農業で欠かすことのできない作業のひとつが農薬散布です。炎天下で田んぼの中に入って行う農薬散布は想像以上に重労働ですが、最近では作業の負担を大幅に軽減させることのできるドローンの普及が進んでいます。ここでは農業用ドローンの普及やそれに伴うメリットについてまとめます。
農林水産省が推し進める農業用ドローンの普及について
ドローンは趣味で飛ばして空撮を楽しむだけのものではありません。最近のドローン技術の進歩は非常に目覚ましく、建築現場や災害被災地など様々な分野において活用されるようになっています。
農業においてもドローンの普及が進められていて、農業従事者の高齢化や人手不足の解決策として期待されています。
農林水産省は農作業にロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、超省力・高品質生産を目指すスマート農業を推進しています。その中でもドローンの活用は大きな目玉のひとつでもあり、ここ数年で導入が爆発的に進んでいるのが現状です。
農林水産省の資料によると、2017年12月から2018年3月の間に、農業用ドローンの機体登録数が6倍強に増加したことが分かっています。2019年7月に技術指導指針が廃止されると、農業用ドローンの規制緩和によりドローンによる農薬散布の普及がさらに後押しされる形になりました。
農林水産省はホームページ上に農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会を常設して、農業用ドローンの普及拡大に関わりのあるすべての人が情報を共有できるようにしています。
田んぼに入らず楽々農薬散布!農業用ドローン導入のメリット
農業用ドローンの活用方法は様々で、農薬散布、肥料散布、生育状況把握、受粉、食害虫検知、鳥獣被害対策、圃場の測量、運搬、土壌肥沃度把握などに用いられています。この中でも最も需要の大きい活用方法が農薬散布です。
特に稲作農家にとっては、夏の時期に田んぼに入って農薬散布を人力で行うことはかなりの重労働です。カメムシ防除の作業は、40㎏ほどの農薬を背負って田んぼの中を歩きながら散布します。
高齢者が多い農家にとって農薬散布はかなりの重労働で、熱中症や転倒などの事故と隣り合わせで作業をしています。
無人ヘリによる農薬散布という方法もありますが、小さな田んぼには不向きなため、どうしても人力による作業が必要になってしまいます。また無人ヘリを業者に頼むと作業日程の指定ができないというデメリットもあります。
従来の農薬散布方法に比べると、ドローンによる農薬散布にはたくさんのメリットがあります。人力による作業に比べると作業時間を大幅に短縮させることができ、さらに田んぼの中に入らずに楽に作業することが可能です。
農薬散布用ドローンを一台購入すれば、後は自分で決めた日程に合わせて作業を行うことができますし、近隣の農家の手伝いをすることもできます。ドローンは操縦そのものも難しくありませんし、小型なので取り扱いやすいというメリットがあります。
農薬散布ドローンの代表的な機体を紹介
実際に田んぼでの農薬散布で活躍するドローンの代表的な機体を紹介します。
田んぼで活躍するドローン1:AGRAS MG-1S Advanced (DJI)
Phantomシリーズなどで有名なDJI社が発売している積載量10㎏の農薬散布用ドローンです。重量はバッテリーなしで9.8㎏、機体を折りたたむことができるので取り扱いがしやすいのが特徴です。2020年春にはMG-1シリーズをさらにアップグレードしたAGRAS T20が発売される予定です。
田んぼで活躍するドローン2:AGR16A/AGR24A (Drone Work System)
フルカーボン製で高い剛性構造を特徴とする農薬散布用ドローンです。本機専用設計のフライトコントローラーを搭載しています。自動散布・帰還・復帰モードがついていて、中断した場合には日にちを変えて中断場所から作業を再開させることが可能です。
田んぼで活躍するドローン3:AC101 (エンルート)
エンルートと言えばAC1500が有名ですが、AC101は2020年春発売予定の小型軽量で低燃費な新型機です。重量はバッテリーを除いて7.1㎏と非常にコンパクト、1バッテリーで最大2.5ha(20L)の農薬散布が可能です。
田んぼで活躍するドローン4:FLIGHTS-AG (FLIGHTS)
高性能でありながら低価格(82万円・税別)の最新モデルです。重量はバッテリー込みで14.8㎏と軽量で、初心者でも安定した飛行ができる機能を搭載しています。液剤タンクと粒剤タンクの付け替えもスムーズに行うことができます。
田んぼで活躍するドローン5:飛助MG・DX (MAZEX)
4枚プロペラと吐出ノズル前後切替散布技術(特許取得)により、従来の約2倍のダウンウォッシュを利用して薬剤を抑え込むような散布ができるドローンです。安心の国産で、「日本の圃場で本当に役立つ機体」をコンセプトにして進化した2020年型モデルです。
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