大容量タンクを搭載した農薬散布用ドローンが次々と登場!

更新日: 2021.11.23 公開日: 2020.07.26
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ドローン農薬散布の普及が広まりその需要が高まる中、各メーカーが農薬散布用ドローンの開発や改良に取り組んでいます。特に最近は、大容量のタンクを搭載した農薬散布用ドローンが登場しています。今回は、大容量タンク搭載のドローンの強みやおすすめの機種をご紹介します。

目次

ドローン農薬散布のメリットとは?

高温多湿で生態系が豊かな日本では、たくさんの害虫や菌が発生するため、農家は一年中にわたって防虫・防除をしなければなりません。そのためには農薬を散布することが必要ですが、手作業で広い土地に農薬を撒くのは非常に時間がかかり、農家にとって大きな負担となっていました。

そこで活用されるようになったのがドローンです。ドローンに農薬を入れるタンクや噴霧器を搭載し、農地の上空を飛行しながら農薬を散布することによって、手作業よりもはるかに早く作業を完了させることができます。

例えば、農薬散布用のドローンは、機種にもよりますが、時速約15~20km、散布幅4~6mなどの能力で農薬を散布できますので、1haの作業に10分もかかりません。また、上空で移動できるドローンは次の圃場にスムーズに進めるというメリットもあります。

今まで、農薬散布に無人ヘリコプターなども広く利用されてきましたが、ドローンの方が費用の面や作業効率の点で優れています。このため、国もドローン農薬散布の導入を進めたいと考えており、規制緩和やルール整備を行ってきました。その結果、ドローンによって農薬散布を行っている農地面積は確実に増えており、これからも農業の現場でドローンの普及は広まっていくことでしょう。

 

大容量タンクを搭載した農薬散布用ドローンの強み

以前は、10リットル以下の大きさのタンクを搭載している農薬散布用ドローンが多かったのですが、最近では15リットルを超える大容量タンクを付けているドローンが登場しています。では、大容量タンクを搭載することにはどんなメリットがあるのでしょうか?

そのメリットは、ズバリ農薬散布作業の効率化です。大容量のタンクにはたくさんの農薬を入れられますので、一度の飛行でより広い範囲に農薬を散布できます。ドローンはタンクの農薬が切れるたびに飛行を止めて農薬を補充しなければならず、その回数が多ければ多いほど作業効率が落ちますので、タンクは大きい方がよいのです。

大きいタンクを搭載しようとすると機体自体も大きくなりますし、重量の問題でバッテリーがあまり持ちません。このため、以前の技術やバッテリー性能では10リットルくらいのタンクが限界となっていましたが、技術の改良が進んだことで今までよりも大容量のタンクを搭載しているドローンが登場してきているのです。

 

おすすめの大容量タンク搭載の農薬散布用ドローンをご紹介!

最後に、大容量タンクを搭載しているおすすめの農薬散布用ドローンをご紹介したいと思います。

DJI「AGRAS T16」

中国の大手メーカーDJIの「AGRAS T16」は、16リットルの農薬タンクを搭載した6ローター機です。同メーカーの前のモデルである「AGRAS MG-1」シリーズは、10リットルタンクを搭載した8ローター機で、約4mの幅で散布する性能を持っていましたが、「AGRAS T16」は、タンクが大きくなったのに加えて、散布幅が約6.5mになりました。「AGRAS MG-1」の約2倍の噴霧効率を持ち合わせているとのことです。

また、カセット式のバッテリーや農薬タンクを採用することによって、地上での交換作業の時間を短縮しています。さらに、レーダーで検知した周囲の状況を3次元点群データ化して、自動航行中の障害物回避などを行う機能も付いています。

XAG「P30」

中国のメーカーXAGの「P30」は、16リットルの農薬タンクを搭載できる4ローター機です。「アトマイザー」という液剤散布装置と「JetSeed」と呼ばれる強力な気流で粒剤を散布できる粒剤散布装置を利用できます。防水機能も付いています。

自動飛行にも対応しており、地図上に任意のルートを作成してする「フリーモード」や、樹木1本ごとに旋回する「果樹モード」などを利用できます。

東光鉄工「TSV-AH3」

国産メーカーである東光鉄工の「TSV-AH3」は、16リットルの農薬タンクを搭載しており、1回の飛行で最大で2haの農薬散布をできます。

タンクやバッテリーをカセット式にして、交換時の作業がスムーズに進むようにしています。また、ローターアームがコンパクトに折りたためるようになっているので、トラックなどへの積み込みも簡単にできます。

今回は、ドローン農薬散布のメリットや大容量タンク搭載のドローンの強み、おすすめの機種などについて見てきました。今後も、性能の高いドローンが次々と開発され、農業の現場でますます活躍していくことでしょう。

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