農業の現場では、特に農薬散布のためにドローンを導入する農家が増えています。では、農薬散布のドローン操縦士の求人や需要は実際のところどうなのでしょうか?記事の後半では、農薬散布以外のドローン操縦士の求人状況についても解説します。
農薬散布のドローン操縦士の求人や需要
高温多湿で生態系が豊富な日本は病害虫が発生しやすいため、農家にとって農薬散布は欠かせない作業となっています。でも、それを手作業で行うには大変な労力がかかります。
現在、農業従事者の高齢化が進んでいて深刻な人手不足が生じている中、手間のかかる農薬散布を機械化することには大きなメリットがあります。そこで、注目を集めているのがドローンです。
今までも、無人ヘリコプターなどで農薬散布を行うことがありましたが、ドローンの方がコスト面や作業効率の面で優れています。このため、国もドローンによる農薬散布の普及を広めたいと考えており、規制緩和などを実施しています。その結果、ドローンによって農薬散布を行うケースが増えています。
では、農薬散布のドローン操縦士の求人や需要は、実際のところどうなのでしょうか?
農薬散布のドローン操縦士の求人を探してみると、求人数はあまり多くはないということに気づきます。2016年の時点では、2020年に農薬散布を行うドローン操縦士が24,000人必要になるという試算が出されましたので、需要があるのは事実でしょう。でも、農家の方が専属のドローン操縦士を求人に出すということはあまりないようです。
その代わり、農家とドローン操縦士をマッチングするサービスなどは登場しています。これは操縦士としてサイトに登録しておくと、同サイトを利用する農家から農薬散布の依頼を受けられるというサービスです。ただし、操縦士自身が、農薬散布ができるドローンを所有している必要があります。
こうしたサービスを利用することで、農薬散布という分野で、ドローン操縦士として活躍する場を見出せるかもしれません。一度依頼を受けた農家から継続して仕事をもらえる可能性もあるでしょう。
農薬散布のドローン操縦士の求人は今後どうなる?
ドローンによる農薬散布はこれからも広まっていくと考えられます。前述の通り、農薬散布にドローンを活用することには大きなメリットがあり、農業の人手不足問題を解消する上で非常に重要なツールとして考えられているからです。
今後も、専属のドローン操縦士の求人はあまりないかもしれませんが、複数の農家から単発で、または継続して依頼を受けることによって、ドローン操縦士として活躍できる機会はあるでしょう。
ただし、今は自動飛行機能を持つ農薬散布用ドローンの開発や導入も進められています。そうしたドローンの場合、飛行ルートを設定すれば自動で農薬を散布しながら飛行してくれますので、難しい操縦は不要です。
今後、それを購入して活用する農家が増えていくようなことがあれば、農薬散布のドローン操縦士の求人や需要は伸び悩んでいくかもしれません。
農薬散布以外のドローン操縦士の求人や需要は?
最後に、農薬散布以外の分野のドローン操縦士の求人や需要についてご説明したいと思います。
2016年に、ドローン操縦士が143,000人必要になるという試算が出されました。前述の通り、そのうちの24,000人は農薬散布のドローン操縦士です。
その他の内訳は、以下の通りです。
・公共事業、インフラ(検査、点検):75,000人
・セキュリティ(人命救助、防災、警備):23,000人
・空撮(映画、テレビ、観光、エンターテイメント):5,000人
・測量(3Dマッピング):11,000人
・その他:5,000人
以上を見ますと、公共事業やインフラでの需要が大きいことがわかりますね。一方、空撮を仕事にすることを夢見ている方も多いと思いますが、その需要の試算は5,000人です。これは、143,000人の中の割合でいうと3.5%です。狭き門であるということがわかります。競争も激しい分野ですから、活躍するにはかなりの努力が必要でしょう。
143,000人という試算を見る上での注意点として、これは新たな求人が生まれる数字を表しているわけではない、ということがあります。例えば、すでに測量会社で働いている社員がドローンを飛ばして測量できるようになれば、それで1人分の需要が満たされることになります。実際、会社内部の人間にドローン操縦を覚えてもらって業務を行うというケースは多いでしょう。
このようなわけで、今後もいろいろな分野でドローンの活用が広まっていくと考えられますが、必ずしもドローン操縦士の求人自体が急激に増えていくわけではないということを覚えておきましょう。
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