手のひらサイズの小型ドローン、ちょっと本格的に楽しみたい中型ドローン、業務用メインに使われている大型ドローン。さまざまなサイズがありますが、今回は大型ドローンを中心に、その種類や用途、さらには人気の機種のご紹介をしたいと思います。
ドローンのサイズや種類
ドローンとひと口で言っても、その種類は非常にさまざまです。その中でも特に、サイズや重量は操縦の難易度に大きく影響すると言えるでしょう。では、ドローンにはどのような種類のものがあるのでしょうか。
ドローンには、プロペラのような形をしたローターと呼ばれる回転翼があります。
このローター数によって種類が分けられ、次のような名称がついています。
・ローター数3つ…トライコプター
・ローター数4つ…クアッドコプター
・ローター数6つ…ヘキサコプター
・ローター数8つ…オクトコプター
一般的なホビー用の小型・中型ドローンは、トライコプターもしくはクアッドコプターが多いようです。
一方で、ヘキサコプターやオクトコプターのようなローター数の多いものは、機体の重量が重く操縦の際の安定性が上がるという理由から、大型ドローンによる本格的な空撮や測量などに向いていると言われています。
大型ドローンの用途
近年、質の良い新しい大型ドローンが次々と誕生して注目を浴びていますが、大型のドローンは一般的に次のような目的で使われています。
・業務用の場合…建設現場での測量、農業、災害調査、荷物配送、映画撮影など
・個人の場合…高度で本格的な空撮がメイン
このように、業務上および個人での使用とでは用途が異なりますが、大型ドローンは値段が高く、操縦も相当のレベルが必要となるため、個人で使用ケースはかなり少なく、多くが業務用として使われることが多いです。
ちなみに、対角寸法が700mm~1400mm、機体重量は3kg~20kgといったものが大型ドローンに分類されています。
大型ドローンの活用例
大型ドローンは、様々な分野で活用されています。実際の活用例や、今後どんなことが期待できるのか、実例をみながら考えてみましょう。
災害救助
2017年12月 大規模な山火事での活用事例
2017年12月に発生したカリフォルニア州南部での大規模な山火事でドローンが使用されました。ロサンゼルス市消防局によると「史上初めて」のドローンの使用で、2機のクアッドコプターが使用されたと報告されています。
最初の1機はカメラを使って被災した建物を調査し、2機目のドローンは赤外線カメラで延焼の危険が残る場所を特定しました。
2018年1月 水難事故での活用事例
2018年1月18日にはオーストラリアの海岸で、波にのまれた海水浴客がドローンにより救助されました。ドローンを使った救難訓練を行おうとしていたところ、波にのまれた男性2人を発見し、ドローンが救命具を投下して、無事に泳いで戻ることができました。
2018年1月 山林地帯での遭難における活用事例
日本では2018年1月11日に、栃木県那須市で自殺をしようとして山林に入り込んだ男性から救助の要請があり、ドローンを使って捜索したという例があります。山林に倒れている男性を見つけることはできましたが、残念ながらすでに亡くなっていました。
地震などの大規模災害が多い日本において、今後もドローンを利用した災害救助が期待されています。被災地の調査、捜索、救援物資や医療品の配送などが可能になるでしょう。課題は多いですが、すでに実験も行われており、実現化されるのは時間の問題だと考えることができます。
物流分野
2019年6月5日にラスベガスで開催されたイベントで、アマゾンのワールドワイド・コンシューマーCEOのジェフ・ウィルケ氏は、ドローンを使った宅配サービス「アマゾン・プライム・エアー」の説明を行いました。
このサービスが実現すれば、およそ2.3㎏までの商品を、24㎞の範囲内で30分以内にドローンを使って配送することができるとのことです。サービス開始の目途も付いていて、プロモーション動画も見ることができます。
法律的な問題など、課題もたくさんありますが、今後、宅配ドローンが上空を飛び交う日が来るかもしれません。ちなみに、2014年にはロシアのピザショップ「Dodo Pizza」がドローンを使ったピザの宅配を開始しています。
農業
新潟市役所は2018年9月に、ドローンによる水稲の薬剤散布の実証実験を開始したと述べています。その他にも、水稲の空撮の実施も行っており、人手不足と言われている農業の分野でドローンが活躍することが期待されています。
北海道でも稲作やワインぶどうの育成・栽培にドローンを活用する実験が行われています。ドローンにより、農地や農作物の状態を観察し、病気の診断や農薬散布などを実現させるための調査や実験が進められています。
広大な農地の調査を人手によって行うのは簡単なことではありませんが、ドローンを活用することによって、コスト削減、品質向上、安全の確保などのメリットを得ることができます。
エンターテイメント
もともと趣味でドローンを楽しむようになったという人も多いでしょう。趣味の範囲でもドローンは進化しています。2015年9月6日に「CATALYST」主催のドローンレースイベントが行われましたが、その際にドローンバトルが実施されました。
ドローンバトルとは、ドローンを空中でぶつけ合って相手を操作不能にする新しいエンターテイメントです。アメリカでも行われていて、今後、さらにファンを獲得していくことが期待されています。
2018年7月には中国のドローンメーカーであるWingslandが対戦用ドローン「X1 FPV」を発表しました。レーザー光線を発射して相手を一時的に戦闘不能状態にさせるシューティングゲームを、ドローンを使って行うことができます。最大14機による対戦が可能で、今後さらに盛り上がることが予想されます。
2017年4月8日にはJリーグのサッカー中継にドローンが導入されました。世界でもイタリアのACミランやナポリなどがドローンを導入しており、練習試合や紅白戦を上空から撮影したものをミーティングで活用しています。
ラグビーでも、ドローンを使って練習を撮影し、ポジションチェックや戦術確認に使用しています。また、エクストリームスポーツなど、動きの激しい競技をドローンで撮影することも行われており、スポーツ撮影にドローンがますます活用できると考えられています。
軍事
敵地の偵察や攻撃にもドローンが活用されています。これらは神風ドローンや自爆型ドローンなどと呼ばれ、イスラエルや中国を中心に改良が進んでいます。2019年5月に中国で開催されたイベントでは、軍事用ドローンを搭載した軍事車両が発表されました。
実際に使用された例としては、2019年7月2日にサウジアラビアのアブハ国際空港がドローンによって攻撃された事件を挙げることができます。イエメンの反政府武装組織であるフージ派が攻撃に関与した声明を出しており、合計9人が負傷したと発表されています。
知っておきたい「200g以上」の決まり
先述したように、大型ドローンは対角寸法が700mm~、重量は約3kg~といったように、個人で所有するにはハードルの大きいサイズとなっています。
一方で、中型サイズのドローンは対角サイズが350mm~、重量は700g~といったものが多く、それより小さなドローンは小型ドローンとして、手のひらに乗るサイズのものもあり、練習用や室内用として使われています。
注意しなくてはならないのは、小型・中型ドローンであっても、機体重量が「200g」を超えるものの屋外での飛行については航空法の規制を守る必要があり、航空法に抵触する可能性のある場所で飛行させる場合には正式な申請を行わなくてはなりません。
なお、200g未満のドローンについては「ホビー用」としての扱いになるため航空法適用外となります。大型ドローンはもちろんですが、小型・中型ドローンを使用する場合でも定められた規制を守るといった注意が必要となります。
人気の大型ドローン
最後に、今人気の高性能大型ドローンをピックアップしてご紹介したいと思います。
・DJI Matrice 600 Pro
ドローンメーカーのリーディングカンパニーともいえるDJIから2016年に発売されたプロ向け空撮プラットフォーム型ドローンです。優れた飛行性能と高性能バッテリー充電システムが搭載されており、産業用途にも適している大型ドローンです。
・DJI Mavic Pro
同じくDJIから販売されているMavicは、大型ながらコンパクトに折りたたむことのできる機能性の高いドローンです。カメラやバッテリーの性能も高く、多くのドローンファンから注目されています。
・ALIGN RM48001XT M480L
ラジコンヘリの老舗メーカーALIGNから販売されている大型ドローン。プロペラ部分の作りなどが丁寧で、飛行に関しての安全性において非常に定評がある堅実なドローンです。
いかがでしたでしょうか。大型ドローンも近年、次々と新しいドローンが誕生しているため、業務用だけではなく、プロレベルの空撮を目指す個人からの需要も今後どんどん高まっていくことでしょう。
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