アメリカ・カリフォルニア州とその周辺を襲う記録的な規模の山火事に対して、従来の消火方法に加えて、火の玉を落とすドローンを使った革新的な方法での対策が行われています。
消火活動の基本は、延焼が予想される地帯の樹木の伐採、バック・ファイア(迎え火)、放水です。ホースやブルドーザー、刈払機などのツールを使います。しかし、現在はより素早く、安全に、広範囲を消火できる方法が求められています。気候変動によって山火事リスクが高まり、最近では数百万エーカーが消失する火事が毎シーズン起こるようになったこと、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で消火活動がより困難になっていることが理由です。
消火活動において、ドローンが最大のイノベーションであることは間違いないでしょう。ドローンは固定翼航空機やヘリコプターに比べて圧倒的に機動性が高く、それらがアクセスできない場所にも簡単にたどり着くことができるからです。
30人以上のパイロット、20機以上のドローンが、カリフォルニア、オレゴン、コロラド等で山火事と戦っています。これは、より多くのドローンを山火事の消火に利用することを認める連邦法が可決された2019年の2倍となる数字です。
国立公園局のドローンスペシャリストであり、「Arrowhead Hot Shot」(山火事の消火活動の最も困難で重要な部分を担うチーム)の最高責任者であるJoe Suarez氏は、「今年は出動要請が大幅に増加していて、パイロットやドローンが全く足りていない」と話します。
2020年8月、Suarez氏は、ポイントレイズ国定公園で発生したウッドワード火災の上空でドローン「M-600」を飛行させました。サーマルカメラを搭載しているM-600によって、5,000エーカーの火事マップを作ったのです。沿岸地域なので霧が立ち込め、さらに火事による煙で視界が悪いこの地域を人間が搭乗する航空機で飛行することは不可能でした。
さらに、ドローンに漏斗状のアタッチメントを取り付け、発火するピンポン玉サイズのデバイスを空からばら撒くとにしました。ドローンを使えば、1時間足らずで450個をばら撒くことが可能です。
「ドラゴンエッグ」と呼ばれるこの球体デバイスは、過マンガン酸カリウムを内包していて、ドローンから放出される直前に不凍液が注入されます。球体が地面に着くと、化学反応によって球体が発火し、山火事が進みそうな場所の可燃物をあらかじめ燃やしてしまうのです。
このドローンを使った迎え火作戦は、ウッドワード火災の拡大防止において大きな成功を収めました。
山火事の消火に活躍するドローンですが、民間のドローンは消火活動において大きな脅威になります。消火に当たるヘリコプター等は低空を飛行しているため、不明なドローンが飛んでいるのを確認すると着陸せざるを得ないためです。カリフォルニア州消防局(Cal Fire)は、「消火や調査にあたる航空機やヘリコプターは地上から数百フィートを飛行しているので、不明なドローンを避けるのが難しい」と懸念を示しています。
(画像引用:https://www.nationalgeographic.com/science/2020/10/fireball-dropping-drones-new-technology-helping-fight-fires/)
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