災害救助におけるドローンの有用性は?実際の活用事例と注意すべき点

更新日: 2021.11.22 公開日: 2018.01.28
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ドローンの活用事例のひとつとして、災害救助への取り組みが挙げられます。有事の際、ヘリコプターよりも迅速に、地上に近い所で撮影できるドローンは、迅速な情報収集が重要な災害現場で実際に活躍しています。

本記事では、災害現場で救助などにドローンがどのように活用されているかという点と、災害時のドローン飛行のルールや、気をつけるべき点をまとめました。

目次

災害救助におけるドローンの有用性

災害救助におけるドローンの有用性は、「無人」「スピード感」「情報量」の3つです。

 

無人航空機の有用性

有人飛行(ヘリコプター)とは異なり、無人飛行機は、

・風に強い
・地方自治体でも配備しやすい
・より地上に近い

という利点を備えています。これは、後述のスピード感や情報量にもかかわってきますが、無人機であれば災害時に備えた配備も容易ですし、パイロット育成にかかる人件費も抑えることができます。

 

スピード感

ドローンは、災害が起こってから動き出すまでが非常にスムーズなうえ、実は飛行速度も乗用車に引けを取りません。民間用の空撮機「Phantom 4」は時速72kmで飛行でき、2016年に登場した4Kカメラ搭載ドローン「Teal」は最高時速112kmと、申し分ない飛行速度です。

この速度で、渋滞や地形を考慮せずに災害現場まで最短ルートで移動できますから、一刻を争う災害現場において、初動のスピード感を持たせるドローンの有用性は非常に高いといえます。

 

情報量の多さ

ドローンは、ヘリコプターよりも低い高度まで降りて撮影でき、カメラも空撮機であれば4K/60fpsと充分な画質を備えています。さらに、近年では飛行時間が30分を超える商用ドローンも登場しており、初動で災害情報や地図を作成するには充分な性能を誇っています。

このように、ドローンは災害の救助現場において、他よりも圧倒的な優位性を持っています。空の目の効力が発揮できる、これ以上ない現場と言えるでしょう。

 

緊急時は飛行禁止区域でも即座に飛行可能。熊本地震での活用事例

実際に、熊本地震ではドローンが災害救助での初動として、大きな役割を果たしました。災害時に自治体からの要請があれば、飛行禁止区域でも即座にドローンが飛ばせるようになるため、スムーズに活用がなされました。

要請がなくても、国交省に電話連絡を行えば飛行させることができ、実際に「熊本城の被害状況調査」「復旧作業」「報道」などを目的とする大学・企業・メディアなどに電話での許可が出されたようです。

 

個人での撮影はあまり歓迎されない。自衛隊や災害救助団体に任せよう

ただし、個人で災害の際に救助目的でドローンを飛行させる場合、充分な配慮と注意が必要です。
具体的には、以下のような事例が懸念されています。

・報道やマッピング目的で活動中のドローンの撮影の妨げになる
・被災者側の心理を考えずに被災者を撮影する
・自衛隊やボランティアの救助・支援活動の妨げになる

これらが万が一にも起こってしまわないよう、気をつけなくてはなりません。興味本位での空撮によって、これらの人々が迷惑を被ってしまっては本末転倒であることを理解する必要があります。

 

まとめ

災害ドローン救援隊「DRONE BIRD」など、災害救助に活躍するドローンパイロットの育成や、災害現場に特化したドローン開発は各地で進められています。災害時の情報を迅速に集めることで、それだけ民間人を救助できるスピードも上がります。

一方で、懸念されているのは民間人が災害現場でドローンを飛行させてしまうことについてです。
まず、災害情報の伝達は自衛隊や上記のような専門の救援隊に任せましょう。率先して情報を伝えようとするのは良いですが、そういった災害現場のプロの仕事を妨害する立場になってしまうのは考えものです。

産業やホビーだけでなく、災害救助でも活躍するドローンは、空の目としてこれからも発展していくことでしょう。

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