空撮業務用のドローンとは?一般用とどう違うの?
一般用のドローンが必ずしも業務用に使えないというわけではありません。しかし、業務用のドローンが作られているのには、それなりの理由があります。
具体的には機能・性能といった面が大きく異なります。
たとえば、カメラをイメージしましょう。業務用の撮影の場合は、個人が撮影するビデオカメラよりもはるかに大きいカメラを肩に担いで撮影します。
ドローンでは、そこまでの大きさではありませんが、空撮業務用のドローンに搭載されているカメラも、一般用のドローンに搭載されているカメラよりも比較的大きなものが使われています。
その分、重量がありますので、空撮業務用ドローンにはそもそもパワーがなければなりません。
さらに、パワーを出しても機体が揺れてしまっては撮影になりません。そのため、機体の安定性が求められます。
複数のプロペラ、ジャイロ、加速度センサーといった機能で、高い安定性や制御性を実現しているのが、空撮業務用のドローンです。
また、ホビードローンは10分程度しか飛行できないものが少なくありません。
空撮業務で10分程度しか飛行できないとしたら、遠くにも飛ばすことも長時間撮影することもできませんので、そもそも仕事にならないでしょう。
パワーを生み出すモーター、長時間飛行を可能にする高性能のバッテリーを搭載することで、こうした問題を解消しているのが、空撮業務用のドローンなのです。
メーカーや機種ごとに差がありますが、平均すると30分程度の飛行をさせることができます。
ほかにも、障害物を自動で回避するセンサー、GPS、自動帰還機能、自動追跡機能といったさまざまな機能が搭載されています。
また、ドローンで撮影したデータ、ルート、飛行時間、場所などをアプリと連動してクラウド上で保管・管理できるフライトレコーダーも含まれています。
こうしたさまざまな機能・性能の違いから、空撮業務用のドローンは一般用ドローンよりもかなり高額になっています。
業務用ドローンの活用事例
近年、ドローンの活躍の場は大きく広がっており、多岐におよびます。ここでは、業務用ドローンが活躍する場所は、具体的にどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
農業
ドローンによる農薬散布や種まきの実用化が進められています。これまで使用されていた無人ヘリコプターは、機体価格が高いというデメリットがありましたが、ドローンを使うことでコストが抑えられます。他にも、収穫物の運搬、リモートセンシング技術による農作物の状態のデータ管理なども、業務用ドローンで行うことが可能です。
物流
積載量が大きい業務用ドローンであれば荷物を運搬することが可能です。実用化すれば、渋滞や道路事情に左右されない素早い配送ができます。山間地や遠隔地でも物が届きやすくなることが期待されています。
インフラ点検
広大な土地やダムのような人が立ち入ることが難しい場所であっても、業務用ドローンを活用することで点検が容易になります。目視による点検より短時間、低コストで行えるというメリットがあります。
救援
災害発生時に、人が入れない状態であってもドローンを使って現場の調査を行えます。サーモグラフィカメラを搭載した業務用ドローンであれば、救助者の捜索にも活用できます。
測量
カメラを搭載した業務用ドローンで上空から土地の状態を測定します。測量結果はそのままデータ化できるため、これまでの方法だと数日かかっていたものが、ドローンだと数時間で行うことができ、作業時間を大幅に短縮できます。
このように、業務用ドローンが活用できる分野は様々なので、それぞれ使用するドローンの特徴も異なってきます。
例えば農業や物流で活用するならパワーのある機体が必要であり、一方で、測量や点検で利用するのであれば高性能のカメラが必要です。そのため、どの分野で使用するのかに合わせた業務用ドローンを選ぶようにしましょう。
空撮業務用ドローンで人気の機種は?
空撮業務用として人気のドローン3選を紹介します。
一般用ドローンと同様に、やはりDJIが圧倒的なシェアを誇ります。
DJI Phantom4 Pro
参考価格204,000円
一般用としても人気のPhantom4 Proは、空撮業務用としても使われています。ただし、業務用の中では「小型」クラスに分類されます。
DJI Inspire2 Combo
参考価格799,000円
最高時速108kmを誇ります。かなり迫力ある映像を撮影することができるでしょう。ただし、その分、高い技術力が求められます。まずはPhantom4 Proといった小型のドローンで訓練を積んだ方が良いでしょう。
DJI Matrice 600 Pro
参考価格593,800円
まさに空撮業務用に作られた、幅約1.7m、奥行き約1.5m、高さ約0.7mという大型ドローンです。最大積載量も15.5kgと大きく、ドローンの重量自体も約10kgあります。
墜落や衝突は重大な事故に発展する恐れがあるため、確かな技術や知識が求められます。
業務用ドローンメーカーでのおすすめドローン
DJIのような個人で楽しむための機体を出しているドローンメーカーだけでなく、業務用モデルを主に扱っているメーカーもあります。業務用特化型のドローンを開発しているため、より専門的に活用できるでしょう。
ここでは、そんな業務用ドローンを販売している、おすすめのドローンメーカーを紹介します。
PRODRONE
業務用ドローンの機体カスタマイズやソフトウェアの提供を行っている産業用ドローンシステムメーカーです。雨天時もフライトが可能な全天候型の基本プラットフォーム機体があり、業務に合わせたサイズのモデルが選べます。
「PD4-AW」
最大積載量3.5kgでの小型基本プラットフォームモデルです。小型ムービーカメラやデジタル一眼レフの搭載ができます。
「PD6-AW」
6枚機の中型ヘキサコプターです。最大積載量は5kgで簡単な荷揚げ作業も可能です。別売りのビデオカメラを搭載すれば、サーモグラフィカメラでのインフラ点検もできます。
「PD6B-AW」
映画用カメラや大型機材を搭載できる大型ヘキサコプターで、最大積載量は20kgです。風の影響を受けにくいため、安定した映像を撮影できるといわれています。
エンルート
国内の産業用ドローンのパイオニアとして、農業、測量、インフラ点検、災害救助などの分野で活躍する業務用ドローンを開発しています。
「LS1500R」
エンルートの大型農業用ドローンAC1500と、測量分野で世界最高レベルの性能を誇るリーグル社のレーザースキャナーを融合して作られた機体です。道路、ダム、林業、農地など、様々な現場で高品質の3次元レーザー測量を可能としています。
「QC730FP」
300度の高温に耐える耐火型ドローンです。動画カメラや赤外線カメラを搭載し、炎が上がる火事現場での状況把握、避難誘導などの活用が期待されています。
業務用ドローンを扱うために必要な資格はあるの?
業務用ドローンであっても、操縦するのに特別な免許や資格はありません。ドローン自体に操縦免許がないため、操縦方法さえ知っていれば誰でも操縦できます。
ただし、業務用ドローンは大きかったり機材を搭載して重かったりするため、高い操縦技術が求められます。農薬散布のように航空法に基づいて許可申請が必要な飛行方法もあります。
そのため、業務用ドローンを取り入れるのであれば、ドローンスクールなどでドローンに関する知識や技術を学び、飛行実績を積んでおくことをおすすめします。
ドローンに関する資格も、持っていると知識と技術を持っていることを証明できます。許可申請時や依頼を受ける際にも役立つため、取得しておくと良いでしょう。
実技を磨くための主な認定団体の資格には、以下のようなものがあります。
・DJI CAMP
・DPA
・JUIDA
それぞれ操縦士資格やインストラクター資格があり、持っていると必要最低限のドローンに関する知識と技能を持っていると見なされます。
また、農薬散布の場合は農林水産省による技能認定を受け、空中散布用の機体を登録するよう薦められています。このように、どの分野で業務用ドローンを使用するのかによっても求められる資格が異なります。
将来空撮を仕事にするなら業務用ドローンをチェックしておこう
この記事では、空撮業務用のドローンと一般用ドローンの基本的な違い、空撮業務用で人気のドローンを紹介してきました。
空撮業務用のドローンは次々に開発されています。
家電量販店やネットショップでも販売されていますので、将来的にドローンを使った空撮業務に就きたいと思っている方や、本格的なドローン空撮に興味がある方はぜひ、こまめにチェックしてみてはいかがでしょうか?
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