中国の大手ドローンメーカーDJIは、近くのドローンを素早く認識し、その位置とそのパイロットの情報を知ることができるスマートフォンアプリのデモンストレーションを行いました。
このアプリに利用されている技術は「Wi-Fi Aware」と呼ばれるプロコトルで、ドローンが自動で自身の情報を発信し続けるというものです。DJIによると、このアプリによってセキュリティ上の脅威や混乱を防ぎ、人々に安心を与えることができるといいます。
しかし専門家は、熟達した犯罪者ならアプリによるドローン検知をくぐり抜けることは容易だと指摘します。ドローン業界に詳しい欧州外交評議会の特別研究員、Ulrike Franke氏は、「この技術はドローンによるイタズラ対策には効果的だろうが、システム自体をハッキングする力を持つような深刻な犯罪者たちの活動を防ぐには充分ではない」と話します。
DJIによると、すでに市場で販売されているドローンにもソフトウェアのアップデートを行えばこの機能が追加されますが、この機能をドローンに追加することを義務にするかどうかは、現段階では決定していないということです。
アプリはとてもシンプルで、ドローンが発する電波の範囲内にいる人は誰でも、ドローンの現在地、高度、飛行速度と向かっている方向、ドローンの識別ナンバーと、操縦しているパイロットの位置まで知ることが出来るそうです。ただしこれが現実のものとなるのは、現在検討段階にあるドローンの識別番号に関する規制が施行されてからだとDJIは話します。
ほとんどのドローンパイロットが規則を守り安全にドローンを飛行させている中、一部の悪質なドローンパイロットによって起こされる事故や混乱が後を絶ちません。例えば、2018年12月にイギリスのガトウィック空港でドローンが引き起こした混乱は記憶に新しいでしょう。ドローンが禁止エリアを飛行しているのが目撃されたことで、約14万人の旅行客に影響が出て、2人が逮捕されました。
DJIのAdam Lisberg氏は、「ガトウィック空港の事件では、ドローンが目撃されたあと、問題のドローンがなかなか見つからなかったため事態の収集に時間がかかりました。もしスタッフがこのアプリを使っていたら、”あのビルの右側にいる”などというように、すぐに問題のドローンの位置を知ることができたはずです」と述べます。そして、これからドローンが社会に欠かせないものとなっていくならば、空を何台も飛んでいるであろうドローンが合法なのかどうか、人々が分かるようにする必要があるのだと話しています。
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