建設業界など様々な分野でドローン測量が活躍していますが、スマート林業を目指す森林業界でもすでにドローン測量が導入されています。ここでは林業におけるドローン測量の活用方法やメリットについて解説します。
スマート林業の推進とドローン測量の導入
建設業界ではドローン測量が、農業ではドローンを使った農薬散布などが身近なものになってきています。ドローン技術の進歩により、様々な産業で活用されるようになっているドローンですが、林業でもドローンを使った測量が導入されています。
「未来投資戦略2018」では林業改革のポイントのひとつとしてスマート林業の推進が挙げられています。
そこには「林地台帳、境界情報などの基礎的情報やレーザー計測による高精度の資源情報の整備・公開、ドローンによる生育状況の把握等を進めるとともに、ICTを活用した機械の導入などによる施業の効率化を進める」とあります。
林野庁による「平成30年度スマート林業構築普及展開事業事例集 スマート林業を目指して!」には、林業においてもICT技術を活用して、人手不足への対応や安全の確保を目指すことが記されています。
ICTの先端技術を活用すれば、生産性の向上や新たな担い手の確保・育成を進めることができますし、林業をより魅力的な職場とすることができます。
国を挙げて取り組んでいるスマート林業において、ドローンが占める役割は大きいということができます。国土の60%以上が森林に覆われていることを考えると、森林資源の有効活用は重要な使命であり、ドローン測量の導入によりこの使命を効率的に成し遂げることができるのです。
林業におけるドローン測量の活用方法
林野庁の「森林の現状と課題」によると、森林面積は国土面積の66%に当たる約2,500万ヘクタールもあります。森林の機能は災害防止や温暖化防止、水資源の涵養(かんよう)など多目的にわたります。
これらの機能をお金に換算して評価すると年間70兆円にもなるとされています。この重要な森林を望ましい姿にするために整備や保全を進める必要があります。しかし所有者の特定が困難な森林がたくさんあることも問題になっています。
そこで、所有者や境界を明らかにして、森林施業の集約化を進めることが必要になっています。そのための基礎的なデータ作成にドローン測量が用いられているのです。
ドローン測量は空から森林の写真を撮影するだけではありません。位置情報と画像データを組み合わせて樹木一本一本の直径や樹高、曲がり具合などを知ることができます。これらのデータは森林災害調査や森林資源量の把握に役立ちます。
ドローン測量により3次元点群データを作成し、3Dモデルやオルソ写真を作成することができますが、これらは間刈などの施業成果を確認するのに活用することができます。
このように、森林資源の効率的な管理、森林資源量の把握、間伐作業などの成果確認、森林災害調査、森林の健康状態の把握など、様々な分野でドローン測量は活用されていますし、工夫次第では測量以外の分野でも活用できるだろうと期待されています。
ドローンによる森林測量のメリットと今後の展望
従来の森林測量は人が森の中を歩いて行うものでした。もちろん詳細で高精度なデータを取得するのに適した方法ですが、広大な土地を測量するには時間がかかりすぎるという問題があります。
ドローン測量を導入することによって、広範囲の測量作業を迅速に行うことができます。森林資源調査においては、実証エリアで作業時間を約3分の1に削減することができると言われています。
広範囲に及ぶ測量は有人航空機を用いた方法もありますが、手間とコストを抑えることができるドローンの導入に大きなメリットがあると考えられています。
すでに林業においてドローン測量の導入が行われているとはいえ、国土の60%以上の森林面積を調査するのは簡単なことではありません。広大な未調査地域が残されており、ドローン測量が活躍するのはまだまだこれからだということができます。
スマート林業の導入検討をしている林業組合、自治体森林関係者、民間林業会社に対して、「コマツ認定 森林見える化コース」が2019年8月に開講されました。国を挙げて推し進めているスマート林業に後れを取らないよう、また定められた成果指針などへの解決の糸口としてこれらのコースを活用することができるでしょう。
林業が目指す魅力的な職場にドローン測量の導入は大きく貢献することでしょう。この取り組みによって新しい若い人材が入ってくることが期待できます。さらに広大な森林エリアを効率的に測定するためにドローン機体のさらなる改良が施されることでしょう。
今後も様々な分野で活躍し進歩を続けるドローンから目を離すことができません!
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