フランスのドローンスタートアップ「Delair」が、最高200,000ユーロという高価格モデルのドローンを発表しました。このモデルはナイトビジョン機能を持ち、最大時速60km、翼幅3mで、カタパルト(発射台)から離陸するといいます。
現在のドローン市場は中国メーカーが強く、コンシューマー向けの安価で手軽なドローンが多くを占めていますが、Delairの狙いは企業向けの高級路線です。
DelairのCOO、Bastien Mancini氏は、「このモデルは洗練されたハイエンドシステムを持ち、非常に高い信頼性で他とは一線を画す」と話します。コンシューマー向けのドローンと異なり、トレーニングを受けたパイロットに操縦されることや、厳格な規制に基づいて運用されることを前提としています。
このドローンは長時間飛行できるため、採石場やぶどう畑の1センチ単位でのマッピング、高圧送電線のモニター、森林火災の監視といった利用が想定されます。人間が地上から行うよりも、空からドローンが行うほうがずっと速く、正確です。
Delairはまた、ドローンが集めたデータを瞬時に分析し3Dマップとして表示する人工知能ソフトウェアも開発しています。ユーザーは3Dマップを見ながら、まるでビデオゲームのように操縦することができるのです。
ドローン市場の競争は苛烈を極めています。高価格モデルを打ち出したDelairですが、基本モデルは15,000ユーロ前後です。基本モデルは、高価格モデルに搭載されている軍用グレードのレーダーを搭載していません。低価格のドローンであっても、資金を集めるのは簡単ではないといいます。
コンシューマー向けの低価格帯ドローンの市場には、中国のDJIをはじめとする大企業から、カリフォルニアのKespryやSkycatchのようなスタートアップまで、数多くの強力なプレイヤーがいます。差別化のため、Delairは設計、製造のすべてをフランスのトゥールーズ近郊で行っています。トゥールーズには航空宇宙機器開発の巨匠であるエアバスの拠点があり、スキルの高い航空エンジニアが集まっているからです。ドローンの部品もすべてアジアではなくヨーロッパから調達しています。
Delairは、フランスの宇宙研究機関CNESの一員だったMancini氏と、CEOの Michael de Lagarde氏によって2011年に設立されました。
(画像引用:https://sifted.eu/articles/luxury-drones/)