従来の農薬散布は手作業でおこなわれていたため、重労働でかなりの時間を費やしていました。そこで登場したのが無人ヘリコプターやドローンといった無人航空機ですが、2つの無人航空機にはどのような違いがあるのでしょうか。ドローンなどの無人航空機を使うことで、従来の農薬散布からどのように変わったのか、また、無人ヘリコプターとドローンの特徴を比較していきます。
従来の農薬散布とドローン農薬散布を比較
従来の手作業でおこなう農薬散布は、農薬の入ったタンクを肩に担ぎながらおこなうため、広い圃場などの場合、重労働でかなりの時間がかかっていました。さらに、高齢化や人手不足などもあり、深刻な問題となっています。
そこに近年登場したのが、ドローンによる農薬散布です。
ドローンを使っておこなう農薬散布は、比較的軽い労力で散布ができるうえ、時間の短縮がはかれるという理由で、ドローンを導入する農家が増えつつあります。
ドローンが無人航空機の一種になりますが、無人航空機にはドローンよりも前から農業の現場で用いられていたのが無人ヘリコプターもあります。
無人ヘリコプターとドローン、どちらとも空中から農薬を散布する点では同じですが、ドローンに比べると導入費用が掛かるなど費用面において大きな課題をもっていました。
無人ヘリコプターとドローンのそれぞれの農薬散布の特徴を比較
ここでは、無人ヘリコプターとドローンの特徴を比較しながら解説します。
無人ヘリコプターの特徴
・短時間で広範囲の散布ができる
・飛行可能時間が長い
ドローンによる農薬散布の特徴
・機体の持ち運びがしやすい
・安定した飛行ができる
・操縦が簡単である
・安価に機体を導入できる
無人ヘリコプターとドローンを比較
・飛行時間
ドローンは、1haの範囲を散布するのに10分ほどかかりますが、無人ヘリコプターだと6分ほどでの農薬散布が可能です。1haで比較すると数分の差ですが、農薬散布をする範囲が広いほど散布時間に差がでるので、無人ヘリコプターは広範囲の散布に向いていると言えます。
また、飛行可能時間を比較すると、無人ヘリコプターは1回の飛行で約60分の飛行が可能なのに対し、ドローンの飛行可能時間は約10分と短めです。
・扱いやすさ
高齢化や人手不足が問題となっている農業の現場では、持ち運びのしやすさも重要です。ドローンは無人ヘリコプターよりも小型で、一人で持ち運びがしやすく、軽トラックの荷台に乗せて運べるように、折りたたみ式のドローンもあります。
・操縦のしやすさ
無人ヘリコプターと比較してプロペラの数が多く、安定した飛行ができるドローンは操縦も簡単です。
・導入費用
無人ヘリコプターを導入する場合、機体購入費用だけでも数百万かかるケースもあります。その一方で、ドローンは操縦講習などを含めたとしても数十万円~と導入がしやすいです。ただし、機体の性能によってはその限りではありませんので、事前に予算の計画を立てたり、必要な性能がどのようなものであるかを把握しておきましょう。
ドローン農薬散布におすすめの機体は?性能や価格などを比較
前項のことから、手作業での農薬散布と比較すると、無人ヘリコプターとドローンどちらとも効率的に散布がおこなえることがわかりますが、導入のしやすさや、使い勝手の良さでドローンのほうが優れています。
しかし、一口にドローンと言っても種類はさまざまです。ここでは、農薬散布におすすめのドローン3機を紹介します。
・MAZEX 飛助MG 20年型
総重量・・・10.7㎏
最大飛行時間・・・15~20分
1回の散布最大面積・・・1.25ha
タンク容量・・・10L
価格・・・約98万円
国内生産の「MAZEX 飛助MG 20年型」は、強固なフレームで耐久性があり、日本の夏の暑さにも耐えることができる冷却性能も搭載されています。
Wダウンウォッシュポンプで、農薬散布の際に薬剤を逃しにくく、さらに全体にまんべんなく散布ができるのが「MAZEX 飛助MG 20年型」一番の特徴です。
・DJI AGRAS MG‐1
総重量・・・9.5㎏
最大飛行時間・・・10~15分
1回の散布最大面積・・・1ha
タンク容量・・・10L
価格・・・約180万円前後
「DJI AGRAS MG‐1」は農業に特化して作られています。「MAZEX 飛助MG 20年型」と比較すると、1回の飛行で散布できる面積が狭いですが、「DJI AGRAS MG‐1」は速度によって散布する農薬の量を調節し、常に適正な量の散布をおこなってくれます。
・エンルート AC1500
総重量・・・11.9㎏
最大飛行時間・・・16~25分
1回の散布最大面積・・・1.6ha
タンク容量・・・10L
価格・・・約220万円
「エンルート AC1500」は農薬用大型ドローンで、今回紹介している3機の中で飛行時間や1回の散布面積が最大となっています。
「エンルート AC1500」で使われている散布ノズルは、エントールが厳選したものが使用されて、安定した吐出量で散布ができます。
また、農業用大型ドローンですが、アームを折りたたむことでコンパクトになり、軽トラックの荷台にも乗せることができます。折りたたみ方も、アームのロックを解除して下げるだけなので簡単です。
この記事と一緒によく読まれている記事
-
ドローンショーの仕組みを解説!演出や操縦はどうやっている?
-
ドローンを使ったスマート農業を解説!農業用ドローンの主な用途とは?
-
ドローンの免許(国家資格)の取得には年齢制限がある?何歳から取得できる
-
水中ドローンの操縦に免許は必要?水中ドローンに関する資格を解説
-
ドローンの操縦に無線技士の資格は必要?必要なケースや資格の取得方法を解説!
-
ドローン測量管理士とは?新しく登場したドローン測量の資格を取得する方法を解説!
-
海でドローンを飛ばす際の規制や必要な許可申請は?海で飛ばす時のルールを解説
-
ドローン国家資格の取り方を解説!取るまでの手順や取得期間はどれぐらい?
-
ドローン国家資格の難易度は高い?試験の合格率や勉強時間はどれぐらい?
-
ドローンを使った橋梁点検とは?メリット・デメリットや橋梁点検で使用される新技術を解説!
-
ドローンの目視外飛行は飛行許可が必要?目視外飛行を行う条件や練習方法を解説!
-
100g未満のドローンを飛ばせる場所を解説!チェックすべき法律や飛行ルールは?