近年、ドローンの利用率が上がったことで、2016年8月に電波法が改正されました。これによって新しく設定された周波数帯をドローンで使用する場合には、「第三級陸上特殊無線技士」の資格が必要となりました。第三級陸上特殊無線技士がどんな資格なのかというお話から、資格の取得方法、併せて取得しておきたい資格などをご紹介します。
第三級陸上特殊無線技士ってどんな資格?
陸上特殊無線技士は、陸上の無線通信を行う際に必要な国家資格です。テレビの中継局や携帯電話の基地局などにおける設備操作を行う場合に、この陸上特殊無線技士の資格を持った無線従事者が必ずいなくてはならないという決まりが電波法で定められています。
この無線従事者の資格は、陸上特殊無線技士の他、海上特殊無線技士や航空特殊無線技士などがあります。
陸上特殊無線技士には一級、二級、三級と種類があり、それぞれ以下のように内容が分けられています。
・第一級陸上特殊無線技士
空中線電力500W以下の多重無線設備で、30MHz以上の周波数の電波を使用するものの技術操作を行う場合に必要な資格。
例…テレビやラジオの放送局、防災行政無線など。
・第二級陸上特殊無線技士
空中線電力10W以下の無線設備で1605.5kHZから4000 kHZの周波数の電波を使用するものの技術操作を行う場合に必要な資格。
例…気象レーダーの操作、スピード違反取り締まりのレーダー操作など。
・第三級陸上特殊無線技士
一級、二級よりもさらに周波数の範囲が限られている無線設備の技術操作が行える資格。
例…消防や警察、タクシーなどの無線基地局での操作。
これらの資格は、それぞれ略して「一陸特(いちりくとく)」「二陸特(にりくとく)」「三陸特(さんりくとく)」という風に呼ばれています。
ドローンの操作には第三級陸上特殊無線技士の資格が必要?
陸上特殊無線技士について簡単にご説明しましたが、近ごろ話題になっているドローンの操作では第三級陸上特殊無線技士の資格は必要になるのでしょうか?
現状では、免許や資格がなくてもドローンを操縦することは基本的には可能です。
しかし、2016年8月に電波法が「ドローンによる5.7Ghz帯の使用が可能」という内容に改正されたことで、この新たに設定された周波数帯でドローンを飛行させる場合、第三陸上特殊無線技士の資格が必要という決まりができました。
趣味や遊びでドローンを操縦する場合はこの資格を取得する必要は特にありませんが、「電波法の改正によって新たに設定されたドローン専用の周波数帯を使用し本格的に飛行させたい」「よりきれいな映像を空撮したい」「ドローンを業務利用したい」「よりドローンについての知識を深めたい」というような場合は、第三級陸上特殊無線技士の資格を持っていた方が良いでしょう。
第三級陸上特殊無線技士の試験はどのように受ける?
第三陸上特殊無線技士の資格試験は、年齢制限などがなく誰でも受けることが可能です。
取得方法は「試験を受けて合格する」パターンと、「講習を受ける養成課程」の2パターンがあります。
試験を受ける場合は国家資格の試験となりますが、養成過程の場合はe-ラーニングなどオンラインで講座を受けられるものが多く、オンラインでの講座から資格取得まで一貫して行えるため、受験者の数は年々増えているようです。
資格取得のためにかかる費用は、国家試験を受ける場合、受験料とテキスト代でおおよそ7,000円程度、養成課程の場合は20,000円ほどの費用で取得可能となります。
受験をする場合、試験方式は「無線工学」と「法規」の2つがあり、無線工学・法規それぞれ60点満点中40点以上を獲得できれば合格となります。
試験内容は、正誤問題やマークシート形式の問題が主で、第三陸上特殊無線技士の場合は合格率が約80%と、資格を獲得するにはそれほど大きなハードルはないようです。
受験と養成過程、どちらが良いのか?と悩む方も多いかと思います。
費用はどちらもそれほど高いわけではないので、「ある程度の知識がもともとあって手っ取り早く資格を取りたい」という人は受験、「講座を受けてしっかりと知識を深めたい」という方は養成過程で資格を取るのがおすすめです。
第三級陸上特殊無線技士と一緒に取りたい資格はコレ
近年のドローン普及率の高さを鑑みても、第三級陸上特殊無線技士の資格は取っておいて損はないと言えますが、同時に取得しておきたいのが「第4級アマチュア無線技士」です。
ドローンには、「FPV」という機能がついたものがあります。
これは「First Person View」の略で、一人称視点を意味します。ドローンに搭載したカメラの映像を手元で見ながら操縦できるという機能で、空撮やより高度な操縦を楽しむには必須の機能となります。
この「FPV」機能を使うには、カメラ映像を電波で飛ばす必要があり、そのためには第4級アマチュア無線技士の資格が必要となります。
「遠くまでドローンを飛ばして本格的な操縦を楽しみたい」「将来的にドローンを生業としたい」といったことを考えている場合は、第三級陸上特殊無線技士と併せて第4級アマチュア無線技士の資格もとっておくことをおすすめします。
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