東京オリンピックを控えニーズの拡大が期待されている分野の一つが「警備」です。警備においてドローンはどのように活用される可能性があるのでしょうか?課題や事例なども交えながら解説します。
警備業について
警備業は警察と違って法的な強制力を持っていませんが、工事現場、オフィスビル、施設、現金輸送など日常の様々な場所で見かけることが多い業種の一つです。
警備業法では、警備員以外にセンサー等を配置して監視する機械警備も可能であると定めています。
警備分野でドローンを活用する場合は、その機械警備との連携が重要になってくると言われているのですが、具体的にどのような活用方法が考えられるのでしょうか?
警備におけるドローン活用の可能性
警備分野でドローンを活用するとすれば、ドローンを「移動するセンサー」として配置し、巡回警備員の代わりとしての活用方法が考えられます。
現在流通しているドローンの多くは、GPSを利用して屋外での安定飛行や自動運転を実現していますが、これが屋内となるとGPS信号の受診が不安定になるなど、技術的な課題を抱えています。
そのため、ドローンの警備分野での活用については、まずは屋外警備から普及していくのではないかと考えられています。
ドローンを使った監視システムの事例
セコム株式会社は防犯サービスの一つとして「オンライン・セキュリティシステム」を提供しています。
オンライン・セキュリティシステムとは機械警備に分類されるシステムで、センサーが異常を感知すると、その信号が各都道府県に設置されたコントロールセンターに送られ、センターからの指示によって全国2,800ほどの緊急発進拠点から警備員が急行するというシステムです。
場合によっては警察や消防などへ連絡することもあり、このオンライン・セキュリティシステムとドローンを連動させた警備・監視サービスを提供しています。
侵入監視サービス
施設内に取り付けたセンサーが人を感知すると、ドローンが自律飛行で現場に向かい、撮影を開始するというサービスです。侵入者はもちろんのこと、もし車に乗っていた場合はナンバープレートの位置も推定して撮影することができます。
巡回監視サービス
ドローンが自律飛行で定期的に施設内を巡回してライブ撮影するサービスです。上空から撮影することによって従来の固定カメラより死角が少なく、広範囲の撮影が可能なほか、屋上など人が立ち入るのが危険な場所も容易に監視できるようになります。
ドローンで警備業界に参入するために必要なこと
ドローンで警備業界に参入するためには「警備業の認定」や「警備員指導教育責任者の配置」が必要になります。ドローンを活用して機械警備を行う場合はさらに「機械警備業務管理者の資格」も必要になります。
ですが、認定や資格を取得して責任者の配置が完了しても、警備業には、
・開業後の仕事をどう獲得するか
・採算をどのようにとるか
といった課題があります。警備業の多くは「信用」で成り立っていますので、実績がない新規参入業者は価格を下げることで競合他社に対抗していかなければならないケースが多いようです。
なお、警備員一人当たりの単価については地方公共団体が公表している「建築保全業務労務単価」が参考になります。
東京都の例では警備に関する資格を持つ「警備員A」であっても平成28年度の単価が15,000円ですので、非常に厳しい業界であると言えます。
ドローンを活用して警備業界のような厳しい世界に参入する場合、サービスの質、価格、ドローンの実際の運用方法などについてしっかり詰めておく必要があります。
たとえば、競合他社よりも低価格で顧客を獲得しなければならない場合、操縦者が現場に常駐してドローンを操縦するよりも、自律飛行できるドローンを導入した方がコストを抑えることができますので、低価格でも採算がとれる可能性は高くなります。
また屋内でドローンによる警備を行う場合、先のGPS信号の受信問題をクリアするための技術開発が必要になりますし、屋外では天候の変化や強風にも耐えられる強い機体を採用すると同時に、メンテナンスをしっかりと行い、落下事故などを防がなければなりません。
あるいは低価格ではなく、付加価値の高いサービスを提供することで、高単価で仕事を受注するという手段もあります。
付加価値の高さとは、たとえばドローン警備において「固定カメラよりも広範囲な視界」「自ら移動できる」といった特性を活かし、警備員の目が届きにくい場所の警備を行ったり、警備員では危険な場所の警備を行ったりといったことが考えられます。
ドローンの警備でうまく利益を上げるためには、例えばイベント会場などで警備員10名必要なところをドローン1台で賄うなど、ドローンのメリットを最大限に活かしたサービスを構築することが大切です。
警備業界でのドローンの活用は事例が少ないためチャンスがある
警備業界は比較的参入のための障壁が低い業界と言われていますので、これからドローンを活用して警備業に参入するという事業者も増えてくるかもしれません。
しかし、その場合「屋内警備なのか、屋外警備なのか」あるいは「施設・交通・現金・その他」など、警備の対象は何かといったところからサービス内容の検討を進めると同時に、価格競争の中で生き残るためには常に新しいアイデアを生み出す必要があります。
たとえば世界各国でテロが頻発している現在、上空からの撮影が可能なドローンの特徴を活かした警備サービスはニーズが高まるかもしれませんし、日本においては2020年東京オリンピックの開催に向けて警備を強化していますのでドローンを監視業務等に活用できるものと思われます。
いずれにせよ、まだ警備業界におけるドローンの活用事例は多くありませんので、アイデア次第で新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
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