農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度について

更新日: 2021.11.24 公開日: 2017.09.28
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民間にドローンが普及し始め、いまではビジネスにおいてさまざまな活用がされています。特に、農業においては2016年に農林水産省が「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」の発表がありました。ここでは、「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」に関する内容や、ドローンを活用するメリットなどをご紹介します。

目次

ドローン参入で農業が変わる

現在、農家では人手不足や高齢化が進むという問題に直面しており、ドローンの実用化が飛躍的に広がり、農業でもドローンを取り入れるなど、従来の農業のあり方が見直しされています。

これまで、作物への農薬散布は人力で行うか、無人ヘリコプターを利用してきました。広大な敷地を人力で整備することは過酷なうえ、効率も良いとは言えません。無人ヘリコプターにおいても、機体購入には1,000万円を超えるものが多く、なかなか手が出せるものではないですよね。

そこで活躍するのが「農業用ドローン」です。無人ヘリコプターに比べ1/10ほどの価格で取り入れることができ、かつ作業効率を大幅にアップすることが可能です。そんな流れを受け、農林水産省がドローンの普及を促進し、生産効率を高めようと「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」をスタートさせました。

「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」とは?

まず、「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」という名前のとおり、この資格は、ドローンで農薬を散布する際に必要な操作・知識を習得し、安全に実施するための制度です。

なぜなら、農薬という危険物を空中から散布する訳ですので、それなりの知識がなければ危険だからです。この認定は、登録認定機関である「農林水産航空協会」で取得することができます。

「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」認定を受けるまでの流れ

1. 農林水産航空協会に申込み
2. 座学・実技を受講(3日~5日)
航空法・農薬取締法・操作指導・点検・標準散布パターンや枕地散布などの実技・試験が行われます。
3. 認定

認定取得にかかる費用

約15~18万円

この認定は、農業従業者でなくとも受講することは可能ですが、農薬を購入する際や農薬散布などに関しては、別に許可申請が必要となります。

作業の効率化・短縮としてドローンは画期的なアイテムですが、危険物を空中から散布するという危険な作業のため、たしかな技術を身に付ける必要があります。「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」でしっかりと操縦・知識を学んで認定を受けたうえで、安全に活用していきましょう。

農業にドローンを活用するメリット

冒頭でもお話しした通り、現在、農業においてはさまざまな問題が浮き彫りになっています。その問題が、ドローンを活用することで大きく改善されるのではないかと期待されています。

(1) 人手不足解消

日本では農業従業者が年々減少傾向にあり、東京オリンピックが開催される2020年頃には全体の6~7割の農業授業者が65歳以上になると言われています。

農家になるということは、農業に関するノウハウ習得が必須であり、初期投資が膨大にかかります。このことから若い世代の農業離れが進み、後継者がなかなか育たないのです。ドローンを活用することで、農薬散布に利用するだけでなく、作物を育てるノウハウをデータ化し、広く情報を共有することが可能になります。農業へのハードルが低くなる分、初心者でも参入しやすくなるということです。

(2) 作業効率化と安定生産が可能に

ドローンを活用し、農作物の害虫・害獣を監視することで、情報を集約・共有できるようになります。そのため、効率的に対策を練ることが可能です。
さらに、害虫・害獣の被害を食い止めることができれば、作物の安定生産を実現するメリットがあります。

このように、ドローンは農薬を散布するだけの道具ではなく、多様な使い方をすることができるのです。農作業においてドローンは、いま以上に欠かせない存在となる可能性が高いため、「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」を活用してドローン操作技術を習得しておいて損はないと言えるでしょう。

普及台数も急増中!農業用ドローン3選

一口に農業用ドローンと言っても、種類・大きさもさまざまで、数十万円から2~300万円前後するものまで幅広いです。
予算・性能からご自身の用途に合ったドローンを見つけてみましょう。

(1) DJI社 AGRAS MG-1

ドローンで有名なDJI社が国内販売しているドローン。
AGRAS MG-1の特長は、A3フライトコントローラーを搭載していること。およそ10㎏の農薬を搭載しフライトしても、安定した飛行をすることが可能です。また、レーダー認識機能もついています。3つのレーダーが作物からの距離を正確に取得し、作物から一定の距離を保ち噴射できます。
価格:180万円前後
その他詳細はこちら:https://www.dji.com/jp/mg-1s

(2) 東京ドローンプラス Helios(ヘリオス)10

このヘリオス10の最大の魅力は飛ばせるセット1式92万円(税抜・1年間の保険付き)という価格。そして、価格の中には使用者のレベルに合わせたマンツーマンの技能講習がついています。
低コスト化するために、市販のパーツを組み合わせて制作されていますが、DJI社のフライトコントローラーを搭載しているので、農薬を積み込んだ機体であっても安定感は抜群です。また、折りたたむ式アームで車の助手席にも置けるコンパクトさも嬉しいポイントです。
価格:85万円
その他詳細はこちら:
http://tdplus.jp/products%E3%83%98%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%82%B910/

(3) ARRIS D5 農薬散布ドローンフレームキット 5kg搭載

折り畳み構造の持ち運びやすさ抜群のドローンです。
農薬や液体は5㎏まで搭載することができ、手作業に比べて30倍のスピードでの作業を可能としてくれます。機体フレームは高強度グラスファイバーで出来ているため、軽量かつ耐久性に優れています。
価格:7~8万円前後
その他詳細はこちら:
http://www.rchobby-jp.com/index.php?main_page=product_info&cPath=295_306&products_id=3955&zenid=ec2b6276760d3d441d3fe1abac2f4b43

農業にさまざまなメリットをもたらすドローン。これからも幅広い活用法を生み出し、農業を助けるカギとなってくれそうです。「農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度」は、そんな未来をつくるための重要な制度であるといえます。

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