農薬散布にドローンを使用したいと考えている農家が増えています。ドローンを使えば時間を大幅に短縮することができ、人手不足や高齢化などの悩みを抱える農家にとってはたくさんのメリットがあります。そこで気になるのが、ドローンの使用に資格や認定が必要なのかどうかです。
ドローンの操縦に資格や認定はあるの?
ドローンを操縦するのに免許のような資格や認定が必要あるのかどうかと尋ねる人が多くいます。基本的にドローンを飛行させるための免許は日本国内には存在しておらず、誰でもドローンの飛行を楽しむことができます。
とはいえドローンの飛行にはある程度の技術が必要ですし、ドローン機体や飛行に関連した法律などに関する知識を持っていることにはメリットがあります。そこで、民間のドローンスクールや教習所で認定資格証を取る人もいます。そうすることによって第三者にドローン飛行の技術や知識を証明しやすくなります。
農薬散布におけるドローンの利用には、農水協(農林水産航空協会)による機体・飛行させる者の認定が必要でした。令和元年7月30日に規制緩和がされ、無人航空機による農薬等の空中散布について規定していた技術指導指針が廃止されました。それに伴い、認定を受けることは必須ではなくなりました。
認定を受けることが必須ではなくなったとはいえ、ドローンを使った農薬散布は「危険物輸送」「物件投下」に該当するので、国土交通省に飛行承認申請をする必要はあります。さらに、農薬のラベルをしっかりと確認して、使用方法を守ることも大切です。
それでも、いざ農薬散布ドローンを探していると、「認定機」と言う言葉が目に入ってきます。しかも認定機を使用するには教習所に通う必要があるみたいです。いったいどういうことなのでしょうか?
農薬散布ドローンの認定機って何?メリットは?
国土交通省が定める管理団体のひとつに農水協(農林水産航空協会)があります。農水協がドローンの機体性能を試験し、合格したものを農水協認定機といいます。農水協認定機を操縦するには、農水協の認定教習所に通って資格を取らなければならず、このことから農薬散布には資格が必要だと思っている人がいるようです。
もちろん、農水協の認定機以外のドローンを使って農薬散布をすることも可能です。その場合は教習所に通って資格を取る必要もありません。とはいえ、農水協の認定機にはそれなりのメリットがあることも確かです。
日本国内で農薬散布をするには、農薬取締法に基づいて作業を行う必要があります。例えば、飛行速度や散布幅、吐出量が定められており、それを守らないと3年以下の懲役もしくは100万円以内の罰金が課せられます。
安いからと言って農薬散布ドローンを購入すると、農薬取締法違反の心配だけでなく、散布性能が保証されておらず、農薬が風に流されてしまったり散布ムラが激しかったりすることもあります。
農薬が周辺の作物に飛散してしまうドリフト問題が生じると、残留に関する基準値がオーバーしてしまい、流通禁止になってしまうこともあります。洗濯物や車に農薬が飛散すると近隣住民に迷惑をかけてしまう結果にもなるので、飛行性能や散布性能をしっかりとチェックしてから使用する必要があります。
農水協の認定機であれば散布性能が保証されているので、安心して使用することができます。さらに教習所に通うことによってドローンや農薬についての知識を得、実技訓練を受けるので、自信をもって農薬散布に取り掛かることができるでしょう。
2019年の時点で農水協認定の機体は19あり、それぞれの機体の認定教習所でオペレーター資格を取らないと機体の購入ができないようになっています。
農林水産航空協会の認定教習所を紹介
DJI社のAGRAS MG-1での農薬散布を行うためには、農水協の認定教習所に通う必要があります。株式会社SWIFTは島根県東部に教習所を用意し、受講者が「産業用マルチローターオペレーター」の認定を受け、AGRAS MG-1で農薬散布が行えるようにしています。
基本講習コースは5日間ですが、無人ヘリ免許保有者は3日間に短縮することができます。受講料は税込みで220,000円です。教習5日間のレポート(https://d-p-t-s.jp/nouyaku-repo/)で実際の様子を知ることができますよ。
マゼックス社の「飛助MG」を使って農薬散布を行うには、マゼックスの指定教習所で3日間の受講が必要です。教習所は北海道、東北地方、関東地方、中部地方、近畿地方、中国地方、九州地方にあり、受講料は認定教習所にもよりますが3日間で約18万円です。
座学で航空法やドローンの特性、農薬の危険性や使用法、機体の取り扱い方法などを学びます。それから実技練習で離着陸、飛行・散布方法などを学びます。農薬散布の経験があるスタッフによる講習なので、初心者でも安心して受講することができます。
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