ドローン検定3級ってどんな資格?取得は難しい?
ドローン検定3級はドローンに関連した基礎的な知識があれば、
取得することができますよ。
ドローン検定は、「ドローン検定株式会社」という企業が開催している検定で、ドローンの基礎知識について客観的に証明できる試験となっています。
ドローン検定は1〜4級に分けられており、1級を目指す場合、3級や2級の合格が条件となっているため、3級受験を最初の扉としている人も多いようです。
そこで、今回は、ドローン検定3級の難易度や試験範囲・過去問について詳しく解説していきます。
- ドローン検定とは?
- ドローン検定3級を取得するメリット
- ドローン検定3級の概要・試験範囲など
- ドローン検定3級に出る基礎学力の計算方法
- ドローン検定3級の受験におすすめな人
について知ることができます
おすすめのテキストもご紹介していますので、資格取得を目指す方は是非ご覧ください。
ドローン検定とは
正式名称を「無人航空従事者試験」という「ドローン検定」は、ドローン検定協会が主催している検定試験のことです。
一般的な民間資格とは違い、筆記試験のみで行われます。
3級は受験資格が設けられておらず、ドローンを所持していなくても資格を目指せます。
ドローン検定について知りたい方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。参考にしてみてください。
取得したら何ができる?ドローン検定3級のメリット
ドローン検定3級を取得することのメリットは、以下の通りです。
将来的にドローンの国家資格取得のハードルが下がる
2022年12月に改正航空法が施行され、ドローンの国家資格制度も新たに設けられました。
ドローンの国家資格は、「一等資格」「二等資格」という2つの区分があります。
二等資格なら航空法で規制されている一部の飛行方法における許可申請の免除、一等資格はそれに加えて有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)の実施が認められます。
国家資格を取得するには、実地試験・学科試験・身体検査という3つの試験に合格しなければなりません。
しかし、国土交通省の認定を受けたドローンスクールをあらかじめ受講していれば、実地試験の受験は免除されます。
ドローン検定協会株式会社が主催する「ドローン教習所」も例外ではなく、そこで国家試験コースを修了すれば実地試験なしで国家資格取得を目指すことが可能です。
一方で、ドローン教習所の国家試験コースはドローン検定2級の取得と基礎技能講習の修了が受講条件とされています。
ドローン検定2級を受験するには3級の取得が必須であるため、結果的に3級の取得が国家資格取得の近道になると言えます。
ドローンに対する知識を客観的に示すことができる
ドローンに関する知識を十分に身に付けていても、口頭で説明するだけでは相手へ伝わりにくいことがあります。
しかし、「資格というものは一定以上の知識を持っている人が持つもの」という認識はどなたにもあるため、資格を提示すれば自分の知識をすぐに証明することができるのです。
国土交通省への飛行許可申請に資格証明書の添付が可能
ドローン検定協会は国土交通省認定団体とされているので、国土交通省へ飛行許可申請を行う際に資格証明書を添付できます。
資格証明書を添付すれば許可申請が一部簡略化されるので、スムーズに承認を得ることができるのです。
こちらも上記にて述べた「ドローンに関する知識の客観的証明」から繋がるメリットと言えます。
提携団体での各種講習の座学免除
ドローン検定に合格した人は以下提携団体の各種講習の受講資格を得ることができるうえに、座学が免除されます。
- 一般財団法人JAREX
- DPA
- JDA
さらに、国土交通省認定の「基礎技能講習」における座学も免除となります。
ドローン検定は座学知識のみが身に付く資格であるため、実際にドローンを操縦する技能について学ぶことはできません。
そのため、提携団体や国土交通省認定の技能講習も併用して飛行経験を積むと良いでしょう。
合格者のみが参加できるコミュニティサービスに参加可能
ドローン検定協会では「ドローン知恵袋」というQ&Aコミュニティサービスを運営しており、ドローン検定に合格するとドローン知恵袋に参加可能となります。
様々なパイロットがドローンに関する専門的な質問を掲載しており、他のパイロットがその質問に回答してくれるというコミュニティサービスです。
他パイロットとの交流を通じて、ドローンに関する疑問を解消したり知識をより深めることができます。
合格者だけが質問や回答を書き込むことができますが、閲覧だけであれば資格を持っていない方でも可能です。
ドローン検定3級の概要
試験内容・範囲
ドローン検定3級の試験範囲(第18回~)の試験範囲は、以下の通りです。
大項目 | 中項目 |
---|---|
基礎知識 | 用語 |
動作 | |
単位 | |
物理学 | 力学 |
工学 | 航空工学 |
気象 | 気象学基礎 |
専門知識 | 機体構造 |
姿勢制御 | |
バッテリー | |
送信機 | |
責任・保険 | |
飛行計画 | |
法令 | 無人航空機関係 |
電波関連 |
3級の場合はドローン検定公式テキスト「ドローン検定 無人航空従事者試験 標準テキスト 3級4級対応」から出題されます。
問題例
ドローン検定は4択のマークシート形式で行われており、3級の場合は50問(1問2点)の問題が出題されます。
40問正解(80点以上)すると、ドローン検定3級に合格となります。
ドローン検定3級での問題例としては、以下の通りです。
- 「マルチコプター」の説明として正しいものを選びなさい。
-
- 飛行船
- グライダー
- 固定翼機
- 回転翼機
- マルチコプターのバンク角を変える操作する舵を選びなさい。
-
- エレベーター
- エルロン
- スロットル
- ラダー
ドローン検定3級と4級の違い
3級と他の級の違いとしては、以下の点が挙げられます。
- 試験出題範囲
- 受験資格
- 受験料
- 試験開催時期(1級のみ年3回開催)
- 合格者証の種類
3級と4級に関しては受験資格が設定されておらず、誰でも受験することができます。
ドローン検定3級と2級の違い
ドローン検定2級は、受験資格としてドローン検定3級の取得が必須とされています。
試験内容は3級でも学んだ基礎知識を問われる部分が出てきますが、ただ覚えるだけでなく「いかに具体的なイメージをもってドローンの運用に活かせるか」が重要となる、応用問題です。
また、3級以下の試験内容にはなかった、国際情勢・力学・電気電子工学など新たな項目も登場します。
合格すると、2級取得者専用の合格証カードとピンバッジが贈呈されます。
ドローン検定3級と1級の違い
ドローン検定1級は、2級の取得に加えてすでに国土交通省・航空局へ申請のうえ許可を得た人を対象とした資格です。
試験では2級までの内容に加え、基礎数学・熱力学・流体力学・材料工学・航空法全般の知識などより専門性の高い項目が出題されます。
これらを学ぶことで、ドローンの運用時により的確な状況判断と安全管理を行いやすくなることでしょう。
なお、1級は2級までの試験と違い1月・5月・9月にしか受験することができません。
合格すると1級取得者専用の合格証カードとピンバッジが贈呈され、希望者のみドローン検定協会のホームページにプロフィールが掲載されます。
試験日程・申込方法
ドローン検定3級は年に6回、奇数月に開催されています。
2023年11月以降の試験実施日は以下の通りです。
- 2023年11月23日(木・祝)15:00~
- 2024年1月21日(日)15:00~
- 2024年3月24日(日)15:00~
- 2024年5月26日(日)15:00~
- 2024年7月21日(日)15:00~
- 2024年9月22日(金)15:00~
- 2024年11月24日(日)15:00~
検定の受験申し込みは、ドローン検定公式ホームページの右上にある「受験案内(申込)」から申し込むことができます。
「受験案内(申込)」ページに入ったら、受験したい会場を選び、オンライン上で申し込みましょう。
申込後に受験料を支払うと、登録した住所宛に受験票が届きます。
試験当日になったら受験票や筆記用具などを持参して会場へ向かいましょう。
費用(受験料+テキスト代)
ドローン検定3級の場合、費用は税込6,600円となります。
試験勉強に必須となる公式テキスト(標準テキスト)は税込2,860円で販売されているため、テキストを持っていない方は総額9,460円は必要です。
合格の確認方法
検定受験から10日程度で「受験番号」と「4桁の確認番号」を記載したハガキが郵送されます。
その情報をもとに、ドローン検定「合否確認」ページより合否を確認することができます。
ドローン検定3級の難易度・合格率
ドローン検定における過去の申込者数・合格者数・合格率は以下の通りです。
実施回数 | 申込者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第33回 (令和3年1月) | 1680 | 1265 | 75% |
第34回 (令和3年3月) | 1434 | 1177 | 82% |
第35回 (令和3年5月) | 1828 | 1412 | 77% |
第36回 (令和3年7月) | 1754 | 1354 | 77% |
第37回 (令和3年9月) | 1404 | 1129 | 80% |
第38回 (令和3年11月) | 1473 | 1121 | 76% |
第39回 (令和4年1月) | 1634 | 1309 | 80% |
第40回 (令和4年3月) | 1304 | 1061 | 81% |
第41回 (令和4年5月) | 1349 | 1049 | 77% |
第42回 (令和4年7月) | 1348 | 965 | 71% |
第43回 (令和4年9月) | 1114 | 754 | 67% |
第44回 (令和4年11月) | 734 | 585 | 79% |
第45回 (令和5年1月) | 859 | 651 | 75% |
※ドローン検定全体における申込者数・合格者数・合格率
合格率は約70~80%以上となっており、全体的に多くの方が試験に合格しています。
工学や気象学、法令といった専門的な問題や計算問題も出てきますが、レベルとしては中学生で習う程度の難易度なので公式テキストでしっかりと勉強していれば難なく合格できるでしょう。
試験の解答は開示される?
ドローン検定で行われた試験内容の解答一覧は、公式サイトにて公開されます。
公開されたらトップページにお知らせが表示されるので、確認してみましょう。
ドローン検定3級の試験対策
ドローン検定3級は、しっかりと試験対策を行っていれば合格する確率も上がります。
ここでは、おすすめの試験対策方法をご紹介いたします。
テキストを活用
ドローン検定は筆記試験のため、テキストで繰り返し問題を解いていく方法が最も有効な試験対策と言えます。
中でも特におすすめなテキストは、「ドローン検定 無人航空従事者試験 標準テキスト 3級4級対応」です。
●ドローン検定協会 公式BOOK
ドローン検定 無人航空従事者試験 標準テキスト 3級4級対応
試験はほとんど上記のテキストから出題されるので、試験勉強には必須のテキストとなっています。
また、3級以上は計算問題も含まれています。
ドローン検定に出題される計算問題について解説したテキストもあるので、併せて参考にしても良いでしょう。
●ドローン検定計算ドリル
ドローン検定計算ドリル | ケンサワイ | 工学 | Kindleストア | Amazon
アプリを活用して過去問を解く
テキストで一通り勉強を終えたら、過去問を解いてみましょう。
「クイズジェネレーター」などのアプリで仮想テストを作成して解いていけば、試験本番のシミュレーションにもなります。
受験経験者の中には当時出題された問題を公開している方もいるので、参考にすると良いでしょう。
【参考】基礎力学の計算問題の解き方を解説
ドローン検定3級以上の試験では、基礎力学の計算問題も出題されます。
3級の場合、出題される基礎力学の問題は以下の4パターンに分けられます。
- 加速する物体の速度
- 加速する物体の移動量
- 自由落下
- 水平投射
加速する物体の速度
例題)8m/sの速度で進む物体が3m/s²の加速度で加速したとき、加速を始めて4秒後の物体の速度を答えよ。
このような問題は、以下の公式で解くことができます。
元の速度+加速度×加速した時間
したがって、上記の例題に当てはめると8+3×4=20となり、答えは20m/sとなります。
「〇m/sの速度で進む物体が加速したとき」ではなく「静止していた物体が加速したとき」の場合、元の速度を0として計算しましょう。
加速する物体の移動量
例題)静止している物体に同じ方向で4m/s²の加速度を加えて移動させた場合、加速度を加えて3秒後に物体は何m移動するか。
このような問題は、まず時間と速度のグラフを書いてみましょう。
時間を底辺・速度を高さとすると、以下図のような直線で時間経過ごとの移動距離の変化を表すことができます。
1秒あたりの速度の変化量は一定なので、直線となるのです。
底辺(時間)と高さ(速度)の軸に「3秒」経過したときの点を置き、その点から線を伸ばして交わる所で点を置くと三角形が現れます。
この三角形の面積を、問題にある「3秒後の移動距離」に置き換えることができるのです。
三角形の面積を求める公式は以下の通りです。
底辺×高さ÷2
今回の問題の場合、三角形の底辺(時間)は3秒・高さ(速度)は12m/s(4m/s×3秒)となります。
これを上記の公式に当てはめてみましょう。
3×12÷2=18
したがって、3秒後の移動距離は18mとなります。
自由落下
例題)高度44.8mからボールを自由落下させた場合、地上に衝突するまでにおおよそ何秒かかるか。ただし、空気抵抗はないものとする。また、重力加速度は、9.8m/s²とする。
距離や速度が少数で表記されていますが、「おおよそ何秒かかるか」を求めれば良いためまずは四捨五入して小数点以下を切り上げましょう。
今回の場合、高度45m・重力加速度10m/s²で計算していきます。
正確な計算方法についての解説は少々複雑なものとなるため、原理については省略し計算するべきポイントのみをご紹介します。
まずは高度を2倍にして計算し、その数を重力加速度の数値で割ります。
(45m×2)÷10m/s²=9
2乗して9になる数は3なので、地上に衝突するまでにかかる時間はおおよそ3秒になります。
水平投射
例題)高度124.8mを、3m/sの速度で水平飛行している機体がトラブルにより揚力が無い状態で落下を始めた。この機体は落下開始地点から水平におおよそ何m進み地上に衝突するか。ただし、空気抵抗はないものとし、重力加速度は9.8m/s²で計算する。
始めに自由落下する場合は地上に衝突するまで何秒かかるかを、上記の方法を用いて計算します。
- (125×2)÷10m/s²=25
- 25=5²
よって、自由落下の場合は「おおよそ5秒」かかります。
今回の機体は3m/sの速度で進んでいるため、落下を開始してから3m/sで進みながら5秒かけて地上に落ちると考えましょう。
3m/s×5秒=15m
よって、地上に落ちるまで移動する距離は15mとなります。
【参考】ドローン検定3級取得のために必要な勉強時間の目安
ドローン検定3級取得を確実なものとする勉強時間は、個々の経験や勉強方法によって異なります。
しかし一般的に、ドローンの基礎知識に触れたことがある方や実際に飛ばした経験がある方なら10時間前後が目安のようです。
一方でドローンの知識がまったくない状態から勉強を始めた場合、少なくとも15時間以上の勉強を要すると語る人もいます。
試験には「スキッド」「ピッチ」「エルロン」「ラダー」「ズームインサークル」など、ドローンに触れなければ耳にする機会がほとんどない単語も用いられます。
しかしドローン検定3級は専門知識や高度な計算を求められるわけではないため、基本的にテキストの内容をしっかりと覚えておけば問題はありません。
単語の意味の理解は初学者にとっての鬼門の1つとなりますが、それさえ乗り越えれば3級の取得は難しくないため、着実に勉強を積み重ねていきましょう。
ドローン検定3級は意味がない?受験におすすめな人の特徴
ドローン検定3級で身に付くのは基礎知識のみだからこそ気軽に受験できる点はメリットですが、「取得してもあまり意味がないのでは?」とイメージする方もいることでしょう。
ドローン検定3級を取得する意味がないかどうかは、人それぞれの事情によって異なります。
ドローン検定3級に合格することで、より専門性の高い知識が身に付く2級への受験が可能です。
2級を取得すれば、さらに国家試験コースの受講資格や高度な知識を学べる1級への受験資格が与えられます。
そのため、「ドローンに関する知識の理解を段階的に深めたい」「今すぐではなくとも、いつか国家資格を取得したい」と考える方には、ドローン検定3級の取得は意味があるものと言えます。
ドローン検定3級を取得するとどんな仕事ができる?
ドローン検定3級は、試験を通じて「無人航空機の機体特性や基礎技術、無線、関連法規に関する知識を有する」と認められた人に与えられる資格です。
ドローン検定3級だけでなく、取得後に受験可能となる技能試験も併せて合格することで空撮カメラマンなどの仕事に活用できることでしょう。
ドローン関連業務の安全管理者や設計などより専門的な仕事を目指す場合、2級や1級の資格取得に挑戦することをおすすめします。
ドローン検定3級の取得後は技能試験の受験もおすすめ
ドローンの知識だけでなく操縦技術も学びたい場合は、ドローン検定協会株式会社主催の「ドローン教習所」で受講可能な基礎技能講習もおすすめです。
基礎技能講習では、2日間にわたりシミュレーターや実機を用いてドローンの操縦技術を学ぶことができます。
国土交通省への飛行許可申請で条件とされている「10時間分の飛行」もクリアできるため、将来的にドローンを使った仕事やより高度な飛行方法に挑戦したい方に最適です。
まとめ
ドローン検定は1〜4級がありますが、3級も初心者向けの内容となっているので、ドローンを始めて間もない方でも、比較的簡単に習得できる可能性があります。
今後、ドローンを操縦するにあたってライセンス制度(免許化)が導入されることも決定していますので、知識を得ていることに越したことはないでしょう。
安全にドローンを飛行させるにも、操縦技術はもちろんですが、ドローンの仕組みや法規制など基本知識もしっかり学びましょう。
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