ドローンで農薬散布をするメリットは作業時間とコストの削減
高齢化、人手不足が問題となっている農業において、農薬散布は大変な作業です。作業時間を短縮するには人手が必要になり、人手が足りなければ一人一人への負担が大きくなります。
この問題を打破する助けになるのが農薬散布用ドローンです。空中から農薬散布ができるので、広範囲の散布でも散布時間も短くなり、必要な人員も少なくて済みます。これまで農薬散布に充てていた時間や人員を他の作業に回すことができるので作業効率が上がり、生産性の向上にもつながるでしょう。
空中からの農薬散布は、これまで無人ヘリでも行われてきましたが、無人ヘリは大きく一人での持ち運びが困難であったり、機体購入に500万円から1000万円ほどかかり値段が高いというデメリットがありました。
一方、ドローンは持ち運びや操縦がしやすく、値段も無人ヘリより安いのが特徴です。空からの農薬散布としてドローンを選択することはコストの削減というメリットが得られます。
農薬散布用ドローンという新しいツールを導入することにはコストがかかりますが、費用と時間の削減、作業の効率化というメリットを考えると、価値のあるコストと言えるでしょう。
農薬散布用ドローンの値段は高いのか?
大手ドローンメーカーや産業用ドローンに特化したメーカーなど、様々なメーカーが農薬散布用ドローンをだしています。
農薬散布用ドローンの値段はどれくらいするのか、いくつかの機体と値段の相場を見てみましょう。
・マゼックス社 飛助DX
値段 約98万円
農薬散布用ドローンの中でも特に低価格です。地面に強い風を当てて薬剤を散布するダウンウォッシュと前後切り替えポンプで、ムラなく散布できると評判の機体です。
・DJI社 AGRAS「MG-1」
値段 180万前後
最大容量10Lのタンクを積み、1haの土地を約10分で散布します。前方、後方、下面についているミリ波レーダーで地形を把握しながら距離を調整するので満遍なく散布できます。
どのノズルから噴射させるか、送信機から切り替えることも可能です。
・エンルート社 AC1500
値段 240万円前後
パワフルなモーターと高性能プロペラ、大容量のバッテリーで効率よく広範囲の散布が行なえます。防滴仕様で天候が急変した時でも安心です。
・ヤマハ発動機株式会社 YMR-08
値段 約275万円
日本電産株式会社と共同開発したモーターと、TDK株式会社と開発したバッテリーを使用しています。長年農薬散布に携わってきたヤマハのノウハウが詰まった農薬散布用ドローンという信頼感があります。
・ナイルワークス社 Nile-T19
値段 約500万円
自動飛行型農薬散布マルチコプターです。事前に地形を把握させると飛行ルートを作成、自動飛行で散布をします。バッテリーが少なくなると自動帰還し、完全自動で農薬散布を行なえます。
ドローン本体の値段以外にかかる導入コスト
予算を考える際に考慮するべき、機体購入費以外にかかる費用にはこのようなものがあります。
・保険料
農薬散布にドローンを運用していくうえで、必要なのが墜落に対するリスク管理です。ドローンを活用していけば、天候不良や操縦ミスなど何らかの原因で数百万のドローンを墜落、破損させてしまうかもしれません。また人や物との接触事故であれば損害賠償が発生してしまうこともあります。
そのため強制でないとはいえ人身、対物への賠償責任保険や機体保険などの任意保険に加入することが必要です。補償内容によって異なりますが1万円から3万円ほどが目安です。
・ドローンスクール費用
ドローンによる農薬散布は航空法で承認申請が必要な「危険物輸送」、「物の投下」に当てはまるため、申請時の時点で一定の飛行実績がなければいけません。
農薬散布を目的とした講習を受けられるドローンスクールに通うことで必要な操縦技術や知識を身に着けることができます。ドローンスクール費用は講習から認定書の取得までセットになって20万円から30万円が相場です。
これらの導入費用以外に、ドローンを良いコンディションで使い続けるためのメンテナンス代や修理費がかかることもあります。
農薬散布用ドローンはコスト回収できるのか
導入コストの一例として、機体の値段が100万円、保険料3万円、スクール費用20万円とします。農薬散布用ドローン導入のために123万円かけてまで、導入するメリットはあるのでしょうか。
農薬散布の業務委託をしている場合、散布範囲ごとに委託料金は異なります。
例えば1haの散布が2万円かかるとするとしましょう。5haの土地に年3回の散布を依頼すると年間30万円の農薬散布費用がかかる計算になります。そうすると4年以降から農薬散布用ドローンの購入価格より委託費用総額の方が上回ってきます。
この場合4年以上運用するのであれば、ドローンを購入した方がお得になるということです。
散布範囲によっては年間100万円ほど委託費用がかかることもあり、散布範囲が広ければ広いほど早くコスト回収ができます。広い農地を所有しているなら農薬散布用ドローン導入をする方がコスト、作業効率の面でも大きなメリットがあるでしょう。
この記事と一緒によく読まれている記事
-
ドローンショーの仕組みを解説!演出や操縦はどうやっている?
-
ドローンを使ったスマート農業を解説!農業用ドローンの主な用途とは?
-
ドローンの免許(国家資格)の取得には年齢制限がある?何歳から取得できる
-
水中ドローンの操縦に免許は必要?水中ドローンに関する資格を解説
-
ドローンの操縦に無線技士の資格は必要?必要なケースや資格の取得方法を解説!
-
ドローン測量管理士とは?新しく登場したドローン測量の資格を取得する方法を解説!
-
海でドローンを飛ばす際の規制や必要な許可申請は?海で飛ばす時のルールを解説
-
ドローン国家資格の取り方を解説!取るまでの手順や取得期間はどれぐらい?
-
ドローン国家資格の難易度は高い?試験の合格率や勉強時間はどれぐらい?
-
ドローンを使った橋梁点検とは?メリット・デメリットや橋梁点検で使用される新技術を解説!
-
ドローンの目視外飛行は飛行許可が必要?目視外飛行を行う条件や練習方法を解説!
-
100g未満のドローンを飛ばせる場所を解説!チェックすべき法律や飛行ルールは?