ドローンの代名詞と言っても過言ではないDJI社のファントムシリーズですが、最新機であるPHANTOM 4をベースにして作られた測量用高精度ドローン「PHANTOM 4 RTK」が測量業界に大きな影響を与えています。ここでは「PHANTOM 4 RTK」の特徴を解説します。
測量用高精度ドローン「PHANTOM 4 RTK」発表
DJI社のドローンと言えばファントムシリーズが有名ですが、最新機の「PHANTOM 4 PRO V2.0」の性能を継承しつつ測量に特化した形で改良されたのが「PHANTOM 4 RTK」です。
「PHANTOM 4 RTK」の発表がされたのは2018年10月16日で、DJI社のプレスリリースにはDJIエンタープライズヨーロッパのディレクターSunny Liao氏のコメントが掲載されています。
「PHANTOM 4 RTKは、ドローンを測量やマッピング、測量調査などの業務で使用するユーザーの要求に満たすよう、マッピングや測量業界からのフィードバックをいただき、設計しました。DJIは、今後も需要の拡大と成長の可能性がある様々な業界へのイノベーションを強化するというDJIのコミットメントを、このソリューションで実証できると確信しています」
「PHANTOM 4 RTK」は発売以来測量現場ですでに活用されており、全国各地で講習会なども開催されています。
測量用ドローン「PHANTOM 4 RTK」の特徴
測量用高精度ドローンとして発表された「PHANTOM 4 RTK」の特徴をまとめます。
RTKモジュール搭載
RTKとは「リアルタイムキネマティック」の略で、現場に設置された基地局とGNSS測位システムを組み合わせると測量データをセンチメートルレベルの非常に高い精度で取得することができます。
搭載されたRTKモジュールは1cm+1ppmの水平方向の測位精度、1.5cm+1ppmの垂直方向の測位精度、5cmの写真測量モデルの水平方向の絶対精度を実現し、本物の測量機器と同レベルの正確な測位データを収集することができます。
RTK非搭載のドローンの場合、1平方キロメートル当たり最大40個の標定点(GCP)が必要になります。ネットワーク型RTKに対応している「PHANTOM 4 RTK」の場合、標定点が不要なので、数時間かかる設置時間を少なくとも75%削減することができます。
正確なデータ収集を可能にする「TimeSyncシステム」
RTKモジュールを最大限に活用するために、フライトコントローラー、カメラ、RTKモジュールを自動調節する「TimeSyncシステム」が搭載されています。
ドローンが撮影した写真1枚1枚に詳細なメタデータを付与し、測位データをCMOSの中心に固定することによって測量方式のデータを最適化します。こうすることによってセンチメートルレベルの高精度な測量を可能にします。
専用飛行計画アプリ「GS RTK」
通常の飛行モードに加えて、写真測量やウェイポイント飛行の2つのプランモードが搭載された専用飛行アプリ「GS RTK」がプロポに標準インストールされています。プランモードを使用する際には、オーバーラップ率、高度、飛行速度、カメラパラメーター等を設定し、オペレーターがスムーズに測量撮影を行うことができます。
安全安心の飛行性能
OcuSync伝送システムにより信頼性が高く安定したHD映像伝送を日本国内なら最大5kmまで可能にしています。最大飛行時間は約30分と十分にあるため、バッテリー交換のための着陸を必要とせずにミッションの遂行が可能です。
測量エリアが広くてバッテリー交換をしなければならないような現場でも、GS RTKアプリの「Operation Resumption機能」を使えばミッションの自動再開をすることが可能です。
アップロードでさらに有効性を増した「PHANTOM 4 RTK」
アップロードで追加された「地形認識モード」により、「PHANTOM 4 RTK」の有効性がさらにアップしました。「地形認識モード」とは、地形の起伏に合わせて高度を保ちながら自動飛行ができる機能です。この機能を使うことによって、起伏が激しい現場でも1回の飛行でデータ収集を行うことができます。
地形認識モードの有効性を実践する実証実験が福島県いわき市の道路延長工事現場で行われました。山奥の現場で起伏が激しく、地形認識モードの実証実験にふさわしい現場です。
ネットワークRTKの使用ができないため、D-RTK2を組み合わせて写真測量を行いました。地形認識モードで撮影した画像をPix4Dに取り込んで精度検証をしたところ、X軸は約1.8cm、Y軸は約0.68cm、Z軸は約2.5cmだったと報告されています。i-Constructionの規定はXYZ軸5cm未満なので、十分な成果を達成していることが分かります。
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