ドローン配達は、すでにさまざまな企業が実証実験を行っており、一部でサービスを開始したりしています。今回は、ドローン配達の現状や課題、将来的に普及する見込みはあるのかどうかを考えていきたいと思います。
ドローン配達はすでに多くの実証実験が行われている!
人手不足が慢性化している物流業界の中でも特に、宅配の分野において配達用ドローンの導入に大きな期待が寄せられており、すでに、多くの企業がドローン配達の実証実験を行っています。
・DHL
ドイツの大手配送会社DHLは、標高1,200mという山岳地帯に自動配送ステーションを設置し、目的地まで自動でドローンが配達するという実験を成功させました。この実験では、車で30分かかるところを、わずか8分で配達できたそうです。
・Amazon
Amazon Prime Airでは、注文から30分以内に配達するというサービスを開発しました。イギリスで行われた実験では、注文から15分で無事に配達を完了させました。
・楽天
ゴルフ場で、プレイヤーがスマホから注文したドリンクをドローン配達で届ける実験を行い、無事に配達を完了させました。すべてが自律飛行で行われるため、コントローラーによる操作も一切不要です。
このほかにも、Googleや、中国の大手ECアリババといったさまざまな企業が、ドローン配達サービスの開発や実験を行っています。
ドローン配達の課題とは?
多くの企業によってドローン配達の実証実験が行われていることが分かると、「もしかするとドローン配達サービスが実用化されるのも時間の問題では?」と思ってしまうかもしれません。
しかし、2018年4月にロシアで行われたドローン配達の実験では、離陸直後にドローンがアパートの壁に激突して大破・墜落する事故が発生しています。
また、次のようなさまざまな課題も解消していかなければなりません。
・法整備
・ドローンが墜落したり、商品が落下したりすることが考えられる
・商品またはドローンごと盗まれてしまう恐れがある
・一度に多量の荷物や重量のある荷物を運べない
・受け取る側の本人確認をどう行うのか
・ドローンにウイルスが仕込まれ、強制停止や荷物を盗まれるなどの恐れもある
・ドローン配達を装った盗撮行為や危険物輸送のリスクもある
同時に、管理システムや安全に運行させるための責任者、整備士といった人材も育てていかなければなりません。
また、あらゆる企業がドローン配達に参入した場合に、空一面がドローンだらけになってしまえば、いくら障害物センサーを搭載していても、ドローン同士の衝突のリスクも増大します。
これらはあくまで一例ですが、このように、ドローン配達を実用化するには、まだまだ解消しなければならない課題が山積です。
ドローン配達が普及するのは過疎地や近距離配達が有力?
ドローン配達は果たして普及するのでしょうか?現段階ではまだまだ課題が多く、実用化はしばらく先になりそうです。
しかし、現実に多くの企業が実証実験を行い、実際に成果を出しているわけですから、課題を一つずつ解消していけば実用化は見えてくるでしょう。
まず普及する可能性として考えられるのは、
・過疎地への宅配
・近距離配達
こうしたケースです。
過疎地に暮らす多くは高齢者で、自分の足で買い物に出かけることが困難な人も少なくありません。また、買い物をできる店舗も限られています。
どのように注文するのか(ネットを操作できるのか)といった問題も浮上してきますが、高齢者が多く住む過疎地で、ドローン配達が普及する可能性はあるでしょう。
ただし、配達員が配達していたことによってカバーされてきたコミュニケーションや、安否確認といった副次的なメリットが排除されてしまうデメリットもあります。
この他、バッテリーの不具合など、万が一の際に責任者が駆けつけやすいといった観点から、近距離配達も普及するケースとして有力ではないかと思われます。
いずれにせよ、実証実験を行っている各企業やメーカーがどのようなドローンを開発するのか、国や自治体はどのようなルール作りをしていくのかといった点も注目したいところです。
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