ドローン測量のメリットは効率化とデータ精度
ドローン測量の普及が推し進められている理由は、そのメリットにあります。
これまでの地上測量は、いくつもの測量地点を実際に移動しながら測量するため時間、手間、労力がかかる作業でした。
しかしドローン測量なら、広範囲であっても上空から撮った写真の位置データで計測が可能なため、測量作業が簡単になります。特に山間部や起伏の激しい土地ではそのメリットが大きくなり、地上測量だと1週間かかっていた場所でも半日での作業が可能です。
人の立ち入りや機材の持ち込みが難しい場所でもドローンなら測量ができることや、測量中に地上の作業を中断することがないので現場全体の作業効率が上がるというメリットもあります。
ドローンによる測量では空中からの写真撮影後、ソフトウェアを用いてデータ解析をします。ドローン測量ではこのようなデータが得られます。
・3次元点群データ
空中から取得したXYZ軸の情報です。機体の高度情報、位置情報、光学カメラやレーザー測距離装置など様々なデータを組み合わせることで抽出できます。
・オルソ画像
上空から撮影したときに高さがあるものほどに生じる傾きや歪みを補正した画像のことです。複数の写真を合わせて処理することで位置や距離間を正しいものにします。
3次元点群データから3Dモデルを作成したり、オルソ画像で地図データを作成したり、現場に必要な様々な図面を作成できます。工事現場など人が入らずに現場の状態を把握することが可能になり、安全管理の判断、工事計画など施工の効率化にもつながります。
これまでも空中からの測量としてセスナ機からの測量が行われていましたが、データ精度という観点でもドローンで行なう方がメリットがあります。これはドローンのように低空から撮影の方が点群データの密度が高くなるからです。
このようにドローンを使用することはデータ精度を保ちつつ、現場作業全体の効率を上げることができるのです。
ドローン測量の課題点は導入コストとリスク管理
このようにメリットが大きいドローン測量の運用を阻む課題の1つは、導入コストです。
ドローン測量を導入するためにはドローン本体や画像解析のためのソフトウェアを用意しなければいけません。ドローン操縦のための知識や技術を取得するための講習を受けるのであればその費用も必要です。それらの導入コストを上回るほど実際に活用できるか、という思いから導入に踏み切れないかもしれません。
ドローンは価格、性能ともにピンキリなので、どのドローンを選べばいいのか、またどんなメンテナンスが必要なのか、性能の向上とともに買い替えなければいけないのかといったドローン自体への知識不足もネックになります。
またドローンを活用する際のリスク管理も課題です。ドローンは便利なものですが、墜落事故や接触事故など人や物へ危険を及ぼすリスクもあります。特に測量で使用するドローンは高性能のカメラを搭載しているため重量があり、万が一の事故の際は被害が大きくなってしまうかもしれません。
業務で使用する以上、こういったドローンの運用リスクを把握し、適切な安全対策を取ることは不可欠です。
一度運用を始めれば測量作業における、時間とコストの削減、作業の効率化といった結果を得られます。しかし運用のためには、ドローンという新しいツールを使うための環境を整えることが求められるのです。
ドローン測量を普及させるための課題と今後の展開は?
これらの課題をクリアするために、リスク管理という点ではドローンスクールでの正確な知識と技術の習得がすすめられます。スクールの中には測量に特化してドローン測量に必要な知識や操縦技術の講習を行っている所もあるので、専門知識を身に着けられるでしょう。
ドローン開発技術も日々進歩しており、測量専用のドローンや自動航行アプリでドローン操縦技術をカバーできます。
また国や自治体のサポートとして、国土交通省は建設業界において通信技術を活用したツールを導入することで生産性の向上を目指す取り組みを行なっています。これに関連してi-Constructionという取り組みの中では建設業界でのドローン導入を推し進めています。
他にも国土交通省国土地理院による「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」で測量方法としてドローンを使用するための指針を出して、どうやってドローン測量を行えるのか明確にしています。国や自治体の補助金の中には測量でのドローン導入に利用できるものもあります。
ドローン測量の普及に向けたもう1つの課題となるのが、ドローンに関連した法規制です。例えば航空法では人口集中地区のドローン飛行が規制されています。飛行するには許可を取らなければいけません。もしこの規制が緩和されたら都市部でのドローン測量が容易になります。
こういった法規制は安全のために欠かせないものですが、測量に限らずドローンの産業活用の普及させるうえでクリアしなければいけない課題です。今後ドローンに関連する法改正が行われれば、ドローン測量はよりいっそう拡大していくことでしょう。
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