UTC(テネシー大学チャタノーガ校)の研究員、トニー・ファーガソンは、2017年11月21日、テネシー州・チャタノーガにあるテネシー大学のキャンパスで、脳波を使ったドローンの離着陸に成功しました。これは、16個のセンサーが脳から出る電波の波形を読み取ってそれを送信し、ドローンを操縦するというものです。
脳波を使って機械をコントロールするという、まるでサイエンス・フィクションを見ているような機構が、UTCの研究チームによって現実のものとなりました。
工学/コンピューター科学部のダニエル・パック学部長は、アメリカ軍から330,000米ドル(約3,300万円)の予算で、複雑な操縦機構の代わりに思考で動くドローンの開発を依頼されていました。
1月にスタートしたこのプロジェクトでは、脳波によってドローンを飛ばし、はじめて9月に成功を収めました。
これは、頭に電気信号を読み取ることが出来る16個のセンサーをつけ、脳波をコンピューターに送信し、コマンドに変えるというものです。
「身体を動かそうと考えたり、指や目、あるいは足を実際に動かしたりすると、それが電気信号となる」とパック氏は続けます。
具体的には目をつむると脳波は10.5ヘルツの波形を描きますが、それをドローンに「離陸」とプログラムするのです。
「とにかく論理的・数学的なプロジェクトですが、実践あるのみ。これが実用化されるのはすごいことだ」とファーガソン氏は語っています。
テネシー大学チャタノーガ校電気工学科研究員である、ザッハ・ルーブルは、ヘッドセットでコマンドを送れることがポイントだと言います。
「設定などが要らず、脳波を送るという最低限の操作で複数のドローンを飛行させ、コマンドを実行できるようになること。特に捜索や救助の現場での実用が最終目標」とのことです。
まだ始まったばかりのこのプロジェクトは、たくさんの課題を抱えています。そのひとつに、ヘッドセットを通して複数ユーザーの個々の脳波を識別し、信号を正しく送信するということがあります。
医療の臨床現場ではすでに脳性麻痺の患者に対し、頭に埋め込んだセンサーに信号を送って刺激を与えるという治療が実用化されていますが、このプロジェクトでは、それをまさにヘッドセットで行おうとしています。
そのためには、頭蓋骨の外側に装着した装置で、いかに脳波をキャッチするかがポイントです。また、ヘッドセットを「現場」に適したように改造できるかにも課題があります。ヘルメットを被った時、汗をかいてセンサーがずれ、正しい脳波を送れないのもの課題のひとつです。
しかし、ファーガソンによると、これらの課題は軍が脳波操縦ドローンを必要とし支援を続けることで、解消されていく見込みです。
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