ドローンの国家資格は、飛行許可申請の免除が可能になったりレベル4飛行が可能になったりと様々なメリットがあります。
しかしいざ取得を目指そうにも、まず何から始めるべきか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は2通りあるドローンの国家資格の取り方と、それぞれの取得手順を詳しく解説いたします。
受験前に知っておきたい大切なポイントもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
ドローン国家資格の取り方は2通り
ドローンの国家資格を取る方法は、大きく分けて「登録講習機関への受講」と「直接試験を受ける」の2通りがあります。
それぞれの特徴について、以下より解説します。
登録講習機関に通うパターン
登録講習機関とは、国土交通省から認定を受けた講習機関(ドローンスクール)のことです。
施設や設備、講師などに関して、国が定めた要件を満たした講習機関が認定を受けることができます。
登録講習機関ではドローンの国家資格取得に必要なカリキュラムが用意されており、プロの講師からの指導を受けながら効率的に知識・技術を身につけられる点がメリットです。
また、登録講習機関を受講すると、国家試験の一部である「実地試験」が免除されます。
直接試験を受けるパターン
登録講習機関には受講せず、独学で国家試験に臨むことも可能です。
メリットとしては、登録講習機関への受講料が発生せず、低コストで取得を目指せる点が挙げられます。
しかし、独学で受験する場合は実地試験・学科試験・身体検査のいずれも受ける必要があり、自力で対策すべき範囲が広いため決して楽に取得できるとは限りません。
そのため、以前よりドローンの飛行経験や知識が豊富な人でない限りは登録講習機関への受講がおすすめです。
登録講習機関に通ってドローン国家資格を取得する手順
以下より、登録講習機関に受講したうえで国家資格の取得を目指す際の手順を解説します。
事前準備として、DIPS(ドローン基盤情報システム)のアカウント開設を済ませておきましょう。
①技能証明申請者番号を取得する
DIPSでアカウントを開設したら、同システム上でできるたけ早めに「技能証明申請者番号」を取得しておきましょう。
技能証明申請者番号とは、登録講習機関への受講や国家試験の受験、技能証明書の交付で必要な手続きの際に申請者を特定するための番号です。
技能証明申請者番号には氏名・生年月日・住所・電話番号など申請者情報の他、受講する機関の機関名・事務所コード、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類も必要です。
具体的な手順は、「ドローン情報基盤システム操作マニュアル 技能証明申請者番号申請編」を参考にしましょう。
また、技能証明申請者番号の取得後は、忘れないうちに無人航空機操縦士試験申込システムのアカウント登録と受験資格の確認手続きを済ませておくと安心です。
②登録講習機関で講習を受講する
技能証明申請者番号の取得の際に入力した、登録講習機関に受講します。
事前に登録講習機関へ申し込んで、指定の日時に受講しましょう。
登録講習機関では、国家試験に向けて学科講習と実地講習を受講します。
具体的な受講期間は機関ごとに変わりますが、二等資格なら2~4日程度、一等資格なら4~10日程度が目安です。
すべてのカリキュラムを履修すると、今まで学んだドローンの知識・技術を問われる修了審査が行われます。
審査内容は「実地試験」と同様であるため、合格すれば国家試験での実地試験が免除されます。
実地試験では指定された方法でドローンを飛ばす他、飛行計画や飛行環境の確認、運航体制の確認、機体の状況の確認、飛行後の記録や報告なども行います。
修了審査に合格すると登録講習機関から講習修了証明書が交付されるため、大切に保管しておきましょう。
③指定試験機関で学科試験を受ける
無人航空機操縦士試験申込システムにログインし、受験したい学科試験を選択のうえ申し込みます。
具体的な申込み手順は「無人航空機操縦士試験申込システム 操作マニュアル 第4版」を参考にしましょう。
申込みが完了したら完了メールが届くため、本文に記載されているリンクからCBT運営会社の専用ページにアクセスしましょう。
専用ページの手順に従いID作成・試験予約と受験料の支払いを済ませたら、あとは受験するだけです。
試験日当日に指定の会場へ足を運び、試験を受けましょう。
受験日から8営業日程度で、学科試験の結果がメールで届きます。
④身体検査を受検する
ドローンの国家試験における身体検査とは、航空法施行規則に定められた基準に心身の状態が適合するかどうかを判定するものです。
身体検査の受験方法は、以下の2通りがあります。
- 公的証明書(運転免許証や医師の診断書など)をオンライン提出する
- 指定試験期間で検査を受ける
身体検査で提出可能な公的証明書は、無人航空機操縦士試験案内サイトの身体検査ページで確認できます。
該当する証明書を持っている場合は、提出する方が手間がかからないためおすすめです。
⑤試験合格証明書を取得する
すべての試験に合格したら、合格したことを証明する「試験合格証明書」を取得します。
無人航空機操縦士試験申込システムにログインし、「試験を探す」から試験名欄で試験合格証明書を選択して絞込検索すると、試験合格証明書の発行申込みページが表示されます。
申込みと手数料の支払いを済ませると、7営業日以内に発行のお知らせメールが届くため、本文にあるURLをクリックして確認しましょう。
⑥技能証明の発行申請をする
国家資格取得者であることを示す、技能証明書の発行申請も行います。
DIPSにログインし、「技能証明書の新規交付」から申請者・合格者情報など必要事項を入力しましょう。
申請後、10開庁日程度で技能証明書が登録住所宛に届きます。
⑦技能証明を取得
技能証明書が届いたら、正式にドローンの国家資格取得者として名乗ることができます。
飛行許可申請の免除やレベル4飛行の実施を希望する場合は、使用するドローンの機体認証の取得も必要です。
なお、技能証明書には3年間の有効期限が定められています。
期限が切れる前に登録更新講習機関を受講し、DIPSで更新交付手続きと手数料の支払いを済ませましょう。
直接試験を受けてドローン国家資格を取得する手順
独学で国家資格を取得する手順は、登録講習機関を受講する場合と共通する部分も多いです。
ただし実地試験を受験する必要もあるため、その申込みと受験というステップも加わります。
①技能証明申請者番号を取得する
DIPSにログインし、技能証明申請者番号の番号取得申請方法を取得します。
詳細は上述した「①技能証明申請者番号を取得する」や「ドローン情報基盤システム操作マニュアル 技能証明申請者番号申請編」を参考にしてください。
②指定試験機関で学科試験を受ける
まずはドローンに関する知識を求められる、学科試験の申込みと受験をします。
試験の内容は国土交通省が公開している「無人航空機の飛行の安全に関する教則」に準拠しているため、よく確認しておきましょう。
加えて、市販されている教材を使って勉強するのも良いでしょう。
学科試験の受験方法は、先述した「③指定試験機関で学科試験を受ける」と同様です。
③指定試験機関で実地試験を受ける
無人航空機操縦士試験申込システムにログインし、「試験を探す」から試験名を「マルチ」にして絞込検索すると複数の実地試験が表示されます。
受験したい実地試験を選択して、「無人航空機操縦士試験申込システム 操作マニュアル 第4版」を参考に受験申込みをします。
なお、実地試験の受験方式は以下の2通りがありますが、ドローンの場合は原則として集合試験方式を選択します。
申込みと手数料の支払いを済ませて、指定の日時に会場へ足を運び受験しましょう。
④身体検査を受検する
登録講習機関を受講する場合と同じく、身体検査の受験も必要になります。
受検方法については、先述した「④身体検査を受検する」を参考にしてください。
⑤試験合格証明書を取得する
すべての試験に合格したら、試験合格証明書の発行申請を行います。
合格証明書の申請方法は登録講習機関を受講する場合と変わらないため、先述した「⑤試験合格証明書を取得する」を参考に取得を済ませましょう。
⑥技能証明の発行申請をする
国家資格取得者であることを証明する、技能証明の発行申請も行います。
技能証明の申請方法も、先述した「⑥技能証明の発行申請をする」と同様です。
⑦技能証明を取得
技能証明書を取得したら、期限が切れるまで大切に保管しましょう。
なお、独学で国家資格を取得した場合でも、技能証明の更新には「更新講習修了証明書」が必要になります。
有効期限である3年後も継続して技能証明が必要な場合は、登録講習機関で更新講習を受講しましょう。
ドローン国家資格の取り方に関するポイント
ドローンの国家資格をより取得しやすくするために知っておきたい、4つのポイントを解説いたします。
直接試験の実地試験は慣れない機種のドローンを操縦する
独学で国家試験を受ける場合、実地試験に向けて操縦練習をしておく必要があります。
操縦練習の方法としては、自分で初心者向けのドローンを購入して自宅や練習場で繰り返し飛ばすケースが一般的です。
しかし、実地試験では今まで自分が練習に使っていたドローンで臨むことができません。
会場で用意されたドローンを操縦し、位置安定機能をオフにした状態での飛行もクリアすることが求められます。
その点に留意して、操縦練習の際は飛行安定性をアシストする機能の切替が可能な小型ドローンを選ぶことをおすすめします。
初学者と経験者で講習時間が異なる
登録講習機関には、一等資格に向けた講習と二等資格に向けた講習それぞれに「初学者」と「経験者」という2通りのコースが用意されています。
初学者はドローンの基礎部分からしっかりと指導してもらえるため、受講時間が長く費用も比較的高いです。
経験者は基礎部分を省略したカリキュラムとなっているため、受講時間が短く費用も安く済みます。
基本的に、すでに民間資格を取得している場合は経験者コースを選んでも良いでしょう。
しかし資格取得日からブランクがある人だと、知識の抜けや操縦技術の低下が生じている可能性も考えられます。
現状を振り返り十分な知識と飛行技術があると確信できない場合は、初学者コースの受講を検討しましょう。
学科試験は三肢択一式
国家資格の学科試験は、一等資格・二等資格のどちらも三肢択一式で出題されます。
一等試験は合計70問を75分以内に、二等資格は合計50問を30分以内に回答する必要があります。
試験の実施方式は、コンピューターを使って回答するCBT(Computer Based Testing)です。
国土交通省から学科試験のサンプル問題が公開されているため、こちらもチェックしておきましょう。
特定の飛行を行うには限定解除が必要
ドローンの国家資格は、取得しても以下3通りの飛行方法は規制されたままとなり、実施の際は許可申請が必要になります。
- 25kg以上の機体の飛行
- 夜間飛行
- 目視外飛行
上記に該当する飛行を目的に国家資格の取得を目指すなら、それぞれの飛行方法に対応した「限定解除」の講習と実地試験の追加が必要です。
ドローン国家資格の取り方に関するよくある質問
最後に、ドローンの国家資格の取り方でよくある質問について解説いたします。
登録講習機関は全国にどれぐらいある?
ドローンの登録講習機関は、北海道から沖縄県まで全国に約700校あります。
国土交通省より一覧表が公開されているため、受講先を選ぶ際の参考にしてみてください。
学科試験ってどこで受けられるの?
学科試験は全国の様々な会場で受けることができます。
各地域の開催スケジュールと会場は、こちらから確認が可能です。
ドローン国家資格を取得するのにかかる期間は?
ドローンの国家資格は、スクールの受講期間・学科試験と身体検査の受検と合格証明書の発行日数・技能証明書の発行日数の合計が取得に必要な日数です。
最短でも1ヶ月程度はかかると考え、スケジュールに余裕をもって取得に臨みましょう。
ドローン国家資格の有効期限は?
ドローンの国家資格の技能証明書は、一等資格・二等資格のどちらも3年間が有効期限とされています。
3年以上にわたり技能証明が必要な場合は、身体適性に関する基準を満たし、登録講習機関が実施する最新の講習を修了する必要があります。
まとめ
ドローンの国家資格の取り方は、登録講習機関を受講するか独学で一発試験に挑戦するかによって変わります。
登録講習機関を受講する場合は実地試験と身体検査、独学で挑戦する場合は実地試験・身体検査・学科試験の合格が必要です。
なお、どちらの場合でもDIPSによる技能証明申請者番号の取得・各種証明書の発行申請や、無人航空機操縦士試験申込システムによる試験の申し込みが必要です。
ただ手続きするだけでなく、手数料の支払いが必要な段階もいくつかあるため、各システムの案内をよく確認しておきましょう。
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