係留装置を用いると、事故を防止しながらより安全にドローンを飛行させられます。
市販の係留装置を使う方法もありますが、DIYで作ってみようと思っている方も多いはずです。
今回はドローンの係留装置を自作する方法を解説します。
自作する時のポイントや注意点も併せてみていきましょう。
ドローンの係留装置とは?
ドローンの係留装置とは、ドローンと固定された物を紐やワイヤーで留めた状態で飛行させるための装置です。
固定地点とドローンが紐などで繋がっているため、ドローンは紐の長さの範囲内でしか飛行できません。
そのため、操縦ミスや強風などの影響で、ドローンが飛行エリアの範囲外に流される可能性もなくせますし、落下した際にも機体を見つけやすくなります。
ドローンをより安全に飛行させたい場合は、係留装置を用いてみてください。
ドローンの係留装置を使うメリット
ドローンの係留装置を使うメリットは以下の4点です。
- 一定範囲内での飛行が可能
- 高所での飛行でも落下を防げる
- 落下時でも回収や発見が容易
- 特定飛行での許可申請が免除される
では、1つずつ詳しくみていきましょう。
一定範囲内での飛行が可能
係留装置を使うと、ドローンを紐の長さの範囲内で飛行させられます。
固定地点とドローンが紐で繋がっているため、ドローンが一定の範囲が出るのを防げます。
ドローンの飛行中に突風が吹いて機体が流されたり、電波障害で操縦が効かなくなったりした時でも、機体がどこかに行ってしまうリスクを抑えられます。
高所での飛行でも落下を防げる
ビルの屋上などで点検を行う場合、ドローンが地上に落下するリスクを抑えるために、係留装置が必要です。
高所での作業では、突然の故障や建物との衝突によって、機体が地上に落下して、重大な事故に繋がる恐れがあります。
係留装置を使えば、トラブルが起きた際でも、ドローンの落下を防ぎつつ、機体を引き上げられます。
落下時でも回収や発見が容易
山や森の中でドローンを飛行させる際、落下や衝突などによって機体を消失する可能性があります。
探すのが困難な場所に落下した場合でも、紐で繋がれているのであれば、容易に機体を発見できます。
機体内に重要な撮影データなどが保存されている場合、機体の消失は深刻な問題に繋がります。
トラブル時のリスクを軽減するためにも、必要に応じて係留装置を使ってください。
特定飛行での許可申請が免除される
航空法で定められる特定飛行を行う場合、事前に国土交通省への許可申請を行わなければなりません。
ただし、以下の特定飛行に関しては、係留装置を使うことで、許可申請が不要※となりました。
- 人口密集地上空における飛行
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 第三者から30m以内の飛行
- 物件投下
ドローンをビジネスで活用する場合、許可申請などの事務手続きは業務コストがかかりますが、省略できれば生産性の向上に繋げられます。
※係留で使用する紐の長さは30m以下で飛行範囲内での立入管理措置を設けるのが条件
参考:国土交通省「航空法施行規則の一部改正を実施しました! ~ドローン等の飛行規制を一部緩和します!~」
ドローンの係留装置を自作する方法
ドローンの係留装置は、市販の商品を使う以外にも自作することもできます。
基本的には市販の係留装置を使うのがおすすめですが、自信のある方は自作してみてください。
用意する物
ドローンの係留装置に必要なものは以下の通りです。
- 紐やワイヤー(十分な強度を有するもの)
- 電動リール
- 固定台
係留装置を自作する際は、飛行中に紐が緩みすぎないように長さが調節できるものを用意しましょう。
自作する場合は釣り用の電動リースなどが適しています。
自作する手順
係留装置を自作する手順は以下の通りです。
仕組み自体はシンプルなどで、ワイヤーや電動リール、固定装置など、個々のパーツが安全に機能しているかをよく確認してください。
ドローンの係留装置を自作する時の注意点
ドローンの係留装置を自作する際の注意点は以下の4点です。
- 地面とドローンを結ぶ紐の長さは最大30m以内
- 飛行中にワイヤーなどがプロペラに絡まないようにする
- ドローンに括りつける紐などの強度に注意する
- ワイヤーなどのテンションを調整できる仕組みを設ける
事前に注意点を把握した上で利用してください。
地面とドローンを結ぶ紐の長さは最大30m以内
特定飛行の許可申請を省略するために係留装置を使用する場合、使用する紐やワイヤーの長さは30m以内にしなければなりません。
30m以上の紐を使用する場合、飛行許可申請は免除されません。
また、紐の長さがあまりに長いと、機体と紐が引っかかって事故が起きたり、紐が木や人工物に絡まったりする可能性があります。
係留装置を用いる際は、飛行範囲をきちんと定めた上で、必要最小限の長さに設定するようにしてください。
参考:国土交通省「航空法施行規則の一部改正を実施しました! ~ドローン等の飛行規制を一部緩和します!~」
飛行中にワイヤーなどがプロペラに絡まないようにする
係留装置を使う際に気をつけなければならないのが、機体と紐やワイヤーが絡まないようにすることです。
固定装置と機体の距離に応じて、紐の長さを調整しなければ、緩んだ紐が機体に絡まる可能性があります。
風が強い日の飛行では、機体のコントロールだけでなく、紐が風に流されないよう注意しなければなりません。
係留装置を使ってドローンを飛ばす時は、紐に適度なテンションがかかった状態を維持してください。
ドローンに括りつける紐などの強度に注意する
ドローンと固定装置を繋ぐ紐やワイヤーに適切な強度がなければなりません。
機体が風に煽られて引っ張られた紐が切れてしまった場合、係留装置の意味がなくなります。
ドローンの墜落だけでなく、紐やワイヤーなどが落下して事故に繋がる恐れもあるでしょう。
そのため、係留装置に使用する紐やワイヤーは、機体に引っ張られても耐えられる強度がある物を使用してください。
ワイヤーなどのテンションを調整できる仕組みを設ける
係留装置はドローンが飛んでいる場所に応じて、紐やワイヤーなどのテンションを適切に調整できる仕組みが必要です。
近くを飛行しているのに紐が長いままだと、緩みが出てしまい、風などに煽られた際に機体と紐が絡まる危険があります。
そのため、市販の係留装置にはワイヤーを巻き取る機能が搭載されており、固定装置とドローンの距離に応じてテンションを調整できるようになっています。
係留装置を自作する場合は、釣り用の電動リールなどを用いて、紐やワイヤーのテンションを調整できる仕組みを設けてください。
ドローンの係留装置を自作する時に関するよくある質問
ドローンの係留装置を自作する時に関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
市販の係留装置が優れている部分は?
市販の係留装置の方が、設計面での機能性や実用性、耐久性などに優れています。
飛行中のワイヤーの調整や、固定装置の安定感など、安全性を確保する上で必要な機能を備えています。
自作の係留装置だと、個々の設計が甘い部分があり、想定外の事故が生じる可能性があるでしょう。
自作する自信がない場合には、市販の係留装置を購入する方が無難です。
係留装置を自作する際にかかる費用は?
何を使用するかにもよりますが、釣り用の電動リールを使う場合は、5万円〜10万円程度の費用がかかります。
ちなみに市販の係留装置は15万円〜20万円程度です。
まとめ
ドローンの係留装置を自作する方法を解説しました。
係留装置を使用すると、ドローンを一定の範囲内で飛行させられる上に、落下や衝突などの事故を未然に防げます。
係留装置には市販の物もありますが、釣り用の電動リールなどを使えば、自作することも可能です。
ドローンをより安全に飛ばしたいと思っている方は、ぜひ係留装置を使ってみてください。
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