ドローンといえば、メーカーが販売している機体を購入するだけだと考えていませんか。実は、ドローンはパーツを購入して組み立てることによって自作することができます。しかも、初心者でも最低限の知識で自作ドローンを作ることが可能です。今回は、自作ドローンを作るための基礎知識などをまとめていきます。
なぜドローンの自作をするのか?
市販のドローンを購入すればすぐに飛行を楽しむことができますが、中には自作のドローンを楽しみたいと思う人もいます。モノ作りが大好きだという人は、自作のドローンを飛ばすことを趣味の一環として楽しむことができるでしょう。
さらに、自作することによって費用を抑えることができるというメリットもあります。高性能のドローンを低価格で完成させることができますし、自分好みのドローンを目的に応じて作ることができるので、飛ばしたときの満足感は大きいでしょう。
ドローンレースに出場する人の多くは自作のドローンを作っています。クラッシュによって壊れることも多いので、自作のための知識は役に立ちます。そして、たくさんあるパーツから最適なものを選び、個性溢れる自作ドローンで勝負するのです。
最低限知っておきたいドローンの飛行、方向転換の基本原理
まずは、ドローンの飛行や方向転換の基本原理をまとめていきます。これを知った上で組立てないと、ただ部品を組み合わせただけの機体になってしまうことがあります。
1.ドローンの飛行原理
ドローンが飛行する原理としては、飛行機と同じように「揚力」という力を使っています。「揚力」は上方向に作用する力です。翼の形状をしたものに空気が分断され、「速い風」と「遅い風」に分かれることによって、発生する圧力差によって生まれます。
ドローンでは、4つのプロペラを回転させることによって、プロペラの翼に揚力が発生することで飛行が可能です。また、4つのプロペラがすべて同じ方向に回転したいた場合、ドローン自体が回転してしまいます。これは「反トルク作用」という現象です。
この半トルク作用を抑えるために、隣同士のプロペラを逆向きに回転させるように配置すると、上向きの揚力だけを使うことができます。
2.ドローンの方向転換の原理
ドローンの方向転換は、プロペラによる揚力の調整によって行われます。それぞれのプロペラの回転数を調整することによって、各プロペラに発生する揚力をコントロールすることで、進行方向を変えることができます。
具体的には、前方のプロペラの回転数を落とし、後方を上げると、後方のプロペラの揚力が強まり、前傾姿勢になることで、ドローンは前方へ進みます。
このように、プロペラの回転数の調整による揚力のコントロールによって、機体を制御しています。
この2つが基本的なドローンの飛行原理となります。ドローンを自作するときには、このような物理や力学などの知識があったほうがいいでしょう。
ドローンの自作に必要なパーツをご紹介!
次に、ドローンを自作するために、必要なパーツを紹介します。必要なパーツは全部で10種類となります。
フレーム
ドローンの機体を構成する部分です。このフレームに、各パーツを固定していきます。頑丈かつ、墜落しても壊れないようなものがおすすめです。
パーツ例 その1
LHI H180 4軸 180 Mini FPVクワッドローターフレームキット (炭素繊維製) (H180):2,399円
わずか90gという軽量で耐久性も抜群のHXフレームです。初心者でも組み立てやすいのが特徴です。
パーツ例 その2
LHI X210カーボンファイバーFPVレースクワッドローターフレーム+ PDB-XT60:3,900円
ドローンレーシング用に設計されたXフレームです。スピード重視の上級者向けフレームです。
モーター+プロペラ
ドローンを飛行させるためのプロペラと、それを回すためのモーターです。
パーツ例(モーター)
BETAFPV 0802 17500KVブラシレスモーター2sブラシレスBeta65X などに2S FPVフープドローン用:4,840円
パーツ例(プロペラ)
MA DJI Mavic Pro & Pro Platinum用アップグレード・プロペラ MR-MC 8.3×4.4 (オレンジ)4本セット:2,960円
折り畳みのできるオレンジ色のプロペラです。プロペラは壊れやすいパーツでもあるので予備をストックしておくといいでしょう。1,000円を切るプロペラもたくさんありますよ。
ESC (エレクトロニック・スピード・コントローラー)
こちらは、モーターの回転スピードをコントロールするためのパーツです。
パーツ例 その1
Turnigy 30A ブラシモーター ESC アンプ:1,550円
ブラシモーター用のESCです。
パーツ例 その2
F450 F550 X525マルチコプター対応SimonK 30A ESCブラシレス スピード コントローラー BEC 2A 4PCS:3,499円
ブラシレスモーター用のESCです。
フライトコントローラー
各種センサー(加速度センサー、ジャイロセンサー、気圧センサーなど)から送られてくる情報をもとに、最適なモーターの回転速度を計算するパーツです。フライトコントローラーで計算した回転スピードに合わせて、ESCがモーターの回転を調整します。
パーツ例 その1
Racing F3 フライトコントローラー Acro 6 DOF/Deluxe 10 DOF RC マルチコプター用飛行制御装置 (10DOF):3,999円
パーツ例 その2
GoolRCSP Racing F3 Deluxe フライトコントローラー 10DOFクリーンフライト統合OSD QAV210 QAV250 ZMR250 FPVレーシングドローン用:5,831円
レーシングドローン用のフライトコントローラーです。
プロポ送信機
ドローンを操縦するための電波を送る送信機です。コントローラーに搭載します。
パーツ例
Rcharlance 2.4G 8CH 送信機 リモートコントローラー プロポ セット RCトランスミッター 9CHレシーバー付き 送受信機セット RCレーシングドローン ヘリコプター カー ボート 固定翼 RC飛行機 対応:7,600円
アンテナ+プロポ受信機
送信機から送信された電波を受信します。受信機で検知された情報は、フライトコントローラーに伝送されます。
パーツ例
FUTABA R3008SB T-FHSS Air受信機 2.4GHz 8CH+S.BUS+S.BUS2仕様:6,480円
PDB(Power Distribution Board)
こちらは電源分配用の基盤で、ドローンのバッテリーの電気をESC、FCに給電するために分岐する役割を持っているパーツです。
パーツ例
Guokukey Matek PDB配電ボード XT60 5V 12V BEC付け 6 ESC出力(9〜18V 入力、PDB 4 * 25A / 6 * 15A、BEC 5V&12V、XT60、1.6mm PCB付き)XT60 PDB (3-4S) X Hタイプ FPV レーシングドローン マルチコプター対応:998円
BEC(Battery Eliminator Circuitry)電源
PDBに変圧機能が備わっていない場合に、BEC電源を中継させることで適正な電圧に変換することができます。
パーツ例
Tahmazo SVR3-5V2(BECコネクタ付):2,052円
バッテリー接続端子
バッテリーとPDBを繋げる端子です。
パーツ例
LHI 2PCS XT60 コネクタケーブル 100mm 12AWGシリコンワイヤ、FPV ドローン RC LiPoバッテリー用:1,646円
バッテリー
ドローン全体を動かすためのエネルギー源です。これがないとドローンは動きません。
パーツ例
Noiposi 5pcs 3.7V 350mAh バッテリー と 6点マルチ充電器 適用機種:Hubsan X4 H107d V939 F180C HS170:2,600円
基本的なパーツはこのような構成になっています。最低限、どんなパーツなのかを頭に入れた状態で、組み立てを行うようにしてください。
ドローンを自作する手順
ドローンを自作するにあたって、すべてのパーツが揃っている組み立てキットを購入する方法と、それぞれのパーツを自分で選んで作る方法があります。組み立てキットは説明書通りに組み立てていけばいいので簡単に作ることができるでしょう。
パーツを選びながら作りたいという場合は、自作用のオリジナル設計図を作る必要があります。フレームを選び、自作ドローンの大きさや目的を決めましょう。フレームを組み立てたら、モーターの取り付けです。フレームの四隅にプロペラを取り付けるためのモーターをネジで止めていきます。
フレームの大きさに合わせて長さを調整したフライトコントローラーをモーターに半田付けします。それから配電盤をフレームに取り付け、フライトコントローラーを配電盤に付けます。各モーターにESCも取り付け、それを配電盤に繋ぎます。
プロペラの取り付けは、向きに気をつけながら行いましょう。間違って取り付けるとドローンは飛び上がることができません。ドローンの組み立てが完了したらいよいよプロポコントローラーの設定し、ドローンの動作確認をしましょう。
ドローンが動くことを確認したら、実際に飛ばして飛行確認をします。自作ドローンが問題なく飛行できているか確認するのが目的ですから、時間をかけて丁寧に行ってください。ここで不具合が見つかったら修正しながら、自作ドローンの性能を上げていきましょう。
自作ドローンを飛ばす際の注意点
自作ドローンが完成したらさっそく飛行を楽しみたいですよね。しかし守るべきルールがあるので、ドローン飛行の際には注意が必要です。例えば航空法によるルールがあり、空港周辺、150m以上の上空、人家の集中地域では許可なしでの飛行が禁止されています。
また、飛行の方法に関してもルールがあり、飛行は日中に行うこと、目視範囲内で行うこと、イベント会場で飛行することは禁止、物質投下は禁止などが定められています。航空法に違反すると50万円以内の罰金が課せられ、さらには悪質な飛行をしているとして逮捕されたという例もあります。
航空法の規制対象になるのは重量が200g以上のドローンです。200g未満であれば規制対象外になります。自作ドローンを飛ばすのに許可がいるかどうかを確かめるようにしましょう。
さらに電波法に引っかかったり、アマチュア無線免許が必要だったりするケースもあるので、事前に調べておくことが大切です。調べたけれどよくわからないという場合は、国土交通省の電話対応窓口(無人航空機ヘルプデスク)に問い合わせてみるといいでしょう。
自作ドローンのメリットを考える!
自作ドローンのメリットとしては、何より費用が安く済むという点が挙げられます。自作ドローンでは、9万円ほどの費用でドローンを手に入れることができるので、それなりの機能を持ったドローンよりも安いですね。
また、自分の好きなパーツでドローンを組み立てることができる点や、ドローンに求める性能に合わせてカスタマイズできる点など、自作をするメリットは盛りだくさんです。
子供と一緒に作れば、理科や工作、プログラミングなどの学習にもつながりますね。自作ドローンはメリットがたくさんありますので、非常におすすめです。
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