ダイナミックな映像を撮れるドローンの特徴を活かすべく、ドローンを使ったスポーツ中継が注目されています。空撮により、これまでにないアングルからのスポーツ観戦を可能にすることが期待されているのです。そこで、今後のドローンによるスポーツ中継への動きと可能性を見てみましょう。
東京五輪でスポーツ中継へのドローン導入が検討されている?
ドローンをスポーツ中継に使用する動きの1つとして、2020年に控えた東京五輪での中継へのドローン導入が検討されています。
なかでも動きのある競技や観客席から離れたフィールドでの競技は、通常の中継だと距離が遠く、細かい競技展開が見えなかったり迫力に欠けたりすることがあります。しかし、ドローンの空撮だとより間近に撮影ができるため、臨場感を持って観戦できるのです。
実際2018年2月の衆院予算委員会では、東京五輪のセーリング競技でドローンによる中継ができるよう、ドローン規制の緩和が提案されました。沖合に出て競うセーリングをドローンで中継できれば、各選手の動きや競技の展開がよりわかりやすくなるでしょう。
東京五輪で新競技、新種目として追加されたものの中にはサーフィン、スケートボード、スポーツクライミングなどドローンでのスポーツ中継が映えそうなものが多くあります。そのため、東京五輪でのスポーツ中継にドローンが導入されれば、東京五輪の観戦がより盛り上がることが期待されます。
スポーツ中継にドローンが使われた事例
ドローンによるスポーツ中継は前例のない試みではなく、実際中継に導入された例があります。その1つが、ESPNが主催するアメリカのスポーツ競技大会であるX-Gamesです。この冬季X-Gamesではスノーボードとスノーモービルの2つの競技にてドローンによる中継がされました。
また、日本では2017年4月に行われたJリーグ公式戦での中継にてドローンが導入されました。選手の入場の際、整列した選手をとらえた映像はドローンによって上空からの映像に移り変わり、これまでにない角度から選手の様子を中継されたのです。
試合途中に上空から撮影することによって、実際にフォーメーションを一望できるというドローンによる中継の良さも映し出しました。このように、スポーツ中継のドローン導入の試みは広まりつつあります。
スポーツ中継にドローンを用いる際の問題点は?
このスポーツ中継でドローンを用いる際に考えなればいけないのが「安全面」です。ドローン規制では、安全のために人や物との近距離での飛行や、イベント上空での飛行には承認が必要です。
これには、実際的な安全対策と技術を持った操縦者が欠かせません。こういった安全な中継のための準備を、競技運営側とメディアが連携して行なう必要があります。
また、どんなドローンにも墜落や衝突の危険がつきものです。そのため、観客はもちろんのこと、フィールドにいる選手への安全対策は真剣に考えなければいけません。
実際2015年に国際スキー連盟は安全面の理由から、中継用のドローンの使用を当面禁止する意向を示しました。これは、イタリアで行われたアルペンスキーのワールドカップで、オーストリアの選手の背後にドローンが落下した事故を受けたものです。
これが選手に当たっていたなら、その大会結果への影響だけでなく、選手生命を奪う事故になる可能性もあります。このようなリスクを考えると、万全な安全対策がドローン導入への大きな課題となります。
スポーツ界では中継以外にもドローンが活用されている!
スポーツ界でドローンが導入されているのは中継だけではありません。今や、スポーツ戦略にもドローンが活用されているのです。
トレーニングの際にドローンでフィールド全体を撮影し、それぞれの選手のポジショニングや動きをチェックします。これまでなかなか見ることができない角度からの映像によって、動きを調整することができます。実際ラグビー日本代表はこのトレーニングを取り入れ、2015年のワールドカップでは成果を発揮しました。
このようにドローンによる新たなアングルからの映像は、スポーツ中継だけでなく、選手にとっても、これまでの概念を大きく変えるものとなりつつあるのです。
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