海外におけるドローンを活用したサービス事例や海外進出時の注意点について

更新日: 2021.11.23 公開日: 2017.11.16
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日本でもここ数年で一気に認知度や理解度が高まり、多くのドローンユーザーが誕生しています。それに伴って様々なサービスへの活用も始まっていますが、海外ではすでに多くのドローンサービス事業が展開されています。ドローン活用の海外事例とともに、ドローンを用いた海外進出を考えた時に注意しておきたいポイントをご紹介します。

目次

海外で展開されているドローンを活用したサービス事例

Drone Volt(フランス)

ドローン販売店として創設された同社は、機体のカスタマイズ、メンテナンス、創業・建築・インフラ点検・セキュリティといったドローンを活用した幅広いサービスに加え、ソフトウェア開発、教育トレーニングなど総合的なサービスを展開する海外のドローン企業です。

Garuda Robotics(シンガポール)

主に建造物のインフラ点検、精密農業、セキュリティに関するソリューションや教育サービスなどを提供している企業です。シンガポールの公的職業能力研究所と提携してドローンパイロットのための訓練講座なども開設しています。

Altitude Angel(イギリス)

ドローンに関連する様々な空域データのサービスを展開している企業で、イギリスのNATS(民間航空交通管制会社)の承認を得てドローンパイロット向けに飛行規制情報などを含むサポートアプリを提供しているほか、取得した空域情報をAPIとしてアプリ開発者に提供しています。

PrecisionHawk(アメリカ)

サーマルセンサーや測距センサーを搭載したドローンなど、主に測距やデータ分析に特化したサービスを提供している企業です。あらかじめ設定したルートを自動飛行して収録したデータをクラウド上でAIが分析し、その結果を元にソリューションを提供しています。

新華網(中国・日本語サイト)

大手メディアの新華網は天津爆破事件などをはじめ報道現場においてドローンを積極的に活用してきました。2016年8月にはドローンスクールを設立して人材育成・輩出基盤を整えたほか、ドローンチャンネルでは作品、パイロット情報、製品情報などを発信しており、意欲的な海外のドローン活用事例をつくっています。

Pix4D(スイス)

ドローンから送られてきた空撮データを自動加工するソフトウェアを提供しています。これによりPC上からデータの加工が行えますので、測量、建築などの分野はもちろん、交通事故現場の鑑識作業や日々の建設状況を自動で分析・データ化する取り組みなどに幅広く応用されています。

Dronomy(イスラエル・SITE AWAREのページに遷移します)

建設現場向けの測量ソリューションを提供する海外のドローン企業で、元イスラエル軍に所属していたドローン研究者が立ち上げた企業です。もともとドローンは軍事用に開発されたこともあり、その高い制御技術によって建築現場では世界最高クラスの測量精度を実現しています。

Drone Scan(南アフリカ)

同社は在庫管理を自動化するサービスを提供しています。物流倉庫内等に保管されている在庫やパレットなどにバーコードやRFIDタグ(ID情報を埋め込んだタグ)を貼り、バーコードリーダー、RFIDタグリーダーを搭載したドローンを工場内や倉庫内に飛ばすことで自動スキャンし、在庫管理における時間とコストの大幅な削減を実現しました。

DHL(ドイツ)

運送大手でドローンも活用する海外企業DHLは、垂直離着陸が可能な固定翼ドローンを使って「スカイポート」と呼ばれるドローン用自動集荷ステーションから別の「スカイポート」へ荷物を配送するという実証実験に成功しています。トラックでは30分かかってしまう山岳配送もわずか8分で行えるようになったとのことです。

いかがでしょうか?

このように海外でドローンは様々な分野で活用され、その分野は今後もどんどん広がっていくことが予想されています。

今回ご紹介したのはごく一部に過ぎませんが、これだけ見ても海外におけるドローンを活用したサービスがどれだけ進んでいるか、手に取るように分かります。

 

将来的に海外進出を考えるなら注意しておきたいポイント

「おもてなし」の精神をはじめ、日本国内のサービスは世界各国でも十分通用する可能性を秘めています。ドローンにおいても、その高品質な機体やきめ細やかなサービスは同様に大きなポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。

「世界中のどんな顧客のニーズに対して、どんなサービスを提供するのか」

という戦略的なことはもちろん突き詰めていかなければなりませんが、海外でドローン事業に参入する場合、併せて注意しておきたいポイントがあります。

それは各国の「ドローンやビジネスに対する法規制の内容」と「ライセンス制度の違い」です。

アメリカ、中国、イタリアの例を見てみましょう。

アメリカ

ドローンを屋外飛行させるにはFAA(アメリカ連邦航空局)への登録および登録番号を機体に貼り付ける必要があります。そのほか、小型ドローンを商用利用する場合は

・120m以下で飛行させること

・目視範囲内で飛行させること

・空港周辺では飛行させないこと

・多くの人が集まる上空では飛行させないこと

などがあります。

中国

25kg未満のドローンを高度150m未満の空域で飛行させる場合は、飛行許可は不要なのですが、25kg以上のドローンを飛行させる場合はライセンスが必要になります。ほかにも、管理区域内の飛行や商用利用するには事前に許可を得る必要があります。

イタリア

日本で禁止されていることについてはほぼ例外なく禁止されているのに加え、ドローンを飛行させるためにはENAC(イタリアの航空管轄当局)が認可したトレーニングセンターで発行されたライセンスが必要です。

スペイン

国の法律以外に各州にも規制が存在しますので、ドローンを飛行させるには特に注意が必要です。飛行範囲については目視できて、かつ操縦者から最大で100メートルまでと決められていて、強風時は飛行禁止となります。

もし違反した場合、日本円にして最大で約2,500万円もの高額な罰金が科せられますので覚えておきましょう。

海外のドローンの最新情報を入手し、整理しておく環境を整えることも大切

世界各国でドローンを活用したサービスを展開する場合は、その国の法規制やその他の条件などについてしっかりと勉強しておく必要があります。

その上で経営戦略を立て、本当に進出すべきかどうか入念に検討する余地があります。

また、国によっては法規制などが頻繁に改正されることも少なくありませんので、常に海外のドローン最新情報を入手し、整理できる環境を整えておくことも必要です。

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