測量でその実力を発揮!固定翼ドローンの強みとは?

更新日: 2021.11.19 公開日: 2020.04.17
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固定翼ドローンといわれて、どういうものかすぐにイメージできる人は少ないかもしれません。あまり知られていませんが、実はドローンの性能としてメリットが多い機体です。特にドローン測量において固定翼ドローンの活躍が期待されています。

ここでは固定翼ドローンとはどんなドローンなのか、測量での活用においてどんなメリットがあるのか説明します。

目次

固定翼ドローンはマルチコプター型ドローンと何が違うの?

ドローンを思い浮かべた時に多くの人がイメージする機体は「マルチコプター型ドローン」です。3つ以上の回転翼が付いている機体を指し、プロペラが複数付いたヘリコプターと表現するとわかりやすいかもしれません。多くの場合は4つのローターを持ち、機種によっては6つ、または8つのマルチコプター型ドローンもあります。

各ローターの回転速度を変化させることで動きを制御するのが特徴です。ヘリコプターのように垂直に離着陸ができ、少ないスペースでも飛行することが可能です。

一方、固定翼ドローンとは航空機型のドローンを指します。機体に主翼が固定されており、風の力と前進する時の揚力で飛行する仕組みです。多くの場合2つの翼と1つのプロペラが付いています。垂直離着陸ができないので、紙飛行機のように補助をつけて離陸させます。

航空機のような形をしているので、ドローンとしての認知度は低いかもしれません。しかし大手ドローンメーカーParrotからも固定翼ドローンは出ており、マルチコプター型ドローンとは異なった特徴で活躍している機体です。

 

海外でも活躍している固定翼ドローンはメリットがたくさん

 

固定翼ドローンは航空機と同じ仕組みで離着陸、飛行をするので操縦には広いスペースが必要です。また固定翼ドローンの方が高価格のため、国内ではマルチコプター型ドローンの方が一般的になっています。しかし性能として優れている部分は多く、固定翼ドローンだからこそのメリットがあります。

固定翼ドローンの方が優れているのはこのような点です。

・スピード

空気抵抗の少ない航空機型のデザインとプロペラの向きによってハイスピードの飛行ができます。

・積載重量

飛行性能が良いため、マルチコプター型ドローンよりも多くの重量を積めます。

・飛行時間

揚力を利用した空気抵抗の少ない飛行は必要な動力も減らせるため、バッテリーの持続時間が長くなります。

・機体の安定性と安全性

機体に安定性があり、マルチコプター型ドローンより風に強いというメリットがあります。また動力を失った場合、構造上、真下に落下するのではなく降下するように落ちていくので、機体破損のリスクが低いです。

このように固定翼ドローンの機能にはメリットがたくさんあります。国内の認知度は低いですが、海外では遠距離での医療品輸送の実証実験が行われているように、産業活用のためのドローンとして注目されています。

 

固定翼ドローンはドローン測量の質を高める

 

ドローンを用いた測量を行う際、固定翼ドローンの特徴はより精度の高い測量を行なうための大きな強みとなります。その理由をいくつかみてみましょう。

まずマルチコプター型ドローンより積載重量が大きいため、これまで積むことができなかったような重量のある高解像度カメラや精度の高いレーザー測量機を搭載することができます。

機体の安定性があるため、そのような重い機器を乗せても飛行に支障が出にくいのも固定翼ドローンを使用するメリットです。風にも強く山間部など気候条件の厳しいところでの測量でも安定した作業を行なえます。

また固定翼ドローンは1つのバッテリーでの飛行時間が長いため、1度の飛行で広範囲の測量を行なえます。バッテリーを変えるため頻繁に操縦者のところまで戻らなくて良いので、作業効率が上がるでしょう。

 

高度な測量ができる!固定翼ドローンの注目機種

高精度な測量を行なうために活用できる固定翼ドローンにはこのような機種があります。

・テラドローン「Terra Powerlifter」

固定翼の部分がハンググライダーのカイトのようになっている特徴的なデザインの固定翼ドローンです。このデザインがバッテリーの消費を大きく抑え、マルチコプター型ドローンだと10分から20分だった飛行時間を約2時間まで伸ばすことができました。

飛行速度も速いため1日で約200haの測量が可能です。 上空200mからより精度の高い測量が可能なRIEGL社のレーザー測量機を積むこともでき、広範囲かつ高精度の測量を提供できる機体です。

・ウイングコプター社「Wingcopter 178 Heavy Lift」

ドイツ製の固定翼ドローンです。約2時間持続するバッテリーで最大飛行時速約150km、最大飛行距離約100kmの長距離飛行を実現します。

一般的な固定翼ドローンとは異なり長い滑走路がなくても離着陸が可能です。操縦ではホバリングをするマルチコプターモードに切り替えることができます。コンパクトに折りたたんで持ち運ぶこともでき、固定翼ドローンでありながらマルチコプター型ドローンのメリットも取り入れた機体です。

ドローン測量サービスを提供しているテラドローン株式会社も2017年にはイギリスの固定翼ドローンメーカーQuestUAV社と戦略的提携を結んでいるように、国内でも固定翼ドローンでの測量用ドローン開発が進められています。

今後、固定翼ドローンは、ドローン測量の質をより良くするために活躍していくでしょう。

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