昨今、ドローンの産業用途需要が高まるとともに、一般向けにも高性能ドローンが続々と登場していますが、飛行禁止区域での飛行や、航空機とのニアミスなど、重大事故につながりかねない事案も国内外で散見されています。
また、今後空を飛び交うドローンの機体数も今とは比べ物にならないほど増えていくとみられており、安全かつ快適に運航するためのシステムが不可欠になってきます。
今回は、ドローンとその周囲の安全を保ち、より効率的にドローンを活用するための管制システム(UTM)について紹介していきます。
ドローン管制システム(UTM)とは?
UTMは、UAV Traffic Managementの略で、日本語にすると無人航空機管制と訳すことができます。今後、当たり前のように空を飛び交うようになる可能性のあるドローンは、それぞれが完全に独立して飛行している場合、衝突事故を起こしたり、墜落したりしかねません。
そこで必要になってくるのがドローン管制システム(UTM)の存在です。周囲を飛行するほかの機体の位置把握や、緊急回避、危険区域の探知など、ドローン運用の上でのリスクマネジメントに大きく貢献してくれます。
2018年夏には、ドローンの目視外飛行が解禁される見込みであり、今後ドローン管制システム(UTM)が欠かせないものになってくると思われます。
それでは、実際に国内で開発されているドローン管制システム(UTM)を見ていきましょう。
テラドローンのTerra UTM
画像引用:https://utm.terra-drone.net/#UtmAdmin
テラドローンは2016年3月に創立された、ドローンによる測量を行う企業です。測量で使用するドローンの自社開発も行っており、2時間の長時間飛行が可能です。
Terra UTMでは、飛行前にエリア地図や気象情報を確認できるほか、飛行プランの作成、申請、エリア指定が可能です。
飛行中にはリアルタイムでの飛行位置トラッキング、指定ポイントでの動画及び画像撮影、緊急帰還などが可能です。
また、飛行後にはフライトログの確認や管理、撮影した動画及び画像の再生が行えます。
楽天のRakutenAirMap
画像引用:https://www.rakuten-airmap.co.jp/
インターネット通販大手の楽天は、米AirMap社と提携して、「RakutenAirMap」を開発しています。
「RakutenAirMap」の機能は、土地管理者向けとドローンユーザー向けに大別されます。敷地内のドローン飛行を管理する空域管理者向けツールでは、飛行可能エリアを設定したり、パイロットが申請しているフライトプランを確認したり、パイロットへ連絡することが可能となります。
実際にドローンを操縦するパイロット向け機能では、専用アプリをインストールすることで、自身のフライト履歴の閲覧他、飛行可能エリアの確認、フライトプランの設定、申請、天候変更、周囲に航空機が接近した際の通知の受信など、フライトに役立つ情報が得られます。
DJIやIntelなど、ドローンメーカーが提供するアプリにもAirMapの技術が取り入れられているほか、AirMapアプリにもDJIなどの大手メーカーの協力がなされています。
ドローンネットのDrone Scope
最後に紹介するのは、ドローンコンテンツの企画、運営、開発を行う株式会社ドローンネットが開発したDrone Scopeです。
同社は2018年4月4日に記者会見でドローン月額会員サービス「ドローンザワールドクラブ」を発表し、初期4大コンテンツの1つとして、Drone Scopeが紹介されました。
Drone Scopeは遠隔地からリアルタイムで空撮映像を確認しながら、操縦者への指示を行えるアプリケーションです。
複数台のドローンの管理を目的としているため、複数の地域にまたがった複数のドローンも管理可能です。
また、空撮映像と一緒に位置情報をリアルタイムで表示するシステムは日本国内初実装で、特許出願中とのことです。
また、ドローンネットでは、Drone Scopeを使用して複数のドローンおよびパイロットを的確に監督、ナビゲートするスキルを持った人物を「ドローン管制士」と定義し、自社が運営するスクール等で講習を行っていく予定です。
Drone Scopeの利用者は、無料で同講習を受講可能となるので、是非ともドローン管制士を目指してみてはいかがでしょうか。
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