめです。
ドローンの飛行時は天気予報をこまめに確認し、安全な実施を心がけましょう。
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