災害現場におけるドローンの活用事例

更新日: 2021.11.22 公開日: 2017.11.22
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ドローンは災害現場において、建物の倒壊の恐れがあって人が立ち入れないような危険な場所、道路が寸断されて交通機関が麻痺している地区などでの状況確認、捜索活動、救助活動への利用が期待されています。今回はドローンの災害現場における活用事例をご紹介します。

目次

近年災害現場でドローンが活用された事例

手軽に運用できるドローンは、空撮をはじめ農薬散布、測量、インフラの点検や調査、特殊飛行など様々な分野での活躍が期待されていますが、その中でも今回は災害現場でのドローンの活用事例を見ていきたいと思います。

安全性の確保が難しい危険な場所、人が立ち入れない狭小地や道路などが寸断されて孤立してしまった場所なども容易に撮影できるため、特に自然災害が多発している日本においてはドローンの活躍に大きな期待が寄せられています。

皆さんの記憶にも新しいことと思いますが、2016年4月14日に発生した熊本地震でも、主に「現地の被害状況」「断層の様子」の確認のためにドローンが活用されています。

また2015年には口永良部島が火山活動を開始しましたが、その時も「噴火状況」「被害状況」などの確認のためドローンが活用されました。

下記、国土交通省・国土地理院のサイトにて、実際にドローンで撮影した当時の画像などを見ることができます。

平成28年熊本地震に関する情報

口永良部島の火山活動に関する情報

 

災害救助活動へのドローン活用も検証されている

2017年2月25日、宮城県仙台市、株式会社NTTドコモ、株式会社ブイキューブロボティクス・ジャパンは共同で「ドローンを活用した冬山遭難者捜索支援の実証実験」を実施しました。

遭難者が持っている携帯電話の位置情報を元にドローンが自動飛行で災害現場に急行し、ドローンの光学カメラやサーマルカメラの映像を対策本部や現地捜索隊がリアルタイムに共有することで連携を取り合って捜索するというものです。

*サーマルカメラとは被写体が発する赤外線を記録することができる特殊なカメラで、夜間の捜索などに特に大きな効果を発揮します。

これによって遭難者の「早期発見」と、発見に至った場合にドローンに搭載されたスピーカーから声かけを行うことで遭難者の「安全確保」が実現できるかどうかの検証です。

 

そのほか災害現場で考えられるドローン活用方法

上記でご紹介した以外にも、以下のような災害におけるドローン活用方法が考えられます。

・震災の影響で塞がれてしまった道路を復旧するために行われる道路啓開時の現場状況の調査

・被災地への人や車両の流入抑制、および交通規制を迅速かつ的確に実施するための調査

・被災後の道路状況を把握するため、あるいは被災によって無人化してしまった住宅街や商店街の犯罪抑止のためのパトロール

・災害によってもたらされた非衛生的な生活環境を改善するための薬剤の配布および薬剤散布

・孤立してしまった地域や避難所への救援物資・資材の運搬

などが挙げられます。

ほかにも、半壊または倒壊してしまった建造物の中などに人が残っていないかなどの調査や、火災時の救助活動を行うにあたっての火災状況および燃焼物質などの状況把握などに活用することもできます。

あるいは登山ルートに障害物などがないかを手軽に調査することができますので、防災という面においても活用が期待されます。

また、三井住友海上火災保険株式会社は、先の熊本地震において被害を受けた工場の屋根の損害調査等を行うにあたり、ドローンを活用したと発表するなど、保険会社による災害時の損害調査にもドローンが用いられ始めているようです。

 

災害対策として大きな可能性を秘めるドローン

アメリカでは山火事のコントロールにドローンが用いられたり、赤外線カメラを用いての再燃火災防止対策、ロープ分のペイロード(対価)を支払うことで救命道具の運搬なども実際に行われたりしているほか、オーストラリアでは長時間飛行可能なドローンに高性能カメラを搭載することでサメの早期発見に繋げています。日本でも茨城県にて、同様のサメ災害対策でドローンが利用されています。

このように、人間の手では難しい災害現場における様々な活動および災害対策という分野において大きな力を発揮してくれるドローンですが、今後より高性能かつ長時間飛行が可能な機体が開発されれば、一層被害の拡大を防ぐために役立ってくれることでしょう。

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